テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
サンフ渓谷
「最高な出だしになったな。
ミーアが全面的に協力してくれることになったしこれならこのダレイオスの東ではヴェノムの主討伐は比較的スムーズにことを終えそうだ。」
「ミーア族の人達がミストの皆みたいになったしね!
………カオスに対する風当たりは全くの正反対だけど………。」
「殺生石とは無関係だったミーア族にとっては他所から来た救いの手を差し伸べられた形だっただけでミストの人にとっては俺は殺生石を独り占めしちゃった悪人みたいなもんだし仕方ないよ。」
「このクエストが終わる頃にはその考えも少数派になりますよ。
このクエストの最後にはダレイオス全体がカオスさんの業績に感謝の意を示す筈です。
その暁には………、
カオスさんが新たに新生したダレイオスの“統治者候補”として名前が挙がる筈です。」
「!!」
「統治者…?
………村長みたいなものかな?」
「そんな小さな話じゃないぞ統治者と言うのは………。
つまり国を治める国王になるということだ。」
「え”!?
カオスが王様に!?」
「昔には一つの国として成り立っていたにしてもそれをまた一から纏めあげることになるんですから当然国を纏めるに相応しい方の人選が必要になるでしょう。
カオスさんはそれにもっとも適した人選です。
ボク達の経緯ですらカオスさんのもとに集まってますからその王の選任にはボク達の中から選ばれることになればカオスさんこそがダレイオスの王の資格があると言えるでしょう。」
「俺は………王様になる気なんてないけどなぁ………。
それに俺ってバルツィエの家系だよ?
ダレイオスがそんな家系の俺を王様になんてしないだろ………。」
「そんなことは些細なことですよ。
カオスさんがかつてダレイオスがただ一人認めた男アルバート=デュランの孫だと知り渡ればそんな問題は誰も気にしなくなります。
ダレイオスとマテオの橋渡しになれそうだったあの人の孫が今度はダレイオスの民をヴェノムから救うだけでなくマテオのバルツィエと戦おうと言うのなら………。
…前のアルバート=デュランとは違い今度のカオスさんは完全にダレイオス側の勢力です。
出身がマテオにも関わらずダレイオスを救うために奮闘して回るわけですから誰も文句なんて言いませんよ。」
「ダリントン隊がマテオの民衆達の士気を上げようとしていた時はアルバート=デュラン伝説を利用して架空の救世主の話を作り上げたが今度のお前は実際に一つの国を救済するんだ。
お前の虚実に満ちた………俺達が満たしてしまった外情がこのダレイオスでは一切ない。
故にお前の頑張りがそのままこの国で反映される………。
この国はお前にとってとても住み心地のいい国になるんだ。」
「…この国が………カオスの住みやすい国になるかもしれないんだね………。」
「ちょっと待って!
俺は別に王様になりたい訳じゃないんだ!
俺はミストをバルツィエ達から守りたいだけで…。」
「それなら尚更ダレイオスを統治するしかないだろう。」
「………え?」
「ミストを………あの村を守りたいと言うのならミストの敵はバルツィエだけじゃないぞ?
この国の民全てがミストの敵だ。」
「ダレイオス全体がミストの敵!?」
「そうですね。
今はマテオにいる敵の代表としてバルツィエの名を大きく挙げてはいますが勿論それはバルツィエに従わせられているにしろマテオの民衆全ての人にも当てはまります。
よってマテオの大陸の中にあるミストという村の人達もダレイオスの民にとっては排除すべき敵の内の一部ですね。」
「そんな………。」
「…これから起こりうる戦争でマテオが勝利すればミストはバルツィエの力を確固たるものとすべく砦の建設が進められる…。
ダレイオスが勝てばマテオの大陸を戦争に参加した部族達で分け合うことになる。
そうなれば結局ミストもバルツィエ勝利の結果と大して差のない扱いを受けるだろう。
長年の仇敵として苦汁を舐めさせられ続けてきたダレイオス側の者達なら戦争に無関係を通してきた相手でもマテオの国民というだけで虐殺されたり地を追い払われたりして全てを奪われるだろう………。
それを防ぐ手立てがやはりダレイオスの統治者としてダレイオスの全てを掌握する地位に就くことだ。
お前が王になればダレイオスもマテオもお前の自由に出来る。
お前が望むのならダレイオスの総力を持ってマテオを滅ぼすことも出来るしそれをしないということも出来る。
全てがお前の思うがままだ。」
「…ダレイオスとマテオが俺の………?
