テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

338 / 972
レイディーの後遺症

王都セレンシーアイン

 

 

 

 スラートのファルバン族長に頼まれていた術付与の作業、……ファルバンは“洗礼の儀”と名前を付けたそれが終わりカオス達はこれからのことについて話し出した。

 

 

カオス「…残りヴェノムの主は六体………。

 次はクリティアのところに行く予定だったけどどうしようか………?」

 

 

ミシガン「クリティアの次に向かう予定だったところに一直線に向かうのがいいんじゃないの?」

 

 

カオス「それはそうなんだけどさ。

 あの………洗礼の儀とかってまだクリティアの人達にもやってあげてないし………。

 一応クリティアの村にも寄ってた方がいいんじゃないかな?」

 

 

アローネ「一理ありますね。

 クリティア族も仲間に引き入れるのならヴェノムに殺られると言うことだけはあってはならないので予定通りに行きましょう。」

 

 

ミシガン「あれ?

 あのオーレッドとかいう長老のおじいちゃんはどこ行ったの?

 あの人に付いていけば早くクリティアの村にも着けそうじゃない?」

 

 

アローネ「あの方は………、

 洗礼の儀を行ってほしいと仰ったまま姿が見えませんね………?」

 

 

 ここでクリティアの族長オーレッドが一昨日から誰も目にしていないことに気が付く。洗礼の儀を予約しておいてどこに行ったのかカオス達が話しているとそこへオサムロウが現れて…。

 

 

オサムロウ「オーレッドならランドールの騒ぎの前にここを発っていったぞ。」

 

 

カオス「!

 オサムロウさん。」

 

 

ウインドラ「ランドールの騒ぎの前に………?

 それで二日に渡って誰も目撃した者がいなかったのか………。」

 

 

ミシガン「何で私達にそのことを伝えずに行っちゃったんだろ?

 レイズデッドを掛けてほしいって自分から言い出したのに。」

 

 

オサムロウ「なにぶんオーレッドはずる賢いジジィでな。

 ソナタ等に先に約束を取り付けておきながらセレンシーアインを出発したのはソナタ等にクリティアの村“ヴィスィン”に来るように仕向けようとしているからだろう。

 ソナタ等にも何やらエルブンシンボルに変わるマジックアイテムを渡したそうだしな。

 ソナタ等なら約束を反故にするようなことは無いと思ったのだろう。

 

 

 ………それとカオスから血液を採取したのでさっさとヴィスィンに戻って解析したいとも言っていた。研究家気質な奴のことだからそれが一番の理由だろうがな。」

 

 

カオス「研究の為ですか………。」

 

 

ミシガン「カオスの血液を採取なんかしてどうするのかな………?」

 

 

アローネ「血液を採取したということはその血液に含まれる抗体などを解析してから病気に利くワクチンなどを開発する目的だとは思いますが………。」

 

 

ミシガン「ワクチン………?

 あぁ……ワクチンかぁ。

 結局ワクチンって危ない成分が含まれてたんだもんねぇ…。

 あんなもの量産しようとしないでよかっ………………。」

 

 

タレス「…?

 どうしたんですかミシガンさん。」

 

 

ミシガン「………あのワクチンってツグルフルフとかいう危ない花の成分が検出されたって長老のおじいちゃんが言ってたよね?」

 

 

アローネ「?

 そうですけどそれが………!」

 

 

「「「!!」」」

 

 

ミシガン「………あのワクチン………、

 ウインドラやレイディー、それからミーアのシーグスさんとか使っちゃってるけど大丈夫なの…?」

 

 

 ミシガンの指摘はもっともである。

 

 

 ツグルフルフ………。

 クリティアの長老オーレッドの話ではあのワクチンには人の人格に悪影響を及ぼす可能性があると言う。それを既にウインドラ、レイディー、シーグスが服用しているのだが…。

 

 

ウインドラ「………俺は特に自分の精神に異常な変動があるとは感じないが………。」

 

 

ミシガン「それって自覚症状があるものなの………?」

 

 

アローネ「麻薬に犯された人などはそれなしではどうしようもなくなってしまうような依存症に襲われるとは聞きますがそういった感覚はありますか?」

 

 

ウインドラ「………ない。」

 

 

ミシガン「一回しか使ってなかったからそんなに影響が無かったんじゃないかな?」

 

 

ウインドラ「…バルツィエが作った薬だ。

 ツグルフルフが検出されたのだとしてもそれの作用を極限にまで薄めて使っている筈だ。

 そうでなければレサリナスでもワクチンによる問題が浮き彫りになっているだろう。」

 

 

タレス「…あまり賞賛したくはありませんがそういう研究に関しては一流としか言い様がありませんね。

 クリティアを凌ぐ技術は驚嘆に値します。」

 

 

ミシガン「バルツィエの人達は沢山作ってるみたいだし人格的な影響だけはバルツィエの人達は酷いようだけどね。」

 

 

 ウインドラの様子を見てもツグルフルフによる人格の変貌は無さそうだ。一度程度ではそんなに大きな変化は無いらしい。この分ではミーア族のシーグスも大丈夫そうだ。レイディーも………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイディー………?レイディーは………どうなるんだ?

