テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
その後森を引き返しているうちにアローネが貴族の生まれと知るがアローネからは現状維持を求められカオスは旧ミストへと案内を続ける。
「ハーフ……エルフ?」
「そうです。」
………?
「あのアローネ。」
「はい。」
「ハーフエルフって…………何?」
僕は初めて聞くその言葉に疑問を無視できなかった。
ハーフ?
人=エルフだからそれは分かる。
ハーフってなんだろう?
「?カオスはハーフエルフをご存知ないのですか?」
「……すみません、田舎者でして街や王都の知識とかはほとんどないんです。なんせ王都からは最も遠い村ですからね。この周辺。戦争自体が本当に続いているのかも分からないんですよ。」
「そうなんですか。……ハーフエルフというのは敵国の人種ヒューマとの間に生まれた子供達のことを言います。」
「ヒューマ、敵国……ですか?」
「王都と言っても臣民達には綺麗なところを見せて見えない裏側で奴隷として敵国の民を拉致しては働かせたり慰みものにしたりしてます。」
「そんなことが…。」
騎士を目指していたものとしてはあまり聞きたくない話だったかもしれない。
もうどうでもいい夢だが。
「実際にあることなんです。」
「そのヒューマというのも初めて聞きました。どういった特徴の人達なんですか?」
このデリス=カーラーンにエルフ以外の人種がいたことに驚きを隠せない。
おじいちゃんからもそんなこと聞いたことはない。
「ヒューマはマナをほんの少ししか持ち合わせていない種族です。寿命は五十から長くても百年程で魔術も使えなません。」
………それって、
「そのかわり彼らには豊富な知識とドワーフを越える機械と呼ばれる鉄を扱う技術があります。」
「機械?」
「私も戦場に出たことがないので知りませんが私達エルフの魔術に匹敵…もしくはそれを凌駕する程の力があるらしいです。」
魔術を凌駕?
そんなことが可能なのか?
どういった世界の情勢かは曖昧にしか伝わらない。
話を聞くにこの国マテオと相手国ダレイオスは単純な領土争いをしてるのではなく障害者差別の争いをしてるのではないか?
魔術を使えない人種ヒューマ。
恐らく先天性魔力欠損症の人達をそう読んでいるのだろう。
遺伝によって起こることもあると医学書に書いてあったしダレイオスはそういった人達の国なんだな。
そんな人達と戦うマテオ。
「なんだかこの国に住んでるのが嫌になってきますね。」
「カオス?」
「実は……僕もそのヒューマというのに掛かってた時期があるんです。」
「ヒューマに……掛かってた?それはどういうことですか?」
「はい、昔ある事件を切っ掛けに体内のマナが著しく低下して魔術が支えない常態になりまして。医学書でもそういった人の寿命もそれくらいになると書いてありました。」
当時は本当に死のうかと思うくらいに絶望した。
周りよりも先に死ぬ自分。
人より何もできなくてすぐに死んでしまう自分に一体何の価値があるのだろうかと。
ダレイオスの人達は凄いなぁ。
自分達に能力がないことを認めて他に何が出来るかを探しだしたのだろう。
そうして魔術に対抗する手段を得た。
前の僕は自分の体を鍛えるしか考えられなかったのに。
「すみませんカオス。勘違いしているようなので説明を捕捉させていただきますね?」
「え?」
「ヒューマは歴とした人種そのものであって、先天性魔力欠損症とは違いますよ?」
「違うんですか?どう聞いても魔力欠損症だと思ったんですけど…。」
「人は生きているうちに種族が変わることなんてありませんよ。ヴェノムはともかくとして。」
…それもそうだな。症状と特徴が同じだったんでヒューマをただのスラング用語だと思ってしまった。
「カオスはエルフです!貴方からは普通の人と違った魔力を感じますがそこは一緒の筈ですよ?」
「まぁ、両親はエルフでしたからね。」
「こうして魔力欠損症も直っているってことはアイオニトスを使われたんですよね?」
「アイオニトス?」
初めて聞く名前だ。
薬か何かなのだろう。
「アイオニトスをご存知ないんですか?魔力欠損症の治療には欠かせない鉱石ですよ?」
「………魔力欠損症って治療方法見付かったんですか!?」
「?魔力欠損症は昔からアイオニトスと決まってる筈ですが。」
そんなものがあったのか。
とすると昔読んだ医学書は相当古いものだったんだな。
不治の病だと思っていたがこんなあっさり言うくらいだからもう出来てから長いのだろう。
何故おじいちゃんは治療方法があることを教えてくれなかったんだろう。
王都にいたというなら魔力欠損症の治し方も知っていそうなものだが…。
そこまで医学に詳しくなかったのかそれかおじいちゃんがいなくなってから治療方法が出来たのか。
「アイオニトス自体は希少鉱石なのでそこまで市場には流通していないとは思いますが結構有名な話だと思いますよ?」
そうなるとおじいちゃんがいなくなってから治療方が見つかったという線で正解のようだ。
「何の話しをしていましたっけ?」
「なんだったっけなぁ…。確かヒューマとか機械とかは聞いたんですけど。」
「!思い出しました!ハーフエルフです!」
「!そう!ハーフエルフ!」
つい僕に関係ありそうな魔力欠損症の話で脱線してしまった。
「義兄がハーフエルフなのですが…。」
ガサッ!!
