テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスは森で訓練中、不思議なマナを放つアローネを見つける。

 翌朝になって簡単な紹介を済ませた二人はアローネを元の住んでいた王都にかえすべく森を歩く。


貴族の娘

秘境の村ミスト 入り口

 

 

 

「ここがミストです。」

 

「ここが…」

 

 あれからしばらく森を進みアローネさんを無事ミストまで案内出来た。

 

「この村の一番奥の家が村長の家でそこに向かってもらえますか?」

 

「…はい。カオスさんは?」

 

「僕は……この村へは入れないんです。」

 

「…。」

 

「昔いろいろありまして………すみません!」

 

 とりあえず村の入口の見張りに声をかける。

 

「……お前がこの村に何のようだ?」

 

「森でこの女の人がモンスターに襲われていたんですけど帰り方が分からないということなので騎士団の方に保護してもらいたくて。」

 

「騎士団はまだ当分来ないぞ。」

 

「分かってますよ。それまで村長のところにでもお世話になれないか話を通してもらえますか?」

 

「待て、森でモンスターと言ったな。ヴェノムはいなかったのか?」

 

「…ヴェノムは僕が倒したんで大丈夫です。」

 

「本当か?感染してる疑いのあるものを村に入れることは出来んぞ。」

 

「彼女は感染していません!昨日保護して連れてきたんでヴェノムだったら今頃スライム状になっている筈です!」

 

「信用できんな。お前のような化け物が連れてきたというなら尚更だ。」

 

「それは関係ないじゃないですか!」

 

「帰れ。いちいち我々の手を煩わすんじゃない。また村を滅ぼしたくないからな。」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみませんアローネさん……こんなとこまでついてきてもらったのにこんなことになって。結局無駄足を踏ませてしまいました。」

 

「お気になさらないでください。カオスさんは私のために手を尽くしてもらっている立場ですので文句なんてありませんよ。それに事情を知らないとはいえカオスさんには辛い想いをさせてしまったようで私の方こそ謝らないといけません。」

 

「僕は大丈夫ですよ。さっきのことは自分の身から出た錆ですから。」

 

「…すみません。」

 

「いいですって、けどどうしましょう…。こっちの村がダメとなると最悪あっちの村で騎士団が来るまで生活してもらうしかないんですけど…。」

 

「私はそれで構いませんよ?」

 

「いいんですか?」

 

「私を助けてくれたのはカオスさんですから、カオスさんとなら安心できます。」

 

「そう言っていただけると有り難いです。」

 

「それでは戻りましょうか。」

 

「えぇ。」

 

 僕達は来た森を引き返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミストの森

 

 

 

「そういえば先程門番の方と話していたとき…」

 

「はい?」

 

「ヴェノム……と仰っていましたが、この森にも現れるのですか?」

 

 森の中を歩いてるとアローネさんがそんなことを訊いてきた。

 

「そうですね、ヴェノムが出現してもう十年くらいになります。それまではいなかったんですけど。」

 

「十年…。」

 

「どうかなさいましたか?」

 

「それにしてはこの森は穏やかですね。」

 

「といいますと?」

 

「ヴェノムは多くの生物に寄生し体を乗っ取り変化するものと聞いています。それが人、モンスター、植物でさえも…。」

 

「え?植物にも感染するんですか?」

 

「私がいたところではそうお伺いしておりました。」

 

「そうなんですか。けどずっとこの森を見てきたんですけどこの森ではそんなヴェノムは見ませんでしたよ?」

 

「それを不思議に思います。」

 

「多分優先順位みたいなものでもあるんでしょうね。ヴェノムにも。人やモンスターを狩り尽くしてから最後に植物にって。」

 

「……」

 

「しっかし、アローネさんもご存知と言うことはやはりヴェノムはいろんな場所に出現するんですね。十年前を思い出すと納得しますけど、あんな生物いたら世界があっという間にヴェノムで多い尽くされて滅びちゃうんじゃないかと心配になりますよ。」

 

「………その通りの筈なんです。」

 

「え?」

 

「王都は……一度ヴェノムの侵攻によって滅びかけたことがあります。王都だけじゃなくたくさんあった村や街、大勢の人々がヴェノムによって亡くなりました。」

 

「そんなことが……」

 

「えぇ、突如発生したヴェノムには王国はなすすべもなく蹂躙され生き残った人達もなんとか逃げ出そうとしましたがヴェノムはどこまでも追ってくる…。」

 

「……」

 

「だから世界がこうしてまだ人の世界を保ち続けていること、それが不思議でなりません。それまで存在した生態系を大きく塗り替えるモンスター…。物理的な力も魔術的な力も受け付けない無敵の悪魔。増えるだけ増えて飢餓によってしか死滅しないあの悪魔達が何を考えて動いているのか…。」

 

「……」

 

「……すみませんカオスさん。何だが愚痴みたいになりましたね。ヴェノムのことになるとついつい感情的になってしまって。」

 

「いえ、アローネさんにもいろいろ悲しいことがあったんだと思います。経緯はよく分かりませんがヴェノムに対して感じるものは同じだと思います。僕もそうですから。」

 

「カオスさん…。」

 

「…ちなみにアローネさんってどこか有名な豪商の娘さんとかだったりします?」

 

「何故それをお聞きに?」

 

「物腰というか雰囲気というかそういったものが他の人達と違うなぁと思いまして。昔あったことのある騎士の方のような礼儀ただしさを持ち合わせているそんな感じがします。」

 

「……」

 

