テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
サンフの洞窟 夜
「男女差とかでマナの用量の限界に差があるとかじゃないの?」
「…確かに筋力やマナは一般的には男性の方が高い数値を出します。
ですがそれでもただでさえマナ内包率が高い姉様の二倍以上のマナを有しているのはどう考えても多すぎます。
普通だったら今頃全身に酷い激痛や吐き気を催していても不思議ではありません。」
「普通だったらか………。
けど俺って普通じゃないからなぁ………。」
「人の二倍三倍だとかの話なら他のバルツィエとかってどうなの?
あの人達だって街の他の人とかと比べても大分マナが多いように思うんだけど…。
「そのことについては私も疑問に思いました。
どのような秘術を施せば生まれながらにしてあそこまで高い魔力をお持ちになれるのか………。
カタスが根幹だったにせよあのような人のマナを底上げするような術はウルゴスにはありませんでした………。
……いえ、
ただ私が知らなかっただけなのかもしれません………。
実は極秘でそういった研究がなされていたのかもしれませんし………。」
「アローネさんでも分からないの?」
「えぇ…、
父の付き添いでダンダルクとの戦争の会議には出席するようなことはありましたがその他のことについては王国は広く私が知らないことは数多くあります。
実はそういった研究をそういった研究がなされていたとなると……。」
「ウルゴスの時代ってさ、
ウルゴスとダンダルクって国が戦ってたんだよね?
魔術を使うことの出来るエルフと………使えないヒューマの国で。」
「…はい、
当時はそのような状勢で………。」
「…だったらさ………、
昔の俺の体験談を元に考え付いたんだけど………、
その人の限界を越える研究が行われてたのってダンダルクでのことなんじゃない?」
「…何故ダンダルクでマナの研究が………?」
「そうだよ!
マナのことについてならマナを使える人達の方が研究するものじゃないの?」
「だからだよ。」
「「だから?」」
「…マナを……、
………エルフなら誰しもが使える魔術………、
使えない側からしてみれば使ってみたくなると思わない?
もし使うことが出来るなら………、
………とても魅力的なことと思うかもしれない。
昔の俺みたいな………。」
「………」
「…言われてみればダンダルクの技術力はとてつもなく優れていて目を見張る程のものでした。
正面からぶつかり合えば魔術を行使するエルフの方に軍配が上がる結果を悉くその“機械技術”で上回りウルゴス国家と対等以上に戦っていました………。
戦場では“ムジンキ”なる機械兵器から放たれる“レーザー砲”と彼等が呼んでいた攻撃手段はエルフの魔術を越える破壊力を持っていたとか………。」
「レーザー砲って?」
「私達は単純に“光の剣”と呼んでいました。
光………、
空から降り注ぐ太陽の光とは性質がことなるようで直視してもそこまで眩しくはありませんでした……。
…しかしその光は触れればあらゆるものを熱で焼ききりウルゴスはこれの対処に苦労しました。
………そしてウルゴスがもっとも恐れていたダンダルクの大規模化破壊兵器にして殺戮兵器“核”………。」
「カク………?」
「一言で申し上げるなら………、
ただただ大きな爆発………。
ファイヤーボール等の魔術の衝突で起こる爆発とは比べ物にならない程の巨大な爆発でその一度の破壊は………、
一つの都市をまるごと焼き払う程の凄まじいものでそれに焼かれた場所は永久的な死を与えるものでした。」
「?
永久的な死?」
「死……って普通は永久的なものじゃないの?」
「…単体の生物の死はそういうものですがそれに被災した土地はその後草木等の植物も育たず被災しなかった生物でもその地を訪れれば体調を崩し最終的には………死に至ります………。
爆発に巻き込まれていないにも関わらず………。
その爆砕地は以後死を撒き散らす大地となるのです。」
「うわぁ………なんか怖そう………。」
「………大きな爆発………、
…被災した土地が何か毒みたいなものを放つ………。
…なんかそれって「ゲダイアンの消滅後の話に似ているな。」!そう!ゲダイアンに………!」
「ミーア族に術付与の作業は終わったようだな。」
「ウインドラ!
