テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

22 / 972
 青年カオスは森でアローネという女性を見つけ保護する。

 彼女は王都出身らしく一人じゃどうしようもないカオスはミストに送り届けようとするが断られてしまう。


夢の声

捨てられた村旧ミスト

 

 

 

『また…ヴェノムが暴れだしたようじゃな。』

 

 

 

 ………?

 

 

 

『また…ワシが屠らねばならぬのか。』

 

 

 

 ………この声は。

 

 

 

 またこの声だ。

 

 

 

 あの時も聞いた誰かの声。

 

 

 

 誰なんだ。

 

 

 

 あの時もこの言葉を言っていた。

 

 

 

 ヴェノムを………屠らねば。

 

 

 

 何を言ってるんだ。

 

 

 

 ヴェノムを屠る?

 

 

 

 そんなの僕にしか出来ないのに。

 

 

 

『………シ……ル………』

 

 

 

 !

 

 

 

 今何か言っていた。

 

 

 

 今まで聞いたことなかったセリフとは違う何かを。

 

 

 

 何だ

 

 

 

 何を伝えたいんだ?

 

 

 

『…………………』

 

 

 

 もっと、もっと何か言ってくれ

 

 

 

 君は一体誰なんだ。

 

 

 

 君は一体何を僕に伝えたいんだ。

 

 

 

 僕は………どうすればいいんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ……………ハァ、ハァ、ハァ、ハァ!」

 

「どうしたの?魘されてたよ?」

 

「ハァハァ………何か夢を見ていたみたい。」

 

「夢?」

 

「何の夢か思い出せないけど何か大切なことを忘れているような……そんな夢だった。」

 

「そう、だからそんなに涙が出てるの?」

 

「涙?」

 

 顔を触ると水滴が手につく。

 

 寝ながら涙を流していたようだ。

 

「悪い夢でも見てたの?」

 

「いや、そうじゃない、そうじゃないけど………分からない。」

 

「ふ~ん?悪い夢じゃないけどそこは分からないのね?」

 

「あぁ」

 

「じゃあ、いい夢だったのかな?」

 

「………」

 

「まぁ、何でもいいや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おはよう、カオス。」

 

 

 

「おはよう、ミシガン。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝起きるとミシガンが来ていた。

 

「昨日警備隊の人が来てカオスが来たからって追い払っておきました!って言ってきたのその場でその人ぶっ飛ばしたわ!」

 

 どうやら昨日の件でミシガンが様子を見に来てくれたらしい。

 

「あんまり責めないであげてよ。当番の人も安全のためにやったことだよ。」

 

「それでも普段カオスのおかげで助かってる村だよ?とんだ恩知らずだわ。」

 

 ミシガンどうしてこんなに暴力で解決するような娘になっちゃったんだろう。

 

 環境が悪いのかな。

 

 僕のせいか。

 

 ゴメンね。

 

「それで昨日はなんでわざわざ村まで来たの?」

 

「そこは警備隊の人言ってなかったの?」

 

「カオス追い払ったって言ったから聞けなかったんだよ!」

 

 それは君がぶっ飛ばしたからだろう…。

 

「そっか、じゃあ会ってほしい人がいるんだ。」

 

「会ってほしい人?」

 

「そう、ミシガンには是非ね。」

 

 もともとミシガンの家で面倒見てもらおうと思ってたし丁度良いだろう。

 

「今二階にいるんだけど…」

 

トントントンッ

 

 噂をすればだ。

 

 僕達の話し声で起きたのだろう。

 

 二階から降りてくる足音が聞こえてくる。

 

「……誰かいるの?」

 

「その会ってほしい人だよ。」

 

 

 

「お早う御座います、カオス。」

 

「お早う御座います、アローネよく眠れました?」

 

「お陰様で、それでカオス、そちらの方は?」

 

「あぁ、昨日言ってた…「ガシッ」」

 

 紹介しようとしたらミシガンが僕の顔を掴んで引き寄せる。

 

 あの、近いし痛いです。

 

「ミシガン?どうしたの痛いんだけど、痛たたたたっ!!」

 

「カオス!?」

 

 アローネが僕たちを見て悲痛に叫ぶ。

 

「貴女はどなたですか!?カオスに何を!?まさか盗賊!?」

 

 アローネさん本当に盗賊好きですね。

 

 こんな女の子に捕まったことあるんですか。

 

「………カオス、この人をつかまえていきなり盗賊呼ばわりしてくる女の人はアンタの何!?」

 

「さっき言ったじゃないか!この人がぁぁぁぁぁ!」

 

 言おうとしてるのにどうして力入れるの!?

