テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
その場をしのいだカオスは友人ウインドラと合流し将来の夢を語る。
そしてより現実なものとするため祖父のもとへと向かう。
「ほう、また俺に稽古をつけてほしいと」
家について早速僕とウインドラはじいちゃんに剣術の稽古のお願いをした。
僕のおじいちゃんは剣術の稽古をいつも快く引き受けてくれる。
おじいちゃんは僕との剣術稽古はいつも楽しみだと言って毎日暗くなるまでつき合ってくれるからこっちもやる気がわいてくるぜ!
「アルバさん、よろしくお願いします!」
「おう、ウインドラも来たのか。ちょっと待ってろ直ぐに支度して二人まとめて相手してやるからな。」
僕たちは稽古用の木刀を持ち裏庭でおじいちゃんを待つ。
「さぁて、今日こそおじいちゃんから1本取るぞ!」
「気合い入ってるねカオス、どうしたの?」
「今日の僕はいつもの僕と違うんだよ、何でか分からないけど身体中から力が湧いてくるんだ!今日はなんだか勝てそうな気がするんだ!」
不思議なものだ。昼間に魔術で受けた傷辺りから体が熱くなり痛みも感じなくなる。今日に限っては自分が自分じゃないと思ってしまうくらいに感覚が研ぎ澄まされている。これはあれかな?目覚めたかな。フッ…
「それって昼間にアイツらにやられて興奮してるだけじゃないの?」
……なるほど、道理ではらわたから1番力が溢れてくるわけだ。この感じは……怒りからか!
「イライラする気持ちも分かるけどそれで剣の筋が荒くなって痛い目見ても知らないぞ?」
「」
ごもっともだ。
稽古といっても僕たちがやってるのはウインドラと2人でおじいちゃんに木刀をもって斬りかかり、それをおじいちゃんが剣さばきで防ぎ反撃する、の繰り返しである。
この稽古の始めた最初の頃は2人してもうコテンパンに叩きのめされたね。まだ最初の一太刀目だけだったのに。
その頃はおじいちゃんも引退して長いせいか加減を間違えたと言っていた。長い割には凄い動きしてたぞ?
あれから3年たつけど今では2人がかりだが10太刀前後までは防げるようになった。
ウインドラがいないときは1人だけでおじいちゃんに挑むけど3太刀防ぎきるのがやっとだな。仲間がいるのは本当に頼もしい。そして10歳児にもたまには遠慮してくれませんかねおじいちゃん?気分落ち目の時は泣いちゃうぞ。
「なんだカオス、今日は機嫌が悪いのか?」
と、ようやくおじいちゃんが準備を済ませてやって来た。
「いやいや、今日はすんごい調子よくてねぇ!体がいつもより動くからじっとしてられないんだよ。もしかしたら今日おじいちゃんに初勝利出来るかも、そのときはおじいちゃんごめんね!」
「やけに饒舌じゃないか本当に何があった?いろいろとケガしてるみたいだが。」
「昼間に村のザック達とちょっとぉ…」
「……あぁ、それでか。おいおい、何があったかはだいたい分かるがその鬱憤で立ち向かって来んなよ…。」
「まぁ、悪い目にあっても不貞腐れない不屈なところがカオスの良いところでもありますから。」
「不屈か。」チラッ
「?」
「バカなだけじゃねぇか?」
「(^-^;」
「ほんにん目の前にして何堂々と悪口かましてんだ、
オラァッ!!」ビュッ、
興奮してるからか目の前で文句を言ってくるおじいちゃんに不意打ちの一閃!!
カタンッ!!!
そんな一撃も難なく木刀で受け止められてしまう。
「チョロいなぁ、カオス。この程度か?」
ぐっ!腹の立つ挑発である。
「甘いなぁ、カオス。この一回を誘われてるとも気付かずにぃ。」
クソッ!自分の迂闊さにも腹が立つ!
「チョロアマだなぁ、カオス!そんな君が俺は大好きだぁぁぁ!!(≧▽≦)カモ過ぎて!」
「ドゥハァァ!!キレていいのか喜んでいいのか分からねぇぇぇ!!!!!」
「いや完全におちょくられてるじゃないか、そこは素直にキレていいんだよ。」
数分後、その場には木刀を構えた1人の大人と1人の子供、そして、
散々遊ばれて力尽きた少年の姿があった。
「まったく、日頃からあれほど剣を握るときは冷静になれと教えてるだろうにぃ。」
おじいちゃんはそう呆れたように言うが顔は満面の笑みだ。殴って良いですか?
