テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスは森で出会った女性アローネと村を出ることを決意する。

 森を抜けてムスト平原に着いた二人はほんのささいな衝突をする。


盗賊の襲撃

ムスト平原 夜

 

 

 

「今日はいろいろ収穫だったよ。アローネ。」

 

「貴方といると本当に暗い悩みも吹き飛んでいきますね。」

 

「ん?褒めてる?」

 

「最高に褒めているつもりですよ。」

 

「アローネ何だか雰囲気変わってきたね。

 

 口調は変わらないんだけど言うことが家族みたいに近いというかえぐいと言うか。」

 

「それは褒めてます?」

 

「え?正直な感想だけど?」

 

「そこは嘘でも褒めてるというんですよカオス…。」

 

「?」

 

「まぁ、お互いに親睦を深められたと感じられたなら今日が今日のままで良かったと思います。」

 

「そうだね。出逢って数日だけどまだ知らないことも沢山在るようだからこれから知っていこう。」

 

「フフッ、そうしましょう。それでは今日はもうこのまま明日に備えましょうか。」

 

「そうだね、もう日も落ちてから時間経つし明日も移動だけだから「ガサッ!!」!!」

 

 

 

「アローネ。」

 

「はい気付いてます。」

 

 話に夢中になる間に敵の接近を許してしまったようだ。

 

「モンスターでしょうか。」

 

「この感じは………モンスターではないな。」

 

「分かるのですか?」

 

「森に長らくいたから野生の生物の気配の消し方は知ってるよ……………おい!隠れてる奴等出てこい!」

 

「「「「………」」」」ザッザッザッ

 

「四人か。」

 

「この方達は………風貌からして盗賊でしょうか?」

 

 その場に現れたのは三人の男と一人の子供だった。

 

 

 

「こんな平原に火を焚いてる奴がいると思ったらガキが二人で何してんだぁ?」

 

「まさか旅行で回ってんじゃねぇんだろ?」

 

「まぁ、そんなこと聞いても興味はねぇがな。」

 

「……」

 

 

 

「……それで僕達に何の用ですか?」

 

「用だと?分からねぇか?つってもお前らハブり悪そうだな。」

 

「金も持ってなさそうだし女だけ回収しとくか。」

 

「おい!お前は今すぐ痛い目見たくなかったら女置いて消えな!」

 

「…」

 

「やっぱり盗賊だったね。」

 

「そのようですね。どうしましょう。」

 

「そんなの決まってるでしょ?」

 

「そう言うと思ってました。」

 

 

 

「相談してんじゃねぇ!ファイヤーボール!」

 

 

 

ボォォォッ!

 

 

 

「ハッハァァァ~ッ!!さっさと消えねぇからそうい「ドスッ!」」バタッ

 

「「「!!!」」」

 

「後三人だね。」

 

「バーラァ!!」

 

「テメェ!」

 

「攻撃してきたのはそっちだろう?狩られることも念頭に入れときなよ。」

 

「ふざけんじゃねぇ!ウインド「ウインドカッター!」」ザクザクザクザク!!

 

「ギャァァァァ!!」

 

「女と思って油断しましたね。私も戦えるのです!」

 

「これで二対二だね。」

 

「クッ!タレス!!ここはお前に任せる!」

 

 そういって残った一人の男が駆け出す。

 

 

 

「逃げた?」

 

「ですが一人残ってます!」

 

 二人は気絶させた。

 

 後はこの鎖鎌を構える少年だけだった。

 

「君も戦うの?」

 

「…」

 

「何もしないならこのまま見逃すけど?」

 

「…」

 

「…」

 

「…………………………………」

 

 

 

ブンッ!!!!

 

 

 

「!!」

 

 突如少年が鎖鎌をこちらに投げる。

 

 

 

キキィッン!!

 

 

 

 一瞬反応が遅れるが木刀で弾く。

 

 殺意のこもった鋭い一撃だった。

 

「…」

 

 タレスと呼ばれていた少年は虚ろな目でこちらを見る。

 

 その目は黒く深い闇を映していた。

 

「何があったらそんな目が出来るんだよ……。」

 

「……」ブンッブンッブンッ!!

