テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
サンフの洞窟 夜
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「カオス大丈夫ですか?」
「え?
何が?」
「何がって………、
………マナ平気なの?」
「私達がカオスと接触している際の魔術に使うマナはどうやらカオスから摂取しているようですのでマナが枯渇してしまわないか心配なのですよ。」
「そうそう、
一日かけてミーア族の人達にレイズデッドかけていったけど最初“あれぇ?何かいくら術使ってもが倦怠感が全然無いなぁ?いつもだったらこのくらい魔術を使いまくってたらそろそろ立ち眩みぐらいはするんだけど?”って思ってたんだけどよくよくマナを感じ取ってみたら自分自身のマナは全く減ってないんだよね。
それどころか回復してたくらいだし。」
「そうだったの?
俺自身は触れられてるだけだったけどそんなことになってたんだ………。」
「本当に体に不調はありませんか?
感覚的な話になりますがあのレイズデッドはファーストエイドの二倍以上のマナを消費するような感じがしました………。
今日だけでもミーア族の方々総勢百数十名にそのレイズデッドをかけましたのでカオスは………私が一日に使用できる限界数でおおよそ二十回前後………。
ミシガンは………「私は十五回前後だよ。」…では平均して十七、八回前後ですね。
………カオスのマナを私達を経由して術を発動していたのだとすればカオスは私達の約六倍以上のマナを消費したことになります。」
「そんなに!?
カオス本当に平気なの!?
無理してるんじゃないでしょうね!?」
「無理なんかしてないさ。
殺生石の精霊のおかげでマナが吹き出てきそうなくらいだよ。」
「あれだけマナを使っといてまだマナがあるの!!?
………使ってたのは私達だけどさ……?」
「うん、
だから俺のマナに関しては特に問題ないよ?
まだまだ使ってもヘッチャラだから。
なんならまた同じ作業をもうニ、三回やってもいいくらいさ。」
「…その手錠ってマナを抑えるやつなんでしょ…?
それ装着しておきながらどれだけマナが出てくんのよ………。」
「………奇妙ですね………。」
「?」
「何が奇妙だって?」
「………カオスは………、
私の姉、アルキメデスの話を覚えておいでですか?」
「アルキメデスさんの話?」
「アローネさんのお姉さんの話?
聞きたい聞きたい!!」
「………そう人にお聞かせするような話でもなかったのですが………。」
「………アルキメデスさんの話って言うと………、
ハーフエルフって種族のお義兄さんと結婚したんだよね?」
「ハーフエルフ?
………ハーフって何よ?」
「俺も話にしか聞いたことないから具体的なことはよく知らないんだけど普通の人と………、
昔の俺のような魔術を使えない人………と言うよりそういう種族の人が結婚して生まれた子供のことをそう言うらしいよ?」
「昔のカオス………?
……昔って言うと………あの事件よりも前のカオス?」
「そう、
あの頃の俺のような………魔術が全く使えない………。
正確には使えたんだけど使ってしまったらそれだけで身体中のマナが全部無くなって生命活動を維持できなくなるほど衰弱してしまう病気………、
あの当時の俺は自分の症状をそう思ってたなぁ………。」
「実際にはどうだったの?」
「…殺生石って触れた生物のマナを消し飛ばす能力を持ってたでしょ?
あれって実は触れた生物のマナを一瞬にして吸収してたみたいなんだよ。
だから俺の中に入った殺生石の精霊が常に俺のマナを吸収し続けてて俺自身も自分のマナが本当はあったことにずっと気付かなくて長年“後天性魔力欠損症”にかかってたもんだとばかり…。」
「ふ~ん?
まぁ何はともあれ良かったね!
今は普通に戻って!」
「…全然戻ってないよ………。
むしろ前とは別の理由で魔術を迂闊に使えなくて困ってるぐらいだし。」
「…アッ、アハハ~………、
それで?
その魔術が使えない人達?と結婚して生まれた子供に何でワザワザハーフなんて付けるの?
別に同じエルフならそんな差別的に半分だなんて呼び方しなくてもいいんじゃない?」
「…その魔術が使えない方々はエルフではなかったのですよ………。
彼等は………ヒューマと言う種族でした。」
「ヒューマ?」
「そのヒューマって人達はすっごい物作りの能力があったらしいよ?
