テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カイクシュタイフ洞窟 中枢
「………それで地面の中からクラーケンの触手が出てきたのか………。」
「野生のモンスターだし何考えてるか分からなかったけどあれってクラーケンが自分で地面の中に潜ってたんじゃなかったんだね…。」
「でもクラーケンは何でまだ地面の中にいるんだろ………?
あれだけ触手を自在に動かせるんなら土をどかして這い出せそうなものなのに………。」
「………クラーケンはな……… 。
地上で他の人やモンスター襲ってた時も頭の部分はあまり移動しなかった。
あの長い八本の触手で獲物を捕らえりゃ頭はその場から動く必要がねぇからな。
アイツが移動するときは………周囲に獲物がいなくなった時だけだ。」
「手を………触手を伸ばせばエサとなるモンスターが近くにいるからクラーケンは今でもあの地の底に埋まり続けているのですね。」
「土の中でどうやって息をしているのか謎でしたがよく考えてみれば生物の形を保っているだけで中身はヴェノムウイルスで異形化した不死身の怪物でしたよね。
三ヶ月土の中に埋まっていても行き続けられる訳です。」
「………シーグス。」
「………何だよ………。」
「俺達はあのクラーケンを討伐する。
………だが奴を仕止めるには情報が足りなすぎる。
俺達はまだ主と相対して二度目だ。
前のブルータルは手こずりはしたがなんとか倒せた。
しかし今度のクラーケンは前のブルータルとは違い俺達がいくら触手を斬り落としても触手が再生するようなんだ。」
「まるで無限に回復する敵を相手にしているようでしてこのまま戦い続けても一向に状況が好転するとは思えません。」
「ブルータルを倒した時は特に攻撃したヶ所が再生するようなことはありませんでしたが今回は触手が次々と地に潜っては傷を治してまた出てくるんです。」
「いっそのこと地面を掘り返してクラーケンを直接攻撃したいんだけどあんな洞窟の奥で地を掘り返すような魔術は使えないらしくてね。
どうしようもないの。」
「無限再生する触手と地の底から出てこない本体………。
この二つをどうにかしないとクラーケンが倒せないんです。」
「………傷が治るのなんて当然じゃねぇかよ。
相手はヴェノムだぜ……?
それもヴェノムの中でも進化した種だ…。
倒すことなんて考えずに諦めるのが普通なんだ………。」
「その進化した種の一体を俺達は倒してるんですよ。
だから今回も多分倒すことは出来る相手なんです………。」
「スライム形態に変化せずに元のギガントモンスターの特徴でいるなら対処法だってある筈なんですよ。
けどボク達は元のギガントモンスタークラーケンを全然知りません。
クラーケンが元々この付近に生息していたギガントモンスターなのなら………ミーア族の貴方なら何か攻略する糸口を思い付きませんか…?」
「何でもいい。
俺達は奴の頭の部分が出てきさえすればそこを叩いて倒す。」
「ミーア族もクラーケンに困ってこんなとこに放り捨ててたんでしょ?
だったらアンタも何かアイツを倒せる作戦を考えなさいよ。」
「………お前らは本当に殺るつもりなのか………?
あのクラーケンを………。」
「そうでなくちゃ………こんなところまで来ないですよ。」
「………………」
「何かないか………?
スーパースターのようにあの再生する触手を封じることが出来れば奴も土の中から出てくる筈だ。
土の中から出てきさえすれば後は俺達でクラーケンを何とかする。」
「…奴を地面の中から引っ張り出せればいいんだな………?」
「そうです、
そこからは私達の仕事です。」
「…………………………………………………………………
……………分かった、
俺もお前らがアイツを倒せる作戦を考えてるよ。
俺達ミーアだってアイツを倒せるのなら倒してほしい………。」
「「「「……!」」」」
「シーグスさん!」
「ただし………俺達ミーア族もクラーケンを倒すことを諦めたような連中だ。
お前らの役に立つかなんて高が知れてる程度だろうよ。
………俺がお前らと組んだところでどうにか出来るだなんて保証はできねぇ………。」
「協力的になってくれただけでも心強いですよ。」
「………あと戦闘に関しては俺はお前達と並んで戦えるだけの力は持ってねぇ。
俺に出来るのはこれまでのクラーケンの特徴を伝えることぐらいだ。」
「それだけで結構だ。
…それでクラーケンの情報は………?」
「…つってもなぁ………。
お前らが見た通り奴は不死身の怪物だ。
俺達ミーアがどれだけ火力を集めて攻撃を重ねても再生するってことは同じだ。」
「そう、
私達もその再生するのが厄介でどうにかしたいの。
あの再生って無限に出来るの?」
「あぁそうだぜ。
アイツは殺されない限り肉体が無限に再生する。
元がクラーケンでベース自体が再生能力が高い海の軟体生物だ。
スーパースターとまではいかないだろうが奴の再生能力は主の中でもピカイチだ。」
「じゃあどうやって土の中から引っ張り出せば………。」「だが奴の再生は無限のようで無限なんかじゃねぇ。」
「?
