テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスはアローネと共に旅を始める。

 森を抜け平原へと出た二人を待っていたのは盗賊の襲撃であった。


盗賊サハーン

ムスト平原 南西 魔界の森

 

 

 

「ここは……!?」

 

「………!」

 

 ここに来るまでに遠くから見て不審に思ったが近づいて確信に変わる。

 

 この森は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴェノムの森だ。

 

 

 

「この奥に俺らのアジトはあるんだよ。」

 

「……よくこんなところで生活できるね。周りの木々や土を見て分からないの?もうここの森、死んでるよ?」

 

「やはりヴェノムは自然を破壊し尽くしてしまうのですね。ここのヴェノムは全て死んでしまった後のようですが。」

 

「ミストの森はこうはならなかったけど他じゃこうなのかな?」

 

「あの森が本当なら異例なのですよ?ヴェノムが現れた森はこのような風景になるのが普通なのです。」

 

「……この臭いってヴェノムが死んだときの!?」

 

「はい、これは障気と呼ばれるものでして生物にとっては有害です。長く吸っていたら後遺症が残るほどに。」

 

「盗賊団よくこんなところに住めるなぁ。」

 

「そこら辺の街には封魔石ってのがあんだろ?俺達盗賊は街には入れねえからよ。こんなとこでも住んでないと生きていけねぇんだよ。」

 

「どういうこと?」

 

「ヴェノムは生物のマナに引き寄せられて行動してます。そして障気はマナを寄せ付けない特性があるのでこの森にはヴェノムが近寄らないのでしょう。」

 

「そういうこった。そこらの木々さえ触らけりゃここらは空気がヤベぇだけのヴェノム避けになんのさ。」

 

「盗賊って大変なんだな。今からでも転職したら?」

 

「それができんならとっくにしとるわ!余計なお世話だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えたぞ。あそこがうちのアジトだ。」

 

 森の中を歩いていくと奥に大きな屋敷が見えてきた。

 

「随分と豪勢だね。よくこんなの作れたもんだ。」

 

「別にダークディスタンスがこの屋敷を立てたんじゃねぇぞ?この屋敷は捨ててあったんだ。」

 

「捨ててあった?」

 

「あぁ、それを俺達が拾っただけだ。こんな森だから誰も近寄らねぇし盗賊のアジトにはもってこいだったから使ってんだよ。」

 

「いいの?空気悪いんでしょ?そのうち倒れたりしたら…」

 

「そんなもん盗賊始めた時点で知ったこっちゃねぇんだよ!捕まって退屈な余生を送るくらいなら好き勝手に暴れて死ぬほうがいいに決まってんだろ!」

 

「人に迷惑かけないならそれでもいいと思うんだけど…。」

 

 

 

「おら、アジトに付いたんだ!さっさとこの鎌外せよ!いつまで三人で巻き付けたままなんだ!?歩き辛ぇぇよ!」

 

「そうだった。………アローネ入り口の方に行ってて貰える?」

 

「?分かりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよいつまで時間かけてんだよ!鎌外すだけだろうが!」

 

「……」

 

「何だ!まだ情報が欲しいのか?何だよ何が知りてぇんだ!?」

 

「服ってさ」

 

「あん?服だぁ?服がどうしたんだ!?」

 

「…………服ってさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お金になるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

盗賊団ダークディスタンス アジト入り口

 

 

 

「遅かったですね。どうかなさったんですか?」

 

「ちょっと野暮用でね。聞きたいことは聞けたからもういいよ。」

 

「聞きたいこと?」

 

「パンツは残しといたから大丈夫だよ。」

 

「はい?」

 

「何でもないよ、行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中は綺麗なものだね。」

 

「障気は…中には入ってないようですね。」

 

「換気はしてあるみたいだ。団員達は何人か一階にいるね。」

 

「こういうときは………どうすればいいんでしょう?」

 

「手当たり次第しかないんだけどなぁ。囲まれたりしたら厄介だし。」

 

「……」

 

「どうしたものか…。」

 

「カオスはこんな危険なことしてよかったんですか?」

 

「ん?」

 

「先程は私もカオスの口に乗ってここまで来ましたけど盗賊のアジトの情報を知っておくだけでもよかったのでは?」

 

