テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

177 / 972
 青年カオスはアローネ、タレスと共に旅をしていた。

 ダレイオスへと亡命作戦中に後方からバルツィエの追撃部隊が攻撃を仕掛けてきて挟み撃ちになるのではと危惧したレイディー。

 だがダレイオスからやって来たのはダレイオス軍ではなくヴェノムの大群だった…。


一人戦争

シーモス海道 深夜 カオスサイド

 

 

 

「カオスのマナが枯渇………だと?」

 

「昨日の活躍撃から調子に乗りすぎたな。

 自分のペースを考えずに前に出過ぎるからこういうことになるんだ。」

 

「でっ!……もっ……!

 俺…は………今までマナが………枯渇なんて………!」ハァ………

 

「もう意識も朦朧としてるな。

 無理もないぜ………。

 お前の口振りだと激しい戦闘をしたのは久し振りだったんだろ?

 それに加えてバルツィエの剣技を使いまくってる………。

 奴等の術がバルツィエ以外に使いこなせないのには身体的な技術の他にも多量のマナを消費するところにある。

 

 

 

 坊やは技術を盗んで強くなったからって使いすぎたんだよ。」

 

 

 

「…!?」

 

「前に出過ぎるなって注意したろ…?

 使えるからといって使い馴れない技を使用しすぎるのは体に負担がもろにかかる。

 坊やは丈夫さに自信があるとしても絶対に体力には底があるんだ。」

 

「………ブラム隊長ですらも魔神剣を習得してから長いが一日に撃てる回数は数回だと聞く。

 お前が使っていた飛葉翻歩や陽炎は短期決戦型の技術だ。

 移動用に多用するものではない…。」

 

「俺が………馬鹿だった……。

 …こんなことで……スタミナを……切らすなんて………。」ハァ…ハァ………

 

「自分の長所を生かせる機会だからっつっても浮かれすぎだ。

 個人と個人の戦いじゃないんだぞ?

 アタシらがやっているのは集団戦なんだ。

 一人で突っ走ったところで即効潰れるだろうさ。

 …それでもここまでよく持った方だとは思うが…。」ドドドトドドッ!

 

「…!?

 また来たか…!?

 今度は俺が…!」ガガガガガガガガッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドドドトドドッ………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「擬き!

 平気か…!?」

 

「問題ない……!

 ………とは言いがたいな。

 二撃目で多少の威力は落ちているが後何発もこれを受けきらなければならないとなると…。」

 

「ウインドラ………、

 やっぱり………俺が………!」ハァ…ハァ

 

「そんな状態のお前に任せられるか。

 マナが枯渇しかかっている状態でこんなものを受けたらお前でも危ない。」

 

「そうだぞ坊や。

 マナが無くなったお前は魔術の前ではいわば無防備だ。

 とりあえずオレンジグミでも食って体力の回復に専念しろ。」サッ

 

「……スミマセン………。」パクッ

 

「なぁにお前はここまでよくやったよ。

 後はアタシらが何とかする。

 …擬き、

 坊やが抜けた穴は大きい。

 交渉の為にとっておきたかったとは思うが全滅だけは避けんといかん。

 他の連中にワクチンを全使用して一気にこの海道を突き抜けるぞ。」

 

「…それしかないか。

 俺達が生き残る方法は…。」

 

「!?

 何を言ってるんだ…ウインドラ!!

 それは君達にとって………ッ!!」

 

「生き残る可能性を上げるためだ。

 ダレイオスとの交渉は諦めざるを得ないが身分を隠してダレイオスの隊列に加わることくらいならできるかもしれない。

 今は全員で生き残ることの方が先決だ。」

 

「…俺が………、

 俺に力が………足りないから……。」ハァ…ハァ…

 

「………お前は十分に力を持っているさカオス。

 力が足りないのは俺達の方だ。

 俺達がお前達を守れるほどの力を持たないからこうしてお前が傷ついて倒れることになった………。

 本来ならば騎士になった俺の役割だと言うのに………。」

 

「ウインドラ………。」ハァ…

 

「………ダリントン隊!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワクチンを全て使ってこの海域を突破するぞ!

 全力でこの海道を進むんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーモス海道 深夜 ユーラスサイド

 

 

 

「どうだ?

