テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ユーラスがカオスに怒りをぶつけているうちにカオスの仲間達はカオス解放のための鍵を探す。
果たして見つけ出すことなどできるのであろうか………
シーモス海道 深夜
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「………静かすぎるな。」
「静かですか…?
向こうでカオスさんがユーラスに攻撃をされていますが…。」
「そっちの話ではないだろう。
レイディー殿が言っているのはユーラスの部下達の方だろう。」
「………確かに一部隊だけとはいえここまで何の話し声も聞こえないのは変ですが………。」
「命令に忠実に従ってるなんて騎士団ってそこまできっちりしてるんだね?」
「いえ…、
百人近くいる部隊がこうも静かなのは流石におかしいですよ。
何か………、
良からぬことを企んでいるのでは………?」
「…アタシらが近付いてきてることがバレていて辺りを探っているのか…?」
「それだったらユーラスもボク達に気付いて攻撃を仕掛けてくるんじゃないですか?」
「今のところユーラスにはその様子は見られないが…。」
「また罠を仕掛けてるかもしれねぇが、
もう少し近寄ってみる必要があるな…。」
「えぇ…。」
ズドドドドドドドッ!!
「もう声をあげる気力もねぇのか!
一昨日の奴とは思えないぐらい脆いなぁ!!
ハッハー!!」
「…よく………言うよ。
………こんな………道具で………、
抑制している相手を………痛め付けて………
……楽しいの…?」
「楽しいかって…?
楽しいからやってんだが?」
「そういう………奴等だったな………。
………俺には分からないな………。」
「お前に理解なんか求めちゃいないからそのままぶっ飛んでろ。
このクソッタレが。」パァァッ
ズドドドドドドドッ!!
「ブルルッ………」
「………話し声すら聞こえないと思ったらこういうことか…。」
「感染………している…?
でもどうして…?
ワクチンは持ってきてるって………?」
「元々俺達を殲滅するのが主の作戦だったからな。
ワクチンを十分には持ってきてなかったんだろう…。
それに馬に対してはワクチンは射たないから馬から感染して暴れだされたら疲労の溜まった部隊では収めることは難しい…。」
「足にしていた馬がヴェノムに感染し部隊を壊滅まで追いやったのでしょう…。
これは………私達にとっては幸運と捉えるべきなのでしょうか…?」
「幸運っちゃ幸運だな。
知能が欠けた分、
接近するのが容易だ。
ゴリラと擬き、
ワクチン分けてやるからこのヴェノム達を葬ってやれ。
魔術は無しでな。」
「……何だか………、
敵ながら同情しますね…。
この方々や馬達も私達のせいでこのような死を迎えてしまったのでしたら…。」
「…今は生きている奴を優先しろ。
こいつらはもう屍だ。
ゾンビになっちまったんなら火葬してやった方が報われるってもんだ。」
「それもそうでしょうが………。」
「坊や………、
助けたいんだろ?
今は坊やのことだけ考えてればいい。
敵の骸なんかにかけてやる情けは要らねぇ…。」
「………そうですね。
では………私が火葬します…。
ファイヤーボール!!」ボシュッ!!
「……ん?
何やってんだあいつら…?」
「………」ボロッ…
「……なんか俺の隊の奴等が騒いでんな…。
ヴェノムの掃除がまだ終わらねぇのか…?」
「…気になるんなら………見てくればいいじゃん………。」
「そんなこと言って俺の教育から逃げようったってそうはいかねぇぞ?
お前にはまだまだたっぷりとお礼参りし足りねぇんだからよ。」
「…もう目的が…………変わってるじゃないか…。」
「変わっちゃいねぇぜ?
この任務を引き受けた当初はこれが目的だったんだからな。
それをお前が勝手に勘違いしただけだ。」
「………任務って言うか………、
完全に私怨………だよね………?」
「そらぁお前よぉ?
俺が怨むだけのことはしたよなぁ?
俺をゴミ共の前で喜劇の笑い者にしたよなぁ?
