テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ネーブル平原 南 朝
「族長………?」
「貴女がミーアの………?」
「そう………と言っても族長の代理の代理をいくつか経由しての代理なんだけどね。」
「何故そんなことに………?」
「…全部バルツィエのせいでこうなったのさ。」
「バルツィエ………。」
「アンタ達は………私の言っているバルツィエとは違うようだけどね………。
何で私が族長代理の代理みたいな立場にいるかって言うと………、
その話は一旦落ち着ける場所で話すとしようか。
クラーケンが倒されたとはいえここも安全な場所とは言いにくいし。」
「…………そうですね。」
ミーア族の集落ヴァッサー
「元々の族長は二十年前のバルツィエのゲダイアン襲撃で街ごと消されちまったんだ………。」
「偶々私達ミーアの族長もその当時ゲダイアンにいてね………。
この地方からは遠いから滅多にあの周辺に行くことはなかったんだけど運悪く族長一家総出でゲダイアンにいたんだ。
ゲダイアンと共に族長の血筋がいなくなってからは族長に近い立場にいた人から次の族長を選んで後任してたんだけど急に族長と同じことをしようとしても上手くいかずに失策ばかりで窮地に陥ってばかり………。
挙げ句の果てには数年前のヴェノムの主誕生でこれを他の部族達よりも早期に狩ろうとしたせいで私達より上の世代の人達は失敗して次々と死んでいった………。
今ミーアの生き残ってるなかでは私達の世代が最高なんだよ。」
「それでミネルバさんが族長に………。」
「スラートのファルバンさんに比べて随分若いなとは思ったけどそういう理由からだったんだ………。」
「(この見た目の年代の人が最高齢………?)ミーア族の族長は………女性が勤めるものなんですか?」
「シーグスを見てそう疑問に思ったんだろうけど今ミーア族で皆を纏められそうなのが私しかいなかったんだよ。
他の連中は自棄を起こしそうなのばっかりでね。
そんなのに族長をやられたんじゃまた前の族長代理達と同じ轍を踏まされそうだったから私が族長に立候補したんだ。」
「今残ってる俺とミネルバと同じ世代の奴等は最近クラーケンに家族を殺されて自暴自棄になりかけてるような奴ばっかりなんだ。
なんとか励ましたりしてはいるんだが今にも目を離したらあっちの世界へと行ってしまいそう奴等が多くてな。
俺とミネルバみたいに一人でも側で支えてくれる奴が生き残ってたらよかったんだが………。」
「…そういう訳で精神的に余裕がある私が勤めることになったんだよ。
シーグスには私の代わりに男達の面倒を見てもらってる。
私が励ますより同じ男のシーグスの方があの連中と壁なく話せるからね。
シーグスに族長をしてもらうよりもフリーでいてもらった方が何かと動きやすいし。」
「そういった経緯なら納得ですね………。」
「話を聞く限りですとミーア族もかなり追い詰められた状況にいるんですね。」
「そうだね
この地方はある意味じゃ最前線だしね。
北部のトリアナス砦からマテオに繋がる細道が無ければマテオに一番至近距離にあるのはこの地方だしアイネフーレのように全滅するとしたら次は私達ミーアだと思うし。」
「そんな何でもないことのように言わなくても………。」
「取り繕ったって仕方ないさ……。
現に私達はアンタ達が来るまでクラーケンを相手に終わりの時を先伸ばしにすることぐらいしか出来なかったんだし、それすらも私達の仲間を犠牲にして得た結果でしかないからね。
次にクラーケンが現れたら今度こそ覚悟を決めないといけなかったと思ってたくらいだよ。」
「「「「「………」」」」」
「………でさっそくなんだけど私にもどういうことになってるのか話してくれないかい?
シーグスがここまで信用しきってるようだし実際に私もアンタ達に救われちゃったからね………。」
「………バルツィエと戦うためにダレイオスを再統合して共に戦争………するために私達ダレイオスの民を困らせているヴェノムを駆逐………………するためにヴェノムの主を倒して回る旅に出ていてこの地方にいたクラーケンで二体目…………と。」
「大体はそんな感じですね。」
「これは私達にしか出来ないことなので。」
「そういった目的を持っていたのでミーア族とも話がしたかったところだ。
国を再統合する時には是非ともミーア族の力を借りたい。」
「………そう言うことなら助けられた手前協力してやりたいのは山々なんだけど………、
アンタ達の能力のことも気になるし………それに………、
アンタ達のその旅の途中でマテオからバルツィエがやって来たらどうすんだい?」
「それは………。」
「もし主を倒しきる前に戦争を吹っ掛けられてバルツィエがダレイオスに侵攻してきたら再統合どころじゃないよね?
そこのところどう考えてんの?」
「………」
「仮に再統合の話に乗ったとして私達はスラートの連中の街まで行くことになったりするだろ?
アンタ達にとっては残念な話だけど私達ミーアはそんな戦闘が得意な部族じゃない。
一度目の統合の時だって私達ミーアの縄張りがバルツィエに侵されようとしていたから手を組んだだけのことだ。
本来私達ミーアは私達の領土さえ守られればそれでいいっていうような考えなんだ。
保守的な思考と言われてしまうだろうけど統合の話がまだスラートの一部だけにしか浸透していないのなら私達は安易に動いたりは出来ないね………。
国家離散の前にも最弱の部族はミーアだって言われてたくらいなんだ。
半数以上の同胞が死んで更に死者を増やすようなことは生き残っている同胞達にさせたくはない。」
「「「「………」」」」
「………………、
とんだ臆病部族ですね。
ミーア族というのは。」
「………」
「メリットとリスクを天秤にかけてリスクの大きさにビビって何も出来ないんですか?
このまま何もしないでいたとしても貴女達には救いは訪れないというのに………。」
「急になんなんだい坊や………?
私達がアンタ達の提案に乗り気じゃないからってそこまで言われる云われはないと思うんだけど………。」
「そうですね。
ボクと貴女達では全く立ち位置が違いますからね。
けれど現時点ではこの計画にどの部族よりも早く参加している点ではこの計画が成就した際にもっとも恩恵を受けられる位置はいますよ。」
「部族………?
坊や………一体?」
「ボクはマテオの出身ではありませんよ。
貴女達と同じダレイオスの出身です。
………そしてダレイオスの………、
アイネフーレの族長代理タレスです。」