テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
中継地点で食料とついでに足を早くするために馬を見つけて乗ろうとするカオス達一行。
カオスは乗馬に苦戦した末にタレスと相乗りすることに。
その後そこにいた敵の騎士達は…。
中継地点 外 昼 フェデールサイド
「派手に燃えてんなぁ…。」
「奴等は物資を補給した後、建物に火を放ったようだな。
ここ駐留していた奴等がいた筈だがどこに行ったんだ?」
「殺したかもしくは捕虜として連れていったか………、
………それはないか。
俺達が追ってくるのに捕虜なんか連れていたら移動の時邪魔にしかならない。」
「平隊員共は皆殺しってか…。
なら死体はどこに…?」
「ユーラス隊長!」
「何だどうした?」
「消化活動を行っていたら馬小屋に十名の遺体を発見しました!」
「…ほらな?」
「お前の言うことは何でも当たるな。」
「後もう一つ気になる点が…。」
「どうかしたのか?」
「遺体の中に一人だけ装飾の異なる遺体が混じっていまして、
…恐らく隊長方の誰かとは思いますが…。」
「何?
…馬小屋だな。
その遺体を見せてみろ。」
「………」
「はっ!
ではこちらの方へ。」
「こいつは………。」
「…装飾品が大分焼けついているが間違いない。
グライドの奴だな。」
「どうしてグライドがここにいるんだ?
あいつシーモスで提督してなかったか?」
「………グライドのことだから退屈で散歩でもしてたんじゃないか?
シーモス砦はダレイオスから敵が攻めてこない限り暇な拠点だから部下に任せて自分は飯でも集りに来たんだろ。」
「飯ってここにある飯は別にシーモスと変わらねぇだろ?」
「いや、
グライドはレサリナスに向かってたんじゃないか?」
「レサリナスに?
けどあいつ昨日の式には出席しないって言ってたと思うが…。」
「………本当なら強制的に収集を掛けてたんだがな。
お前らも含めて俺の指示を蹴ったりする連中がいるから…。」
「悪い悪い、
それでグライドがレサリナスの質のいい飯を食いに行く途中にここで休んでたら奴等と鉢合わせしたんだな。
運のねぇ野郎だ。」
「気の毒としか言いようがないな。
それでここまで焼肉にされてちゃあ…。
蘇生するのも不可能だろ。」
「………全身延焼………。
せめて上半身だけでも無事だったらな…。」
「…奴等はあのことは知らない筈だが何故こんな全身を黒炭に…?
…!
なるほどそういうことか。」
「……なぁ、
本当にカオスは不殺なのか?
これ見る限りそうとは思えないんだが…。」
「何だよユーラス。
怖がってんのか?
お前の名誉挽回の機会を昨日の今日で与えてやってんのに今更そんなこと聞いてどうすんだよ。」
「そうだがよ…。
グライドがこの様じゃカオスが本気で殺しに来たら俺の部隊だけじゃどうにも分が悪くねぇか?
どうせならお前の部隊も一緒に連れてくればよかったのに。」
「朝それはもう話しただろ?
たかが一匹の手のかかる盗賊がいるくらいで軍は出せねぇ。
出せてもお前のとこの部隊だけだ。」
「そうは言うけどよぉ…。」
「何も疑うな。
俺の指揮に任せとけ。
それにカオスが不殺ってのは間違ってねぇよ。」
「どうしてそんなことが分かるんだよ?」
「この遺体連中を見ろ。
殺されて燃やされたにしては変なポーズしてねぇか?」
「ポーズ?
………全員後ろ手に組まされてるようだが何を…?
………手錠かこれ?」
「そうだ。
これを見る限りだとこいつらは殺されてから燃やされたんじゃない。
この火で燃やされて死んだんだ。」
「それの何が違うんだ?
生きていたってんなら気絶させてるうちに水巻くんじゃねぇか?