 

 鎖鎌を振り回し始める。

 

 回旋する鎖鎌はタレスから半径三メートルの草を刈り取る。

 

 その様からは遠心力によって相当な運動エネルギーが込められていることが分かる。

 

 まともに当たったら相当のダメージになる。

 

 

 

 

 

「……」ビュッ!!

 

 

 

「!」

 

 その鎖鎌は前方の僕ではなくその後ろにいたアローネに向けて投擲された。

 

「アローネ!!」

 

「…!」

 

 

 

 僕はその一撃を横から突き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タレスはその隙を見逃さなかった。

 

 いつの間にかタレスは僕の懐にまで接近していた。

 

 そして、

 

 

 

「…」シュッ!!

 

 

 

 手甲の鉤爪で斜め一閃に振り切る!

 

 

 

スパッ!ビシャシャシャッ!!

 

 

 

「カオス!?」

 

 辺りに鮮血が飛び散る。

 

 鉤爪は左肩から右脇腹を切り裂きカオスは全身が赤に染まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで…もう終わりかな?」

 

 

 

 

 

「「!!?」」

 

 

 

「今日はもう休みたいんだけどまだ続ける?」

 

「か、カオス!?無事なのですか!?血が!血が出血してますけど!?」

 

「血が出血?あぁ、このくらいの怪我なら森でモンスターと戦ってたときにしょっちゅうしてたよ。」

 

「ですが……痛くはないのですか?」

 

「痛くないわけじゃないけどまだまだ許容内だよ。……で君はまだ………?」

 

 

 

「……!???」

 

 さっきまで無表情で攻撃してきたタレスは顔を青ざめさせて狼狽している。

 

 血を見るのは初めてか?

 

 いや、さっきの鎖鎌の躊躇のない一撃からして殺すのは馴れてそうだが。

 

 そうしているうちにタレスは戦意喪失したように腰を抜かしている。

 

 何に脅えてるんだ?

  

「どうしたの君?」

 

「……」フルフルッ

 

 様子がおかしい。

 

「何を怯えているんだ?」

 

「……!!!?」ズリッズリッ

 

 タレスが後ずさる。

 

「?」

 

「……!!」ズリッズリッ

 

 このまま逃げるのだろうか。

 

「立って逃げた方が早いと思うんだけど。」

 

「カオス、血塗れの貴方が怖くて立てないんでしょう。」

 

「え!?」

 

「こんな小さな子供を脅しているようにしか見えませんよ?」

 

「そんなつもりは…。」

 

「後ろから見てたらそうとしか見えないのです。下がっててください。」

 

「はい…。」

 

「コホン、…貴方お名前は………あら?」

 

 

 

 

 

 タレスは急に地面に踞って小刻みに震える。

 

 これは……

 

「降参ってことでよろしいみたいですね。」

 

 タレスのその土下座を見て僕達はそう受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで貴殿方は何者なのですか?」

 

 さっきタレスが投げた鎖鎌で気絶していた男二人とタレスを縛り上げる。

 

 当然鉤爪やその他の武器も押収しておいた。

 

「俺たちゃこの周辺を根城にしてる盗賊団ダークディスタンスの一員だ。」

 

「ダークディスタンス?」

 

「知らねぇのかよ!前に近くの街を襲ったせいで王都から頭が札付きになった手配書が回ってんだぞ!?」

 

「知らないなぁ。」

 

「知りませんねぇ。」

 

「へっ!とんだ田舎者だな!お前ら街とかに行ったことあんのか!あぁ!?」

 

「…」ゲシッ!

 

「へぶぅっ!?」

 

 縛られて動けないのにどうしてこんなに態度がでかいんだろうなぁ。

 

「そのブラックディスターがどうして僕達のとこへ?」

 

「ブラックディスターじゃねぇ!ブラックディスタンスだ!舐めてんのか!?」

 

「…」ゲシッ!

 

「うぶぅッ!?」

 

「どうして僕達のとこへ?」

 

「うおぉぉっ……、いてぇ。お前らのとこに来たのはこんな夜中に火付けてたから旅商人でもいるのかと思って襲いに行ったんだよ。」

 

「ふ~ん、旅商人ねぇ。でこうなったわけだ。」

 

「へっ!こんな金も持ってなさそうなガキ二人に当たった上にやられるなんざついてねぇぜ!」

 

「…」

 

「!?」ビクッ

 

「ねぇ」

 

「な、何だよ!?蹴るのか!?」

 

「そうじゃないよ一つ聞いていいかな?」

 

「んだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「金って何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「は?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやだから金って何なのかな~って…。」

 

「か、カオス?」

 

「金は金だろ?」

 

「そうだ、そこら辺の奴等なら皆持ってんだろ?それを俺らが奪って…」

 

「その金っていうのは何か畑の肥料にでもなるとかかな?」

 

「なるわけねぇだろ!何言ってんだお前!?」

 

「土に撒いてどうすんだよ!?」

 

「…」ゲシッ!ゲシッ!

