テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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非力を嘆く過去

ミーア族の集落ヴァッサー 夜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………もう捜索は断念しましょう。」

 

 

 

「ミネルバ………。」

 

 

 

「夫は………シーグスはもう戻ってこない………。

 シーグスがあの連中を追って出ていってから今日で二日………。

 いえもう少しで三日目になろうとしている………。

 たった一人でこんなに長くまで帰ってこないと言うことは………彼等が私達の敵でシーグスを捕まえて連れ去ったのかそのまま殺されてしまったのか………彼等と関係ない場所でヴェノムに襲われてしまって帰れなくなったかしか考えられません………。

 これ以上の捜索は私だけでなく皆にも危険です。

 シーグスのことは………諦めてサンフへと帰りましょう………。」

 

 

 

「…本当に諦めてしまっていいのかミネルバ?」

 

「俺達のことを思って諦めるって言ってるなら気を使わなくてもいいんだぞ?」

 

「あの臆病者がそう簡単に捕まったりなんてしないだろ。

 きっとどこかで生きてるさ。」

 

 

 

「有り難う………。

 けどこれ以上この辺りを捜索して一昨日のようにモンスターやヴェノムに見つかって私達の住みかにまで押し寄せて来ないとも限らない………。

 一昨日はたまたまあの連中がアルラウネを撃退してくれたから良かったけどもしまた同じことが起こったら今度こそ………。

 …あの住みかだってそんなに快適じゃないんだから皆だってそろそろ疲労が限界の筈………。」

 

 

 

「それはそうだが………。」

 

「諦めるのは早すぎる………もう少し捜してみようぜ………。」

 

「そうだよ。

 まだ俺達だって諦めたくなんてない………。」

 

 

 

「………では今日は打ち切って明日もう一度捜してみましょう………。

 それでシーグスが出てこなければ皆も諦めて。

 この辺りはペリー達がクラーケンを命懸けでカイクシュタイフに追い詰めてくれたおかげで大分落ち着いてきたけどヴェノムが完全にいなくなった訳じゃない。

 ………せっかく彼等が命を張ってまで取り戻してくれた一時の安静を無駄にしてはいけないわ。

 数カ月前に比べてかなり数減ってしまった同胞をこれ以上私達のせいで減らすようなことはしたくないの………。」

 

 

 

「ミネルバ………。」

 

 

 

「………じゃあもうサンフの滝へ………!!」ドゴォォォォォォォォォォォ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ、何だ!?」

 

「南の方からだ!!」

 

「南って………クラーケンのいるカイクシュタイフの……!?」

 

「まさかクラーケンがもう出てきたのか……!?」

 

「そんな馬鹿な……!?」

 

「あの洞窟の奥底に閉じ込めればエサが無くなるまで当分は安全だっただろ………。

 それが何で………?」

 

 

 

「………クラーケンが出てきたってことはそのエサが無くなったってことでしょう………。

 

 

 

 とにかく貴方達はこのことを皆に知らせに戻って!!

 私は本当にクラーケンが這い出てきたのか見に行くわ!!」タッ!

 

 

 

「わっ、分かった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネーベル平原 南 夜 ミシガンサイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………これはダメだね………。

 

 

 

私じゃこれは避けられない………。

 

 

 

これで吹き飛ばされて終わり………。

 

 

 

私にはカオスのような強さがない………。

 

 

 

タレスのような身軽さもない………。

 

 

 

ウインドラのような頑丈さもない………。

 

 

 

アローネさんのような………思慮深さもなかった………。

 

 

 

………私にあったのはただ帰りたいって気持ちだけ………。

 

 

 

カオスとウインドラを連れ戻してまた昔みたいな日常に戻りたいって気持ちがあっただけ………。

 

 

 

そんな半端な気持ちで二人を追い掛けてここまで来たけど真面目に何かをしたかった二人と同じように上手くいくだなんて考えること自体烏滸がましかったんだよね………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私だってカオスやウインドラが頑張ってる間何もしてなかった訳じゃない………。

 

 

 

頑張ってる二人とせめて同じ地点で何かが出来るようになろうと村でも私は私なりに努力はしてたんだけどなぁ……。

 

 

 

………私には思い上がりだったみたい………。

 

 

 

あれだけ頑張ってても私は二人とは全然遠くにいる………。

 

 

 

近くにいても二人は………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全然………遠すぎるよ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秘境の村ミスト 七年前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父さん、

 私警備隊に入りたい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………何だ突然。

 急にどうしたんだミシガン………。」

 

「私警備隊に入りたいの!」

 

「どうして警備隊に入りたいんだ………?