「……」

 

「私は今更ですがカオスを無茶なことに引き入れてしまったのではないかと…」

 

「違うよ。これはアローネが気にすることなんて何もない。僕がやりたいだけなんだ。」

 

「ですが…」

 

「あの盗賊達と一緒にいたタレスって子いたよね。」

 

「あの子ですか?」

 

「なんか他人な気がしなくてね。放っておけないんだ。」

 

「確かに境遇は可哀想ではありましたがそれも街についてから警備に任せればいいのでは?」

 

「それじゃダメなんだ。それだとあの子は盗賊達と一緒に捕まるかもしれない。最悪盗賊達のボスにでもしたてあげられてね。」

 

「流石にあの年齢の子でそこまでは無理がありません?」

 

「どっちみちこのまま通報したらあの子はずっと人生を流されて終わってしまう。あの子は昔の僕みたいだから助けてあげたいんだ。」

 

「……カオスは優しくて強引で罪の意識と自己顕示欲が高くて陽気で前向きで、優しいのですね。」

 

「どんどん増えていくね。同じの二回言ってなかった?」

 

「同じでも意味は違いますよ。」

 

「そうなんだ。じゃあそろそろ行こう。ここにいると見つかっちゃうよ。」

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

盗賊団ダークディスタンス 五階屋上

 

 

 

「………たまには屋上に出てみるもんだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく屋敷の中を探索した。

 

 途中現れた盗賊達は気絶させたあとにそれぞれの部屋でロープで縛って放置しておいた。

 

「ふぅ、二人でもなんとかなるもんだね。」

 

「それはやはり私のエルブンシンボルの影響もありますね。」

 

「それってそんなに違うものなの?」

 

「これがあるのとないのとでは大分違いますよ。カオスも………カオスはないのにお強いですよね。」

 

「僕はほら、小さいときから体を鍛え続けてたのと殺生石があるからね。」

 

「その殺生石の力はどのように使っているのですか?」

 

「戦ってるときに体の中のマナを体の表面に纏わせてるんだよ。木刀にも流れるから切れ味もあがるみたいで。」

 

「それですとエルブンシンボルと差は無さそうですね。」

 

「そうなの?なんかあったら面白そうだったんだけどなぁ。」

 

「それでしたら見つけ次第回収してお試しになります?」

 

「そうだね。強くなれるならそれにこしたことはないし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ~う、侵入者ぁ~!こんなところで何してんだ?」

 

 

 

「「!」」

 

 

 

「さては賞金稼ぎか?よくこんなところまで来たもんだなぁ。ヴェノムの森ならいい隠れ蓑だと踏んでたんだがなぁ。雑魚どもを着けてきたのか?」

 

 階上からの声に反応して上を見上げると大きな曲刀を持った男がこちらを見下ろしていた。

 

「お前は…誰だ!」

 

「はぁ?惚けてるのか。ここに来たってことは俺の手配書くらい見て来たんだろ。」

 

「悪いね、お前の部下が言っていた手配書につられて直で来たんだ。実は名前すら知らない。」

 

「ハハッ!ってこたぁここへは雑魚どもと来たわけだ!雑魚は雑魚なりに有能ぶってりゃいいってのに結果無能を晒したわけか。」

 

「口が悪いな。お前の仲間だろ?」

 

「仲間?仲間ってのは俺と同格に殺りあえるくれぇ有能なやつのことだろ?ここにいる奴等は全部俺の駒でしかねぇカスどもだ。」

 

「お前……。」

 

「貴方は本当にそう仰っているのですか?」

 

「当然だろ?それと俺はお前でも貴方でもねぇよ。俺の名はサハーンってんだ。以後それで呼びな。」

 

「サハーン。サハーンにとって他の盗賊達やタレスは駒と本気で言ってるんだな?」

 

「あ?タレス?誰だそりゃ?雑魚どものことか?いちいち名前を覚えちゃいねぇよ。」

 

「……よくわかった。それを聞いて安心したよ。」

 

「彼を連れていっても良さそうですね。」

 

「何のことかはよく分からんが雑魚どもは俺の名声によってくる。代わりの聞く連中だから好きにつれていっていいぞ。お前らがそれを気にする必要があるとは思えねぇがな!」

 

 

 

タッ!