 

 

カオス「……レイディーさんは………多分一回だけじゃないよね?」

 

 

アローネ「!」

 

 

ミシガン「…言われてみればレイディーって最初からワクチン持ってなかった?」

 

 

タレス「ボク達と初めて会ったネイサム坑道でも使用してましたし話をする前のボクが一度ヴェノムに感染して死にかけたトーディア山脈にもいたらしいです。

 あの次期辺りはレイディーさんも今のような体質にはなってなかった筈ですしヴェノムの生息地帯を彷徨いてたとなると………あの山でもワクチンを使用していたのではないでしょうか…?」

 

 

ウインドラ「一体レイディー殿は今まで何回ワクチンを服用したんだ………。」

 

 

アローネ「この間のオサムロウさんの話を思い出してみればツグルフルフを含んだワクチンを使用すればバルツィエの共感性………別の言い方で思い遣りに欠けていくとか………。

 ………レイディーの言動を鑑みてみれば思い当たる付しだらけです。」

 

 

カオス「レイディーさんは………元々はもっと思い遣りを持って話せる人だったのかな………?」

 

 

ウインドラ「当たり障りがあったか無かったかは俺達ではあのワクチンがどの程度人体と人格に影響を及ぼすのか分からないためにレイディー殿の過去がどうであったかも予想の域を抜けきれないだろう

 

 ……だがツグルフルフのことはよく知らないがツグルフルフが障気の濃い場所に咲く花と言うのなら関連性が見えてくる話だったな。

 ヴェノムが腐敗して発生した障気が濃い地帯に人が長時間滞在すると徐々にだが攻撃的になったり性格が変わったりする記録がある。

 一説には有害な障気を吸うと脳の理性的なことを司る“前頭前野”と感情を生み出す“扁桃体”が傷付けられて感情を制御することが出来なくなるそうだ。」

 

 

 急にウインドラからよく分からないワードが飛び出てくる。前頭前野に扁桃体と人体構造について知識の無い他の三人は理解が追い付かなかった。アローネだけは二つのワードを聞いて理解が出来たようだった。

 

 

アローネ「なるほど…、

 ツグルフルフと障気………。

 マナを高める効果を除いてはどちらもある意味では同じ作用があるわけですね。」

 

 

ウインドラ「そうだ。

 ツグルフルフも障気も体内に入れれば人の感情器官に変化をもたらす。

 ツグルフルフが極端に精神を殺す理由としては障気を大量に吸収して成長した“障気が多く含まれた物体”であるからだろう。

 障気だけでは空気中に漂っている分には濃度がツグルフルフに比べて薄いのだろうな。」

 

 

アローネ「障気が漂う場所と言えばマテオでもそのような場所に好き好んで居座る方がおりましたね………。」

 

 

タレス「サハーンのことですね。

 ボクもあの根城にはいましたが殆ど外で遣いに出されていたので障気を吸う時間はそんなに長くはありませんでしたが………。」

 

 

カオス「アイツ……平気で仲間を犠牲にして逃げたんだよなぁ………。

 あれって障気を吸いまくってあぁなったんだろうか………?」

 

 

ウインドラ「サハーンは生粋の快楽殺人犯だ。

 障気とは関係ない。

 元はマテオでも名のある商人の家の子息だったが教育を間違えて他人を見下す性格が固定されて少し気にさわった程度のケンカで殺人を犯してしまった。そこから奴には殺人癖が付いたんだ。」

 

 

ミシガン「始めから悪人な人もいるよねそりゃ………。」

 

 

アローネ「障気に当てられてあのような人格になってしまったのかと思って少し同情してしまいました………。」

 

 

ウインドラ「…とにかくだ。

 レイディー殿のことについては過去を知らない俺達では詮索のしようもない。

 ワクチンを使用した回数も分からないのならこれ以上レイディー殿のことについて話していても無意味な結末にしかならないだろう。

 ………レイディー殿は俺達と同じ体質が付与されているのだし今はもうこの先レイディー殿がワクチンを使用することが無いと言うことが分かっているだけでこの話は中断しよう。」

 

 

 ウインドラの言う通りレイディーについては部分的な場面でしか五人は会っていない。ここからいくら話をしたところで膨らみはしてもそれを萎ませる結果にはならないため五人はとりあえずこの話を区切ることにする。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。