………でも俺はそんなこと………。」
「…分かってるさ。
お前がそんな野蛮にまみれた望みなど持たないことも。
俺もお前がそんなことを望むとは思ってはいない。」
「だっ、だよね!?
ビックリしたぁ…!
カオスがそんなことする筈ないよね!?」
「ですがそれが実現可能な位に立つことになりえるのも確かです。
王位は国の全ての方針において口出しも出来ますし何より王の取り決めは絶対です。
従わなければ従わない者を即刻排除することも出来ます。
マテオの国政のように。」
「……!?」
「…俺は………、
やっぱり王様になるなんて考えられないよ。」
「!」
「そうは言ってもこれからの流れの最後には誰がダレイオスの頂点に君臨するかの会議が開かれるでしょう。
そうなった時にミストだけを不可侵対象にする前にはボク達の中かダレイオスの九の部族の中から王が選任されることになります。
…アイネフーレで子供のボクでは威厳に欠けますし他の部族達を反感が生じずに上手く取りまとめることは難しいです。
ここはカオスさんしか…。」
「…ウインドラかミシガンはどうなの!?
王様になるって話になったら………王様にならない!?」
「俺は…「ダメ!!」!」
「私はダメ!
私は………ミストの村長になってミストを守らなきゃいけないから国の王様になんてなれない…、
…ウインドラにもそれを手伝ってほしいし………。」
「………そうだな、
俺もミストから離れる訳にはいかないようだ。
ダレイオスの王になるとしたらダレイオスとミストで距離が遠すぎる。
王の話の前に俺はミストを守る騎士になるからな。」
「……俺だって昔から騎士を目指してきたから人の上に立つようなことは考えたことなかったんだよ………。
急に王様になれだなんて言われても………。
!…そうだじゃあ「では私が代わって差し上げますよ。」!」
「…この場にいる四人が王座獲得権を放棄すると仰るのならば私がダレイオスの王座に就きます。」
「アローネ…?」
「カオスが王様にならずに自由になれるなら私は大歓迎だけど………。」
「…アローネさんならカオスさんと共に旅を始めて最初から最後まで一緒に戦うことになる訳ですから特に不評を買うような人選でもありませんが………。」
「アローネ=リムが王座に就くとなるとどうにもダレイオスの皆を納得させるだけのインパクトが薄いのではないか…?
カオスなら誰もが知るアルバート=デュランの名声を利用できるが「でしたら私もアルバさんの孫ということにします!」……おいおい………。」
「アローネさん、
それは無理ですよ………。
皆が認めるアルバート=デュランはバルツィエの血筋………。
バルツィエの血筋ならバルツィエであることを証明しなければなりません。
カオスさんはバルツィエの技能だけでも十分に使用できますが…アローネさんは………。」
「……私にはカオスのような魔術に対する高い抵抗力も戦闘におけるバルツィエの接近能力もありません。
更には地属性の攻撃でダウンしてしまう欠点もあります。
………ですがそれでも王にならなければならないのです!!