 

「カオスを離してください!カオスを…「ガシッ」?」

 

「カオス?」

 

「だからカオスをぁぁぁ!!」

 

「ちょっ!?ミシガン僕はいいけどこの人はぁぁぁ!!」

 

「うるさぁい!黙れ!」

 

 ミシガンさんどうしてそんなに理不尽なの!

 

 話くらい聞いてくれてもいいじゃないですか!

 

「あ、頭がぁぁぁ!!」

 

「ミシガン止めてえぇぇぇぇ!!」

 

「「うあぁぁぁぁ!!!」」

 

 ミシガンその細腕のどこにそんな力がぁぁぁ…

 

 僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?」

 

 あれからミシガンによって気絶させられた僕達は今ミシガンの尋問を受けている。

 

 ミシガンこんなに怖い子だったんだね。

 

 床が冷たいです。

 

「何?」

 

「何って?」

 

「どうしてこんなところに女の人がいるの?」

 

「どうしてって言われても…。」

 

 何故僕はこんなにきつく問い詰められてるんだろう。

 

 何も悪いことはしてないと思うんだけど。

 

「あのカオスだけは助けてもらえませんか?人質なら私だけで「私は盗賊でも山賊でも海賊でもないぃ!!」ヒッ!」

 

 ここまで怒ったミシガンは初めてだ。

 

 一体何にここまで感情を剥き出しにしているんだ。

 

「私はミシガン!ミシガン=リコット!普通の農家よ!」

 

 普通の農家にしてはさっきのアイアンクローとこのプレッシャーは異様だ。

 

 アローネも顔には出してないが足が震えている。

 

「農家?」

 

「そうよ!そこにいるカオスは私の家族!弟よ!」

 

「弟ってミシガン僕の方が年「アンタは黙ってなさい!」はい。」

 

 ずっと妹のような可愛い子だと思ってたらいつの間にか弟にされていた。

 

「あのお姉さん、カオスは私を助けてくれたんです!」

 

「助けた?」

 

「はい!私もよく分からないのですが眠っている間に誘拐されていたみたいで…。」

 

「誘拐?眠っている間にって貴女よく起きなかったわね。」

 

「……面目もございません。」

 

「そこはどうでもいいわ。それで何処から来たの?」

 

「王都です。」

 

「王都!?遠いわね!?」

 

「……はぁ。」

 

「でどうやって帰るの?」

 

「……」

 

 アローネが段々泣きそうになってくる。

 

 ここらで助け船くらいは許してくれるよね?

 

「その事なんだけど昨日村に行ったのはミシガンにアローネの……アローネさんの保護をしてもらいたくて行ったんだよ。」

 

「うちに?」

 

「そう、そのうち騎士団の使節が来るんだろ?こっちじゃ風邪引かせちゃうかもしれないし。だからそれまで村長の家で預かってもらいたくて話に行ったんだよ。門前払いだったけど。」

 

「それは………悪いことしたわね。」

 

「気にしないでいつものことだから。」

 

「……。」

 

 急にいつものミシガンに戻る。

 

 ふぅ、危機は去ったようだな。

 

「つまりこのアローネさんをうちで預かって騎士団の使節の人が来たらそのまま連れて帰ってもらえばいいのね?」

 

「そう!それが言いたかったんだよ!」

 

 やっと伝わって嬉しくなる。

 

 どうして無駄にアイアンクローを食らわなきゃならなかったんだ。

 

 アローネも被害を受けたみたいだし。

 

「……」

 

 ?