 

 

 

 

「「!!」」

 

 飛び降りた!?

 

 

 

 

 

「ヒヤッハァァァァァァ!!!ファイヤーボール!!」

 

 

 

 

 

ボオォォォォッ!!

 

 

 

 

 

 

「(攻撃と同時に着地の緩和か!?)アローネ下がって!受け止める!」

 

「はい!」

 

 

 

ギキィィィィィィィィィィン!

 

 

 

「ハッハー!!この程度はあるよなぁ!!オラッ!!」

 

 

 

ギキィィィン!ギキィィィン!ギキィィィン!!

 

 

 

「どうしたんだサハーン。このくらいなら他の盗賊達と同じだぞ。」

 

「言うねぇぇぇ!!どうやらお前は雑魚どもよりは有能見てぇだ「ウインドカッター!」!」

 

 

 

ザザザザザッッッ!!

 

 

 

「おっとぉ!!」タッ!

 

 

 

「身軽だね。今のタイミングは際どかったと思うけど。」

 

「動きが早いですね。」

 

 

 

「雑魚どもと同じ扱いしてると一瞬で終わらせちまうぞ?」

 

 

 

 上から飛び降りたのと今の引き下がり、常人とは思えない動きだった。

 

 こいつ、何か特殊な能力を持ってる!

 

「カオス、彼は体の何処かにエルブンシンボルを装備しています。」

 

「エルブンシンボル?」

 

「先程の飛び降りたときのリカバリングとウインドカッターを避けたときのバックステップはエルブンシンボルを介して装備したレンズのものです。」

 

 

 

「お?詳しいなぁ、お前。そんなこと知ってんのは騎士どもと決まってんだがな。その通りだ、騎士どもに捕まって隙を見て奪ったんだよ。お陰で手配書が出回ることになったがな。」

 

 

 

「カオス、サハーンのあの手に付いているものがそうです。あれを外せますか?」

 

「あの円い石みたいなものが…。」

 

「あれさえ外せればサハーンは運動能力が低下します。」

 

「分かった!」

 

 僕はサハーンに向けて駆け出し木刀で斬りつける。

 

 

 

ガキィィィィィィン!!

 

 

 

「ハッ!こいつのこと知ってんならどうせここ狙ってくるんだろ?動きが素人過ぎて読みやすいぜ!」

 

 

 

ギキィィィン!クォォォォンッ!ギキィィィン!!

 

 

 

「グッ!」

 

 盗賊団のボスだけあって強いな。 

 

 斬り込んでも斬り込んでも止められる。

 

「『落雷よ、我が手となりて敵を打ち払え!ライトニング!』」

 

「ちょれぇって言ってんだよ!ライトニング!」

 

 

 

バチバチバヂィィィィィッ!!!

 

 

 

「うっ!?」

 

「アローネ!?」

 

 二体一なのにこちらが圧されている!?

 

 サハーンは今のライトニングもかわした。

 

 それだけサハーンとの差が大きいのか!?

 

 

 

「おいよぉ?二人だけで来たからどんな粒かと楽しみだったんだがなぁ、まるでダメだな!!退屈で仕方ねぇ!所詮は無能なのかぁおい!そろそろ殺しちまうぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正直なめていた。

 

 盗賊のボスがこれほど手こずる相手だとは思わなかった。

 

 おじいちゃんの話ではもっと簡単な感じで捕まえていたから僕も出来ると思っていた。

 

 だがコイツは予想以上に強い!

 

 このままではアローネもやられてしまう。

 

 どうすればいい!?

 

 ここは引くか?

 

 いやダメだ!さっきの動きを見る限り足の早さはサハーンが上だ!

 

 僕が囮になればなんとかいけるか?

