テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ここから彼等の旅はどうなるのか………。
王都レサリナス バルツィエ邸 数日後
「………で、
開戦は中止か………。
天上位昇格議案に続いて戦争もかよ………。
予想はしてたが一応どういう流れでそうなったか聞かせてくれよフェデール。」
「うちもそれを聞きたい…。」
「先日にシーモス砦からダレイオスの砦までの海道で謎の隕石が降ってきた事件があっただろ?
あの時に発生した津波でマテオ側の北部はほぼ津波に飲まれて被害が甚大なんだよ。
議会でその対応に追われて開戦どころじゃねぇってさ。」
「………あん時はビビったなぁ…。
大きな音に続いて今までで一番とも言えるような地震があったからよぉ…。」
「あっちこっちで窓ガラスも割れたり酷いところで建物が倒壊もしてたしみたい…。」
「とにかくあの流星群の一件でマテオは今までに類を見ない痛手を負った………。
この状況でダレイオスにまで攻めてこられたら一貫の終わりなんだとよ?」
「………何それ…?」
「前々からダレイオスと戦争が始まってもこっちの陸にはダレイオス軍は攻めてこられねぇって分析してなかったか?」
「それもそうなんだがあの阿呆共の考えではそうじゃないらしい…。
なんでもダレイオスの“大魔導士軍団”とやらがいる限りは無闇にダレイオスに戦争吹っ掛けるべきじゃないとか言っている………。」
「大魔導士軍団…?
なんだそりゃ…?」
「初耳…。」
「この間の流星群が唐突に降ってきた件を阿呆共は人為的なものと捉えてるんだよ。
マナ検知にもその反応が出たからな。」
「…!?」
「お前がシーモスで撮ってきた映像のあれが誰かが降らせたもんだってのか!?」
「そうだ。
そのせいで阿呆共は竦み上がって開戦するのに待ったをかけてきやがった…。
あんな術を編み出したダレイオスに攻め込むといつまたあの術がマテオに降ってくるか思うと夜も眠れねぇそうだ。」
「そういやあの時間帯たまたま起きてたが一瞬昼間に変わったかと錯覚するほどだったからなぁ…。」
「けど…、
あんな術をそう何度も使えないんじゃない…?
一度使っただけでマナを消費しすぎてショック死しそう…。」
「そうだよな?
大魔導士軍団とかいう奴等もあれで死んじまったんじゃねぇか?」
「それはないだろ。
あんな驚異的な破壊力を出す術をマテオじゃなく国境に降らせる余裕があるってことはまだまだ補充要因がいるってことだ。
恐らく術を編み出した大元を絶たない限り次から次にあの術を使う奴が現れるだろう。」
「そんな奴等が現れたとしてもショック死するのは確実だろ?
自分から進んで死ぬ術を使う奴なんているのか?」
「ダレイオスは百年前からヴェノムに頭を悩ませてる。
追い詰められ過ぎてもういつ死んでもいいって奴等が沢山いるんだろうよ。
そんな奴等が最期に敵国に大打撃を与えて名誉の死を遂げられるなら自分達にも生きてきた意味があった…、
とかそんな感覚で術を使う奴等がいるんじゃねぇか?」
「自爆する奴等は恐いなぁ………。」
「あっちではそこらじゅうに感染者がいる。
そいつら見つけて術を付与し最期に良い想いで死なせてやるって話なら………マテオは終わりだ。」
「そういやこっちも津波が凄かったがダレイオスの方はどうなってんだ?