「「!!」」
このマナの不安定な感じはまさか、
「シュウウウゥ」
「「ヴェノム!!」」
こんなときに出てきたか。でも…、
「アローネ!貴女は「逃げてください!!」」
「カオスは逃げてください!ヴェノムは私が引き付けます!恩人をヴェノムに殺らせるわけにはいきません!」
「アローネ!大丈夫だよ!ここは僕が!」
「何を言ってるんですか!?ヴェノムには何も効きませんよ!?貴方だけでも遠くの方へ!」
興奮して話が通じないなぁ。
まぁ、いいか見せてあげれば。
「……!」
タッ!!
「カオス!?ヴェノムに触ってはいけま…!」
「魔神剣!!」
ザシュゥゥゥッ!!
至近距離で放つ魔神剣がヴェノムを浄化する。
「!?その技は!?」
「こんなものですよ。ヴェノムは」
「……!?ヴェノムが再生しないで溶けていく!」
「なんとかなりましたね。」
「カオス…貴方は一体……。」
ヴェノムを倒して一安心かと思いきや、
ガサッ
ザッザッ
ガササッ
サササッ
「「!」」
今度はヴェノムとゾンビに囲まれる。
これではアローネを!
「アローネ!僕の後ろに付いてきてください!囲まれてちゃ守り辛い。前方の動きの遅いゾンビを斬り伏せて一気に駆け抜けましょう!」
「!え、えぇ!分かりました!」
タタタッ
ズパンッ!!
僕は木刀でゾンビを斬りつける。
「アアアッ………。」
斬られたゾンビはそのまま溶けいく。
よし、作戦通りに抜けれた。
後は、
「アローネ!そこに隠れていてください!コイツらはここで倒します!」
「!カオス!?ヴェノムを相手にするなんて無茶です!逃げないんですか!?」
「心配は要りませんよ、ずっとやって来たことですから!」
そのまま残りのヴェノムを倒す。
ザシュッ!
ザクッ!!
スパンッ!!
ジュゥゥゥゥ…
「………。」
「片付け終わりましたね。ここも危ない村の方へ急ぎましょう。」
「カオスは……カオスは何者なんですか?」
「……」
「ヴェノムは……あの怪物はいくら攻撃しても死なない不死の悪魔です。次から次へと現れて人々を殺していく悪魔…。」
「そうですね…十年前からそういう奴等でした。」
「それをこんなあっさりと倒せる訳が……。」
「アアアッ!!」
ガシッ
「…!?」
しまった!
油断して捕まった!
「ウカカカカッ!!」
「ぐぅぅ!!」
なんとか噛みつかれないように顎を抑えるがこの態勢ではこのゾンビの方が有利だ!
「……チィッ!」
一端噛まれてから顎を外すか。
そう思ったとき…。
「ウインドカッター!!」
僕を掴んでいたゾンビが切り裂かれる。
力の緩んだゾンビを押し飛ばす。
「アローネ!戦えるんですか!?」
そうか魔術で援護してくれたのか。
基本的に戦うのが一人だったからアローネがいるのを忘れていた。
「はい!出来るのは時間稼ぎまで……ですけど……。」
援護しようと構えていたアローネが攻撃したゾンビを見て言葉を途切れさせる。
アローネに切り裂かれたゾンビはそのまま
溶けて消えていった。
「この力は!?アローネも持っているんですか!僕と同じ力を!」
「……」
「アローネ?」
「とうして…?」
アローネの様子がおかしい。
倒したゾンビの姿を眺めている。
まるでこんなふうになるとは思っていなかった。
そんな顔をしている。
「……考えるのは後で。今はここから離れて先を急ぎましょう。」
「……」
僕はアローネの手を引いて森を歩く。
本当にどうしたのだろうか?