王になって権力を得なければ………。」
「…もしかしてアローネさん………、
王様になってウルゴスの人達を皆に探させるつもりじゃ……。」
「王になればダレイオスのことを自由に出来るとは言いましたけど自由に出来るからといって好き放題し始めるとマテオのバルツィエ達のように国民から反感を持たれ「私は自分の欲のために権威を振るうつもりはありません!!」」
「私はただ………ウルゴスの民を………未だに封印され続ける同胞達を救いたいだけなのです………。
こうして私達にヴェノムの危険を回避する術が編み出せた今なら………。」
「…しかし………ダレイオスやマテオの民にとってはウルゴスの話は眉唾物だ………。
王になってマテオとダレイオスの因縁に終止符を打ったとして………皆が王になったアローネ=リムから“地層に埋まった同胞達を探してくれ、かつての私の国の民なのだ”と命令されてもダレイオスの民にとっては何の縁も関係もない者達だ。
かえってその後の執政に差し障るだろう………。」
「それ終戦を迎えた後は恐らくマテオ、ダレイオス共に戦中の痛手が深いでしょう……。
先に国を最低限修復する作業があると思うのでアローネさんの考えてる作業はずっと後に回さなければなりませんよ?
そうなったら王になった人は国を立て直すのに尽力しなければ………。」
「…それくらい待ちますよ………。
ウルゴスの同胞達の為ですもの……。」
「「………」」
「…その………、
アローネさんの同胞達の話ってさ………。
私が言うのもなんだけど………、
どのくらいの人数見付けられたら終わるの?」
「どれくらいですって…?
それは全ての…………………!」
「アローネさんってカーラーン教会のカタスさんから話を聞いて他のウルゴスの人達を探さなきゃって思ったんだよね…?
アローネさん自身もあのミストでカオスと会った時にもアインスって時代からこのデリス=カーラーンまでタイムトラベルした記憶が無かったみたいだし………。
…ひょっとしてアローネさんと同じように眠ってる人の数って正確に分からないんじゃない………?
もし分からないんだったら………そのアインスの人達を探す作業って………、
永久的に終わりが見えないんじゃないの?」
「………」
「そうだな………、
具体的なウルゴスの同胞達の数が分からないのならダレイオスの民もいつ終わるとも分からない捜索作業に駆り出されるのは酷なものだろう。」
「仮に見付けたとしてウルゴスの人達を探しだす労力と見付けた際のメリットが割が合わないような気がします………。
この時代でウルゴスの人が眠りから覚めたとしても一労働力としての能力にしかならないでしょうからウルゴスの人を探す前にウルゴスの人達を探してくれそうな人を説得するところからになるでしょうね………。」
「そこは………私がなんとかして………。」
「………アローネ=リム………、
ウルゴスの民もこのまま眠り続けても直ぐに危険が及ぶというわけではないのだろう…?
アローネ=リムや教皇がこの時代に流れて目覚めた時には最初から今のようなヴェノムを排除できる能力を持っていたらしいしな。」
「それは………!?
ですがだからと言ってこのままどこかで地層に埋もれ続けて言い訳では…「アローネ=リム………。」」
「…この時代の皆もヴェノムの存在と国同士の戦争で安らぎを求めている………。
それが漸く終わりの兆しが見え始め次こそは世界を誰もが住みやすい世界にしようとしてるんだ。
………それが実現するには想像を絶する長い時間とその分の労力が必要なんだ………。
個人的な頼みで何かもののついでに地層を掘り進める作業の時とかにはその願いを聞くのも有りだろう。
そうじゃなく当てもなくどこに埋まってるのかすら分からぬ者をひたすら皆に強制して探させるのは非情すぎる……。
地層を掘り返せばこの時代の経験上ヴェノムに類する何か別の災厄を堀あてる可能性もあるし地層を掘る作業ですらヴェノムの存在を連想させる………。
この時代の者は殆どの者達がもう地層を掘り返す作業はしたくないと思う筈だ。
ヴェノムが現れたというのなら仕方なくするだろうがそれ以外の目的で掘るとなると………。
…今すぐにウルゴスの民を救う必要性はどこにもないんだ………。
………ウルゴスの民の捜索は、
自然に見つかるのを待つくらいでいいんじゃないか?」