 

「アローネ。僕が時間を稼ぐからアローネは森を出て逃げるんだ。」

 

「!?何を言ってるんですか!?」

 

「コイツは強い!多分僕達二人かがりでも勝てないくらいに!だから一旦引いて体勢を立て直そう!先ずはアローネから先に逃げて!」

 

 

 

 

 

 

「嫌です!!」

 

「アローネ!?今は我が儘を言ってる場合じゃ!」

 

「カオスを置いて逃げるなんて出来ません!逃げるなら一緒にです!」

 

「アローネ!さっきのコイツ見てたろ!?サハーンは相当に俊足だ!二人で逃げてたら追い付かれるよ!!」

 

「それでも嫌です!カオスは私を助けてくれました!恩人を一人残して自分だけ逃げるなんて真似は死んでもしません!」

 

「いい加減にしてよ!本当に死ぬかもしれないんだぞ!?」

 

「カオスと一緒になら本望です!」

 

「ふざけるなよ!何のために僕がいると思ってるんだ!」

 

 

 

「カオスこそ私のことを甘く見ないでください!私のことを信じられないんですか!?仲間ですよね!?」

 

 

 

「!?」

 

 

 

「カオスは一人で戦わなくてもいいんですよ!貴方は私を守ろうとしてくれますけど私だって貴方を守りたいんです!貴方の背中には私がいるんです!

 

 私を信じてください!貴方は私が絶対に守ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 言われてから気付いた。

 

 

 

 僕はまた一人で突っ走っていたみたいだ。

 

 

 

 またアローネに迷惑をかけた。

 

 

 

 どうして二体一なのに勝てないんだろう。

 

 

 

 そんなもの単純にサハーンが強いからだ。

 

 

 

 経験の差や技術が大きいのだろう。

 

 

 

 けど勝てない理由はそれだけじゃない。

 

 

 

 もっと大事なことがあった。

 

 

 

 この戦いは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アローネゴメン。また独り善がりだったみたいだ。もう逃げるなんて言わないよ。」

 

「カオス大丈夫ですか?」

 

「頭は今の渇で覚めたよ。もう大丈夫。」

 

「……」

 

 

 

「アローネ頼みがあるんだ。」

 

「何でしょう?」

 

「僕と一緒に……戦ってくれないか。」

 

「!………はい!!」

 

「よし行こう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相談は終わったか?次から殺せる隙あったら殺すから覚悟しとけよ?」

 

「もうそんな隙はないぞ!」

 

「どうだか!」

 

 

 

ギキィィィン!ギキィィィン!ギキィィィン!………

 

 

 

 

「打ち合ってるだけじゃさっきみたいになるって学習し「ファイヤーボール!」ファイヤーボール!」

 

 

 

ボボッ!ボボッ!ボフゥゥゥゥゥン!!

 

 

 

 アローネが出したファイヤーボールを空かさずファイヤーボールで返すサハーン!!

 

 二人のファイヤーボールが衝突し爆発を起こす。

 

 サハーンの対応力には驚きを隠せない。

 

 

 

 だが今回は攻撃が目的じゃない。

 

 むしろこれを狙っていた。

 

 

 

 爆発で砂煙が舞う。

 

 そこから

 

 

 

 

 

 

 僕とアローネが同時にサハーンに迫る!

 

「あぁ!?」

 

「魔神剣!」

 

 サハーンに迫りながらも魔神剣を放つ。

 

「チイッ!」

 

 サハーンが魔神剣を曲刀で受ける。

 

 その隙に僕が木刀を叩き込む。

 

「うっ!オッ!ハッ!さっきより!マシになったが!」キン!キン!キン!キン!

 

 サハーンに見切られて木刀の連撃をことごとく防がれる。

 

 そして

 

 

ガンッ!!

 

「よ~し、覚悟はいい「アローネ!!」ファイヤーボール!」

 

「アクアエッジ!!」

 

 木刀と曲刀の剣が止まった隙にアローネがサハーンの至近距離で魔術を発動する!

