テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスは十年前の事件から村を一人守り続けていた。

 森でヴェノムを発見し撃退するがそこで謎のマナを放つ女性を見つける。


アローネ

ミストの森

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おっと見惚れてる場合じゃない。

 

 ヴェノムを倒したとはいえ安全とはいえここに長居するのは得策じゃない。

 

「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

 

「……スゥ」

 

 いくら揺さぶってみても起きる気配がない。

 

 気絶してるのか寝ているだけなのか判別がつかないが彼女に自分で移動してもらうことは期待できなさそうだ。

 

「旧ミストに運ぶか…。」

 

 棺の中で眠る女の人を背負い亀車を出る。

 

「……スゥ」

 

「……」

 

 こうして直接触れてみたら分かる。

 

 服の上からでも伝わってくる女の人特有の香りとむ……ではなく、

 

 先程感じた不思議なマナはこの女の人から感じる。

 

 何者なんだ。

 

 風貌からして普通の人じゃない。

 

 質のいいポンチョからしてどこかのお嬢様とかそういった類いの出生だろう。

 

 そんな人が何をしにこんな森奥に?

 

 ミシガンの話からして騎士団関係者なら分かる。

 

 近々ミストに騎士団が在住するからそういう理由でミストに向かっていたという可能性も。

 

 だが騎士団だったらもっと纏まって来るのではないのか。

 

 倒したヴェノムとゾンビからしても人数は精々6人程度。

 

 そんな少人数で行動するだろうか。

 

 昔、本の少しだけ知り合った騎士のクレベストンは一人でいたのでもしかしたら騎士団自体が小数で行動するのかもしれないと思ったが違うだろうな。

 

 第一ヴェノムに対抗できてない状況からしてその線はない。

 

 

 

「……」

 

 考えても分からない。

 

 見聞がミスト以外にないため自分の知識だけじゃ判断材料が少なすぎる。

 

 ただの物見遊山の可能性もあるがそれは彼女が起きてから聞くことにしよう。

 

 この不思議なマナも他の村や街では珍しくないのかもしれない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捨てられた村旧ミスト

 

 

 

 考え事をしているうちに村に付いたので一番綺麗に整ってる家のベッドに寝かせる。

 

「こういう時のためにこまめに掃除しておいてよかったな。」

 

 村には自分一人しかいないが長く住めるように十年前から各家々を大掃除してきた。

 

 流石に古くなりすぎて崩れた家もあるが幸い木材には困らない環境で拙いながらも雨風を凌げる程度の補強は出来ている。

 

 おかげで裁縫や建築技術には自信がある。

 

 仮にこの女の人が本当にお嬢様だった場合このようなところに連れてきてもよかったのか心配にはなる。

 

 起きた瞬間に汚い!とでも言われてしまうかもしれない。

 

 そうなったらどうすればいいだろうか。

 

 ……安全を考えて連れてきたはいいがこのあとこの人をどうするのかも考えないと。

 

 僕はこの村から動くわけにもいかない。

 

 なら必然的にミストの人を頼ることになるのだが。

 

「そのうちミシガンがまた様子を見に来るだろうからその時にあっちの村で預かってもらおう。」

 

 あちらの村ならそのうち騎士団が来る。

 

 そうなってから事情を話してこの人を家まで送ってもらえる筈だ。

 

 考えがまとまったら後は彼女が起きるのを待つだけだな。

 

 そのうち目を覚ますだろう。

 

 今のうちに食事と風呂を済ませないとな。

 

 今日も技の練習で疲れたから汗で服が…。

 

 

 

 …こんな汗かいた体で背負っちゃったけど大丈夫かな?

 

 もし僕の汗とか移ってたら…

 

 意識を取り戻したら素直に謝ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………さい」

 

 

 

 ……?

 

 

 

「……ください」

 

 

 

 ……何だ知らない声?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きてください!」

 

 

 

「!?」

 

 誰かの声で眠りから覚めた。

 

 こんな廃れた村に来るのはミシガンくらいしかいない。

 

 だが声からしてミシガンではない人物だ。

 

 誰だ!?

 

 驚いてベッドから跳ね起きる。

 

「目が覚めましたか?」

 

 そこにいたのは昨日森の中で亀車から運んできた女の人だった。

 

 そういえば別室で寝かせていたのを思い出す。

 

「あっ、とっ、気が付いたんですね!」

 

 驚きすぎて変な飛び起きかたをしてしまったが彼女は動じることなく、

 

「貴方は…どちら様でしょうか?」

 

 当然の質問をしてくる。

 

「僕はカオス=バルツィエ。一応猟師だとは思います。」

 

「りょうし?」

 

「そうですね。この近くに森があってそこでモンスターを倒して生計を立ててます。」

 

「モンスターを…?、盗賊の類いではないんですね。」

 

「盗賊では……ないと思います。」

 

 いきなり失礼な人だな。

 

「それで何故私はここに…?」

 

「昨日森の中で襲われているのを発見して連れてきました。他の人達はそのときに…」

 

「………」

 

「……?」

 

「………」

 

 何だろう。

 

 反応が薄いというか状況が分からないとかそんな感じに見える。

 

「他の人達とはどのような方々でしたか?」

 

 ようやく口を開いたと思ったらゾンビ化した昨日の人達のことを聞いてくる。

 

 ん?

