テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
クリティアの村ヴィスィン 外
アローネ「『彼の者を死の淵より呼び戻せ………レイズデッド。』」
クリティア族の村人「へぇ~、
これが君達の秘術ってのなの~。
確かになんかちょっとマナの流れが良くなった気がするよ~。」
カオス「よかった。
ちゃんと術が使えるようだね。」
あれからカオス達はクリティアの男と一緒にヴィスィンを囲む魔封じの結界から外へと出て術が発動するのかの確認と男に術を見せる目的兼体験してもらうことにした。結果は心配していた魔術が使えなくなるという不安も晴れて無事術が発動できた。そのことでカオスとアローネは一安心したところだ。
クリティア族の村人「これで僕もヴェノムに触っても平気なの~?」
アローネ「えぇ、
これから貴方はヴェノムウイルスが効かなくなった筈です。」
クリティア族の村人「そっかぁ~、
これからはヴェノムに触りたい放題なんだね~。」
カオス「え!?
好き好んで触りに行くような物じゃないと思いますけど…。」
洗礼の儀を終えて男は不穏な願望を口にし出す。これまでこんなことを言い出した者は一人もいなかったのでカオスとアローネはこの触る発言に戸惑った。ウイルスが効かないにしてもヴェノムはとても綺麗な物とは言えない。見た目の醜悪さからしても不潔さが満載だ。ヴェノムウイルスの名前からして風邪などの病原菌の最上級に位置する物だとも考えられる。ヴェノムは人が自ら触りに行くようなものではないのだが………。
アローネ「私達もこのレイズデッドに関してはまだまだ未知の部分が多いのであまり無茶なことは慎んで下さいね?」
クリティア族の村人「う~ん、
でもヴェノムに触ってもジェネレイトセルが活性化しないのなら無性に研究意欲が湧いて来るんだけどな~。」
カオス「ジェネレイトセル……?
確かオーレッドさんがクリティアではヴェノムウイルスのことをそう呼んでるって言ってたなぁ………。」
アローネ「何故クリティア族の方達はヴェノムウイルスのことをジェネレイトセルと呼称しているのでしょう?」
オーレッドが話していた時は単なる呼び違いなのだと思って質問しなかったがここでまたその名が出てきたためカオス達は男に質問してみる。クリティアはヴェノムウイルスについて何か掴んでいるのだろうか…。
クリティア族の村人「僕達が何でヴェノムウイルスじゃなくてジェネレイトセルって呼んでるのか知りたいの~?」
アローネ「えぇ、
クリティアの方々はダレイオスの他の部族の方々の中でもヴェノムに関する研究は進んでいるとお聞きしたので。」
クリティア族の村人「そうだね~。
でも僕達もヴェノムを遠くから観察してジェネレイトセルがどう作用しているのかとかを予測しているだけだしね~。
とりあえず今分かっている範囲でなら答えられるよ?」
カオス「それでいいのでお願いします。
ヴェノムウイルスが何なのか分かれば世界からもっとヴェノムウイルスを減らせると思うので。」
クリティア族の村人「う~んとね?
僕達も何でこのジェネレイトセルが発生しだしたのかは分からないんだけどね?
ジェネレイトセルが何の目的で作られたかだけは理由は分かってるよ~。
このジェネレイトセルはね~、
生物のマナ、別の呼び名で“遺伝子”を強化する作用があるんだ。」
カオス「いでんし…?」
カオスは聞いたことのない単語でピンと来なかった。別の呼び名で遺伝子………元の呼び名がマナならマナを強化すると言うことだとは思うが………。
カオスが遺伝子の単語で反応はしなかったがアローネは遺伝子と聞いて理解したようだ。
アローネ「遺伝子………を強化する?」
クリティア族の村人「そう遺伝子~、
遺伝子を強化して全く別の生物に作り替えようって理由で人為的に誰かに作られた物だと思うんだ~。」
カオス「何の目的があってそんな物が作られたんでしょうか?」
クリティア族の村人「さぁ~、
それは作った人にしか分からないと思うけど~。
何の生物を参考にして作られたかは多分分かるよ~。
君達プロトゾーンって知ってる~?」
「「!!」」
プロトゾーン………またその名前が出てきた。レイディーが殺生石の精霊のことをそう誤解して出した名だ。どうしてその名がここで…?
