テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ダレイオス支部カーラーン教会
「「「「「「………」」」」」」
六人はカタスティアの生存が分かっても心中穏やかではいられなかった。ランドールがカーラーン教会を襲ったと言うことはマテオ政府はカーラーン教会を敵として認定したことになる。バルツィエの強い意思が働いたのもあるだろうがレサリナスからカタスティアの居場所が無くなったと言うことだ。
原因は明確に把握している。ランドールが話していた通りカオスとアローネがカーラーン教会に匿われていたせいで繋がりを疑われバルツィエに目を付けられた。話を聞く限りだと前々からカタスティアとバルツィエは不仲ではあったらしいが今回カーラーン教会とマテオが決定的に袂を別つ切っ掛けとなったのはここにいる四人に関係している。このカーラーン支部の者達からは死者は出なかったようだがそれでも罪悪感に駆られずにはいられなかった。
アローネ「…カーラーン教会の皆さんには………私達が切っ掛けでマテオと敵対することになったことを知らせるべきですよね………。」
オサムロウ「………知らせてどうするつもりなのだ?」
ウインドラ「ここの者達はカタスティア教皇を慕っているんだ。
カーラーン教会はカタスティア教皇を起源に創られこれまで多くの人を救い多くの人に支えられて運営してきた。
ここにいる者達だってそうだろう。
……俺達は自分達のためだけに反乱を興しここにいるカタスティア教皇が積み上げてきたものを傷つけた………。
ランドールが襲った船に乗っていた者達は何故自分達がマテオから攻撃されたのかも知らないんだ。
……俺達には彼等に対して全てを話さなければならない義務があるし彼等にも襲われた理由を知る権利がある。
例え恨まれようとも俺達はそれを受け入れなければならない。」
オサムロウ「…ソナタ等は本当に年の割りには成熟しているな。」
カオス「…ミシガンやタレスはともかく俺とウインドラとアローネは成人してますよ?」
オサムロウ「世の中には自らを簡単に赦してしまう者達も多いのだ。
どんな罪も自らは悪くない世界が理不尽なのがいけないのだと。
自分の罪に向き合えない者達はこの世界には数多く存在する。
長く生きた者達の中には開き直って己の罪を隠そうとするものや更に罪を重ねる者もいる………。
………そんな者達がいる中でもソナタ等は己と向き合えるだけの芯の強さを持っているのだな。
我はその強さがその若さで根付いているソナタ等に感心するぞ。」
ウインドラ「俺達は………悪を討つと決めたんだ。
悪の根元バルツィエを………。
そんな俺達が悪と同じに染まってしまう訳にはいかないだろ?」
タレス「こういったことが後々発覚した時はかえって問題が起こります。
……カーラーン教会の人達には包み隠さず話しておくべきなんですよ。」
オサムロウ「……ソナタ等の覚悟は承知した。
………しかしそれで武器を振るう腕を鈍らせるようなことになってソナタ等の旅路に余計な障害を作るようなことがあってはならんぞ。」
カオス「…大丈夫ですよ。
ここにいる人達は只でさえ辛い経験をしてきた人達ばかりなんですから純血の俺達のせいで責められることになったとしてもそれを受け止めるのが俺達がこれまでしてきたことの責任だと思いますから…。」
オサムロウ「…芯をしっかりと持っているのだな……。
我の懸念も杞憂であったか………。
ではもう一度「その罪は小生にお話下さい。」!」
謎の神父?「貴方達のその犯した罪とやらを小生が拝聴します。
ですから皆に伝える必要はありません。
私から貴殿方の行いを示唆して皆へと伝えます。」
オサムロウ「コーネリアス枢機卿………。」
カオス達がカーラーン教会の者達にカタスティアが乗った船がどういった経緯で襲われたのかを告白しようとしていたら謎の男が話しかけてきた。オサムロウが彼をコーネリアスと呼び知人の間柄であると伺えるが…、
アローネ「貴方は……?」
コーネリアス「小生の名はコーネリアスと申します。
教皇カタスティアが不在の間ダレイオスカーラーン教会の留守を預かる者です。」
カオス「カタスさんの留守を…?」
コーネリアス「えぇ、
小生は教皇カタスティアに継ぐ位階でして枢機卿の位を賜っております故。」
ミシガン「すうききょう?」
オサムロウ「教皇の次にカーラーン教会を取り仕切る役職だ。
彼は元マテオ建国に携わった名家の出身だったがカタスティア様がカーラーン教会を立ち上げるのと同時にマテオの名門貴族という地位を王に返上しずっとカタスティア様と共にカーラーン教会を支えてきた教会の柱のようなお方だ。」
コーネリアス「お誉めに与り光栄でございますオサムロウ様。
小生など教皇カタスティアの栄誉に比べれば柱などという形容は些か過ぎるご評価にございますよ。
小生は精々屋根板の一つで十分でございます。」
オサムロウ「謙遜なされるな。
枢機卿の存在が無ければダレイオスでカーラーン教会は領地を認められることも無かったのではないか。
枢機卿が剣を振るい九部族を実力で押し黙らせるようなことが無ければ今のダレイオスにハーフエルフの居場所は無かった。」
コーネリアス「貴方様もその刀をもって共にカーラーン教会を立ち上げた仲ではありませんか。
本来なら小生の枢機卿の位階も貴方様のもの。
小生は総大司教として教皇と貴方様をお支えする筈であったと言うのに…。」
オサムロウ「我に大層な役職など似合わん。
そういった位階はソナタのような全てを捨ててまで教会に身を捧ぐ者にこそ相応しいのだ。」
コーネリアス「スラートの族長補佐も立派な役職ではあると思いますよ?」
オサムロウ「仕方が無かろう。
我も自分が族長補佐に回されるようなことになるとは思わなかったのだ。
スラートは部族間でも強さに固執する実力主義社会で我がスラートへと入属する為には腕前を披露するしかなかった。
………結果族長補佐という任についてしまった。」
コーネリアス「……それで此度はオサムロウ様がスラートを離れてここへ御越しいいただいたのはこの方々が関係してのことでしょうか?
拝見させていただいたところ異様な力を持つ方々のようですが………。」
コーネリアスがそう言ってカオス館を一瞥する。コーネリアスは見ただけでカオス達の能力を見破った。
カオス「俺達の力が分かるんですか?」
コーネリアス「ここにいるのは混血の者が多いので純血とは異なる異質のマナを内包している者が多いのです。
そのせいか小生は他者の“マナの質を見る目”が培われているのですよ。
………特にそこにおられる貴方様は他の方々よりも不思議な………と言うよりも神秘的なマナをお持ちのようだ。
まるで一人の体に二つの別のマナが入り浸っているような………。」
「「「「「!?」」」」」
オサムロウ「枢機卿、
そんなことまで分かるのか?」
コーネリアス「長年様々な方のマナを見凝らしてきましたがこのような方は初めてですよ。
………もしや先日スラートの街の方角から立ち上った巨大な光は貴方様と貴方様の中に潜む方の御力なのでは?」
コーネリアスはこの短時間の間にカオスと殺生石の精霊のことを見切ってみせた。その観察眼はこれまで出会った者達の中でもケタ違いの性能があるようだ。まるで全てを見透かすかのようなコーネリアスの雰囲気はどことなく危険な薫りが漂うがカーラーン教会の者に違いなくそれもカタスティアに継ぐ位階の者と聞いてカオス達はミストの村から始まった全ての始まりを話すことにする………。