テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
しかしダレイオスで訪れる街はどこも無人の街しかなく………。
ダレイオス どこかの廃都市 夜
「………フンッ………フンッ!!」ブン、ブンッ
「やぁ。」
「………カオスか…。
どうした…?」
「槍の………練習してるの?」
「そうだ………。
この間のような醜態を晒さぬように訓練を欠かす訳にはいかん。
俺はまだまだ未熟者だからな。」
「ウインドラはもう十分強いと思うけど………。」
「そう俺も在りたいがお前のような強者が隣にいては俺も満足はしてられん。
もしお前のような実力者が敵になったら俺は誰も守ることができない。」
「俺は敵になんてならないよ。」
「ものの例えだ。
お前でなくとも別の実力者が現れたら俺はまた敗北するだろう。
その時が来ないようにこうして力をつけられるときに力はつけとくべきだ。」
「熱心なんだね………。」
「俺がミストを出たのはそういう理由だからな。
強くならなければ俺がミストを出た意味がない。
だから暇があるときはこうして鍛練を積まねばな。」
「そっか………。
じゃあ俺もやろうかな………。
レサリナスに行ってから忙しくてなかなか剣の稽古をする余裕がなかったし………。」
「………それなら。」
「うん?」
「俺と戦ってくれないか………?」
「………何でだよ?
君とは敵にならないって言ったばかりだろ?」
「そういう意味じゃない。
昔みたいに俺と剣術の手合わせをしてくれと言う意味だ。」
「なんだ。
そういうことか。
………いいけど君が持ってるそれは………。」
「俺はこのガードスピアを使う。
お前はいつも通り剣術でかかってきてくれ。」
「分かった。」
「手合わせとは言ったがこの間のレサリナスと同じで本気できてくれ。」
「本気で………?」
「あの時の俺は………、
十年の時を経てお前に一歩先を行かれる程度だと思っていた。
………だがあの王城の広場でお前が見せた動きは………、
俺の遥か上を行く動きをしていた。
お前の実力なら直ぐに追えるぐらいのものだと思っていたが全然差が埋まってなかった。
それどころかあのユーラスとの戦いでお前はもっと先に行ってしまった………。
俺が目指す最強の騎士になるにはお前と同じステージにまで上らなければならない。
そのためにもお前には俺を全力で倒しに来る覚悟で挑んでほしい。」
「………そういうことなら。」
「使えるのならフェデールが使っていた“陽炎”も多用していい。
それと………、
その手錠はいい加減外さないか?」
「これを………?」
「両手を結ぶ鎖は外れているとはいえそれはマナを封じる効力がある。
それだと全力が出しづらいだろう?」
「これは………、
着けたままでいいよ。」
「………何故だ?」
「これを着けたままでも俺は技は出せるからだよ。
特に気になったりもしないからこのままで十分だよ。」
「………そのハンデを負っても俺には十分だと………、
そう言ってるのか?」
「そういう意味で言ったんじゃないけど………、
とりあえずこれは外さない。
このままで戦える。」
「そうか………、
では………、
負けたときにその手錠があったからなどと言い訳をするなよ!」ザッ
…………………………………………………………………
キィィンッ!!
「………ここまでにしておくか。」
「ギブアップするの?
