テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ブフランフェ道
カオス「こんな、
危険なモンスターがいただなんて……。」
オサムロウ「気を抜くな。
まだ二十体はいるぞ。」
ミシガン「二十体!?」
ウインドラ「知らないうちにそんなに囲まれていたというのか!?」
姿は見えないがオサムロウは先程の風で敵モンスターイビルリッパーが二十体はこの辺りでカオス達を狙っているという。
アローネ「……!
いくら目を凝らしてもこんなモンスターが居るようには見えませんが………。」
回りを見渡す限り敵の影も形も見当たらない。カオス達は今までに無いタイプの敵を前にして焦りが出る。
オサムロウ「…よく見ればいるのだ。
このように風を吹かせてみれば………、
『ウインドランス!!』」
オサムロウがウインドカッターを全方位に向けて放つ。すると風が吹いた辺りで不自然に草村が何かが上に乗っかっているかのように風に靡かぬ草があった。
オサムロウ「!
そこか! 真空破斬ッ!!」
「キェェェェアッ!?」
オサムロウがまた一匹イビルリッパーを仕留める。見えはしないのにまるで当たり前のように何もいない場所目掛けて刀を振り切り倒す。その姿からはカオス達のように切迫した様子は見られない。この敵と対峙したことがある者ならではの戦い方だ。
ウインドラ「………!
そこか!
『バニッシュボルト!』」
オサムロウに負けじとウインドラも雷撃を放つ。
「………」
しかしウインドラが放ったバニッシュボルトの先からはイビルリッパーは出現しなかった。
オサムロウ「この敵は昼間だろうと夜間だろうと俊敏ながら隠密に長けたモンスターだ。
相手の位置をよく見て撃たねば命中させるのは難しいぞ。」
ウインドラ「そう簡単に言ってくれるがこれはかなり難しいことだぞ!?」
オサムロウ「………仕方あるまい。
我が火の魔術で辺りを焼き払う。
ミシガン、
ソナタはその火を消さない程度に水を巻いてくれ。」
ミシガン「え?
火で攻撃するのに次に水をかけるの!?」
オサムロウ「視覚的に捉えにくいのなら相手をいぶり出した方がソナタ等もやり易いだろう。
試しにやってみるがいい。」
オサムロウがカオス達に理解しにくい提案をする。先程イビルリッパーの気配を察知した技能もあってここは大人しく従うことにする。
オサムロウ「『フレアボム!』」ミシガン「『スプラッシュ!』」
オサムロウとミシガンがタイミングを僅かにずらして魔技を発動する。火と水、単純に考えればただ火が消えるだけだが………。
「「「「………!?」」」」
オサムロウの出したフレアボムとミシガンのスプラッシュが接触した瞬間蒸気が吹き上がる。その蒸気の中から素早く動く黒い影が複数現れる。その黒い影こそがイビルリッパーそのものだった。
アローネ「…そういうことでしたか。」
タレス「これならイビルリッパーがどこにいるのか一目瞭然ですね。」
ウインドラ「火と水でこのような応用が出来るのか………。」
オサムロウ「なんてことはない。
この方法は昔からイビルリッパーを炙り出すのには打ってつけなのでな。
スラート等のこの付近をよく通る者は皆知っている対処法だ。
姿さえ見えれば奴等はただの的だ。
………後は出来るな?」
カオス、アローネ、タレス「「「はいッ!」」」
ミシガン「私は手を出さない方がいいよね?」
ウインドラ「ミシガンはオサムロウ殿と一緒に蒸気が薄まったらまた作ってくれればいい。
ここ最近のお前は働きすぎだ。
ここは俺達が出る!」
姿が露見したことで残りのイビルリッパーは数は多くとも大した脅威ではなかった。カオス達はクリティアの長老オーレッドから貰ったアオスブルフを装着した武器を用いてこの戦闘を短時間のうちに終わらせるのであった。
カオス「姿さえ見えればこっちのものだったね。」
アローネ「あのようなモンスターが世界にはいるだなんて知りませんでした………。
今回はオサムロウさんが私達に同伴していただかなければどうなっていたか………。」
ミシガン「オサムロウさんがいなかったら私かカオスかウインドラで周辺を焼き払ってたと思うよ?」
タレス「ミシガンさんは水でどう焼き払うんですか………。」
ウインドラ「カオスに至っては“周辺”では済まない範囲に被害が及んでいただろう。」
カオス「ちょっと俺も手加減出来るか分からなかったなぁ…。」
オサムロウ「カオスよ、
ソナタは制御できぬのなら無闇に魔術を使用しない方が良いだろう。
先日のような強大過ぎる魔力は自らの意図せぬ物まで破壊しかねん。
あの力は………、
その気になれば街どころかこのダレイオスの大陸すら割りかねん。
今はまだ剣技だけでもソナタ等は十分に強い。
その上ヴェノムにすら打ち勝つのだ。
魔術は我がいる限り厳禁だ。」
ランドールの時に放ったバニッシュボルトはカオスもあそこまでの威力が出るとは思っていなかった。力を見せよとファルバンに言われランドールに当てなくてもいいのならと思い全力で空に魔術を撃ち放った。それが思いの外巨大な光の柱と呼べるほどの雷撃を放出してしまいカオスも魔術や魔技は自粛しようと考えていた。
カオス「けどオサムロウさん………、
俺達の中で火と氷の魔術を扱える人がいないんです………。
俺は撃てるは撃てるんですけど……。」
アローネ「カオスは私達が火と氷の魔術を使用できなくなった代わりになろうとしてはくれるのですが………。」
ウインドラ「代わりとするには魔力が強すぎて迂闊に放てんのだ。
……放てればヴェノムの主なぞ一捻りな程の力を秘めてはいるのだがな。」
タレス「この前の闘技場のあれですら魔封じの手錠を嵌めての出力だったんです。
カオスさんの力はここぞと言う時には持っておきたい力なのですけどやっぱり小回りの聞く術者が必要だと思いますね…。」
ミシガン「もし今みたいなイビルリッパーってモンスターとかのような知識が無いと簡単には勝てない敵とか出てきたらどうしよう…。
オサムロウさんがいたから蒸気なんて出せたけどオサムロウさん私達とずっと一緒にいる訳じゃないんだよね?」
オサムロウ「………」
オサムロウはカオス達の話を聞いて何やら考え込む。…が少し間を置いてから、
オサムロウ「……フッ、フフフフ………。」
カオス「オサムロウさん?」
オサムロウ「ソナタ等は何とも面白いな。
そんな強力な能力を持っておきながら普通のエルフに出来ることが出来ないとは。
ソナタ等はカオス以外はそれぞれ一つの属性しか操れぬのだな。
そしてカオスが魔力を加減できない故に魔術を使えぬ…。
……何と皮肉な話だ。
強すぎるからこそその代償に手段の幅が狭いとは。
“器用貧乏”とはこういうことか。」
オサムロウはカオス達のことを笑う。馬鹿にしているようには見えないが笑いだした理由はカオス達のその強さに反比例してバランスの悪い能力を持っていることなので五人は少々居たたまれない気持ちになる。
オサムロウ「フフフ…、
だがそんなことは些細なことだ。
ソナタ等にはそれを補う術を与えられている。
そのアオスブルフがあればソナタ等には火と氷の術者などいなくともいいのだ。」