………この俺を………、
この俺をお前のシナリオの引き立て役に宛がったよなぁ!!?」ザンッッ!!
「………ない。」
「…こっちもだ………。」
「………私の方もありません……。」
「………」
「そいつで最後か………。
ここまで探して鍵が無いとなると……。」
「「「「…………」」」」
「…ユーラスが持ってるだろうな…。
あいつは部下にすら信用を置いてなかったってことか…。
よくよく考えたら部下の中に自分を狙ってくる奴がいるかも知れねぇからな。
鍵と手錠はセットで持ち歩くか…。」
「…鍵がなくてはカオスを解放してあげられない………。」
「どうするのレイディー…?」
「鍵が無いんじゃどうしようもねぇだろ。
ユーラスから奪う………のは無理だ。
奪う前に殺される。
なら手錠のことは忘れて坊やを奪い返して逃げた後で手錠を破壊すりゃいい。」
「それならカオスを早く救出しに行こう。
時間をかけすぎるとカオスの体力が持たない…。」
「先程の様子ですと……カオスももう限界が近いでしょう…。
救助に成功しましたらすぐにでもファーストエイドで回復しましょう。」
「第一目標の追っ手の部隊は全滅させた………。
正確には全滅していただが………。」
「…では隠れますか?
後ろにいる筈のボク達がユーラスの前にいて壊滅した自分の部隊を目撃したとなると敵認証されるのは免れませんよ。」
「うぇ?
隠れる?
隠れるってどこに隠れるの?」
「海の中は………ないな。
衣服を着たままでは水を吸って余計に逃亡の妨げになりかねん。」
「周りにあるのは………何もありせんね………。」
「何もないってことはねぇだろ?
よく見渡してみな。
隠れるのにうってつけの物が転がってるじゃねぇか。」
「…やはりそういうことでしたか…。」
「この死体の中に身を潜ませるのですね…。
でも…。」
「…あんまり血とかつくのは勘弁だけど…、
この人達ってさっきまでヴェノムに感染してたんだよね?
レイディーワクチンの効果もう切れてるんじゃないの?」
「お前らに渡したワクチンで機能停止させることには成功したようだがワクチンでも完全にヴェノムウイルスを除去することは難しいだろうな。
アタシが一緒に隠れてもアタシだけ感染しちまう。
ワクチンもあまり使いたくねぇし…。
ここはアタシだけユーラスからギリギリ見えない辺りに海の上まで離れとくことにするか…。」
「ではレイディー殿…。
ここからの作戦は俺達が隠れてカオスが来るのを待ち、カオスが近くまで来た瞬間にカオスと一緒に海へと逃げるということで間違いないな?」
「あぁ。
それで問題ねぇよ。
ただし役割は各員適格にこなせ。
ゴリラは坊やの瞬時に坊やの確保、
擬きはユーラスの攻撃をガード、
ガキは中距離からサポートだ。
そしてアタシが海面に氷を張り擬き達が氷面に飛び移ったら即時猿が氷を溶かして追い討ちされないようにしてくれ。
ついでに言やぁ猿はユーラスと対峙して魔術の相殺も頼めるか?」
「…はい。」
「ポジション的に言えば魔術を使用するお前が一番失敗率が高い。
他の三人は身一つで即時動けるがお前だけはどうしても発動に時間がかかる。
バルツィエの魔術の相殺だけでも一苦労するぞ。
相殺するときは必ず詠唱も込みで使用しろ。」
「分かっています……。
私が地属性を相殺するのにもっとも適した属性……、
風属性の使い手ですから…。」
「危険な役だが他の奴等にそれを任せちまうと相殺できずに奴の魔術に飲まれちまう。
魔術の衝突は相反する属性でない場合力比べになるからお前以外にはこの役は無理なんだよ。
……救うのは坊やだけだがその間はこいつら三人の命もお前に預けることになる。」
「心得ています。
私がカオスと三人を守って見せます!」
「気合い入ってるな。
そんなに坊やの役に立つのが嬉しいのかねぇ…。
……フフッ、
頼りにしてるぜ…?
アローネ。」