捨てられた村旧ミスト
「カオス。」
あれから森を歩いて村へと戻ってきた僕達。
村に付いてから家に入ろうとしたときにそれまでずっと黙っていたアローネに呼び止められる。
「どうしました?」
「先程のヴェノムは………何故倒せたのですか?」
「……」
「ヴェノムは不死身でどんな生物も対抗できない。だから騎士団も国も滅ぶ手前まで追い詰められたのに…。それを一人で四匹も…。」
「……僕も始めからこの力があった訳じゃないですよ。ある時偶然手に入れたんです。」
「偶然手に?」
「僕が魔力欠損症になってたとさっき言ってたと思うんですけどそれには原因があるんです。」
「原因ですか?」
「はい、あっちの村には殺生石と呼ばれるモンスターを寄せ付けない大きな岩があるんですよ。……あったんですよ。」
「殺生石?随分と物騒なお名前ですね?」
「それには訳があるんですよ。この殺生石は触れたものを即死させる力がありました。触れたもののマナが一瞬で吸いとられてしまうんです。」
「マナを吸いとる…。」
「僕や村人は最初マナを吹き飛ばすと思っていたんですがこの力を手に入れて分かるんです。殺生石はマナを吹き飛ばしているんじゃなくて吸収していたんだと。」
この力に目覚めてからは人よりもマナについて深く感じることができるようになった。
モンスターや人のマナの色、使える魔術。
「その力があるということは…」
「僕は唯一殺生石を触れて生き残った例外です。触れた直後はしばらく魔術を使えませんでしたけど。」
「ですから魔力欠損症について色々と言っておいででしたんですね。」
「後天的なものは滅多にないと聞きますから自分でも自分の症状を調べ回りました。アイオニトスというのは初耳でした。」
そんな便利なもの早く知っておけば小さいときは悩まずに済んだかもしれない。
原因は違ったが。
「殺生石に触れたと同時に僕の中には殺生石の中にあった何かが流れ込んだ。それがずっと眠り続けて僕の本来あったマナを吸い続けていたんです。」
「……」
「僕の中にはヴェノムすら殺せるもっと恐ろしい怪物の力が流れています。あるときこの力に目覚めてからはこの特殊なマナを自在に操れるようになりました。木刀に込めるだけで本来の切れ味以上の威力を発揮出来ます。」
「ヴェノムを倒したのはその力なんですね。」
「その通りです。けどこの力はもともとあの村の物ですからこの力はあの村を守るために使っています。………本当はこの力を殺生石に返すのが一番いいんですけど、どうしても返し方が分からずそのままに。」
返せる方法があるというなら返したい。
この力がなかったせいで村は壊滅しかけた。
村を守る外壁を盗ったのは僕だ。
だったら僕が外壁になるしかない。
「……その力が…」
「え?」
「その力が王都にもあったなら……」
「アローネ…」
「すみませんカオス。それが貴方とあの村の方へ確執だったのですね。余計なことを聞いてしまいました。」
「いいんですよ。僕も自分の罪はちゃんと受け止めて進ん出ますから。」
「お強いんですねカオス。」
「そんなんじゃないですよ…人として当然の意識です。」
「その意識を持てる人はそう多くはないと思いますよ。誰しも自分の悪いところからは目を背けたいものですから。」
「……今日はもう疲れましたのでそろそろ寝ますね。アローネは昨日の部屋を使ってもらえますか?僕はこの一階の部屋で十分なんで」
そう言って話を終えようとする。
「カオス。」
「…?」
「お休みなさい。」
「……………………………………お休みなさい。」
挨拶を返すとアローネは部屋の階段を上がっていく。
そういえば誰もいないからお休みなんて言うのは久しぶりだな。
ミストに住んでた時はおじいちゃんがいたから寝るときに言っていた……ような。
おじいちゃん…。