「あ!?不味いことなら言わないで結構ですよ?誘拐されていたってことは多分そうなんでしょうけど、王都のことはそんなに訊いてもよく分からないので!」

 

「………カオスさんには話しておきましょう。これからお世話になるのですし。」

 

「え!?いいんですか?大丈夫ですよ?」

 

「私を助けてくれた恩人に隠し事はしたくありませんから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はアローネ=リム・クラウディア。王都で貴族クラウディア家の次女に生まれました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きっ、貴族様なんですか!?アローネさん!」

 

 想像以上に偉い人なのかもしれません。

 

「はい。黙っていて申し訳ありません。家柄か昔からよく誘拐等は日常茶飯事でして、始めカオスさんにお会いしたときも身分を明かせばそこから第二の被害にあうことを危ぶんでおりました。」

 

 確かにそんな人ならそういった危険性もあるのかもしれない。やはりよく分からないのだけど。

 

「でっ、ではアローネさん!いやアローネ様は一刻も早く王都にお返しした方がよいのでございますか!?」

 

「そう固くならないでください。私に対しては先程のように……いえ先程よりも近しいくらいでいいですよ?」

 

「そんな訳には…!」

 

「カオスさん………カオスさんは私の恩人なんですよ?カオスさんがいなかったらどうなっていたか検討もつきません。」

 

「そんな大したことしてませんよ!」

 

「それでもです。私は善くしてくれた方に上下関係を作りたくないです。」

 

「……ではアローネ…さんで。」

 

「アローネと呼び捨てにしてもらってもいいですよ?」

 

「それはハードルが高いと思います。」

 

「アローネ。」

 

「うっ…。」

 

「アローネ。」

 

「あっ…。」

 

「あ?」

 

「アローネ…。」

 

「パチパチ」

 

「(///)」

 

「よく言えましたね。誉めてあげます。」

 

「は、はぁ……ではこちらもカオスでいいですよ… 。」

 

「そうさせていただきますね。ではカオス。」

 

「どうしましたアローネ。」

 

「フフッ。」

 

 名前を呼びあうだけなのにアローネさん……アローネは笑っている。

 

 

 

 なんだろう、この感じは…。

 

 この心の暖かくなるような感覚は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうか…、久しく忘れていた。

 

 昔この暖かさを感じたことがある。

 

 昔ウインドラと始めて友達になったとき感じたぬくもりだ。

 

 魔力欠損症で障りものを扱うような目で見られて孤独を感じていたとき、ウインドラが手を差し伸べてくれた。

 

 そのときもこんな暖かさを感じていた。

 

 魔術不安定な僕でも優しくしてくれた。

 

 何も出来ない僕を友達といってくれた。

 

 彼がいたから僕は僕を支えてこれたんだ。

 

 彼がいなかったら僕はなにも出来ずに凍んでいただろう。

 

 

 いつかウインドラはミストに戻ってくるかもしれない。

 

 そのときまで僕は彼の戻れる家を守らないといけない。

 

 ラコースさんもおじいちゃんももういないけどウインドラだけは絶対に守りたいから。

 

 今度こそ失っちゃいけないから。

 

 ウインドラは僕の恩人だから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオス?」

 

「!」

 

 呼び掛けられて気がつく。

 

 どうやら昔を思い出してぼーっとしていたようだ。

 

「カオス?涙が…。」

 

「…!何でもないですよ!ちょっと昔のことを思い出してただけで!」

 

「……何か悲しいことでも思い出させてしまいましたか?」

 

「いえその逆です。こうして友達みたいな感じで名前を呼び会うことが本当に久々で…、って言っても昔もそんなに多くはないんですけどね。」

 

「そうなのですか?」

 

「はい!アローネで三人目です!」

 

「三人目…ですか。」

 

「すみません!自虐的に聞こえるかもなんですがボクにとっては記録をできて嬉しいんです!」

 

「そうなんですね、お役に立てて何よりです。」

 

 朗らかに微笑むアローネ。

 

 ミシガンとは違ったタイプの女性だ。

 

「実はですね。私にとっては初めてなんですよ。」

 

「そうなんですか?アローネ程の人なら人気ものになれると思うんですけど…。」

 

「貴族というものは何よりも家柄と階級を気にしますからね。私の家は王家に最も近しい家で、クラウディアの周りにはそれにあやかろうとすり寄ってくる家の人達ばかりでした。」

 

「……。」

 

「そんな人達しかいない世界にいたので友達という関係は私にとって私を利用しようとする人達の常套句のようなものだと思っていました。」

 

「アローネも随分と独りの時代を生きて来たんですね。」

 

「そうかもしれませんね。けど全然寂しくはなかったんですよ?私には兄と姉がいましたから。寂しいときには二人に構ってもらっていたんで。」

 

「お兄さんとお姉さんがいらっしゃるんですね。そういえばさっきクラウディア家の次女と言ってたし、三人兄弟なんですか?」

 

「いえ、姉が一人で兄は姉の夫でしたから義理の兄になりますね。大変仲も良かったので娘もいたんですよ?」

 

「アローネはその義兄さんとお姉さんと娘さんが大好きなんですね。」

 

「はい。三人とも大好きでした!」

 

 …でした?

 

「そのお義兄さんも貴族の方なんですか?」

 

「義兄は……臣民の出身です。」

 

「臣民?普通の平民と言うことですか?」

 

「大まかに言えばそうなるんですけど、義兄の場合は最も低い地位になります。

 

 

 

 義兄はハーフエルフでしたから。」

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