「戦場じゃぁ冷静に己の立ち位置を把握するのが長生きの秘訣だぞ?さっきみたいに少しつつかれた程度で躍起になってるようじゃぁ騎士としてまだまだだな。」
時間がたって頭が冷えたのかな。今日1日を振り返ると酷い有り様だな。ちなみにウインドラはもう家に帰った。今はじいちゃんと家で晩御飯の時間だ。
「騎士に限らず外にいるモンスターと戦う猟師や冒険者なんかでも大切なことだぞ?感情を抑えきれずに突っ走ると必ずその先の落とし穴にハマることになるぞ。」
もうこの有難いお言葉はは耳タコである。頭に血がのぼっていたせいで忘れていたが。
「でもおじいちゃん、やっつける敵を前にして冷静になれって無理じゃない?僕この間森でボアチャイルドに逢ったんだけどちょこまか動きまわって突進してくるから冷静になんてとてもなれなかったよ。あれがボアだったらと思うとやっぱり無理だよ。」
「なんだ、また森に行ったのか?あそこは大したモンスターはいないとはいえモンスターはモンスターだ。調子こいて村の警備隊の俺のマネしてると大ケガするぞ。」
「ウインドラもいたからヘッチャラだったよ。」
「子供が2人になったところで安全性が万全になる訳じゃないんだよアホ。それに危ないのはそういうことじゃねぇ。」
「え?」
「ハプニングってのは突然起こるんだ。この場所にはこういう生き物しかいない。なら大丈夫なんて決めつけた考えだとまさしく大ケガ確定だな。」
「何でだよぉ、森のボアチャイルドやラビットくらいなら僕達でも倒せるよ!」
「ならボアは倒せるか?他にもあの森ではベアが生息してるぞ。」
「うっ」
言葉が詰まる。ボアチャイルドは僕よりも小柄で突進されてもすっごく痛いがなんとか対処できるモンスターではある。
だがボアに関しては前に1度村近くでおじいちゃんが他の警備隊の人と力をあわせて倒したやつを見たことあったがそのボアはじいちゃん達よりも高く、軽く大人5人は入るんじゃないかというくらいの胴廻りもしていた。
「ここで答えられないようなら森には入らずにもう少し大人になるまで村の中で稽古をつけてた方がいいぞ。第1ボアなんて出たら大人でも1人じゃあ簡単には倒せん。」
そうなのか、出会わなくて良かった。
「それに俺が本当に言いたかったのはそう言うこっちゃねぇ。」
ん?違うのか。
「モンスターってのは森にでも草原にでも砂漠にでも海でも空にでもいるもんだ。人らと同じで世界中どこにでもいる。いろんなとこを住みかにしてるが中には時季によって住みかを変えるやつもいる。この村の連中が前の場所からここに移り住んだようにな。」
「ヘェー、そんなモンスターがいるんだ。」
世界も広ければそんなモンスターもいるんだなぁ、そういうのは知らなかった。ってかちゃっかり村のみんなをモンスターと同列にしてなかったか。というより村のみんなはおじいちゃんを含めた王国騎士の徴収が嫌で隠れすんでるんじゃなかったか?よく村のみんなはこんなアホ騎士を助けたね。
「幸いこの村の周辺は年中、気候差が殆どないからそういった例は聞かないが確実にないとは断言できない。あり得ねーとは思うが今この瞬間にも村の周囲の草原や森にドラゴンが来ることだってあるかもしれないんだ。」
ドラゴン。今まで1度も見たことはないけどおじいちゃんは過去に騎士の任務としてドラゴン討伐に参加したことがあると言っていた。なんでもこの村の殺生石よりも大きかったとか。よくそんな狂暴そうなやつの討伐に参加出来たね。したっぱじゃなかったの?したっぱだからか。
「そこんとこ頭にいれとけよ?ボアやボアチャイルドならまだまずくなったら逃げればいいがそうさせてくれない執念深い手強いモンスターに遭遇したら頭の中真っ白になって動けなくなることもあるからな。そう言うときこそ落ち着いて判断しなきゃならん。」
「けどおじいちゃんたちは魔術があるから大丈夫じゃないの?」
「モンスターをなめたらいかんぞ?同じモンスターでも中には魔術が使えるやつもいる。生物である限りマナを保有してるから気を付けとけ。滅多にいないがな。」
確かに森でときどき遭遇する強い個体のワイルドラビットが水の魔術攻撃アクアエッジなんか飛ばしてくるときがある。ただでさえ人より強いのに魔術まで使われたら勝てないじゃないか。
「そんなのが出てきたらいつもおじいちゃん達はどうしてるの?」
「罠を張ったり、隠れながら狙撃して攻撃する。そしてあらゆる手を使って倒す。モンスターは単純な力押しを武器にして襲いかかってくるだろ?俺達人はそういった手合いを相手にするときは知略を張り巡らせて対応すんのさ。弱ったら全員で集団攻撃で止めを刺す。」
途中まではかっこよかったけど最後はようするにリンチな訳か。それってなんだが
「なんかズルじゃない?みんなでいじめてるみたいでさ。騎士道に反するよ!」
それを聞いたおじいちゃんは
「………」
一瞬僕が何をいっているのか分からないという顔をして見つめてきた。理解出来なかったのか?
