テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
サンフ渓谷
「………」トボトボ……
「…少し言い過ぎましたかね………。」
「同胞達を探したいという願いは理解できるがこの時代の者も今を生きるのに精一杯なんだ………。
王に選ばれたとしてその権力を当てにしようとしているのならば今の内にその厳しさを理解してもらった方が後々ショックが少ない………。」
「…なんとかならないの…?
王様になったとして命令とかじゃなくてさ、
何か………人助けと思って皆に手伝ってもらうとか…。」
「…教皇の時のようなこの時代には無い価値のある文明の技術等の書かれた本とかがウルゴスの民と一緒に見つかれば一応土を掘り返してみる口実にはなるだろうが………。」
「もし全てのことをダレイオスの皆に公にして積極的にウルゴスの民捜索に協力してもらってもその後のウルゴスの民の扱いに困りますね…。
アローネさんが王になればアローネさんは同族としてウルゴスの民を優遇してしまうのではないですか?
そうなったら………気が早い結論ですが戦争に勝利した国の民なのにダレイオスの民が劣等民扱いになるかもしれません。
基本的に族長や一部を除いて平等の部族なのにそんなことになってしまえば………マテオのバルツィエの二の舞が起こりますよ?」
「…バルツィエを作り上げるような情報の書かれた書物が見つかればそれを利用して第二第三のバルツィエ出現の危険性も孕んでいる。
ウルゴスの民の捜索に関しては残念だがアローネ=リムの考えは甘いだろうな。
簡単に見つかる話ならいいんだがこの世界史が始まってアローネ=リムと教皇のような話は一切なかった上に今現在見つかってるのも二人まで………、
数千年昔にまで遡れば他にもひっそりとどこかでウルゴスの民が目覚めた話があるかもしれんがそんな話すら探してくるだけでも大変だ………。
…詰まる話このデリス=カーラーン歴が始まって以来数万数千年の長き時の中でたった二人しか見付かっていないウルゴスの民をその百倍以上にも膨れ上がりそうな数を探してくれと言うのは………無関係な者からすれば………、
“面倒”の一言であしらわれてしまうだろう………。」
「…でもアローネさんとカタスさんが見付かったのって偶然だよね………?
だったら探そうと思ったら案外早くに一人二人目が…。」
「偶々だったということもありますよ。
アローネさんとカタスさんが見付かったことは。
二人が地殻変動とかで地層の上の方まで浮上してきて見付かっただけで他のウルゴスの人達はボク達ですら手を出さないような深い地層に埋まっていたら………、
実際ヴェノムが現れて百年………、
世界中で共通しているヴェノムの対処法が同じ土葬にも関わらずウルゴスの民の話はほぼ聞かない………。
これは少なくともボク達が考えているような浅い地層にはウルゴスの人達は埋まってはいないということですよ。」
「………」
「…せめて助け出すにしても“明確な数や誰を助け出したいのか”を絞れればな………。
王に立候補しようとする姿を見れば元貴族の経験からか上手くやっていけそうではあるが………責任感が強すぎて総数も分からないウルゴスの民全てを救おうとするなど………、
付き合わされるものにとっては終わりが見えない土の掘り返し作業は拷問のように感じていくだろう。
昔敵兵を実際にそういった方法で拷問し精神を崩壊させるようなことも行われていたようだしな。
可哀想だが………“人”は合理的な理由がなければ動かしにくいんだ。
………この世の中は………。」
「………ハァ………。」トボトボ…
「…………………………」
タイヒ山道 麓
「………」
「…いつまで悄気ているんだアローネ=リム。」
「ウルゴスの同胞の人達の捜索については残念ですけど………地道に探していくしかありません。」
「私達の方でもなるべく探すようにするから………。」
「…いえ………、
この件は私とカタスの………ウルゴスの問題ですのでお構い無く………。」
「「「………」」」
「……………………
………アローネ!」
「…はい?」
「……ええっと………。」
「………カオス?
どうなさいました………?」
「…ウルゴスの人達のことだけど………、
……全てが終わったら………俺が一緒に捜してあげるよ!」
「「「!」」」
「…?
