テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
彼等はすぐ近くにいたようだが………。
王都セレンシーアイン 西区 闘技場
「ここだ。」
「………ここは?」
「闘技場か………。
レサリナスにも昔はあったがバルツィエの独壇場にしかならないと言うことで詰まらなくなって潰れて取り壊されたらしいがこちらにも同じものがあったのだな………。」
「おじいちゃんの話にも出てきてたな………。
おじいちゃんは闘技場に出場しても俺みたいなしたっぱじゃ初戦敗退しか成績が残せなかったって………。
でも………。」
「アルバさんの話はレサリナスで聞いた話と全然食い違ってたぞ?
あの人の話はデタラメだらけだった。
アルバさんがいなくなるまでは闘技場は大人気でマテオ中からアルバさんが出場する大会を見に来る客でいっぱいだったそうだ。」
「おじいちゃんを知ってる人の話ではそうみたいだね。
けどおじいちゃんもバルツィエだったんだよ?
おじいちゃんがいなくなったからって何でそんなことになるんだ?」
「アルバさん以降の後を継いだバルツィエのチャンピオン達は魔術で一方的な試合しかしなかったからだ。
力の大きさを見せつけるようなそんな試合………。
嫌味な戦いなぞ見せつけられても民衆は面白くもなんともない。
バルツィエ事態が嫌われものだったからな。
潰れても仕方がなかった………。
だがアルバさんが出場した大会ではアルバさんは魔術を一つも使用せず魔技も封印していた。
アルバさんは武身技だけで魅せるような試合をしていたそうだ。
…バルツィエとはいえモンスター相手によくやったものだ………。」
「おじいちゃん武身技だけで勝ちあがったの!?」
「そうだ。
それも全試合でな。
………俺も直接見たことは無いがアルバート=デュラン・バルツィエの残っていた資料にはどれも同じように記載されてあった。
真実なのだろう。」
「おじいちゃんがねぇ………。
でも闘技場に出てくるモンスターってどんなのがいたんだろう………?」
「小さな大会のものではオーガやトレントといった少し素人が単身で相手するには難しいモンスターを捕獲してきて戦わせていたようだが大きな大会となるとギガントモンスターも用意していたようだ。」
「へぇ~、
ギガントモンスターなんて捕まえてこれたんだ………。」
「アルバさんがバルツィエを率いていた際には闘技場を取り上げるためだけに捕獲させていたようだぞ。
勿論アルバさんも捕獲には関わっていた。」
「おじいちゃんも盛り上げるためにワザワザモンスターを捕まえに行ってたのかぁ………。
………よく生きて帰ってこれたね………。」
「軍を率いたバルツィエには敵無しだ。
ただのモンスターであったならどんなモンスターも捕獲できたらしいぞ?」
「その闘技場の大会って優勝したらどうなるの?」
「優勝者には賞金が出るな。
後は称号や名匠がうった名のある武具とかだ。
それも一般では先ず手に入らないようなそんな代物だったそうだ。
………そして優勝者のみが出場できる対人戦の大会も開かれていた。
そこで優勝者したものは………。」
「優勝者したものは?」
「………貴族階級への昇格が約束される。
更には領地や屋敷など相当な富も贈られていたんだ………。」
「そんなのがあるんだ………。
それで優勝した人ってどんな人たちがいたの?」
「アルバさんが参加する大会だぞ?
優勝者などアルバさん以外にはいなかったな………。
………いや、
一人だけいたな………。」
「誰?
やっぱりバルツィエの人?」
「セバスチャン=ゼパル・ナベリウス侯爵。
バルツィエの執事でフェデールの側近だ。
アルバさんが一度だけ出場しなかった大会で奴は優勝しその後貴族の称号を得てバルツィエの傀儡となった。」
「セバスチャン=ゼパル………?
知らない人だな………。
けどフェデールの側近?