その前に先に死んじまったんだろうがな。
確かに死体に手錠をする意味はねぇが殺意があったことに変わりはねぇじゃねぇか。
焼き殺す分陰湿的な恨みでもこもってそうだが…。」
「何故こいつらを縛り上げてから直接殺さなかったか。
………昨日の件見る限りだとカオスがごねたんだろう…。
俺達ですら殺すこともできたのに殺さなかった奴だ。
カオスは誰かを殺すことに強い抵抗があると見た。」
「でも結局焼いてんじゃねぇか。
そんな大した抵抗でもねぇんだろうよ。
俺達はこの国では嫌われものだからな。
他の奴等を説得しきれなかったんだろきっと。」
「もしそうだったら剣で一刺しで済む話だろ?
何故それをしなかった?
………カオスが殺すことに最後まで抵抗したんじゃないか?
それかカオスが知らないうちに殺すことにしたか。」
「カオスが知らないうちにだと?」
「奴等は俺達に追われている。
一刻の時間も惜しい。
なのにカオスがこいつらを殺すとなると揉める。
けどこいつらは殺しておきたい。
バルツィエだから後々面倒臭い。
ならどうするか?
だったらこいつらは今は殺さない。
後で殺す。
けど殺しに戻ってたんじゃ俺達に追い付かれる。
どう殺せばいいだろうか?
そうだ!
火だ!
こいつらを閉じ込めて魔術も使えないように工作してから火をかければこいつらを確実に殺せる上に焼いている間に奴等は俺達から逃げられる!
閉じ込めて刃物類を取り上げるだけなら決してこれから焼き殺そうとしてるなんて思わない!
これから向かう進路とは逆の方角から小さな火をくべれば自分達が逃げている最中には小屋が独りでに焼き落ちて中にいるこいつらも死にその頃にはカオスもこの小屋のことを確かめようがないところまで進んでいる!
カオスが自分達がこいつらを殺したことには気付かない!
狼煙が上がったとしてもそれは風に流されてどこから上がっているのかは分からない、そんな作戦なんだろう!
この作戦はカオスに気付かせないこと、逃亡すること、敵を殺すことを同時に行える正に一石三鳥の策という訳だ!
アッハハハハハハハ!!
シンプルな策だというのにこうも上手くハマってちゃ感心しかできねぇなぁ!!」
「………駄目だついていけねぇ…。
お前の推理はどうにもそうであってほしいように聞こえるんだよなぁ…。」
「…頭に入れておいてほしいのはカオスが不殺なのは変わりないってことだ。
それも自分の前では誰にも殺しなんてさせないってくらいに。
一種のプライドかな。
あれは。」
「まるで本人をよく知っているかのように言うじゃねぇか。
カオスがそんなことでも言ってたのかよ?」
「………」
『俺が殺さないと言ったら殺さないんだ。』
『誰かの命を奪うようなことはもう二度とゴメンなんだ。』
『俺は誰も殺さないし殺させもしない。』
「………」
「?
どうした…?」
「あぁ………、
言ってたなそんなこと………。」
「………そうかい。
ならそれを信用してやるとするか。
………だが本気なのかこの作戦………。
ダインやランドールは待機させて俺の部隊とお前だけって…。
昨日俺達がやられたばかりだってのに………。
大部隊は投入できなくてもあの二人くらいなら連れてこれただろう?」
「それがあの二人が即断で拒否したんだよ。
呼ぼうとは思ったが………。」
「まともな戦力の頭数が二人しかいない部隊ってのもおかしな話だよな。」
「そんなことはないさ。
お前の部隊には立派な戦力だ。
存分に役立ってもらう。
「けどこいつらにさせることってったら………、
あれするだけだろ?
本当にお前が言う通りになるのか?
今回ばかりはお前の作戦でも心配になるぜ。」
「信用してくれるんじゃなかったのか?」
「信用はするけどよ………。」
「なら黙って俺の作戦通りに動けよ?
この作戦の要はお前らがちゃんと俺の指示通りに動くかどうかにかかってるんだから。
やれるよな?」
「あぁ………、
今回はもう勝手に動くつもりはねぇさ。
俺も奴等にこいつらみたく焼かれたりしたくねぇからな。」
「大丈夫さ。
今回の戦闘では…、
互いに一太刀も交わさずに魔術だけの攻防戦になるから。」