 奴等もこの挟撃には手も足も出ねぇんじゃねぇか!?」

 

「隊長!

 奴等は更にワクチンを投与し進軍しているようです!」

 

「ハハッ!

 いい傾向だな!

 カオスはどうなってる?」

 

「カオス様は………、

 先程の隊長の攻撃を受けて沈黙しています!」

 

「何だぁ?

 化け物でも疲れが見え始めたかぁ?

 数はどうなってる…?」

 

「依然として一人も死者は出ておらぬようですが進軍速度は落ちてきています!

 この辺りで我々も停まりますか?」

 

「………そうだな。

 魔術の方は俺に任せろ!

 お前らは全員でダレイオスからヴェノムを引き付けてろ!」

 

「了解です!」

 

 

 

「まだこんなもんじゃないぜカオス?

 お前から受けた屈辱はまだまだこんなもんじゃ収まらねぇ!

 もっとだ!

 もっとお前達を苦しめてやる!

 お前が守りたかったもの全てこの俺が踏みにじってやる!

 最後の最後にはお前をこの俺の前で惨めな引き立て役として不様な格好で引きずり回してやるよ!!

 アハハハハハハ!!

 アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーモス海道 深夜 カオスサイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュゥゥゥゥゥ!………………ドゴォン!

 

 

「…?

 ファイヤーボールが急にこちらからダレイオスの方を狙うようになった…?」

 

「奴等め………!

 ヴェノムを更に呼び寄せようとしてやがる!」

 

「!

 となるとこちらへの攻撃は…」ドドドトドド!!

 

 

 

ガガガガガガガガ!!

 

 

 

「バルツィエ一人で十分ということか!!

 このストーンブラストの威力が出せるのは……ユーラス!!

 ユーラスとフェデールの二人で俺達を攻撃するつもりか!?」

 

「……いや、ユーラス一人で攻撃しているようだ。

 魔術の連続使用の低下具合から見て奴一人で間違いない。」

 

「ならフェデールはどこに…!?

 まさかフェデールさえも…この作戦には…!?」

 

「トラクタービームで門を乗り越えたってことはフェデールがいることは確実なんだ。

 今頃あっちの方に隠れてアタシらを観察してるんじゃねぇか?」

 

「………敵が想定よりも少なかったとはいえ敵の懐に行って叩くのは得策ではなさそうだな。

 カオスの力を借りれないのでは俺達に勝ち目はない。」

 

「ヴェノムの群れを抜ける方が安全だなんてどんな状況だよ…。

 ………まさに今そんな状況なんだが………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!

 そろそろワクチンが………切れる…!」

 

「皆さん下がってください!

 タレスと私で後は戦いますから!

 ………ウインドカッター!!」ズバッ!

 

「円閃牙!!」シュンシュンッ!!

 

「アクアエッジ!

 …アローネさん!タレス君!

 大丈夫なの!?

 もうずっと二人がメインで戦ってるけど!?」

 

「私なら大丈夫です!

 カオスがずっと頑張ってくれていたのです!

 私もここで頑張らなければ…!」

 

「ボクだって…!

 マテオの騎士なんかには負けませんよ!」

 

「はりきり過ぎだよ!!

 そんなんじゃ持たないよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…カオス様達が戦っていると言うのに我々にはカオス様達の為にできることが………。」

 

「………できることなら………ある。」

 

「………やるのか。」

 

「今やらなければ我々の恩人が我らと共に海に沈められる……。

 そうならないためにも、

 

 

 ここでこの命散らしていこうじゃないか。」

 

 

 

「…………分かった。

 ならバーナン隊は後ろを引き受ける。

 前方のヴェノムは………。」

 

「任せろダリントン隊が特攻をかける。

 それでカオス様たちの道を切り開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昨日お助けいただいたご恩を今お返しする機会が訪れたようだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」ハァ…ハァ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこんな時に俺は………。

 

 

 

やっと俺でも皆の為にできることが見付かったんじゃないか。

 

 

 

それなのに俺が無駄なマナを使ってしまったせいで………。

 

 

 

俺が………、

 

 

 

俺がもっと回りを見ておけば………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『また…ワシが屠らねばならぬのか………ヴェノム。』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。