起きてたの?」
「お前達が起きているというのに俺だけ床につくわけにはいかないだろう。
外で日課の訓練をしていたんだ。」
「そうだったんだ…。」
「…それよりも先程の話………、
どうにも気になるな………。
俺の部隊はゲダイアン消滅は大魔導士軍団の仕業だと思っていたが………アローネ=リムの話を聞いて大魔導士軍団が大魔導士軍団ではない可能性が浮上してきた……。」
「大魔導士軍団じゃない可能性…?」
「“化学兵器”によるゲダイアンの消滅の可能性………ですね……。」
「そうだ。
このデリス=カーラーンには至るところに遠い昔高度に発展した文明が存在していたことが専門家によって発表された。
その文明では今の時代にはない技術が用いられていてとても現代で再現できないようなものが数多くあったと調べがついている。」
「今にはない技術………。」
「先程の核とやらもそれに含まれるのではないか?」
「そうですね………。
化学はヒューマ人によって作られたもので自然エネルギーを操る私達エルフにはとても理解が追い付かない分野………。
彼等ヒューマは力ではエルフに劣るものの“知識”においては全世界の生物上最高の存在で私達エルフが“自然を統べる存在”であるなら彼等ヒューマは“世界の理を解き明かす存在”とまで一部の方々から称されていました。
彼等の技術が現代に甦れば地図にあったゲダイアンくらいの広さの都市なら一瞬で灰塵に帰すことも可能な筈です。」
「え…!?
そんなに!?」
「問題はバルツィエ以外にその技術を誰が甦らせたかだ。
まだ断定は出来ないがそのヒューマとやらの技術がゲダイアンで使われた線が大いに高い。
つい最近レイズデッドという新術を編み出しはしたが過去様々な国が長年かけて魔術を研究しても実用出来るような代物にはならなかった。
それよりも元来ある基本六元素のファイヤーボール、アクアエッジ、ウインドカッター、ストーンブラスト、ライトニング、アイスニードルの六種の魔術を引き伸ばす方が単純かつ効率がよかった。
基本を伸ばすと言うのが最終的な論拠となったんだ。
………その論拠を踏まえてもっとも抜きん出たのがバルツィエだ。
バルツィエは膨大な魔力を誇るがそれだけだ。
他社よりマナの扱いに優れてるだけにすぎない。
その人の歴史上頭一つ飛び出たバルツィエでさえ都市を一瞬で焼くような術は開発出来てはいない。
単体でも都市を焼き払うことは出来るだろうがそれは数日かけての話だ。
バルツィエが何人集まったとしても破壊のレベルは粉砕程度、決して“消滅”なんて域には到達できない。
………そう簡単に今の魔術の破壊力の何十倍にもなる魔術の開発など無理な話なんだ。」
「「………」」
「…………………、
………確かに新魔術の開発はそう直ぐに実現は無理でしょうね……。
ゲダイアン消滅の原因もヒューマの化学技術による可能性が高いのも今の説明で分かりました。
……………ですが私達にはゲダイアン消滅の原因がまだ他に候補を挙げることが出来ますよ?」
「………?
他に何があると言うんだ…?
大魔導士軍団が実は古代の兵器を使う集団だったとしかないと思うが………?」
「それだけではありませんよ………。
私達だからこそもう一つの可能性があることに気付く筈です………。
その人の……………人ではありませんねあの方々は……。
あの方々の力は先日トリアナスからシーモスまでの一本道を一瞬で爆砕しました………。」
「「「!!!」」」
「…そう、
私達だからこそ大魔術による破壊、化学兵器による破壊の他に第三の破壊の可能性を………。」
「けどそれって……!?
ゲダイアンが無くなった時ってまだミストにいたんだよ!?」
「俺達が生まれる前からアイツはミストにいた………。
そのアイツが何故遠く離れたゲダイアンを……!?」
「俺が子供の時に触るまではアイツは一度も外になんて出てない筈だよ!?
そのアイツが何で…!?」
「私はあの方を疑っているのではありませんよ…?
私が疑っているのは別の方です………。」
「別の方………?
……他に誰がいるって………?」「…いる!!いるぞ!?アイツの口振りからして確実にいる!!」
「え?
いる………?」
「……あの方はあの日こう仰っておりました………。
生物はいづれ彼と………“彼の眷属”に辿り着くと………。
…“眷属”………、
彼には他に彼と同じ様な方の存在を仄めかしていました………。
………眷属という響きからして彼の力には及ばないもののこの星を破壊し尽くすと宣言し事実それを可能にする力を持つ彼の眷属となると星を破壊しないまでも都市を一瞬にして消し飛ばす程の力を有しているのは有り得そうです………。
………私はゲダイアン消滅の原因は………、
殺生石の精霊の眷属が関わっていると思います………。」