テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ユーラスに貫かれて致命傷を負ったカオスだったがレイディーの窮地に立ち上がり彼女やアローネ達を瞬時に回復させる。
そしてカオスはユーラスに引き分けを言い渡すが………。
シーモス海道 深夜
「引き分けで幕………だぁ?」
「そうだ………。」
「………どうしてそうなる?
俺はまだ殺れるぜ?」
「お前が追っていたウインドラの部隊は壊滅した。
残っているのは部隊に関係のない俺達だけ。
俺達はお前らに積極的に攻撃する意思はない。
これ以上戦っても意味がない。
だからだ。
………お前はこの戦いを止めてさっさと帰れ。」
「意味ならあるだろうが。
俺はそこのお前の偽物とムーアヘッドを殺してお前を連れ帰らなきゃならねぇ。
………まだ俺の目的は果たされてねぇんだよ。
分かるか?」
「「………」」
「お前は二人を殺さない…。」
「そりゃ何でだ?」
「お前が何度二人を傷つけようとも俺が二人を治す。
………二人だけじゃない。
アローネもミシガンもタレスもだ。
お前には一人も殺させない。
お前は………、
ここにいる誰一人殺すことができない。」
「………」
「ここから先はその繰り返しになる。
そうなるとお前は無駄にマナを磨り減らしていくだけだ。
そうなったら俺はお前を「なるほどそういう作戦か!」………。」
「お前の言う通り事が運べば夜通しでお前らを追い掛けてた俺もそろそろしんどいぜ?
持久戦ともなれば俺の方が不利に見える………。
逆に言えばそれはお前らにとっては有利な状況ってことだよな?
それなのにどうしてそんな提案をしてくる?
このままやれば俺はジリ貧になって負けちまうんだろう?
何故勝利を掴もうとしない?」
「…俺は自分から人を殺すようなこともウインドラ達に人を殺させるようなこともさせたくないだけだ………。
お前に勝つってことはお前が死ぬってことになるからだよ。」
「お優しい上からの目線発言に歓喜極まりないぜ!
けどそいつは俺の耳には『さっきの治癒術でもうマナが残り少ないからハッタリで何とかこの場を凌ごう』って聞こえてくんだがよぉ?」
「………」
「実際のところあんな強力な術を何人にも掛けてたらマナも足りなくなってくるだろ?
その証拠にお前は自分の手をほったらかしに「ファーストエイド。」………!?」パァァ…
「………アローネ達を回復させる一心で忘れていたよ。
自分の怪我のことを………。
それで?
何だって………?」
「………流石にもう驚かねぇよ。
それ以上の傷を治したばっかだからな………。
…だがマナが残り少ないってのは確かだろ?
今お前からはマナをあまり感じねぇ!
手を治したのも余裕を見せつけて俺をビビらせて帰らせようってんだろ!?
その手には乗らねぇぜ!!」
「………ここまで来るとただの意地だな。」
「ここで引き返すとユーラスはカオスさんに二度も屈したことになりますからねぇ………。」
「何でかなぁ…。
気絶する前までは怖い人に思えてたんだけど………。」
「…お前らよくそんなふうな構えてられるなぁ…。
あいつの言う通りだったらアタシらはこの後あいつに八つ裂きにされるんだぜ?」
「………そんなことにはなりませんよ………。」
「何でだよ?
あながちユーラスの言う線も有り得る話だぞ?」
「そんなことにはなりません………。
カオスがあのように仰る時は………、
相手に勝つ算段がついた時です。」
「どうしても帰らないって言うんだな…?」
「当たり前だ!
勝てそうな勝負を捨てるほど欲は浅かねぇぞ!
お前が何度回復しようとも俺がまたお前らの四肢を斬り落とすだけだ!!
衝破ッ!一文字!!」シュッ!!
バキィィンッ!!
「………なっ…!?」
「これでもか………?」
「新調した俺のオレイカルコスが……!?」
「やっぱりお前も疲れてるんだよ。
レサリナスで戦ってた時のお前よりスピードが落ちてる………。
こんなんじゃ俺には勝てない………。」
「何なんだ………!
どうして今お前にそれほどの力が残ってるんだ!?
