テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
レーゲン海岸
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………………何だって………?
「…………………何を退治するって………?」
「だからヴェノムの主退治するんだよ。」
「………誰が………?」
「俺達が。」
「どうやってだ………?」
「普通に倒すだけなんだけど………?」
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………………こいつら何言ってるんだ?
「………お前ら気でも狂ってんのか?
ヴェノムの主がどんな奴なのか知ってて言ってんのか?
奴等はそこら辺のヴェノムとは違うんだぞ?
どれだけ腕に自信があるのか知らねぇが奴は不死身だ。
ちっとばかし強いだけの魔力じゃ刃なんて立たねぇんだぞ?
第一普通のヴェノムですら正攻法で倒せねぇんだ。
主を倒すとしたらこのダレイオスにいる全部族の連中を全員かき集めて対処するくらいしないと退治なんて無理だ。
バルツィエなら主を深い谷底とも呼べるような穴を掘ることもできるだろうがこの地方のミーアを悩ませている主は八本足の魔物クラーケンだ。
奴はこの星の反対側にまで届くような穴に突き落としたとしてもその八本の触手で這い出してくる。
………クラーケンは………恐らく全九体いる主達の中で………、
最悪に人の手に終えない悪魔だ。
バルツィエ一人とその他たった四人でどうにかなる相手じゃねぇ。
戦おうとしたところで戦いになんかなりやしねぇんだよ………。」
「そんなにヤバイ相手なの………?」
「当たり前だ。
奴の巨体とそのしなる触手だけでも人類が立ち向かえる相手じゃないってのにヴェノムの感染攻撃まで備わってやがる。
マテオのバルツィエの連中がここ数十年何故この海域から船で攻めてこねぇか分かるか?
連中が攻めてこねぇのはこの海にクラーケンが出現するようになったからだ。
クラーケンはヴェノムになる前からダレイオスでも漁に出た船を何隻も沈めてきた海の怪物だ。
あれに興味本意で退治しにいくつもりなら止めといたほうがいいぞ。」
「俺達のことを信用はしていないと言っていたが心配はしてくれるんだな。」
「案外いい人なのかな?」
「………このダレイオスでは誰がいつヴェノムに感染して死ぬか分からねぇ。
終末の話が現実的に近付いてきてるから生きてる奴は一人でも多くいた方がどっかで拾い物でもあったらもうけものだろ。」
「ふぅん………?
………それでそのクラーケンはどこにいるの?」
「話を聞けよ!?
ヴェノムの主に会いに行ったところで返り討ちにあうって言ってんだろ!?
だいたい何でヴェノムの主を退治できるなんて思ったんだ!!
ヴェノムの主は出現してからまだ誰も一体すら倒すことが出来てねぇんだ!!
実質奴等を退治するのは不可能だってことが国が崩壊して無くなったセレンシーアイン政府の最終結論に至って「倒した。」…………………。」
「俺達は何も興味本意ってだけでヴェノムの主を退治しにいこうとしてるんじゃない。」
「………だったらなんだってヴェノムの主なんかに………。」
「私達は先日ここから最北端にある………あったトリアナス砦を経由してマテオからダレイオスへと渡ってきました。」
「…まぁ、そこしか今のところ入国する方法はねぇからな。」
「今はもうその方法を使ってダレイオスとマテオは行き来できませんけどね。」
「………?
何でだ?
お前らが渡ってきたからマテオの警備が厳しくなったのか?」
「トリアナス砦からマテオに続いていた海道はもう無くなっちゃったんだよ。」
「海道が無くなった………?」
「あの隕石の衝撃はここまで届いて無かったのか?
その海道はとある事情で爆破されマテオとダレイオスは完全に分断されたんだ。」
「爆破だって………?
