テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ダレイオスが降伏を決めたのはどうやら過去に存在した都市が関わっているようだが………。
スラートの地中都市シャイド 族長邸
「ゲダイアン………?」
「ダレイオス一大きな都市でな。
かつてはゲダイアンがこの国の首都だった………。
今や見る影もなく荒れ地と化したのだが………。」
「西にあった都市で………荒れ地になった………。
そこって………!」
「レイディーが私達に帰る際はそこを通れって言ってた西の荒野のことじゃない?」
「その荒れ地と言うのは………マテオの世界地図にも乗ってるこの地図のこの辺りのことか?」ピラッ
「ほう………。
マテオではダレイオスの地も地図に乗っておるか………。
………そうだ。
この辺りだ。
このダレイオスの約三分の一を占める荒野の中心にゲダイアンがあった。
このゲダイアンを中心にしてバルツィエが大火力魔術を放ちこの地方は荒野へと変わったのだ。
………あんな魔術を見せつけられてはダレイオスに勝ち目はない。
だから我等スラート族はマテオに対して抗わずに降伏することを決めたのだ。」
「バルツィエの大火力魔術………?
そんなものがあるとは聞いたことがないぞ………。
それに二十年前………?」
「あのバルツィエの方々は常人と比べても桁違いの魔力を持っています。
それに加えてこのような………大陸の一帯を荒野へと変えてしまうような魔術があるのではとても抗うことなど………。」
「その大火力魔術って人一人が放つ魔術だったんですか?」
「それを詳しく知るものはもうおらぬ。
あの大魔術を放たれた際に近場におったものは皆被爆し爆破を逃れた者もとんでもない光に街が包まれたと言い残しその後死に絶えた………。
あの魔術の恐ろしいところはあの魔術の光を浴びた全ての生物を死の呪いにかけるところだ。
光を少しでも浴びたらそこから体を蝕みやがて全身に巡り最期には死を迎える………。
まるでヴェノムが光となって襲い掛かってくるようなものだった。
その後もあの荒野へと足を踏み入れる者は同じ呪いにかかる。
あのゲダイアンがあった都市周辺は今も死の都として死を振り撒き続ける恐ろしい土地となっている。
………もしあの大火力魔術が今度はこの東側へと放たれれば………、
ダレイオスは死の大陸へと変えられてしまうだろう。
だから我等スラートはマテオと争うことを放棄したのだ。
スラート一族が一人残らず滅ぼされぬようにな………。」
「降伏についてはスラート一族一同が納得した上での決断だ。
皮肉な話になるが他の部族達がこの地を去ったのもあってこの総意で可決した。
他の部族は降伏せずダレイオスでマテオを迎え撃とうとしている部族と我々のようにマテオに降伏をしようとする部族の二つに別れたが今はどの部族もここと同じように隠れ潜んでいるだろう。」
「それは地上から話に出ていた“ヴェノムの主”とやらが出没しているからか?」
「あれってそんなに危険なの?
確かに手強かったけど………私達で倒せたくらいだしダレイオスの人達が本気を出したら倒せそうじゃない?」
「………ソナタ等はマテオからの来訪者であろう?
ダレイオスがヴェノムをどのようにして駆逐しておるか分かるか?」
「ダレイオスの人達が………?