「だからぁ、たった一匹をみん「んフッ!!ッッッァアッ!ハッハッッッッハハッハッハッハッハッwww!!!!」!!」
僕がもう一度言おうとしたら突然おじいちゃんが笑いだす。どうしたんだ?
「ハッハッハッw!!モンスター相手にも騎士道を持ってくるなんてお前ぇッw!!本当にすげぇなぁ!筋金入りだわwもしかして森でウインドラと一緒に行ってるときもボアチャイルドとかに正々堂々と一対一の決闘挑んでるのかw?」
…………なるほど今これはバカにされてますね?そうなんですね?
「なんだよ!当然だろ!男と男の闘いなんだろ!?わりーかよ!?」
アンタから聴いた騎士の戦いのための騎士道精神だよ!
「プグフッッフッフw!!いやいやおもしれーやつだな!本当に!純粋に純水ッつーかぁw!聞き齧りをそのままスポンジみたいに吸収しやがる!根が優しいからそういう感じになっちまうんだろうなぁ…w。」
このジジィ、最後までずっと笑い続けてたな。そんなにおかしいことだろうか?もしかして今まで変なことしてたのだろうか。なんだか恥ずかしくなってきた。
「なぁカオス、そういう騎士道ってのは公式の試合や決闘なんかでのお互いがルールを決めそれを認めた上でのものなんだ。野生のモンスターなんかにそんなの分かると思うか?」
「そんなの…!」
……言われてハッとなる。
「野生のモンスターが俺たち人を見つけたら草食のモンスターならまず縄張りから追い出そうとする。肉食のモンスターなら俺たちを問答無用で狩りにくるぞ。そこに今から貴方と戦います、いいですか?はい、いいえなんてあるわけないだろw?騎士と騎士の闘いならそれでいいがモンスターに騎士道なんてねえよw!アイツらは腹が減ってるから襲ってくるんだぞ?」
「くゥゥッ!!」
今まで自分と騎士道しか見えてなかった。笑われて悔しいがその通りすぎて言い返せない。理由は違うが僕は家でも外でも笑われるようだ。
「だって…!」
「そんなお前のその槍のように真っ直ぐなとこが俺やウインドラは気に入ってんだけどな。」
「!」
からかっていると思ったら真顔でそんなことを言い出す。急になんだ。止めろよ笑われて頭にきていたのに怒れなくなるじゃないか。
「剣術も真面目に取り組んでるみたいだからみるみるうちに上達するしな。」
「本当!?」
「あぁ、まだまだ弱っちぃが最近は俺も相手すんのがしんどくなってきたぞ。そろそろ本気で相手しないとそのうち1本とられちまうなぁ。」
「…へへっ!」
「そんでどんなに怒っててもほんのちょこっとおだてただけで機嫌直しちまうお前のその単細胞なとこも良いとこだな。」
「よせよぉ、褒めても嬉しくねぇよ(*´∀`)」
そう言いつつも顔のニヤケが治まらない。
「…将来が心配になるな、今のはそういう反応するところじゃない筈なんだが。」
「え?なんか言った?」
「いや、何でもない、気にするな。そろそろ飯にするか大分話し込んでたしな。」
そういえばご飯食べてなかったな。話に夢中で忘れていた。
「明日も畑仕事あるから飯食ったら歯ぁ磨いて早く寝ろよ?」
「はぁーい。」
そういって僕は長話で少し冷えた晩御飯を掻き込む。