 

 アローネが何だか考え込んでる。

 

「そう言うことなら早く言ってよ!女の人連れ込んでるからもしかしてこういう目的でここに住んでるのかと思っちゃったじゃない!」

 

「そんなわけないだろう。ここへは十年前から住んでるんだから。」

 

「それもそうよね。」

 

「僕はここから村を守ると決めてるんだ。女の人目的じゃないよ。」

 

 そこをミシガンに誤解されると何だか悲しいな。

 

「………分かってるよカオスがそういう人だってこと。」

 

「…うん。」

 

 

 

「あのぅ。」

 

「?どうしたんですかアローネさん。」

 

「私、やっぱりカオスとここにいようと思います。」

 

 不意にアローネがそんなことを言ってくる。

 

「え?どうしたんですか!?アローネ……さん。」

 

「そうです!何言ってるんですか!?」

 

「……私も王都には帰りたいとは思うんですけどここにカオスを…恩人を一人で残して行くのは何だか申し訳なくて。」

 

「僕のことなら気にしないでいいですよ!馴れてますし!」

 

「そうですよ!こんな誰もいないところに男女で一緒に住むなんて認められません!ましてやカオスと!」

 

 ミシガンさっきから僕のこと変な風に疑ってない?

 

「私がそうしたいんです。カオスは一人でいるといけない気がして…。」

 

「アローネ…さん。」

 

「ダメったらダメ!何かあってからじゃあダメなんだから!」

 

「でも…。」

 

「ほら行きますよ!アローネさん!」

 

 そう言ってアローネの手を引っ張っていこうとするミシガン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってミシガン。」

 

 部屋から出ていこうとするタイミングでミシガンを呼び止める。

 

「僕は構わないよ残ってもらっても。」

 

「はぁ!?何言い出すのカオス!」

 

「門番の人が言ってたんだ。ヴェノムに感染してないか怪しいって。そんな疑い持たれたままで村で過ごすのは気が休まらないと思うんだ。だから騎士団が来るまではここにいても大丈夫だよ。」

 

「あの人そんなこと言ってたの!?後でもう一発…!」

 

「それに今更だけど村の人を頼るのも悪い気がしてきた。僕なんかの頼みを本当は聞いてもらうのも烏滸がましいし。」

 

「そんなの一々気にしなくても!」

 

「ミシガン、アローネは僕が責任持って送り届けるからミシガンは騎士団が来たら知らせてほしい。そしたら村の入り口までまた行くから。」

 

「カオス…。」

 

「僕を……僕を信じてほしいんだミシガンだけには。」

 

「………分かったわよ、そこまで言われちゃ引き下がるしかないじゃない。」

 

「有り難う。」

 

「…どういたしまして。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秘境の村ミスト 入り口

 

 

 

「ここまでで良いわ。本当によかったの?私に任せればこの村にも入れると思うんだけど。」

 

「いいんだよ。騎士団の人に伝えてもらえるだけで有り難いよ。」

 

「そこは別に構わないんだけど…二人きりだからって変なことしないようにね!」

 

「変なことって何だよ…。信用ないなぁ。」

 

「信用はこれでもしてるつもりだよ?」

 

「それっぽっちしかないんですねミシガンさん。」

 

「それっぽっちでもあるだけましでしょカオス君。」

 

 

 

 ……。

 

 

 

「「フフフフッ!」」

 

「それじゃああっちの村でアローネ待たせてるし行くね。今日は楽しかったよ有り難う。」

 

「まったくぅ、知り合って間もないってのに呼び捨てで呼びあってるみたいだし心配になるんだから。」

 

「それを言ったらミシガンとも呼び捨てで呼びあってるじゃないか?」

 

「私はいいの!家族で弟なんだから!」

 

「さっきも思ったけどなんで弟なの?ミシガンより三つ上の二十歳なんだけど。」

 

「カオスはアルバおじさんがいなくなってからはリコット家の養子扱いなの!後から入ってきたんだから私の方が上なの!年上だけど弟なの!」

 

「横暴だな。」

 

「何?文句ある?」

 

「いやないよそれじゃあ。」

 

 

 

「カオス!」

 

 帰ろうとしたらミシガンに呼び止められる。

 

「どうかした?」

 

「この間のことなんだけど………殴ってゴメンね!」

 

「そのことか。気にしてないからいいよ。」

 

「それでもだよ!カオスは真面目に自分と向き合ってただけなのに。」

 

「ミシガンが僕のことを想って言ってくれてたのは伝わってたからむしろ嬉しかったよ。」

 

「え!?殴られて嬉しかった!?」

 

「そこを拾うなよ…。」

 

 この子は本当に教師として大丈夫なのだろうか。

 

「それじゃあ騎士団が来たら真っ先に知らせに行くから!」

 

 

タッタッタッ…

 

エッミシガンサンッ、ナッナニヲ!?

 

ドゴオッ!!

 

アアッー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。