カオスが………何故………?
………カオスはウルゴスとは何の関係も無いのに………。」
「…そうなんだけどさ………。
アローネの話を聞いてたら………なんだかウルゴスの人達を助けてあげたくなって………。」
「…私の同胞達に同情していただけるのは有り難いことですが………、
私が成そうとしていることは気が遠くなるような時間がかかることです………。
ウインドラさんが仰ったようにとても………。
…それなのに私にはカオスに対して何もしてあげられない………。
私は………ウルゴス王族の“所有物”なのですから………。」
「………」
「………別に俺は何かアローネにしてもらいたくて手伝おうって言ってるんじゃないよ………。
俺は………………、
アローネのお義兄さんの……!
サタンさんに会ってみたいんだ!!」
「………義兄様に?」
「そう!
ここまでの旅でアローネから沢山サタンさんのことを聞かされたからね。
俺もサタンさんに会いたくなったんだ。
………アローネが凄く大好きなサタンさんに………。」
「………!」
「他にもレサリナスの教会でカタスさんの話を聞いて………、
カタスさんの兄弟の人達とかアローネの御両親、それからアローネが大好きだったウルゴスの人達………、
その皆に会ってみたい………。」
「カオス………。」
「…駄目かな?
それとも………俺一人じゃアローネの親戚を捜すのに役に立たないかな?」
「………いえ、
そんなことはありません…!
力を貸していただけるのなら助かります!
…ミストからここまで私を支え続けてくれた他ならぬカオスなら………。」
「そう言う言い方はちょっと照れるから止めてよ………。
俺はただ俺がサタンさんに会ってみたいだけなんだよ。
サタンさんって俺みたいな厳しい環境……、
………俺を遥かに越える環境にいても挫けずに頑張って来た人なんでしょ?
そんな人なら何かと俺と気が合いそうだし………、
何よりそんな人だったら俺達なんかよりもこの世界のヴェノムをどうにか出来そうだしね。
仕事もお医者さんだったみたいだし。」
「…そうですね。
サタン義兄様とグレアム様のお二人がこの時代で見つかりさえすれば………、
この時代に蔓延するヴェノム災害問題も解消可能な筈です。」
「それは本当なのか?
アローネ=リム。
この時代のヴェノムを解消出来ると言うのは………。」
「はい、
出来ると思いますよ。
サタン義兄様とグレアム様はウルゴスでもかなりの腕を持つ医学研究者です。
彼等はこの時代には無い病気の特効薬等も開発なさった方達ですから。」
「……言われてみればレサリナスでも一人不治の病、魔力欠損症の治療方法を知っていましたね………。
あの処刑台に近寄っていったダニエルって子でしたが……。」
「……!
あの少年のことか………。
もしそれが本当なら………、
ウルゴスの民を捜索する理由にはなるな………。
ヴェノムに限らず今後とも世界には多くの病気に悩む者が増えてくるだろうしな………。」
「流石に世界中を回って私達の手だけでヴェノムを祓っていくのも大変だよね………。
ワクチンも大量に作れるかどうか分からないんだし。」
「サタン義兄様だけでなくグレアム様もウルゴスの医療技術を何百年も進歩させたと言われるような方ですしそこにサタン義兄様が加われば薬の他にもこの“レイズデッド”の術を一般の方にも普及出来るように消費マナの軽減化や新術の開発も出来る筈です。」
「本当に何でも出来るんだねサタンさんって。」
「医者なのに治療魔術だけでなく攻撃性の魔術も学んでいるのか?」
「サタン義兄様は本当に色々な経験をさせられてきましたから………。」
「何にしてもこれでウルゴスの人達の件は問題無さそうだね。
後は早くに見つかるといいけど。」
「……有り難うございますカオス。
私だけではとても皆を見つけ出すことなど………。」
「いいって御礼なんて。
さっきも言った通り俺は俺がサタンさんに会いたかっただけだから。」
「………本当に…………、
貴方にはいつも助けられてばかりですね。
貴方がいなければ私は………当に挫折して立ち止まっていたことでしょう……。」