テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
スラートの地中都市シャイド 族長邸前
カオス達はクリティア族の村ヴィスィンを訪ねる前に一度カーラーン教会へと足を運ぶためファルバンの元へと道を聞きに来ていた。シャイドではあちらこちらでランドールの暴動騒ぎで屋内にある貴重品や家具を地上へと持ち運び出す様子が見られる。ランドールの放った魔術メイルシュトロームが地下に深刻なダメージを与えたためここもいつ崩れるか分からないからだ。地上に運んだ物は暫くは置いておくだろうが一部はアイネフーレ領へと持っていくつもりなのだろう。
カオス「……仕事の邪魔になってないかな………?」
こう忙しそうにしている人達の中を通り過ぎて行くとただファルバンの家まで歩いているだけの自分達が目障りに映るのではないかと肩身が狭くなる思いに刈られる。
アローネ「私達も当事者ですし何かお手伝いした方が良いのでしょうか?」
タレス「当事者と言ってもボク達はランドールを追い返したんですよ?
それだけでも十分に貢献しましたよ。
ここはこの場所に住んでいる人達に任せましょう。
変に関わってスラートの重要文献でも発見してしまった一大事です。
素直にボク達はボク達のやるべきことをしましょう。」
相変わらずタレスはドライなところがある。最初に出会った頃は礼儀正しくて何がなんでも生きたいという想いの強さを感じる少年だったのだがここ最近で余裕が出始めたのか自分の意見を言うようになった。礼儀が正しいのは変わらないが内心はどうやらあまり他人と関わり会いになるのを避けようとする傾向が見られる。今だってスラートの人達にも目をくれずに発言した。想像していた印象から大分かけ離れてきて少し扱いに困る。
ミシガン「そうだよね。
結構時間かかりそうだしこれ手伝ってたら最後まで手伝わされそうじゃない?
これって一日くらいじゃ終わらないでしょ。物持って階段の登り降りしないといけなさそうだし。」
ウインドラ「世話になっている分、手を貸してやりたいがそれで時間を消費してしまっては俺達とスラート族達との計画の本末転倒になってしまう。
残り五ヶ月半で六体討伐と多少のんびり出来るところだがランドールのようにバルツィエと交戦したり想定外のアクシデントに見舞われたり今回のような主以外の寄り道も考慮すれば余計な仕事は増やさない方がいい。
仕事は適度に手を抜くことも大事だ。」
手を抜く仕事と聞いてそんなことが許されるのかと疑問に思ったが騎士という真っ当な職に就いていたウインドラが言うのならそうなのだと納得することにした。カオスにとっては旧ミストにいた時の仕事と言えばヴェノムを狩り尽くすことしかやっていなかったのもあって手を抜いて仕事をしてヴェノムが繁殖するようなことでもあれば深刻な被害が出る。それ故に仕事を手を抜く等ということは今まで考えたこともなかった。カオスは請け負った仕事は常に全力で取り組む姿勢が身に付いていたのだ。
オサムロウ「む?