鉄で出来た“キカイ”とか言うのを扱ってたんでしょ?」
「えぇ、
……私の義兄はそんな方々と………何方かは存じませんがウルゴスのエルフの方との間に生まれた子供だったようです。
………今は義兄の話題は置いておくとして問題は姉の方ですよカオス。」
「そうだったね。」
「ゴメンね?
ついついアローネさんの家族の話とか聞きたくなっちゃって。」
「また今度カタスのことも含めてお話して差し上げますよ。
………カオス、
私の姉アルキメデスが義兄のこと以外ではどのような内容の話を私がしたのか覚えていませんか?」
「う~ん………アルキメデスさんの話かぁ…………。
アローネが話してたことと言えば………、
確かアルキメデスさんって………病気がちでグレアムさんやサタンさんに治療してもらってたんだよね?」
「そうです。
………では姉は何故病気がちだったのか覚えていますか?」
「えぇっと………、
…俺の時と真逆のような病気の症状だったよね………?
名前は…………「“先天性魔力機能障害”です。」そくそれ!」
「先天性魔力機能障害?
それってどんな病気なの?」
「さっきの話で出た魔力欠損症とまるで逆なんだよ。
なんか貴族とかの魔力が高い家の人達の子供に時々生まれるんだよね?」
「はい、
その通りです。
先天性魔力機能障害は………、
人の器に過ぎたマナが肉体を崩壊させてまで外に出ようとするのでこれにかかって生まれた方は常に全身に疲労と激痛が走ると言われています。
謂わば今にも破裂しそうな風船のような症状です。」
「そうそう、
そんな病気って言ってたね。
旧ミストで確かそんな話を………。」
「え…………………?」
「………ミシガンは私の意図が伝わったようですね………。」
「それは……アローネさんが言いたいことは伝わったけど…………。」
「んん?」
「カオス、
先程私はお聞きしましたよね?
マナを消費して体に不調がないかと。」
「うん………そうだけど………。」
「そしてカオスはこう仰いました。
まだまだ余力があると、
更に同じことを繰り返しても問題ないと。」
「……うん。」
「…カオスにはあの強大な力を持つ殺生石の精霊が宿っていますのでカオスのマナがそこから供給されていることは想像できます。
……ですがここ最近のカオスのマナは徐々に増幅の傾向にあるのですよね?」
「…そうだね………。
今回マナを沢山使っちゃったようだけどそれが気にならないくらいまだ上がり続けてると思うよ。」
「………本当に体に異常を来してはいないのですか?
体が膨れ上がりそうな痛みが生じているだとかは………?」
「え…!?
別にそんなのはないけど何で急にそんなこと………。」
「だって………ねぇ?」
「今のカオスの体の仕組みがどうなっているのかは分かりませんが少なくとも魔力機能障害には陥ってはいなさそうではあるので重く捉えることはなさそうですが………。」
「俺が魔力機能障害だって………?」
「それに陥る可能性があるような無いようななんとも断言出来はしません。
本来生物にはそれぞれある段階までは成長しますがそれは無限ではありません。
成長には限界が存在します。
蟻は自身の体重の何倍もの物を運べるとは言いますがそれでもネズミや猫程の重さになるとどこまで蟻を鍛え上げようとも運ぶことはおろか持ち上げることすら不可能でしょう。
体の柔軟さに自信がある方でも肘や膝を巧みに曲げることは出来てもどう足掻いたところで伸ばした腕がそれ以上逆側に曲がったり腕が伸びたりはしません。
…ここで私が申し上げたいことは人が内包できるマナには限界がある筈なのです。
貴族という血筋ゆえに人一倍マナを内包していた姉でさえ精々人の二倍程度………。
器に入りきらないマナが姉の体を傷つけていました……。
………カオスは………生い立ちからして私や姉と同じく国でも名の通った名門貴族の血筋最高貴族の家系。
カオスと姉様は条件的には時代の違いはあれど貴族と言うのならそれなりの家の血が多く含まれている筈です。
………それなら………、
人の二倍程度のマナを内包していただけで人生の大半を不自由に生きてきた姉様と姉様に劣るものの姉様と同じ遺伝子を持って生まれた私の五倍以上のマナを内包しつつなおもマナが上昇するカオスの体は
一体どれほどまでマナを内包出来るのでしょうか?」