………そういや三週間ぐらい前の夜に遠くの方からデカイ轟音とデカイ地震があったがそれが関係してんのか………?」
「多分それだね。
俺達はその現場に居合わせたんだ。
そしてそこからダレイオスを探索してたんだけどダレイオスのどの街を廻ってみても誰もいない無人の村や街しか無くてどうしようか迷ってた時に………、
この国の元王都セレンシーアインでブルータルって言うヴェノムの主と出会ったんだ。」
「………そうだな。
スラートやアイネフーレ達のいる所は確かヴェノムの主の一体のブルータルが徘徊していたらしいが………。」
「俺達はそこでそのブルータルを倒してきたんだよ。」
「そうか…ブルータルを倒してここに………、
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…………………………………………………………あん?」
「ブルータルを倒したその翌日に様子を見に来たスラート族と出会って「待て待て!ちょっと待て!!?」」
「ブルータルを倒しただと!!?
いきなり話がすっ飛んだぞ!!?
お前らがブルータルを倒したってのか!!?」
「さっきからそう言ってるんだけど。」
「デタラメ言うんじゃねぇよ!!
お前らがどうやってブルータルを倒したってんだ!!
奴の毛皮の装甲は鉄並に硬い上に馬なんかよりも機動力が高く力もギガントモンスターってだけあってドラゴン級だ!!
おまけにヴェノムに侵食されてからは痛覚も失って一度遭遇したら絶対に追い払えずに地の果てまで追い掛けてくる死神のような亡者だ!!
それと出会って生きてるってだけでも奇跡みたいな話なのに倒しただと!!?
そんな話あり得るか!!」
「…では何故俺達がヴェノムの主なんて言葉を知ってると思う?」
「どうせスラートの連中に会って話だけ聞いて興味が湧いて見に行きたいってだけなんだろ!?
死滅しないヴェノムってのも珍しい種だからな!
本当はブルータルにも遭遇したりしてないんだろ!?」
「もしそうだったのなら私達はクラーケンの前にブルータルを探すと思いますが………?」
「!
………そうだな。
ヴェノムの主に会いたいのならそのまま北東の主に会えばいいだけの話だが………。
………だがブルータルを倒したって話は納得できねぇ!
奴はヴェノムなんだぞ!?
いかにバルツィエの力があったとしてもアイツ等の肉体には天然の“リジェネレイト”が付与してる!
どんだけ攻撃しても忽ちに傷が治っちまう!!
お前らどんな手品で主を倒したってんだよ!?」
「う~ん………、
説明したいけどちょっと面倒な話なんだよなぁ………。」
「私達にはヴェノムを浄化する能力が備わっているのですよ。
所謂“ヴェノムキラー”と言ったところでしょうか………。」
「ヴェノムキラー………?」
「ボク達の攻撃はヴェノムに通用するんですよ。
通常攻撃でも魔術でもボク達がヴェノムにダメージを与えればそれでヴェノムが倒せます。」
「ヴェノムを倒す………?
通常攻撃でだと………?
馬鹿な!!
そんなこと不可能だ!!
奴等通常の飢餓して死滅する種だけでも触れること事態が自殺行為なんだぞ!!
武器なんかで攻撃しても武器が溶解して体液に触れるだけで攻撃した側が逆に感染して死ぬだけだ!!
奴等にまともに敵う奴なんかいる訳がねぇ!!」
「そんなモンスターに俺達がこうして会いに行こうとしてる時点でおかしいと思わないか?
何かしら俺達に手があると普通は予測が立てられそうなものだが………。」
「………お前らは何でヴェノムの主を倒そうとしてるんだ………?
ダレイオス最強の“サムライ”ですら倒すことを諦めた相手なのに………。」
「俺達はその最強のサムライ、
オサムロウさんに依頼されてこの地方まで来たんだよ。」
「サムライが………?
何のために………?
ブルータルさえ倒したのなら奴等にはこの地方がどうなろうと関係無いだろ………?」
「ダレイオス再建のためですよ。」
「………ダレイオス再建のため………?」
「そう、
俺達は俺達の村のためにダレイオスが国としてマテオと戦えるところまで復活してもらわないと困るんだ。
だからこの地方までヴェノムの主を倒しにやって来た。
ヴェノムの主を全部倒して散り散りになった全部族を再集結させて………、
ダレイオスをマテオに勝たせるために。」