 

「どのようなって…どこかの村の人だとは思いますけど…。」

 

 何故そんなことを聞いてくる?

 

 一緒にいたのはこの人の筈なのに。

 

 

 

 まさか…

 

「もしかして誘拐されている途中だったとかですか?」

 

 そう考えると昨日何故この人が棺に入っていたかも納得がいく。

 

 都会では誘拐だの身代金だのが頻繁にあると昔おじいちゃんが言っていた。

 

 この人も何かしら事件に巻き込まれて棺に隠されて連れ去られていたところだったのかもしれない。

 

「………」

 

 女の人は何やら考え込んでいる。

 

「……あのぅ。」

 

「……はい?」

 

「お名前お聞きしてもいいですか?」

 

「名前?」

 

 先程名前を訊かれたがあちらからはまだ名乗ってもらっていない。

 

「………」

 

 また沈黙。

 

 ここまで考え込むのが多いと記憶喪失なのではないかと疑う。

 

「……貴方は盗賊の方ではないようですね。ここには他のお仲間の方もいないようですし。」

 

 まだそこ疑ってたのか。

 

 誘拐されてたかもな訳だし仕方無いのか。

 

「私は………アローネと言います。」

 

「アローネさんですね。アローネさんはどちらにお住まいなんですか?」

 

「私は………王都です。」

 

 やはり都会、それも王都か。

 

 ミストでも見ない綺麗な服を着てるからあちらでのファッションというやつなのだろう。

 

「カオスさん?」

 

「あいえ何でもありません!」

 

 あまり女性をジロジロ見るものではないな。

 

 不審者と間違われてしまう。

 

「アローネさん、僕自身は仕事で王都まではお送りできないんですけど、代わりに僕の知り合いの村がこの近くにあってそこでなら安全に王都に帰れるかもしれませんよ?」

 

「知り合いの村ですか?」

 

「はい!そこの村に近々王都から騎士団が派遣されてくるらしいので少し時間はかかると思うんですけど騎士団が到着次第アローネさんの事情を話して送ってもらえると思います。」

 

 本当に出来るかは分からない。

 

 騎士については実際に見たことがあるのはおじいちゃんとクレベストンさんくらいしかいない。

 

 その二人の印象で騎士なら任せられるとは思うのだが。

 

「有り難うございます、カオスさん。」

 

「気にしないでください。人として当然のことですよ。では昼頃にでも行きますか?」

 

「はいお願いしますね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼になって僕はアローネさんとミストに向かうために森を歩いていた。

 

「……フゥ。」

 

「大丈夫ですか?村までもう少しありますし休憩にします?」

 

「……すみません。」

 

 アローネさんの調子が悪いためここらで休むことにする。

 

「カオスさん少しよろしいでしょうか?」

 

「何です?」

 

「今から向かう村はどのようなところなのですか?」

 

 そんなことを聞いてくるアローネさん。知らないところに連れてかれるんで緊張してるのだろうか。

 

「人口は100人前後の村でみんな農業で生活していますよ。」

 

「へぇ~農業…。」

 

「今日はそこの村の村長にアローネさんをお願いしようと思ってます。そこにはアローネさんと同じくらいの女の子もいるので安心かと。」

 

「……。」

 

「他にも村には何人か若い人達もいてみんな畑仕事したり服や農機具とか作ったりでチームワークの取れた仲の良い人達なんで心配しなくていいですよ。」

 

「……。」

 

「あとは村長の家の裏「カオスさん。」」

 

 

 

「カオスさんはさっきいた村でお一人で住んでるんですか?」

 

「!」

 

「今朝カオスさんを起こす前にあの村を少し見て回ったんです。あの村は本当は廃村なんじゃないですか?」

 

「……そうですね。」

 

 疑問に思うのも当然か。

 

「ですから最初カオスさんのことを廃村を根城にする盗賊だと思いました。」

 

 なるほど、やけに盗賊を推すなとは思ったがあの村に住むとそういう風に捉えられることもあるのか。

 

「今日話してみてそんなことはないとは思いました。カオスさんにも話せない事があるんですよね。」

 

「……」

 

「今は聞きませんが私がいる間にその辺りお話しできたらと思います。短い時間ですけどカオスさんは私にとって恩人ですから。」

 

 恩人か…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕はそんな大層な人間じゃないのに。

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