……………ワクチンとかも無いって聞くし普通に穴とか掘ってそこへ誘導して飢餓するのを待つだけじゃないの?」
「そう、
我々はマテオのような高い科学力や薬学を持たぬ。
ヴェノムが出現したらダレイオスでは魔術で穴を掘りそこで奴等が死ぬのを待つしかない。
ダレイオス全土がその方法でしか倒せないのだ。
しかし奴等の増殖はそれだけでは止まらぬ。
ヴェノムはあらゆる生物へと乗り移っては増え生息地を広げていく。
いくら倒しても奴等が増えるのをダレイオスは止められぬのだ。
時折ヴェノムを退治しに向かった者でさえ帰ってくる頃には同じくヴェノムに成り果てる始末………。
………そこへ来てあのヴェノムの主の出現………。
奴等の機動力を持ってすれば我々ダレイオスの穴堀など階段の段差をかけ上るかのように越え出てくる。
あれらをイチかバチか大穴へ落とし飢餓させようとして編成し出撃した我がダレイオス軍が何度全滅させられたことか………。
その軍ですら他の部族達が帰途したことで瓦解した………。
後にヴェノムの主にはヴェノムの常識が通用しないことが発覚したことが一国として統一されていた部族達の再分裂の決め手となったのだ。」
「我等ダレイオスは何処へ行っても安全な地など存在しない。
頼みの綱のクリティア族ですらヴェノムの研究を途中で投げ出す程にヴェノムの生態の研究が難しいものらしい。
ダレイオスは何もかもが詰んでおるのだ。
マテオのような科学技術、軍事力、薬剤学でも無ければ戦争を再開したとして勝ち目などない。
これがダレイオス国家延いてはスラート族の総意だ。
勝てない勝負に挑み続ける精神などあるだけ無駄なのだ。
ダレイオス一の戦闘部族スラートですらも上には上がいると言うことはこの百年で十分に身に染みた。
例え善戦したとしても失うものが多すぎる。
それでは何の意味もない。
戦って得るものが何もないのなら我等はどのようにすれば少しでも永く種が存続し続けられるか………
それは………、
敗北を認めそこからどう勝者マテオに服従できるかをただ考えるだけだ。」
「「「「………」」」」
「戦えば敗北は確実。
なら服従の道ならば種の根絶だけは防げる。
我等がスラートが生き残る道はその服従の道ただ一つだけだ。
このままダレイオスとマテオの沈黙が長引くだけ我等にはどんどん事態が悪くなる一方………。
片やマテオはつい先日になるがアイネフーレ族が構えていたダレイオスとマテオの国境沿いの砦にて大規模な魔術攻撃がマテオから放たれたようだ。
ソナタ等の話ではもうマテオはダレイオスへと進軍は間近へと迫っておるのであろう?」
「マテオが大規模な魔術攻撃を………?
そのような話ならレサリナスで俺なら聞くとは思うが………。
そんな攻撃は開始されてはいなかったぞ?」
「そんな筈はない。
現に………、
トリアナス砦からマテオまでにあった大陸と大陸を繋ぐ道が粉々に粉砕されておったからな。」
「「「「!!?」」」」
「放たれた魔術は恐らくゲダイアンを攻撃した魔術とは別種のものだとは思うがあれによりダレイオスは完全に陸路での活路を絶たれた。
基よりダレイオスには戦う意思はないがこれでは降伏を示そうにもあちら側から出向いて来てもらう他ない。
我等ダレイオスは二十年前から幾度となく降伏の意を示そうとマテオに白旗をあげてはいるが近場まで我等が出向くとたちまちバルツィエの魔術で撃退されて来た。」
「そんな前からダレイオスはマテオに降伏しようとしていたのか………。
だが降伏して終わるような話だと思っているのか?
マテオは………、
バルツィエは建国当初の小国時代からずっと敵国を殲滅して大きくなっていった連中なんだぞ?
バルツィエは降伏を受け入れたとしてもその相手側の王や民族の長の家は例外なく処刑してきた。
…となると族長の命は………。」
「それも覚悟のうちだ。
スラートが滅びぬためなのなら余の命、
喜んで差し出そうぞ。
それで部族がヴェノムの脅威から逃れられると言うのならな。」
「それがどういうことになるのか分かっているのか?
ヴェノムから逃れられたとしても今度は部族全体がバルツィエの奴隷として酷い扱いを受けるのだぞ?
そんなことでスラートが生き残ったと本当に言えるのか?」
「それでもだ。
生きてさえおればいずれは人は己の過ちに気付く。
バルツィエも世界を掌握してからいつかは改心する時が来るだろう。
一度バルツィエは過ちに気付きかけたのだ。
再び過ちの道を突き進んでおるのだろうがそれも時が来るのを待てば良い話………。
ソナタ等はダレイオスへと援軍に参ったそうだが遥々とこの地へ訪れたのに悪いが、
ダレイオス国家の降伏方針は変わらぬ。
ダレイオスは戦うだけが全てではないと悟ったのでな。
真に申し訳ないがそのワクチンとやらもソナタ等から受けとるわけにはいかん。
それを受け取ってしまえばマテオに反抗の意と汲まれるやもしれぬからな。」