 あれは村の男達だけでも十分なんだが………。」

 

「私強くなりたいの!」

 

「強くなりたい………?」

 

「そう!

 強くなってカオス君とウインドラを連れ戻しに行きたいの!」

 

「…あの二人はもう村には戻らないだろうな……。」

 

「………何で?」

 

「カオスは………村の皆と擦れ違いがあって戻れなくなったんだ………。

 ………ウインドラは自分から村を出ていったんだ。

 二人を連れ戻したところで二人の居場所はもう無いし………村の皆もそれを善く思わないだろう………。」

 

「何で!?

 お父さん言ってたでしょ!?

 二人があの日村の皆のために走り回ってたって!

 皆にそのことを教えてあげればいいじゃない!!」

 

「あの事件は………突発的にいろいろと起こりすぎた………。

 皆あれで深く傷付いたんだ………。

 あの事件のことは今でもまだ皆責任の行方を追い求めている………。

 その責任をカオスが引き受けてくれているんだ……。

 私達は彼の勇姿を汚すような真似はしてはいけない。」

 

「そんな難しく言うことじゃないでしょ!?

 ただ皆にカオスの誤解を解くだけじゃないの!!

 何でそれが出来ないの!?

 お父さん村の村長なんでしょ!?

 一番偉いんでしょ!?

 だったらいい加減に皆にカオスのことを許してあげるように皆に言ってよ!!」

 

「村長と言っても私はこの村の皆を臨時の際に代表して方針を決める程度の立場でしかない。

 私には村の皆の考えを改めされるような力は無いんだよ………。」

 

「どうしてよ!?」

 

「………私が弱いエルフでしかないからだ………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………で警備隊に私は入れるの………?」

 

「ミシガン、

 力を求めたところでお前の思い通りにはならない。

 二人がこの村に帰ってくることなんて無いんだ。

 お前に出来るのは将来私の後を継いで村を引っ張っていけるように騎士団の人達と友好的な関係を築いてウインドラの代わりにお前の隣に立つ者を村の中の男児達の中から選ぶ「ヤダッ!!」」

 

「警備隊に入れないんだったらもういいよ!!

 私一人で強くなるから!!

 そして強くなって一人で村を守れるくらいになったら私が村長を継ぐ!!

 継いでこの村が私のものになったらカオスとウインドラを連れ戻す!!」

 

「だから二人はこの村には戻らないと言ってるだろう…?」

 

「そんなの関係ない!!

 私の村になるんだもん!!

 私の村だったら誰にも私に文句なんて言わせないんだもん!!

 絶対に誰にも逆らったりできないくらい強くなってやるんだから!!」タタタッ!

 

 

 

「…………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………子供は真っ直ぐだなぁ………。

 ただの意地っ張りなだけなんだろうがとても純粋な思いが詰まっている………。

 私にも………あれくらいの心の強さが残っていたら………。

 友を失ってここまで弱くなっていなければ二人をまもってやれただろうに………。

 今の私にあるのはこれ以上いざこざを大きくしないということだけ………。

 これが本当の正解だとは思えない………。

 私にもこれが間違いだということは分かっているんだミシガン………。

 

 

 

 ………だがな大人の世界には例え間違っていることが分かっていたとしてもだからと言って正解が分かると言うことではないんだ………。

 私にもカオスと皆の仲をどう改善したらいいのかが分からない………。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………アルバ………ラコース………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はどうすればよかったんだろうな………………。」

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