テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カイクシュタイフ洞窟 中枢
「…どうするの?
相手が地面の中から出てこないと勝負は着かないよ?」
「とにかくシーグスだけでもここから脱出させよう。
俺達と一緒にいてはまた奴の触手に捕まってしまう。」
「それではもと来た道を引き返すのですね。」
「そうするしかなさそうですね。
カオスさん、
シーグスさんを任せてもいいですか?
脱出するまでヴェノムはボク達で退けます。」
「あぁ、
多分俺が一番シーグスさんを抱えてても負担にならないから皆で入り口まで戻ろうか。」
「よし、
やることは決まったな。
俺が先導して………!?」ボコッ………
グワンッ!!
ザシュッ!!
「触手がまた…!?」
「ここまで追ってきたか………。
奴め、
俺達を逃がしてはくれないらしい。」
「どうして触手だけでここが分かったの!?」
「シーグスさんがヴェノムは生物のマナを広範囲にわたって感知出来ると仰っていました。
この洞窟の中にいる限り私達はクラーケンに感知され続けるのでしょう。」
「ここに入った時からクラーケンにはボク達が来たことは分かっていたんですね。」
「…のんびりとしてられないなこれは………。
早くこの洞窟を出ないと触手に捕まってしまう………。」
「次の触手が来る前に行こう!
ここにいても安全にはならないんだ!
シーグスさんさえ脱出させれば後はあいつを倒すだけなんだから!」
「………倒すことが出来ればいいがな………。」
……………………………………………………………………
「瞬迅槍ッ!!」ザシュッ!
ボトッ………
「この先が出口だ!
走れカオス!!」
「あぁ!」ダッ!
ボコッ!シュルシュルシュル………パシッ!
「!?
しまった…!?」
「そうは………させません!!」ザスッ!!ボトッ……
「有り難うタレス!」
「いえ、
それよりもシーグスさんは……!?」シュゥゥゥゥゥ…
「また触手に触れてしまったようですね。」
「またなの!?」
「急いでワクチンを投与しましょう。」「待て。」
「……ワクチンの錠剤はあといくつある?」
「………後二つで最後です。」
「二つ………か。
もうそこまで減っていたんだな………。」
「どうしたの!?
早く飲ませないと!」
「………少し待ってくれ。」
「こんな時に何言ってるんだよ!
早く治さないとシーグスさんが死んじゃうぞ!?」
「………………俺達はどうしてもこのワクチンを残しておく必要がある。
これが無ければダレイオスの連中に拡散する術が失われてしまうからな………。」
「そうですけど………、
ワクチンは残り二つですよ?
今ここで一つ使用しても残りがまだ「二つあるならもしもの時用にとっておくべきだ。」」
「ワクチンの量産にサンプルが一つだけで足りる訳がない。
全くワクチンの情報が無い者達にこれを渡すんだ。
技術的にもマテオに劣る者にワクチンを渡すのならもしもの場合に備えて二つは確保しておきたい。」
「………じゃあシーグスさんはどうするの………?」
「………」
「………まさかこのまま見捨てるとか言い出さないよな?」
「………」
「………え?
………ウインドラ………?」
「………」
「シーグスさんは自ら付いてきたとはいえ私達が巻き込んだのです。
見捨てるなど出来ませんよ。」
「………」
「…何か他に方法があるんですか?
シーグスさんを助けられる方法が。」
「………」
「どうなんだウインドラ!
見殺しにするとか言い出すんじゃ「方法なら一つ心当たりがある!」!」
「………方法があるのか?」
「ワクチンを使用せずに彼を救う方法が………?」
「…ヴェノムに接触した場所を斬り落とすとかですか?」
「え!?
そんなグロテスクなことするの!?」
「誰もそんなことは言ってないだろ………。
……一般には命が助かるならその方法でも実行する奴はいるがな………。」
「…その方法ではないのですね………。
ではどのような方法でシーグスさんを………?」
「この方法はどちらかと言うとお前達の方が詳しいだろう?」
「………それって……!?」
「カオス………、
お前がシーグスを救うんだ。
お前が………、
タレス君を救った時のように治療魔術でシーグスの中のヴェノムウィルスを浄化するんだ。」
「………俺が………?」
「確かにタレスの時にもカオスのおかげでタレスを救えました。
今度も同じように…!」
「そうだよ!
私達の能力だってもとはカオスと精霊の力だもん!
カオスの力ならシーグスさんも助けられるよ!」
「カオス頼めるか?
俺達にはマナを込めた攻撃でヴェノムを祓う力がある。
それならマナを込めたファーストエイドでシーグスを回復しつつヴェノムも取り払えると思うんだが………。」
「この中ではカオスが最も高い魔力を保有しています。
カオスの術ならシーグスさんを回復するだけではなく抗体も作り出せる筈です。」
「でもボク達の能力は殺生石の精霊によればもう他の人には譲渡できないと言われたのでは………?」
「俺達が殺生石の精霊に与えられた力は二つ。
一つはヴェノムが効かない力、もう一つがヴェノムを倒す力。
精霊が語りかけてきた時に言っていた鍵はその後者のことだろう。
………ミストの村ですら感染に抵抗のついた者達ばかりだ。
それくらいの力だったら世界に蔓延るヴェノムを浄化する力にはならない。
奴の言う鍵には足り得ない程度の力の筈だ。」
「………」
「お願いしますカオス。
シーグスさんをタレスを救ったときのように救ってあげてください。」
「もうカオスしか助けられる人はいないんだよ。
さっき私も一応ファーストエイドはかけたんだけどウィルスを除去することは出来なかったの。」
「………………ッ…!」
「…急いでウィルスを無力化しないとシーグスさんが手遅れになってしまいますよ。」
「やれるだけやってみてくれ。
ワクチンをここで二つとも失ってしまえばダレイオス復興に大きく時間の遅れが生じてしまう。
主を倒しきったとしても直ぐにダレイオスからヴェノムが無くなるわけではないんだ。
バルツィエ達が攻めてこない内にダレイオスを復興させるにはワクチンも主退治も部族の再統合も何一つ時間をかけすぎてはいけない。
今ダレイオスとシーグスの両方を救うには………、
お前の力が必要なんだ。」
「………………………分かった。
やってみるよ。
俺なんかの力で誰かが救えるなら救って見せる………。」
「カオス……!」
「ファーストエイドのやり方は知っているよな?
トリアナスで俺達に使った時はの記憶が無いようだが………。」
「カオスならちゃんと出来ますよ。
私と一緒にタレスを治療したのですから。」
「大丈夫だよ。
呪文の詠唱なら昔からいつ出来るようになってもいいように復習してきたから、
………それじゃあ………。」
「………ぅ………くっ………。」
「………『癒しの加護を我らに………』」パァァ…
ゾワッ………
「…!!」パァァ…
「カオス?
どうなさったのですか………?」
「ファーストエイドをシーグスにかけるんだぞ?
この距離で動かない相手に外すんじゃない………。」
「ここでもノーコン発動なの………?」
「流石にこんなに近い相手に術を外すことは無いでしょう。
カオスさんが自分で反らしたんですよ。」
「だから何故反らすんだ………?
シーグスを治療しなければならないんだぞ。」
「カオス………?」
「………出来ない………。」
「「「「………?」」」」
「………俺には………シーグスさんを治すことなんて出来ないよ………………。」