テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ユーラスに降り注いだ隕石の余波を受けダレイオス側にいたアローネ達に津波が押し寄せる。
アローネ達に津波が被さろうとした瞬間別人格のカオスがそれを防ぎアローネ達にヴェノムの消滅を命じ消えていった………。
トリアナス砦 内部
「………」
「待ってください!
“資格”とは何ですか!?
私の中にある“もの”とは何なのですか!?」ガシッ
「え!?
うわっ…!?
アローネ!?」
「………カオス?」
「…どうやら本人に戻ったようだな。」
「本人…?
何のことですか…?
………それに皆無事だったの!?」
「?
覚えていらっしゃらないのですか…?」
「覚えて…?
何のこと…?」
「“アイツ”に代わってる際の記憶は無いようだな………。」
「記憶………?」
「今ね…。
カオスが何か変なこと言ってたんだよ?」
「俺が………?
寝言でも言ってた…?」
「カオスさんの中の………。
“殺生石の意識”とでも言ったところでしょうか………。
殺生石の意識がカオスさんの体で何か異様な話をしていたんです。」
「自分は神だとか世界を滅ぼすだとかな…。」
「え………?」
「詳しく話すとだな………。」
「………」
「そんな話をしてたんだよ。
お前の中の“何か”がな。」
「………全く覚えていない………。」
「さっきのカオスは何か変だったもん…。
覚えてないのも無理ないよ………。」
「寝言で片付けられるようか話の内容じゃなかったがな。
あの殺生石にあんな生物の意識があったことに驚きだ。」
「“生物”のカテゴリーに入るかどうかは疑問だな。
奴は自分のことを“世界の傍観者”と語った。
アタシらのいる世界とは別の世界にいるものと推測できる。」
「それにカオスさんの体を借りて話をしていたところを見ると自分の肉体は持っていないようですね…。」
「他人の体に宿る“精神だけの神(仮)”………。」
「(仮)って………。」
「アイツの話し方からして一概に“神”というものでもなさそうだ。
アタシらでも言い表せない何か………。
奴はそんな存在なんだろうよ。」
「でもレイディー、
あれのこと別の名前で呼んでなかった?」
「別の名前で…?
何か知ってるんですか?」
「それについてはアタシの勘違いだった。
アタシの思っていたような生物とは違ったようだ。」
「何の生物と勘違いしたのですか?」
「確か………レイディー殿はプロトゾーンがどうとか言ってたな………。」
「プロトゾーン…?」
「………“プロトゾーン”
生物学的名前ではこれで統一されているがこの生物は誕生してから様々な形態をとる生物だ。
最初は単細胞生物に始まり徐々に海の中を泳ぐ魚や陸を走る馬のような生物になり最終的に人の形をとるらしい。」
「そんなに多くの成長をする生物がいるのですか?」
「伝説上ではそうなってる。
プロトゾーンは長命で数万年単位で進化していくんだ。
全部を確認する奴なんていないさ。」
「………それで何故その生物とカオスの中のものを勘違いしたのですか…?」
「奴がお前に使った技…、
“レイズデット”と言う技はユニコーンの力を借りないと使えない代物だったんだ。」
「ユニコーンって大昔に絶滅したっていうあの…?」
「“死者を蘇らせる術”としてまだ生息していた時代では大人気だったんだろうな。
狩り尽くされて絶滅したらしい…。」
「可哀想な話ですね………。」
「…そのプロトゾーンの進化の過程の中にユニコーンが入っていたって学会で発表されたことがあったんだ。
長命なプロトゾーンは普通の生物よりもマナを保有してるだろうし人には使えないような術も使っていたと聞く………。
プロトゾーン=ユニコーン説はかなり正解に近いとアタシも思う。」
「それでそのユニコーンの力を借りないと使えない術を俺の中の………、
殺生石の意識が使ってレイディーさんは殺生石がプロトゾーンだと思ったんですか?」
「けどレイディー、
殺生石って石だよ?
全然生物っぽくないけど………。」
「アタシの考えではユニコーンの一匹が大昔に自然死して地層に埋もれ化石化したのが殺生石だと推理したんだがなぁ…。
流石にいくらプロトゾーンと言えども“隕石を降らすような術”を使えるってんなら全くの検討外れだろう。」
「隕石…?」
「後ろ見てみろよ…。」
「後ろ………?」
ザザァ~ン………。
「………海………?
って言うかここはどこなの…?」
「まだ記憶が途切れた辺りのは話をしてませんでしたね。」
「ここはな。
昨日のダレイオスの基地の近くなんだよ。」
「ダレイオスの基地の近く………?
あの海道の近くですか?」
「近くっちゃ近くだな…。」
「?」
「………昨日は夜ということもあって景色が違って見えているようだな…。
そこの海に昨日俺達が渡ってきた海道があったんだ。」
「え…?
でも何もないけど………。」
「そりゃそうだろ。
なんたって昨日、
お前がその海道をバラバラに爆砕しちまったんだからな。」
「…………俺が………?」
「お前というよりもお前の中の殺生石が、だな。」
「………」
「ユーラスと二人で決着をつけるのかと思ってたがまさかユーラスを海道ごと吹っ飛ばすような隕石を降らせるとは思いもしなかったぜ。
やり過ぎだっつーの。
世界地図が変わっちまうわ。」
「こちらの方は殺生石が津波を沈めてくれましたがマテオの地はどうなっているのでしょうか………?」
「坊やがこっちに来たってことはあっちの方は何もしてねぇんじゃねぇか?