ソナタ等。」
ファルバンの家に着いた瞬間中からオサムロウか出てきた。家の中でこれからのことでも話し合っていたのだろうか。
カオス「こんにちはオサムロウさん。」
アローネ「族長と今後のことを決めていたのですか?」
オサムロウ「あぁ、
やはりバルツィエがあのような手段でダレイオスに侵入してくる以上ダレイオスの地深くまで入られたら厄介なのでな。
ミーア族とも橋が渡せたようなのでダレイオスの東の海に面している辺り一帯に砦と塀を建設しようと思っている。
今から下見に出向こうとしていたのだ。」
タレス「塀を作っても飛び越えられるんじゃないですか?」
オサムロウ「塀の役割は陸から敵の侵入を防ぐだけではない。
高所が出来ればその分見渡せる視野が広がりいち早く敵の出現を察知出来るのだ。
今回のランドールのように敵と分からぬ者が突然現れて我の同胞が迂闊にもこのスラートの秘密の住居にまで招いてしまった。
その結果あの見張り二人が敵が隣にいながら武器を構えることも出来ずに殺されてしまった。
事前に何者かが近付いて来るのが分かっていればあの犠牲が出ることも無かっただろう。
殺された二人は我のように前線に立つ機会が少なかったのと時間の空きでランドールの顔が朧気だったんだ。
惜しい犠牲を払った………。
これを学びの機と取って今度は海辺近くに居住を移すことにする。
陸から来る不審人物ならともかくあんな乗り物で飛んでくる輩なら直ぐに我にも連絡が付くだろうしな。」
ランドールの奇襲はスラート族に深い傷跡を残した。ヴェノムやバルツィエから身を隠すために作った隠れ場所を不覚にも見張りの者が案内してしまい警戒していた筈の事態を招いてしまった。もう二度とこのようなことが起きてはならないという教訓とこの先に待ち受ける本格的な開戦に備えてスラートは準備を始めたらしい。
タレス「だからアイネフーレの領地を貸してほしいとファルバン族長が言ってきたんですね。
ただここに住むのが難しいからだけでなく海から飛来してくるバルツィエ達を迎え撃つために。」
オサムロウ「今度の失態は非常に堪えるものだった。ソナタ等の旅を座して待っているだけではいざと言うときに体が思うように動かぬのでな。
皆にもソナタ等の主退治の功績を話して立ち上がらせた。
もつ主退治の期限の半年等という制限も解除しよう。
これからはいつ開戦しても剣を取れるように仕向けねばな。」
カオス「半年の制限解除ねぇ………。
そっちの半年が無くなっただけでもいいことなのかな?」
オサムロウ「?
他に半年の制限がかかるようなことがあるのか?」
カオス「いえ、
オサムロウさん達は気にしないで下さい。
順調に主退治が進んでいるんで俺達の方のパートの期限もそんな話すようなことでもないですから。」
ヴェノムの主を三体討伐してダレイオス東は景気よくヴェノム減少化が進んでいる。殺生石の精霊はダレイオスのヴェノムを減らせなければ世界を破壊すると言っていたので今現在の状況を見れば世界が破壊されるようなことはないだろう。失敗した時のことはスケールが大きすぎて混乱させてしまう恐れがある。杞憂に終わりそうな今の状態なら態々伝えることも無さそうだ。
オサムロウ「そうか………、
話すほどのものでないと言うのなら追求はせぬが此度は次の主を倒すために場所を教わりに来たのか?」
アローネ「いいえ、
主退治も大切ですけどその前に寄りたい場所が出来たのでそちらの場所を教えていただければと………。」
オサムロウ「寄りたい場所?
どこだそこは。」
アローネ「カーラーン教会です。」
オサムロウ「カーラーン教会………?
ファルバンと一緒にいたときに教えてもらわなかったのか?
カタスティア様は今マテオへと帰還されたのだと。」
アローネ「…カタスはランドールの話では現在行方が掴めていないとのことなのです。」
オサムロウ「行方が掴めていない………?
カタスティア様はマテオでバルツィエから身を隠しているということなのか?」
アローネ「そうではなくてですね。
………実は…………………………、」
オサムロウ「カタスティア様が………………消息を絶たれた………?」
アローネ「ランドールの話では船を沈められただけらしいのでまだ詳しいことは分かっていませんがあの話し方からして事実ととるべきでしょう。」
オサムロウ「………」
オサムロウはカタスティアの話をしだした途端和やかな空気が突如針積めたようなそんな冷たいものに変わる。アローネ達からオサムロウとカタスティアが知り合いだという感じには聞いていたがどうもそんな浅い仲では無さそうだ。この感じはレサリナスでダリントンを捜していたウインドラに近しい空気にも思える。彼とカタスティアは一体どういう深い関係が………?
オサムロウ「……少し待っていろ。」
カオス「え?」
オサムロウはそう言うと出てきたファルバンの家の中に再び入っていく。カタスティアのことをファルバンにも言うつもりなのだろうが何故待っていろなどと言うのだ?
………と疑問に抱いた矢先にオサムロウがまた家の中から顔を出す。そして…
オサムロウ「話を着けてきた。
ソナタ等はカーラーン教会に向かうのだったな。
急な話になるがその道中……、
我がソナタ等をカーラーン教会まで案内することになった。
これから暫しの間宜しく頼む。」