あんな爆発起こして津波が起こったんならダレイオスも相当な被害が出てるだろ?」
「…残念ながらダレイオスにはあの流星群の被害は全くと言っていいほど無かった。」
「無い…?」
「それもあってダレイオスの大魔導士軍団の存在に拍車をかけてるんだろう。
一方的な被害を受けたマテオ陣営の阿呆共はすっかりダレイオスとの戦争に反対のようだ。」
「…ってことは戦争はもうしねぇのかよ…。
楽しみにしてたんだけどなぁ…。」
「ここ最近でバルツィエの戦力が“二人”も削がれたからなぁ。
阿呆共も俺達の力を信用できないってんで大々的な戦闘は避けるべきなんだと………。
あんな大術を隠してたとなると自分達も危ないから俺達には何もさせたくないんだな。」
「ただ単に俺達に戦果をあげられるのが困るだけじなんじゃねぇのか?
戦争で勝ちゃ俺達の天上位昇格議案が決まっちまうってんで戦争させたくねぇだけだろ。」
「この場合両方だろう。
戦争事態はヴェノム以前から持ち上がってた話だしな。
アルバートが収めるのなら………と口にしちまった手前今更奴等も戦争は絶対にしない…とは言いきれない。
何より戦争をしたい俺達の顔を伺うしかねぇ………。
戦争をさせない口実に必死になってるこのタイミングであの隕石を降らせる大魔導士軍団の登場………。
いい口実ができちまったなぁ………。」
「これからどうすんだよフェデール?
ただじっと待っとくだけじゃ何も始まらないぜ?」
「………」
「お前が何も作戦を立てないってんなら俺達は何をすればいいんだ?
黙って大魔導士軍団とか言う奴等がマテオを攻撃すんのを待っとくのか?
俺はそんなの御免だぜ?
殺られるくらいなら殺りに行くぞ?」
「………まぁ待てって。
俺が何も考えてない訳ないだろ?
お前らにとってはいい作戦考えてあったからよ。」
「…それでこそフェデールだな………。
で?
どんな作戦なんだ?」
「あのジジィ共が懸念してるのは大魔導軍団の存在だ。
ソイツらが邪魔で俺達は戦争ができねぇんだ。
だったら………、
ソイツらを消しにダレイオスに向かえばいいんだよ。」
「………?
それって戦争吹っ掛けるのと何が違うんだ?
結局同じ結論に至ってねぇか?」
「そう急ぐなよランドール。
戦争するのは駄目だってんだ。
だったら戦争じゃなけりゃいいんだって言ってるんだよ俺は。」
「?
だからソイツらぶっ殺しにダレイオスを攻め込むって話じゃねぇのか?」
「大部隊を送るとダレイオス側に宣戦布告と見なされる。
それならそう見なされないようにすればいいだけの話さ。」
「………それってつまり……、
俺達バルツィエだけでダレイオスに潜入しろって言ってるんだな…?」
「そういうことさ。
楽勝だろ?
お前らだけでも。」
「クフフフフ………、
楽勝に決まってんだろ!」
「うちらだけで大魔導士軍団とか言うの磨り潰してくる…。」
「頼もしい“天才様達”だぜ………。」
「よぉ~し、
さっさと行って来ようぜ!
フェデール、
何時俺達はダレイオスに行けばいいんだ?」
「そうだなぁ………、
暫くはお前らの部隊は俺が管理するとしていろいろと手続きが必要だからな。
後その大魔導士軍団がどこにいるかおおよその目安をつけた地図を作るからお前らはそれまで寛いどいてくれ。」
「あぁ、
手早く作ってくれよ!」
「じゃあうちはそれまでブラムとでも遊んでおこうかな…。」
「そうしな。
………ところでランドール。」
「ん
何だ?」
「俺がユーラスとカオスを追いかけている間に勝手にカーラーン教会を襲撃する発令を出した件について話がある。」
「………何だよ?
あの件は別に俺の独断でも良かったんじゃねぇのか?」
「俺は襲撃しなくてもいいって言わなかったか?」
「襲撃しなくてもいいってことは襲撃してもいいってことにも聞こえるんだが?」
「「………」」
「………下らない屁理屈は「よう。」…」ガチャッ…
「テメェラ何の話をしてるところだ。」
「………起きたのか。
ラーゲッツ。」