テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ダレイオス支部カーラーン教会
………要約するとカーラーン教会の人達は全ての幸不幸をあるがままに受け止め感情を宥めているようだ。どんなに悪いことが身に降りかかってもここはそういう世界なのだから仕方が無い、怒るだけ無駄にエネルギーを消費してしまうと………。
カオスはそれをただ全てを諦めているだけなのではないか?と思ったがそこにいるその人達に価値観が自分達と違うだけで否定しまうこともないと口にすることは無かった。
カオス「……そんな風に受け止めてたら………俺は騎士なんか目指さずに努力することすら投げ出して………あの村でどう過ごしてたのかな………。」
幼い頃の自分は自分が人より劣っている能力しか無いことを自覚していた。人より劣る自分は一体何が出来るか?それを考えた結果皆が簡単に手にしていた魔術ではなく体技で人より優れれば良いのだと考え誰よりも強い自分を目指し体を鍛え続けていた。それでも肉体のみの力では他人が使う魔術には敵わなかったがそれでもあの時………子供の時に魔術など無くとも苦戦に次ぐ苦戦でもぎ取ったあの一勝は何とも言えない超越感に満たされた。あの勝利はあの時までのカオスの全てを肯定してくれるかのような達成感と優越感、その他にも色々な正の感情を溢れさせるようなそんな勝利感があった。どんなに能力が劣ってたとしても努力すればいつかは掴めるものがあるのだ、自分の努力が少しずつだが回りの同い年の子達を追い抜いて自分は強くなれたんだ。あの頃の自分はそんな感情でいっぱいになり調子に乗っていた。
………直後あの事件が起こって、そして全てが終わってみれば自分が数年かけて磨きあげてきた努力の何十………何百何千………何億倍………にも上る果てしない“力”を手にすることとなった。この力を手にした当初の感想は一瞬だけ全能感に心が支配された。
その直後にミストの人達からの批難の嵐。この力は本来は俺の力じゃない。あのミストの殺生石の精霊のものだ。それを高々十歳程度のガキに持っていかれただけでなくあの事件が巻き起こる切っ掛けを作り、果てには村の人達がずっと疎んでいた騎士団在住………。
………俺はもうあの村に戻ることはとっくに諦めた………。俺が弱かろうが強くなろうがどうなったってあの村の人達は俺のことを認めない。あの村で生まれ育ったけどもうあそこには俺の居場所はない。俺が手にしたこの精霊の力も発現してからは何をやっても俺の力じゃない。精霊の力だ。誰かこの気持ちが分かるだろうか?今まで自分が積み上げてきた努力が一瞬にして全く別のものに変わってしまう………言うなれば完全に別の人の人生を歩んでいるようなそんな錯覚感…………。
これで記憶まで別の人のものになっていてくれたら善かったんだけどちゃんとカオス=バルツィエ自身の記憶がある。俺は俺なんだ。別人に生まれ変わりたくても俺と言う存在がここにある。ミストでのたいざい人カオス=バルツィエとしての記憶が。
………けれど幼い時の俺はもうあの村で死んでしまった………。希望に満ちて努力を怠らなかったあの頃の俺はもう………。
ここにいるのは………ただただ過去の罪をどう購えばいいのかが分からずひたすらにミストから逃げてミストの代わりに世界を救おうとしている大魔導士軍団(仮)のカオス=バルツィエ。
ミストよりも大きな世界を救おうとして帳消しになる訳がないのに頑張っちゃってる俺………。
結局俺は………何がしたいんだろうな………。
………本当は何もしたくないのかも………。
けどこんな力を持っちゃったからには俺がやらないといけない。俺がやらなかったら誰も世界を救えない。だから俺がやる。俺自身の人生がどのくらい続くのか分からないけど続く限りは俺が身を粉にしてでも走り続けなければならない。
俺は……自分自身の望み全てを捨てる!
………ここの人達は………全てを諦めている。
俺ですら将来とかそんな先の希望を捨てたとしても感情だけは持っている。泣いたり起こったり何かを感じたりはする。
………なのにここの人達はそんな心の感情すら諦めている。
あの後コーネリアスがここにいる教会の神父達を集めて演説を始めて皆の反応を見て俺はそう思った。
アローネ「………本来責められる筈の立場ですのに不思議な気分です。」
ウインドラ「コーネリアス枢機卿の演説が大分俺達を擁護しての話だったからだと言うのは分かるが………。」
タレス「誰一人不平不満を溢すような人がいませんでしたね。」
ミシガン「私さっき演説終わって解散した人達の話をこっそり影で聞いてたんだけど皆全然私達のこと悪く言ってなかったよ。
それどころかこれから何しようか、とかそんなどうでも良さそうなこと話してた。」
オサムロウ「ここの者達は皆生まれながらに純血種のエルフに蔑まれてきた者達ばかりであるからな。
今更エルフによる被害など慣れておるのだ。」
カオス「慣れているにしてもカタスさんが一大事なんですよ?」
オサムロウ「我もそこが気掛かりではあるがあの方はこれまでどのような危機もお一人で解決してきた。
その実績があるからこそここの者達もカタスティア様を信じて待つことが出来るのであろう。
…我はこの瞬間にもマテオへと向かい助太刀にマイリタイところだがな。
残念なことに今単独でマテオへと向かうのは危険であろう。」
アローネ「オサムロウさんはこれからどうなさるおつもりですか?
教会での調査は枢機卿から全てお聞き出来たのではないかと思うのですが………。」
ウインドラ「また………セレンシーアインへと戻るのではないのか?」
オサムロウ「………我もそう思っていたのだがな。」
「「「「「?」」」」」
オサムロウ「………もう少し………、
ソナタ等と共にいようと思う。」
タレス「?
ファルバン族長達のことはいいんですか?
これから大変な移動作業になると思うんですけど。」
オサムロウ「それも大事だがな。
この前のイビルリッパーの件でソナタ等を見張っていないといけないと思ったのだ。
特にカオスは大きな力を持つ分その使いどころを誤って街や他のエルフ達を巻き添えにしかねん魔力を持っている。
今ソナタ等はまともに火と氷の術を使えんのであろう?」
タレス「武具に属性付与の改造を施せばその問題も解消出来ると思いますが?」
オサムロウ「武具に付与する属性攻撃よりも魔術の方が強かろう。
かといって火と氷が使えるカオスはそう易々と魔術は使えん。
………やはり我が着いていくとしよう。
その方がダレイオス西側へも案内が出来るであろうしな。」
カオス「…本当にいいんですか?
スラートの人達が大変な時に………。」
オサムロウ「いいと言っているだろう。
せっかくヴェノムに免疫が出来たのだ。
倒せないまでも刀を振るうことは出来る。
ソナタ等のフォローぐらいのことなら出来るつもりだ。」
アローネ「…では引き続きこれからも宜しくお願いします。」
オサムロウ「任せておけ。
ソナタ等の支援、惜しみ無くこの刀の力を振るわせてもらおう。」