カオス「レイディーさんから聞きました。
彼女と一緒にいた時に一度その話を聞きましたから。」
クリティア族の村人「そうなの~?
じゃあ全部知ってるんじゃないの~?」
アローネ「いえ、
私達が知ってるのは過去に進化を重ねる生物がいたとしか…。」
クリティア族の村人「そうなんだ~。
プロトゾーンはね~、
遺伝子的にそういう進化を続けていく生物らしいんだ~。
昔は一匹だけこのダレイオスにもいたみたいなんだけど最後に進化の兆候が出だしてからそれからその個体の行方が分からなくなってるんだ~。
今はどこで何してるんだろうね~?
文献では“魔を狩る人”と呼ばれる人型の進化を遂げるって聞くけど本当のところどうなんだろ~?
このジェネレイトセルが蔓延する世界でたった一匹だけで生き残ってるのかな~?」
アローネ「プロトゾーンがまだ生息していたのですか!?」
クリティア族の村人「いたみたいだよ~?
最後に目撃されたのは~………千年くらい前になるのかな~?
長老が生まれる前の話らしいから断定は出来ないんだけどね~。
でもまだどこかで生きている可能性も否定できないよね~。」
カオス「………」
レイディーもそうだったが殺生石の精霊、ヴェノムの元となったプロトゾーン………この二つは何かしら関係があるのではないか?クリティアがはヴェノムウイルス、彼らの呼び方でジェネレイトセルは生物の遺伝子を強化する作用があるようだがそんなことをして一体何になる?依然聞いた話では進化する作用に力を掛けすぎて生物としての生命活動を維持できずに一日と持たずにヴェノムに観戦した生物は消滅する。今こうして俺達が倒して回っているヴェノムの主のような状態になれればある意味遺伝子の強化ということにはなると思うが………、
殺生石の精霊は前に“生物はいつかは彼の前に辿り着く”と言っていた。
………振り返ってみれば殺生石の精霊は誰かに追われていてその誰かから見付からないように石の中に閉じ籠ったりカオス自身の中へと入ったりしていた。何故その誰かに見付かりたくなかったのか………?ただ単純に誰にも見付かりたくないと言うことだったらカオス達も例外ではない筈………。なのにどうして………。
まさかこのヴェノムウイルスを作り出した者は手っ取り早くウイルスの力を使って進化し精霊に挑もうとしていたのではないか?それが気にくわなくて精霊はその者と遭遇するのを避けている。
そしてこのウイルスを作り出した誰かはこの時代のエルフではなくウルゴスの時代の者だと殺生石の精霊が言っていた………。
他にもこのウイルスを作れるのだとしたら細菌やウイルスに精通している医者だともここに来るまでの話で纏まっている…………。
医者なのだとしたら今の時点で名前が上がるとしたら第一にアローネの義理の兄サタンになるが………アローネの話の印象からしてヴェノムのようの危険なウイルスを作るとは思えない………。
………とするともう一人はグレアムという第二王子の可能性が浮上するがまだよく彼のことを知らない………。
……………一人で考え込んだところでどうせ憶測だけの答えしか見つからない………。過去にヴェノムウイルスを誰かが作り出したのだとしてそれを復活させて利用しているのはバルツィエだ。ヴェノムの製作者もこの時代でアローネのように目覚めているのかも分からない。……下手したらウルゴスの時代で亡くなっていることだって考えられる。
カオスはそこで推理するのを止めてアローネとクリティアの男の話に耳を傾けることにした。
アローネ「ジェネレイトセルで進化した主等の生物は最終的にはどうなるのでしょうか?」
クリティア族の村人「僕達の見解だと無限に他の生物を吸収していって…………、
最後はこのデリス=カーラーンで孤独で不死身の不老不死の生物の誕生だね~。
その誕生から先は天敵もいないたった一匹だけの世界で退屈な時間を過ごしていくんじゃないかな~?」
………本当にヴェノムと精霊はよく似ている………。
殺生石の精霊も確かそんなことを言ってたな………。
だからヴェノムをこの世界から排除したいのかな………。
そんな退屈な世界で一人取り残されないために………。