どういう意味ですか………?」
「俺と俺の仲間達の攻撃じゃ奴には歯が立たなかったから断念したがお前達になら奴を倒しきることが出来るだろう………。
ヴェノムとはいえ奴も見た目以上の質量がある訳がねぇ。
触手を切断していけば必ずその部分に使う細胞は体の他の部分から補って再生する筈だ。
切り崩していけば確実に縮小化していってやがてそこらのモンスターと同じくらいに小さくなるまでに至る……。」
「クラーケンを小さくすることが可能なのですか…!?」
「別におかしな話じゃない。
ヴェノムに感染した生物は生物として存在が不安定な生き物になるんだ。
ゾンビの時にエネルギーの供給が間に合わなければ自身の肉体を代わりにエネルギーとして使って食い繋いでいる………。
“オートファジー”って言われるどんな生物にもある食の供給が途絶えた時に起こる現象らしいがそれが起こったら生物は飢えながらも己の肉体を食って生命活動を維持するんだ。
………ヴェノムウイルスはそのオートファジーを極限にまで高め過ぎて体の中の消化酵素がとてつもなく強くなりすぎて胃液から何から何もかもが感染者の肉体を溶かしスライムのような姿の消化液の塊に変化させちまうっつーしくみだよ。」
「そのオートファジーとか言うのでクラーケンを小さくして弱ったところを倒すの………?
…でも私達さっきまで散々触手を斬り落としてったけど全然小さくなってってるような感じはしなかったけど………。」
「…お前達昨日主さえ倒しちまえばその周辺のヴェノムも共倒れしていくとか言ってたよな………?」
「…そうだな。
そうスラートのオサムロウ殿から言われたが………。」
「…そうだよな………。
ダレイオスにいる奴等なら全員そういうことを考えるよな……。
俺達ですらそうだったしな………。
………だがここにいるクラーケンは逆だ。
先にクラーケンの周辺にいる雑魚共から片付けなきゃならねぇ。」
「雑魚って……普通のヴェノムを……?」
「ヴェノムに限らずクラーケンの手の届く距離にいる生物全部をだ。
奴が無限に再生するのは触手が届く距離にいる生物やヴェノムを食って吸収して斬り落とされた触手の補填にしているからだ。
奴の周りにエサがちらついている状況じゃいつまでたっても触手が再生するのを止めることは出来ねぇ。」
「…………なるほど、
確かに俺達はヴェノムの主を倒せればそれでその地域のヴェノムを根絶することが出来ると思っていたせいでこの洞窟に潜む通常種のヴェノムは道なりに出てきたやつしか倒していなかった………。
………とすればこの洞窟にいるヴェノムやゾンビ達を全て倒しきれば………。」
「触手の無限再生を食い止めることが出来るんだな…!」
「だけどそれだと……クラーケンはどうやって地面の中から引っ張り出せばいいの?」
「それについては洞窟内のヴェノム達を倒しきった時点で解決しますよ。
そうですよね?
シーグスさん。」
「そうさ、
お前達が洞窟内の触手の届く範囲にいるヴェノム達を倒しちまえばクラーケンはエサを探しに動く。
あそこより深い地層にいる生物なんていねぇだろうから奴は地面から出てくるしかない。
地面から出てきた時、奴は一番近くにいる生物を狙う筈だ。
そこでお前達が張ってれば………。」
「クラーケンと漸く対面出来るということか………。」
「そうなる………。
俺達ミーアはそこらのヴェノムにすら敵わずに机上の空論止まりだったがお前達にならこの作戦が遂行出来る………。
クラーケンを………俺のダチ達の仇を討ってくれ………。
………頼む………………。」