テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カイクシュタイフ洞窟 中枢
………治療魔術ファーストエイド…………、
今まで他人の見よう見まねでタレスを治す時にアローネと一緒に使った一回きりしか使ったこと無いけど今の俺なら………。
………大丈夫だ、
今の俺なら使える………。
ダレイオスに来て皆に甘えているだけじゃ誰も守れないって分かったんだ。
俺が素直に魔術を使っておけばトラビスさん達は………。
………だったら俺は今度こそ魔術を使う。
使いこなして皆を守る。
そしてウインドラ達だけじゃない、ウインドラやタレス達の大切な人達を守るんだ。
俺がこの力を使いこなせばもう誰も死なせたりは………、
『………またワシが屠らねばならぬのか………』パァァァァ
!?
「………」パァァ
「カオス?
どうなさったのですか………?」
「ファーストエイドをシーグスにかけるんだぞ?
この距離で動かない相手に外すんじゃない………。」
「ここでもノーコン発動なの………?」
「流石にこんなに近い相手に術を外すことは無いでしょう。
カオスさんが自分で反らしたんですよ。」
「だから何故反らすんだ………?
シーグスを治療しなければならないんだぞ。」
「カオス………?」
「………出来ない………。」
「「「「………?」」」」
「………俺には………シーグスさんを治すことなんて出来ないよ………………。」
「カオス?
どうしたんだ?」
「何か問題が発生したんですか?」
「早くしないとシーグスさんが……!?」ジュゥゥゥ!!
「ジュゥゥゥ!!」
「ヴェノム……!
このヴェノムは私達に任せてカオスはシーグスさんを!」「ファーストエイド!!」パァァ、ドゴォォォォォォッ!!
「ジュゥゥゥ………」シュゥゥゥゥゥ………
「「「「!?」」」」
「………やっぱりだ………。
俺にはシーグスさんを治せない………。」
「ファーストエイドでヴェノムを………浄化した………?」
「治療魔術で攻撃したの………?」
「そんなことってあるの……!?」
「こんなものを喰らったらシーグスさんがヴェノムと一緒に消されてしまいますよ………。」
「…俺の魔力が溢れだしそうなくらい大きくなっていってる………。
大きくなってる分コントロールがどんどん難しくなっていってる。
攻撃するだけならマナを放つだけでいいけどこの力で治療するなんてそんな複雑なこと俺には出来ないよ………。
俺は今までこの力を…、
破壊以外に使ったことが無かったから………。」
「でっ、でもタレス君はその力で治せたんだよね!?
どうして今回は駄目なの!?」
「…マナが膨大過ぎるからか………。」
「マナが膨大過ぎるから………?」
「カオスが使用しているマナは本来殺生石の力から来るものだ。
カオス生来の物じゃない。
他者が発するマナは元々本人以外には使いこなすことなんて出来ないんだ。」
「それってどういうこと………?」
「トリアナスで殺生石の精霊が目覚めるまでの間はマナが微細なものだったから制御することも出来たんだだろう。
しかしトリアナスで殺生石が目覚めたせいでカオスの中のマナは異常なまでに膨れ上がっている。
それこそ人の器に収まりきらない程にな。
そんな今にも溢れだしそうな状態のマナを自分の意思で自分の使いたいだけ使うように制御することなんて出来ないんだろう。」
「(人の器に収まりきらない………?)
ですがそれですと今のカオスは………!?」
「器いっぱいにマナが溜まっているんだ。
下手にマナを解放すれば意図しない勢いでマナが飛び出すだろう。
例えば今みたいに治療魔術を使ったつもりがそれ以外の暴発を誘発するような………。」
「……!!」
「じゃあどうやってシーグスさんを助ければいいの!?
ワクチンを使うしか手が無いじゃない!!」
「…使うしか無いのだろうな………。」
「でもそれはウインドラさんが今言ったばかりじゃないですか。
ワクチンを量産するためにサンプルは多いに越したことはないと。」
「最終手段を取らざるを得ない状況に陥ったんだ。
使う以外にはどうしようもないだろう。」
「………使わずにすむ方法がありますよ………。」
「!」
「本当!?」
「どうするのですか!?」
「シーグスさんを見捨てれば使わずに済みます。」
「………何を言ってるんだよタレス………。」
「どうしてそうなるのですか………!?
シーグスさんを見捨てるなんた出来る訳が「どうせいつかは皆死ぬ運命にあったんです。」…!」
「このままボク達が何もしなければこの人もどこか別の場所別の死に方があった筈です。
ダレイオスは今ですらボク達がヴェノムやマテオに殺られないように動いてはいますがそれが無かったらただ殲滅されるのを待つのみの人達ばかりです。
………それだったらここでこの人を見捨てたとしてもボク達には何の責任もありませんよ。
この人はただボク達に勝手に付いてきて勝手にドジを踏んだだけなんですから。」ガッ!
「子供だからって言っていいことと悪いことがあることも知らないのか………!?」
「………落ち着いて下さいよ。
ボクは冷静に今後のことを考えたらここでこの人を見捨てた方が得策だと言ってるんです。
ボク達にはワクチンを消費する余裕なんて無い。
現実化出来るか分からない賭けの最中に余分な消費は避けなければならないんですよ。
そのワクチンが大量にあるのなら余ってる分をそこら辺に誰かに分け与えたりすることもいいとは思いますがこの人を今ここで助けたところでワクチンを欲する人は他にも沢山出てきますよ?
目の前で一々感染した人を救っていたらワクチンなんていくつあっても足りなくなりますよ?」
「…!!」
「……タレス君って………冷たい子なんだね………。」
「なんと言われようと構いませんよ。
ボクは大局を見て言ってるんですから。
………それよりもいいんですか?
ここでワクチンを使ってしまってワクチンが量産することが出来ないとなればダレイオスが再興するのに時間がかかってしまってその間にバルツィエが攻めてきてマテオが勝ちでもしたら………、
ウインドラさん達が守りたかったミストも占領されてしまうかもしれないんですよ………?」
「「………」」
「大多数のために少数を切り捨てることなんてよくある話ですよ。
このダレイオスだって一枚岩ではないんです。
………数年前のバルツィエ奇襲でダレイオスはやり返しもせずに泣き寝入りしてアイネフーレを無駄に犠牲にしたんですから、
………たまたま都合よく助かるなんて許せない………。」