まだ早いんじゃない………?」
「お互いに一撃も入れられず尚且つ十分も撃ち合った。
それで決着が着かなかった………。
この勝負………、
俺の負けだな。」
「引き分けだと思うけど………?」
「…お前を見てるとつくづく才能の差を感じるよ。
こうして撃ち合っていくうちにお前の動きを見切ろうと目を凝らしているうちにお前は俺の動きを見るのではなく効率よく技を発動しようとしていた。
お前を負かそうとしている俺と自分の技の練習台に俺を利用していたお前………、
そこの差で俺が負けていると言っているんだ。」
「………」
「……俺ではまだまだお前の訓練相手にもならんと言うことか………。」
「そんなことは………ないけど………。」
「………今はまだお前との差が大きいがそれでも俺は必ずお前に追い付いて見せる。
追い付くだけじゃなくお前を追い越す。
お前がバルツィエの血筋だからと言って才能に頼ってしまえば他のバルツィエと同じくその剣が鈍る。
だからカオス………、
例えお前一人が誰よりも強くともその力………、
腐らせるんじゃないぞ………。」
「………当たり前じゃないか。」
「…今はこのダレイオスに来て俺達を脅かすような敵は出てきてない。
マテオのバルツィエ然りダレイオス軍も………。
ダレイオスに渡ってきて出会うのは全てモンスターと今の俺達の敵ではないゾンビやヴェノムだけだ………。
……生活環境的には悪質だが敵にならない敵しかいないと言うのはお前のような突出した剣士には少々修行相手としては軽すぎる。
だからカオス………、
お前は暫く自分のこれからについて考える時間をやる。
戦闘は俺達に任せてくれ。」
「え?」
「お前にとってヴェノムやゾンビの相手は日常だったんだろう?
俺にとっては今まで感染しないにしてもワクチンを与えられずにヴェノムやゾンビと交戦するのはご法度だったんだ。
だから今この地で力をつけるチャンスがあるのは俺なんだ。
俺にヴェノムやゾンビの相手をさせてくれ。」
「…でも任せっきりなのもなんか悪いよ。
ウインドラが怪我を負っても怖いし………。」
「案ずるな…。
俺の頑丈さはお前も知ってるだろう?
………それにこの話はお前のためでもあるんだ。」
「俺のため………?」
「………俺がいち早く強くなってお前の修行相手になってやる。
そのためにも俺はこの機会に誰よりも戦わなければならないんだ。
俺が強くなったらお前も漸く次のステージへと進めるかもしれない。
………今でこそ強いお前だがこの間のように集団戦ともなると頭を使う作戦も考慮した戦い方をしなければならない。」
「…そうだね。
あの時は………、
いきりすぎちゃって焦ってスタミナ切れおこしちゃって寛仁なときに何もできなかったしね。」
「…あの時の失敗はお前だけじゃなく俺にもある………。
俺にもっと強い力があれば部隊の皆を救えていた筈なんだ………。」
「………そうだね。」
「敵はでかい……。
規模も…、
権力も…、
技術も…、
そして一人辺りの戦闘力も………。
お前一人であの場にいたバルツィエ三人は倒せていたが騎士団長フェデールだけはお前を本気で攻撃しようとはしていなかった………。
一発食らわせてはいたがあいつの実力はまだまだあんなものじゃないぞ………。」
「………うん。
俺もあの人が本気で俺と戦っていたとは思えない………。
俺はむちゃくちゃに暴れていたけどあの人は………、
何だか立ち回りを気にした戦い方をしていてむしろ俺に倒されてもいいみたいな感じだった………。」
「騎士団長フェデールの実力はまだまだ俺達では測れんということか………。
それにバルツィエはあの場にいただけじゃない………。
奴等の一族だけでも現状数えてみると五十はいる筈だ。
あの広場にいたのは一番若い世代のバルツィエだけだった。
全体で言うとほんの十分の一程度だ。」
「十分の一かぁ………。」
「十分の一を倒したと言っても少し頭の切れる奴がいるだけでこの間のようなバルツィエ一人と一部隊に負けるような結果に変わる。
俺達は自分の力を過信してはならない。
守るべき人がいるのなら世界を相手にして優位に立てるぐらいの強さを持たなければな。
そこまで来て余裕を持つことが赦されるだろう。」
「果てしなく遠い道のりになりそうだね………。」
「バルツィエの連中はその境地に立っているぞ?
………力を過信しすぎてその守るべきものを傷付ける側になってるがな………。」
「………ならさウインドラ。」
「………?」
「必ず俺達でどんな敵からも大切な人を守れるぐらいに強くなろうよ!」
「………俺は子供の時からそのつもりだ。」