 

「グオアッ!!」

 

 流石のサハーンもこの距離からでは間に合わないらしい。

 

「魔術剣!」「ライトニング!」

 

 吹き飛んでいったサハーンにだめ押しの一撃を放つ。

 

 

 

「オァァァァァァァァッ!!!」

 

 

 

 サハーンが一際大きな悲鳴をあげる。

 

「アッ……アアッ………バハッ!」

 

 変な声をあげたあと床に倒れこむサハーン。

 

 

 

 どうやら勝利したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんとか勝ったみたいだね!」

 

「はい!あんな凄い人に私達勝ちました!」

 

「強かったね!勝てないと思ったよ。そうだ!エルブンシンボル回収しないと。」

 

「そうでした!起き上がらないうちに外しときましょう!」

 

 倒れているサハーンからエルブンシンボルをとる。

 

「これで気が付いても大丈夫だね。油断は出来ないけど。」

 

「気絶している間に他の人達みたいにロープで縛っておきましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで起きても危険は無さそうだね。」

 

「エルブンシンボルを取り上げたうえに両手が使えないとなるともう襲ってはこれないでしょう。」

 

「後はリトビアって街に行ってここのことを知らせるだけでいいんだよね?」

 

「はい。情報が正しいと確認してもらえれば謝礼が頂けると思いますよ。街での一先ずの生活は保証されましたね。」

 

「………アローネ。」

 

「はい?」

 

「さっきは本当にご免なさい!」

 

「………どういうことだったのか私に話してみてもらえますか?」

 

「………僕、ずっと、ずっと一人でモンスターと戦ってきたから仲間で戦う連携とか全然分からなくて焦ってたんだ。」

 

「……」

 

「サハーンに会うまでは敵が一人でも倒せるようなのばっかりだったから問題なかったんだけどサハーンと対峙した瞬間頭の中がアローネを守らくちゃっていっぱいいっぱいで…。」

 

「それで貴方は私を真っ先に下がらせてサハーンが私に近づかないような立ち回りをしていたんですね。」

 

「僕そんなことしてた…?」

 

「後ろから見てたら分かります。

 カオスは私に戦闘をさせないようにしてました。」

 

「ご免なさい。」

 

「貴方は何でも一人で抱えすぎです。私は前に前衛も出来ると言っておいたでしょう?」

 

「……」

 

「サハーンが降りてきたとき、…いえそれ以前からモンスターとの戦いの際は常に私を下がらせて貴方が前に出ていましたね。」

 

「……」

 

「貴方が私を信頼して頼ってくれないと本来の二人いるという武器を生かしきれません。そこが今回の苦戦の原因です。」

 

「…うん。」

 

「カオス、私のせいで貴方まであの村を出ることになりました。そのことについてはとても私は感謝しています。感謝してもしきれないほどです。」

 

「別に大したことは…。」

 

「私にとっては大きなことでした。ですから私はカオスをどんなことがあっても守りたいとは思います。そして信頼もしています。」

 

「……」

 

「カオスは……カオスを守ってあげてください。」

 

「…え?」

 

「貴方の戦い方は貴方自身を盾のように扱ってる。そんな戦い方は仲間としてしてほしくありません。貴方を傷つけてまで私は貴方に守ってほしくありません。」

 

 

 

 僕が僕を盾として……?

 

 それは………いけないことだったのか?

 

 

 

「カオス、貴方は貴方の大切な人が傷付くところを見たいですか?」

 

「そんなの、見たくないに決まっている!」

 

「私もそう思います。私は大切なカオスが傷付くところを見たくない。」

 

 

 

 大切?

 

 

 

「私達が今後上手く戦えるようになるにはもっともっとお互いのことを知る必要があります。出逢ってから十日から二十日程経ちますがお互いの知らないことや不満に思っていることはあると思います。それを後程話し合いましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔から好かれるよりも嫌われることの方が多かった。

 

 

 

 特に何かしたという訳じゃない。

 

 

 

 逆に何も出来なかったからだ。

 

 

 

 何もしなかったをしたとも言えるのかな。

 

 

 

 そんなやつが口だけは偉そうなことをほざくから嫌われる。

 

 

 

 だから誰かから嫌われることには馴れている。

 

 

 

 今更何とも思わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アローネは僕を大切と言った。

 

 

 

 小さいときはそれを言われたいがために頑張った。

 

 

 

 おじいちゃんやウインドラはよくいってくれたな。

 

 

 

 あのときは嬉しかった。

 

 

 

 けどどうしてかな。

 

 

 

 あのときは純粋に嬉しかったのに。

 

 

 

 何で今は

 

 

 

 心がこんなに落ち着かないのかな…。

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