さっきまでは確かにお前は俺の魔術すら跳ね返せない程に弱っていた筈なのに!!?」
「さっきまでの俺と一緒にしないほうがいい。
今の俺は………、
今までで一番強い俺だから………。」
「何でだ!!?
どうしてここまで力が膨れ上がる!!?
そんな力があったんなら最初から俺や俺の部隊を葬れた筈!!?
それなのに何故!!!?」
「俺は人殺しなんてしたくないって言ってるだろ…?
お前みたいに戦いたい訳じゃない。
俺はお前らなんか意に介してないんだ………。」
「……!!
この…!」
「………まだやるか?
それとも………、
俺に敗けて死ぬか?」
「…!?」
「もうお前らの命を気遣ってやれるだけの感情もない。
遠縁の関係だったからなるべく殺したくはなかったけど…、
お前らは俺の大事なものを傷つけすぎた………。
俺の中ではもうバルツィエがヴェノムと同じで殺してもいいくらいの存在にまで落ちてるよ………。」
「…!!」ギリッ
「死にたくなかったら降参してこのまま帰ってくれないか?
俺もできれば手を汚したりしたくないんだ。」
「舐めやがって!
さっきは俺に赦しを請ってた奴が…!!」シュッ!
「………………、
………仕様がないなぁ………。」
ザスッ!!
「ぬぁぁぁぁぁっ!!!?」ドサッ!
「これでも分からないのか?
剣も折られて魔術も使わせてもらえないお前が俺に勝てる筈がないだろ?」
「………!?
この俺が二度までもこいつにやられるのか………!!?
そんなことが………!!」
「力の差が歴然としてるじゃないか。
お前じゃどこまで行っても俺には勝てないよ。」
「………くそがッ!!」
「………坊やの奴、
雰囲気が変わったな………。」
「それだけユーラスに怒りを覚えたということなのでは………?」
「あんなカオス見たことないよ………。
あれじゃまるで別人みたい………。」
「………カオスに残虐性が付いてきたな………。
この件でバルツィエに染まってしまわなければいいが………。」
「………」
「?
どうした猿?」
「………違う………。」
「何がだ…?」
「あれは………カオスですけど………、
カオス以外の………何者かが乗り移っています………。」
「何?」
「………言葉では言い表せませんが何か……、
カオスの中にある何かが少しずつですけど表に出てきているような………、
そんな感じがします………。」
「…力にに酔って坊やが今まで抑えてきた感情が爆発してるだけじゃねぇか?」
「…そんなものでは……ないと思いますが………。」
「………(それは恐らく………、
坊やの中に潜んだプロトゾーンが意識を侵食しているんだろうよ。)」
「俺がッ!!
俺が完全な状態だったらテメェなんぞにィッ………!!」
「その完全な状態で敗けたのを忘れたのか?
お前はどうあっても敗けを認められないようだな。」
「俺が同じ奴に二度も敗けることなんてあっちゃならねぇ!!
あって…!
たまるかってんだよぉぉぉぉッ!!!」ガッ
「………やれやれ。
先に進まない奴だ。
一度顔洗って出直して来るんだな。」シュッ
ドスッ!!
「ぐっ…!!
掛かったな!!?
間抜けがぁッ!!」ガチャンガチャンッ!!
「「「「「!!!?」」」」」
「ハッ!!!
……………ハハハハハハハハッ!!!
嵌めてやったぜ!!?
マナ封じの手錠をなぁ!!
お前の手を斬り落とした時に回収してきたのが項を奏したようだ!!
これで形勢は俺に傾い「ウインドカッター。」…!?」スパッ!!
「………脆い鎖だな。
これ。」
「……今………どうやった………?
繋ぎの鎖をどうやって壊した………!?」
「魔術で破壊したんだけど………?」
「そんなことできる訳が…!?
お前はそれでさっきは通用してたのに………!!?」
「こんな『普通の“人間用“に作られた玩具でワシを捕らえられると思ったか?
人間風情が。』」
「!?
お前は誰だ………!
一体………!?」
「『どれ………。
ちとおイタが過ぎた小僧に………、
ワシが直々に懲らしめてやろうかのぅ………。』」