 

「「グオッ!」」

 

 

 

「…で?」

 

「はい?」

 

「その金っていうのを何に使うつもりなんだ?」

 

「な、何って…」

 

「あ、あれば困らねぇし多いにこしたことはねぇよな?」

 

「だから何に使うんだ?」

 

「沢山集めるんだよ!?」

 

「沢山あれば一生暮らせるだろ!?」

 

「………察するにそれはとても重要なアイテムのようだね。」

 

「重要なって…。」

 

「そりゃあ国で生きていく上では重要なアイテムと言えなくもねぇが…。」

 

「フム、なるほど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 要するに食材のことだね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「違ぇぇぇよ!!」」

 

 

 

「え!?マジか!?マジなのかコイツ!?本気で言ってるのか!?」

 

「じょっ、冗談だろ!?何で金を知らねぇんだよ!?」

 

「ん?食材じゃないの?」

 

「カオス、お金は食材ではありません…。」

 

「アローネは知ってるの?お金?金?」

 

「お前!その服とか木刀はどうやって手に入れたんだ!?本当はお前も盗賊とか追い剥ぎなんじゃねぇのか!?だから金のこと知らねぇんだろ!?」

 

「…また盗賊か。二度目だぞ。」

 

「何だよそれだったら早く言えよ!同業者かよ!驚かせやがって!お前らはなんて名前の盗賊団なんだ?」

 

「「盗賊じゃない!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かりましたかカオス。」

 

「お金って大事なものなんだね。村じゃ全く見ないから知らなかったよそんなのがあるなんて。」

 

 村の外の世界ではお金というものをまわして服や食材をもらえるのか。

 

「そうです。資本は大事ですよ。街に泊まったりするときや物を購入したりするときに必要でお金がないとなにもできなくなったりすることもあるんです。」

 

「そうなんだ。お金ってどんなのか分かる?」

 

「お金は…」

 

「何だお前!金すら見たことねぇんだな!どんだけ田舎者なんだよ!仕方ねぇな!このバーラ様の金をちょっくら見せてやるよ!おい!俺様の腰に付いてる袋を開けてみな!」

 

 そう言ってバーラと名乗る盗賊が腰を浮かす。

 

「どれどれ……。」

 

 バーラの腰の袋を漁ると中には軽めの円い何かがぎっしりと入っている。

 

「これが……お金?」

 

「そうだよ!この間成功して儲けがいいからなぁ!二万ガルドはあるぜ!」

 

「……ガルド。」

 

 お金とやらを観察しているとアローネもお金を凝視している。

 

「どうしたのアローネ?」

 

「いえ、私の知っているお金と形が違ったので…。」

 

「形が違うだぁ?女ぁ、もしかしてお前もダレイオスの奴隷ってんじゃねぇんだろうなぁ?」

 

「お前も?私の他にもいるのですか?」

 

「一緒に縛られてるこのガキもダレイオスから拉致ってきた奴隷だよ!」

 

「……」

 

「この子が?」

 

「そうさ。前に襲った街の領主んとこにいた奴隷でな。領主の所のガキと勘違いして連れてきちまったんだよ!」

 

「どうやら魔術で抵抗出来ねぇように喉を潰されてるみてぇでな!コイツ声も出せねぇし魔術使えねぇ能無しなんだよ!」

 

「「!!」」

 

「最初は身代金にもならねぇから放り出そうとしたんだけどな。コイツ泣きそうな顔でスケッチブックに何でもするから捨てないで下さいって書いて見せてきたんだよ。そしたらお頭が捨て駒にでもとっとけって言うから俺達が使ってやってんだよ。」

 

「「……」」

 

「ガキの腕力じゃ話にならねぇからってこの振り回せる鎌持たせてたが結局ダメだったな。ゴミはゴミ程度しか働かねぇ。」

 

