テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カオスの仲間達がユーラスに連れていかれてしまい途方に暮れているとそこへレイディーが合流する。
彼女はカオスを取り戻す策があるようだが………。
トリアナス砦 深夜
「ユーラスの立ち回り…?」
「それが………カオスを救うことに必要な情報なのですか…?」
「その情報によってユーラスが手下共と合流する時間が短くなるか長くなるかが予測できそうだ。
この作戦はユーラスの奴が手下と合流した時点で失敗だからな。
アタシは実際のところ坊やが連れていかれたところ辺りからしか見てなかったんだよ。」
「ユーラスの立ち回り………、
って言っても………私とタレス君は………。」
「気を失っていてとくにこれといったことは………。」
「そこはアタシも見ていた。
お前ら二人には期待しちゃいねぇよ。
猿と擬きに聞いてんだよ!」
「………俺は………ミシガンが人質にとられて意識を失っていた………。
ミシガン達と入れ換わりになるな………。」
「「………」」
「…っつー話ならよぉ、
猿、お前だけが終始ユーラスの動向を見ていたことになるな?」
「…はい。」
「…ならお前の見ていた光景を思い出して答えな。
ユーラスの野郎は………、
お前が見ていた中で坊やをどの程度痛め付けていた………?」
「カオスを………ですか?」
「あぁ、
どのくらい弱らせてから連れていかれたんだ?
あの坊やは。」
「(それが………一体なんだと言うんだ?
その情報を知って何故手下と合流する時間が変化する…?)」
「………私が見ていた中では………、
カオスの剣撃を押し返した以外では一度も………、
ユーラスは危害を加えてはいませんでした………。」
「………そうかよ。
よしだったら猿!ゴリラ!
まだ時間はある!
擬きを全力で治療魔術で治した後お前ら自身とアタシにも治療魔術をかけろ!」
「え!?
はっはい!」パァァ!
「わっ、分かったわ!
ウインドラ!
すぐ治すからね!」パァァ!
「後お前らオレンジグミ持ってるか?」
「グミならボクが持ってますが…?」
「この中で氷系使える奴は!?」
「私が使えます!」パァァ
「ならガキ!
猿に多くグミを分配しろ!
その次にアタシで擬き、ゴリラ、お前の順にだ!」
「はっ、はい!」
「私はまだいけますから他の三人にグミを回しても…。」パァァ
「お前には一番頑張ってもらわなきゃ困るんだよ。
今回の坊や奪還はお前が要だ。
遠慮してる余裕なんざねぇぞ。
坊やを助けたいんだろ?」
「………はい!」
「…レイディーさん。」
「何だよガキ?」
「レイディーさんも………カオスさん救出に向かってくれるんですか?」
「…話の流れでそう聞こえなかったか?
アタシはそう言っていたと思ったんだが…?」
「………協力してくれるのは嬉しいですけど…、
レイディーさんもまた危険を伴うんですよ?
それなのにどうして…?」
「…アタシにも坊やを助け出すことがメリットになるからだよ。」
「レイディーさんがカオスさんを救うことにメリットが…?」
「そうだな…。
今は………、
バルツィエの歴史に人類で初めて黒星をつけられる程度しかねぇがな……。(それだけでも偉大な快挙だが…)
もしかしたら坊やは………、
このバルツィエとヴェノムに自由にされた世界を引っくり返す………、
そんな可能性を感じるんだ………。」
「カオスさんが世界を………。」
「…今はまだ危なっかしくて一人で突っ走るし若すぎて自分の思考にエゴが見栄隠れするがな。
それでも………、
坊やには何かを感じずにはいられない………。
そんなアイツだから手を貸したくなるのかもな……。」
「……私も………同じです。」
「アローネさん…?」
「…お前もアタシと同じこと感じてんのか?」
「………私は………、
………カオスのような方が努力で自らの運命を大きく切り開いたのを見てきました………。
カオスはその方と似ているのです………。
……ですからカオスなら………、
カオスなら………、
何か………この世界を良い方向へと変えてくれると信じてみたいのです……。
この世界が………ヴェノムに支配されたこの世界がかつて存在したアインスの時代の繰り返しにならないような世界へと………。」
「………そうだな。
そうだといいな………。」
シーモス海道 深夜
「………」ザッザッ
「………」ザッザッ
「………」ザッザッ
「………」ザッザッ
「………」ザッザッ
「………おい。」
「………何だよ?」
「………」
「………何もないなら話しかけるなよ。
この道長いんだから歩いて帰ってると夜が明けるぞ?」
「………それなんだがよぉ…。
……失敗したなぁ………。」
「?
何を失敗したんだよ…?
俺を連れて行くことが任務だったんじゃないのか?
「そうなんだが………、
………馬で来ときゃなぁ……。
お前を引きずってでもさっさと帰れたのになぁ………。」
「…お前が走って来るのが悪いんだろ。
馬で来れば俺を楽に連れて帰れたんじゃないのか?」
「馬なんかよりも俺達は早く走れるだろうが。
そのことはお前でも分かってんだろ?」
「………あぁ。」
「…早く帰るにはどうしたらいいと思う?」
「…この手錠を外してくれれば俺とお前の飛葉翻歩で馬のところまで早いんじゃないのか?」
「手錠の鍵は持ってないって言ったろうが。
それに手錠外したらお前が逃げるかも知れねぇ。
馬鹿なことは考えるな。」
「…逃げたりなんかしないよ。
ここからならお前が皆を殺しに行ける距離だからな。」
「俺をアイツらから引き離してからお前はアイツらに合流しようってのか?
俺の監視の目を掻い潜れる自信があんのか?」
「………」
「…なんか隠してんなお前?
ワクチンをすんなり渡してきたところを見るとまだ他にもワクチンが「ないよ。」………何が無いんだ。」
「両方ともだよ。」
「両方?」
「………」
「…なぁ、
話は聞いていたんだが何について両方っつったのか分からなかったなぁ?
何の両方が無いんだ?」
「…この状況から逃げ出す方法と………、
皆に合流する気が無いんだ。」
「………そりゃまたどうしてだ?
…後日俺達から逃げ出してからダレイオスのどっかで合流する場所でも決めていてそこで落ち合うから今は合流する必要がないってことか?」
「ダレイオスは俺も皆もよく知らないんだ。
街の名前を言われても俺一人じゃ分からない。
ずっと地図を調べていてくれたのは他の仲間だったからね。」
「それを信じろってのか?
地理情報なんて分かるか分からないかなんて調べられねぇだろうが。」
「それもそうだね。
だったら俺が逃げ出さないように手錠だけじゃなく二十四時間監視をつけて尚且つ日の当たらない独房にでも詰め込んどけばいいさ。」
「………自棄に自分を追い込むような提案をするじゃねぇか?
そんくらいのことはするつもりだったがどうしてそれを自分から言い出すんだ?
俺達がお前をどういう扱いするか気になってんのか?」
「…興味ないな。」
「興味ないってお前……。
偉くあっさりと受け入れてんだな。
普通の奴だったら俺達に捕まれば手首切り落としてでも逃げ出そうとするようなもんだと思うがな。」
「………そんな人がいるんだな。」
「いたっちゃいたな。
その後はすぐに捕まって今度は足を繋がれて終わったが。」
「お前達相手に無駄なことをする人がいたもんだね。
…そういう抜け出し方があるなら剣は持ってない方がいいよな?
ほら。」
「………どうしたんだお前?
諦め方が尋常じゃねぇぞ?
潔すぎて気味が悪いぜ。」
「気味が悪くてもいいさ。
俺は………、
結局何もできなかった化け物なんだから。」