今まさに津波による水害が発生してるかもな。
あのシーモス辺りの基地から北部までの街々が沈んでたりとか。」
「そんなこと言うものじゃありませんよ。」
「………俺が魔術を………。」
「カオスどうしまし「ブハァッ……!!」」ビシャピシャビシャッ!!
「どうしたのカオス!?」
「俺が………、
魔術を………使った………?」
…また俺が魔術で壊したのか…?
俺の知らない間に魔術が使われて………、
俺のせいでまた何も知らない人達が犠牲に………?
どうして………。
魔術は封印してた筈なのに………。
「ゲボッ…!
そんな何で……!?
エホッエフッ!
俺がまた誰かを………殺したのか…!?」
「カオスさん…?
具合が悪そうですが大丈夫ですか…?」
「…カオスのトラウマが呼び起こされてしまったようですね……。
……あれはカオスのせいではありませんよ…?」
「そうだぞカオス…。
お前は自分の意思で使ったんじゃない……。
俺達を助けるために駆け付けて殺生石に精神を支配されていたんだ。」
「カオスは何も悪くないんだよ?
昔のことなんて思い出さなくてもいいの。」
「ハァハァ………。」
「カオス………、
前よりも悪化してますね………。」
「………前からカオスはこうだったのか…?」
「以前はボクを助かるために一度だけ魔術を使ったことがあるみたいですがその時はこのようには………。」
「…大丈夫だよカオス?
前みたいに今度は誰も死んだりなんてしてないから…。」
「こっちに被害はねぇだろうがマテオではどうだろうかな…?」
「レイディー!!?
余計なこと言わないでッ!!」
「………」
「坊やの魔術………、
そういや見たことなかったな。
レサリナスでもユーラス相手に使ってなかったみてぇだし舐めプしてんのかと思ってたが何故使わない…?
ファーストエイドくらいなら使えるんだろお前?」
「それは………。」
「言ったでしょ?
カオスのことは…。
カオスはあの事件以来魔術を使わないって…。」
「魔術を使わずにカオスは王都まで来たのか…?
よくそれで………。」
「………難儀な話だよなぁ…。
そんな体質でお前は………、
また魔術を使わなくちゃならねぇなんてよぉ…。」
「え…?」
「何言ってるのレイディー。
魔術を使う必要なんて今は無いでしょ?」
「お前らの今の旅の目的は何だ?」
「旅の目的…?」
「ゴリラは坊やと………、
そこの擬きを連れ帰るってことでいいんだよな?」
「そうだけど………?」
「擬きはこれからどうすんだ…?
お前の部隊は壊滅しちまったが?」
「………俺は部隊の皆の弔いをした後は………。
何も無いな………。
俺一人ではダレイオスに何の交渉もできない………。」
「それは目的が無いってことでいいんだな?」
「………あぁ。」
「猿とガキは?」
「私は………カタスのお手伝いをしたかったのですがこうなっては………。」
「………ごめん。」
「カオスは休んでてください。
こうなったのも私が選んだ道ですから…。」
「ボクは………。」
「お前はどこに行く予定なんだガキ。
もうダレイオスに着いちまったぜ?
後は好きにどこへでも行けるだろ?」
「………」
「話を纏めるとやっぱりお前らミスト組はミストに帰るべきだな。
今回の件でお前らの旅の理由も無くなるだろうし。」
「………え?
何で………?」
「まだカオスが殺生石のことが残ってるじゃない!?
それでどうして帰るって話になるの!?
魔術だって使う必要性なんてどこにもないわ!?」
「殺生石のことをどうにかしたいんならダレイオスを回るよりももっと簡単な方法があるじゃねぇか。」
「簡単な方法?」
「殺生石にも意識があった。
なら本人に直接聞くのが早いだろ?
直接聞いて“どうやったら出ていってくれますか?”って聞きゃぁいいだろ?」
「直接聞くってどうすればいいのですか…?
あの方がどのようにしてまた現れるかも分からないのに………。」
「だから魔術を使えって言ってるんだよ。」
「だから!
何でそういう話になるのよ!?
話が全然繋がってないでしょうが!!」
「坊やが魔術でマナを行使してマナがすっからかんになった後ヴェノムを探して触ってみたら出てくるんじゃねぇか?」
「「「「!!?」」」」
「何言ってるの!?
そんなこと…!!」
「アイツを呼び出したいんならアイツが出てきた再現をしてみりゃいい。
上手くいけばまたアイツが出てくるだろ?
普段は坊やのマナに守られて出てこねぇようだがマナが枯渇してからヴェノムに触ればアイツも身の危険を感じて出てくると思うぜ?
アイツ…、
ヴェノムのこと嫌いらしいからな。
それで出てきたらその時にお前らが代わりに聞くんだよ。
それで坊やの旅が終わる。」
「………ですがそれにはカオスがまた魔術を……。」
「人を殺したくないってんなら誰も巻き込まないところでやりゃあいい。
それで万事解決だろ?」
「………」
「ですがあのような世界を破壊する宣言をするようなのをほいほい呼び出しなんてしたら………。」
「そうだな。
アイツアタシらに頼みごとをしてきたしな。
それを無視して呼び出しなんてしたら何されるか……。
だがよ?
坊やの目的を達成するにはそれが最短ルートだとも思わねぇか?」
「「「「「………」」」」」
「まぁ………、
これはあくまでもアタシ個人の見解だ。
出てくるかもしれねぇし出てこないかもしれねぇ。
出てきたとして何かの手違いで怒らせた日には
坊やが世界を破壊し尽くす“魔王”になるかもしれんがな………。
“バルツィエ”、“ヴェノム”………、
そして坊やの中の“殺生石”………。
“世界の終末”が訪れる可能性ってのは案外と多いもんだな………。」