どんな人なんだ?」
「こいつについては俺もよくは知らないんだ。
突如として闘技場に現れて巧みな技で勝ち進んだ戦士としか………。
見た目は………白髪だし大分高年齢だとは思うんだがなぁ。」
「結局はバルツィエの関係者なんだな………。」
「そうだ。
………今は確かな実力があることしか教えられんな。」
「………でもバルツィエじゃないんなら一度会って戦ってみたいな。」
「剣術だけならバルツィエをも凌ぐと言われる男だ。
お前ですら敵うかな?」
「そんなものはやってみなくちゃ分からないだろ?
強いってんなら俺だって「ちょっと!!」」
「男子達ッ!!
タレス君がこんな状態の時に何下らない話してるの!!?」
「………」フラフラ…
「今はタレスの精神上そういったお話は控えていただかないと………。」
「そうだった………。
すまん………。」
「ごめん………。」
「まったく………、
これだから男子は…!
こんな物騒な場所見つけたら直ぐ誰が強いだとか自分なら勝てるだとかの話になるんだから!
そんなことどうだっていいでしょうが……!」
「そう無理もない話なのかもしれませんよミシガン。
闘技場というのは男性にとっては憧れるような場所のようですから………。」
「けどアローネさん!
何もこんな時にそんな話しなくてもよくない!?
タレス君がこんな不安定な時にそんなモンスターを捕まえてきたとかさぁ!?」
「…人が創る時代にはこういった施設が建てられるのも人の文化と言うものですよ。
……ウルゴスでもこのような闘いを見世物にした施設がありました。
ウルゴスのものは罪人同士を殺し会わせるものでしたが………。」
「も~う!?
アローネさんもあの二人と同じなのー!?」
「すっ、スミマセン…!
私の家系もこういう施設に縁ある家系でしたのでつい………。」
「………その少年を休ませるのではなかったのか?」
王都セレンシーアイン 西区 闘技場地下
「………ここからが我等の秘密の隠れ家だ。」ガガッ!
「闘技場の地下に更に階段が………?」
「こんな場所に街の人達が住んでいるのか………?」
「うむ………。
決してモンスターやヴェノムに見付からぬためにな。」
「…どうりで地上に人が誰も見当たらない訳だ。
まさか地面の中に移り住んでいたとはな………。」
「どうしてこのような場所へと移ることになったのですか?」
「それは族長のもとへと案内してから話すことにしよう………。」
「族長?
貴方は………?」
「先程も申した通り我は族長代理だ。
部族を纏める族長の身に危険が及ぶのを防ぐため地上の様子を見に行くのは我の仕事となっている。」
「族長って………スラート族の?」
「そうだが何か?」
「ここって………王都なんですよね………?
と言うことは王様がいらっしゃるのでは?」
「………」
「………スミマセン、
お聞きしてはいけないことだったよう「王は」」
「もうこの国にはいない………。」
「!?
それは………!」
「王様がいないって…!」
「まさかダレイオスの王が暗殺にでも………!?」
「そうではない。
ダレイオスで即位されていた王は今もご健在だ。
その王こそが我等の族長だ。
族長は生きていてこれから案内するところなのだ。」
「?
でしたら何故王ではなく族長とお呼びするのですか?」
「マテオに対抗するためにダレイオスは九の部族を一つの国として建国したと言うのは知っているな?」
「えぇ、
直前にタレスから聞きましたけど………。」
「ダレイオスの王はその九の部族を一つに纏めあげた我等スラート族の族長の血族から即位させていたのだが………、
今ダレイオスの部族は数年前に出現した“九のヴェノムの主”によってそれぞれの部族が根絶の危機に陥りこの街に滞在していたスラート族以外の部族は己が部族の地へと帰郷していった。
ここに残っておるのはスラート族のみとなる。
故に族長もダレイオス国の王という任が自動的に退位することとなったのだ。
ダレイオスは事実上一国としての機能を失っておる状態なのだ。」