「大体ダレイオスから拉致られてきた時点で生きるの諦めろっつーの。何が捨てないで下さい、だ。どうせ長生きしたところでこのガキはろくな目にしかあわねぇんだからよ。」

 

「そこら辺に捨てとけばヴェノムに食われてお仕舞いだしな。誰かが生かしといてやんないとダメなクズなんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、アローネ。お金って使ったら無くなるよね?どうやって増やせばいいの?」

 

「「は?」」

 

「そうですね。一般的には仕事というものをしてお給料をもらうか、物を売ったりしてその対価を得たりですね。」

 

「そうなんだ。じゃあ物を売るってのはどういったものが売れるの?」

 

「鉱物や素材といったものを高値で取り引きして貰える市場もありますよ。」

 

「へぇ~、だったらこの盗賊っていくらぐらいで売れるの?」

 

「「!?」」

 

「先程この盗賊団のお頭様が手配書を作られたらしいのでそれなりに高値で引き取って貰えるでしょう。」

 

「そっかぁ~嬉しいなぁ。お金は沢山あった方がいいんだもんね?」

 

「勿論です。お金が沢山あれば一生暮らしていけるそうですからね。」

 

「お、おいおい!何言ってんだよ!?俺達を突き出せばダークディスタンスが黙っちゃいねぇぞ!?四六時中狙われることになるぞ!?」

 

「俺たちゃダークディスタンスだぞ!?そんじょそこらの下級盗賊じゃねぇんだ!?まさかボス達にまでケンカ売る気じゃねぇだろうなぁ!?」

 

「あいにくと放浪旅でね。どうやら僕達、暇とお金に困ってるらしいんだ。」

 

「長旅には旅費が掛かるんですよ?」

 

「お前らおかしいって!たった二人でどうすんだよ!?悪いことは言わねぇ!さっきの金やるからここは俺達を逃がしてお互い見なかったことにしようや?」

 

「貰えるのなら有り難く貰っておくよ。但し戦利品としてだけどね。」

 

「き、汚ねぇぞ!俺の二万ガルド!」

 

「開放してほしいのならそれなりの物と交換していただかないといけませんね。」

 

「それなりって…もうなんも持ってねぇよ!」

 

「もう一人の方お金持ってない?」

 

「探してみますね。えぇっ、とこの辺りかしら。」

 

「や、止めろ!姉ちゃん!俺は別に持ってな………あぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「お財布見つけました!」

 

「俺の一万ガルドがぁぁぁぁぁ!!」

 

「全部で三万かぁ。相場が分からないから多いのか少ないのか分からないね。」

 

「少ないのではないでしょうか?盗賊という不安定職をしてますと一定のお金は入ってこないと思うので。」

 

「そうなのかぁ、残念だなぁ。おじさん達これじゃ足りないってさ。」

 

「ふざけんなこら!!有り金全部掠め取ってまだ足りねぇってのか!?」

 

「もう服ぐらいしかねぇよ!!ひん剥くのか!?あぁあん!?」

 

「もう一つあるだろ?情報をくれよ。」

 

「じょ、情報だと!?」

 

「私達貴殿方のことをよく知らないんですよ今日ここまで来たものでして。ですからその……盗賊団ダークタンスという方々の住んでいる場所を、教えてほしいのです。」

 

「盗賊団ダークディスタンスだ!!」

 

「そう、それを教えて欲しいんだ。そいつらは何処にいけば会えるの?」

 

「二人しかいねぇのに乗り込むのか!?命がいくらあっても足りねぇぞ!?」

 

「君らみたいな小悪党がいくら束になったところでモンスターやヴェノム以下だと思うんでね。」

 

「拝見しましたところ貴殿方は三人ともエルブンシンボルも装備していないようですし大して危険は無さそうですね。」

 

「エルブンシンボル?そんな高価なもん騎士団くらいしか付けてねぇだろ!?」

 

「なら僕達だけで十分だね。」

 

「調子に乗るのも大概にしろよ!?うちには三十人のメンバーがそれぞれ魔術を三種前後マスターしてんだ!お前らみたいな田舎者がたった二人張り切ったところで返り討ちになるのが落ちだろ!」

 

「普通だったらそうなんだけど僕達ちょっと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 普通じゃないんだ。」

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