テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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カオスの血の成分

クリティアの村ヴィスィン 長老宅

 

 

 

 カオス達は暖を取らせてくれた男と別れて六人でセレンシーアインで出会ったクリティア族の長老オーレッドの家へと来ていた。

 

 

オーレッド「なんじゃ来とったんなら真っ先にワシのとこへと来んか水くさい…。」

 

 

 怒っているような口振りで話すオーレッドたがその表情からは怒気は全く感じられなかった。それどころか親しい者に対する友好的な感情が感じられる。出会ってからまだ一日以上の時間を過ごしていないというのに彼の中ではカオス達は大分信用と信頼の度合いが高いようだ。一概に彼の人見知りしない性格もあるとは思うがそれは一旦置いておくとして、

 

 

カオス「すみません、

 一番にオーレッドさんの所に来るべきだとは思ったんですけど………、

 この地方があんまりにも寒かったから早く暖まりたくて入り口付近の家で暖を取らせてもらっていました。」

 

 

ミシガン「この村の周辺ちょっと寒すぎない?

 雪も降ってるし私雪国なんて初めて来たけどよくこんな所で村なんか作れるね?

 寒すぎて凍えちゃうでしょ。」

 

 

オーレッド「そうか雪を知らん所から来たんじゃったな。

 ……このヴィスィンは世界地図で言うと緯度がダレイオスで最も北の地点に位置する村じゃからな。

 南の方に行けば行くほど暖かい気候じゃからソナタ等のように出身地が南に位置する者達にとっては慣れん気候なんじゃろうな。

 ワシ等はもう慣れたのでこのくらいの寒さはどうってことはない。」

 

 

アローネ「慣れ………ですか……。」

 

 

ウインドラ「どうしてクリティアはこんな寒気の強い土地に村を構えているんだ?

 部族間の縄張り争いがあったとしてももう少し南でもまだそこまで寒さが厳しくはない場所があるだろう?」

 

 

オーレッド「まだまだ青いなぁ。

 この自然の厳しさこそが人がそれを乗り越える進歩を促せると言うのに…。

 技術や知識は何事も苦境に立ってこそ大きく進歩するんじゃ。

 人は皆快適な環境よりも厳しい環境に身を置いていた時の方が頭が働きやすい。

 ワシ等クリティアはあえて厳しい環境を選んでこの場所に村を作ったんじゃよ。

 そのおかげでワシ等はダレイオスでも屈指の技術開発部族として名が通っておるんじゃ。」

 

 

 クリティア族の者達は何も考えずにこの場所に住んでいる訳ではなさそうだ。楽をせず困難な環境下で生活するからこそれを乗り越えるために思考を凝らして日々知能を高めるトレーニングのようなことをしているのだろう。

 

 

オサムロウ「もっともらしいことを述べてるがクリティア族がここに住みだした理由は確か先代の長老が寒い地方だと研究に没頭しすぎて風呂に入るのを忘れても汗をかきにくいから頻繁に風呂に入らなくても体臭が臭いにくいとか言ってなかったか?」

 

 

オーレッド「これ!!

 せっかくワシ等の印象を良くしようとしておったのにネタバラシするでない!!

 彼等にクリティアが臭い部族だと思われるだろうが!?」

 

 

 ………真実は案外と単純な話だった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーレッド「……さて………、

 ここへ来たと言うことはワシ等にもソナタ等の秘術とやらを授けてくれるのであろう?」

 

 

アローネ「そういう約束でしたしね。

 オーレッドさんが一人で帰省なさったのでどうしようかと思っていました。」

 

 

ミシガン「貰うもの貰ったからには約束は果たさないとね。

 元々この地方には来る予定だったし。」

 

 

オーレッド「フム……、

 義理堅い助手さん達で大助かりだわい。

 この村へと来たからにはついでに他の者達にも授けてやってくれぬか?」

 

 

オサムロウ「始めからそのつもりでセレンシーアインを去ったのだろう?

 お前の企みなど読めておるぞ。」

 

 

オーレッド「むぅ…、

 ワシはいただいた血液を研究したかっただけなのじゃがなぁ………。

 まぁいい研究が出来たから良しとするか。」

 

 

 オーレッドがカオス達に何も言わずにセレンシーアインを発ったのはただカオスの血液を解析したかっただけのようでオサムロウが話していたような理由ではなかったらしい。

 

 

カオス「もう俺の血は調べ終わったんですか?」

 

 

オーレッド「あぁ、

 もう一通り調べたいことは済んだ。

 大変興味深かったぞ。

 

 

 やはりソナタ等が精霊と称するだけのことはあった!

 ソナタの血液からは多量の純度が高いマナが検出された!

 それもそこらに漂っているマナとは明らかに性質が異なるマナじゃ!

 もうこれは“第二のマナ”と言ってもいいくらいに別物じゃ!!」

 

 

 オーレッドが興奮気味に話を始める。カオス達は先程のクリティアの男の間延びしたような口調とはうって変わったオーレッドの早い喋り口調に一瞬理解するのが遅れるがなんとか要点だけを抽出して理解しようとする。

 

 

アローネ「第二のマナ………?

 普通のマナとどう性質が異なるのですか?」

 

 

オーレッド「それを説明する前に先ずソナタ等に考え直してほしいことがある。

 

 

 生命とは一体どのような者のことを言うかを。」

 

 

カオス「生命………?」

 

 

 いきなり哲学的なことを言い出すオーレッド。生命とは何か。この世界では生命は動物や植物など数多くの種がいる。それぞれが生きるために繁殖しまた新たに生命を作り出しその繰り返しで種が存続している。

 

 

 生命はどの種族も例外なくマナを保有しておりそのマナが続く限り生命活動をし続ける。生命は言ってしまえば肉体よりもマナそのもののことに当てはめられる。生物の肉体の中に存在するマナこそが生命と定義付けられる何よりの答えである。……何故こんなことを今さら考えさせられるのか………?オーレッドは何かもっと別の答案を答えさせたいのではないかと六人が同時に考えた時オーレッドが、

 

 

オーレッド「生命とは命がある、生きていると認識される生物全てにあるがそれは体の中の基幹的なものじゃ。

 種によっては体の半分を失っても死なない種やほんの少しの負傷で死に至る種もある。

 エルフにとっては脳と心臓さえ残っておれば腕を失おうが足を失おうが出血死か激痛によるショック死することにさえ気を付けておけば助かる。」

 

 

 結局簡単な答えをオーレッドが言ってしまった。その内容も特に捻ったようなものではなく誰もが常識と思っているようなことだった。クリティア族の長老のことだからもっと深いことを言うのかと思ったが…、

 …だが次に話した内容は何故生命について思考させたかを頷けるものであった。

 

 

オーレッド「マナも同様じゃ。

 マナは大気中にも微量に存在するがそのマナは生物の

血液と同じで生物の中では活性化するが一度魔術などによって外に放たれると一瞬だけ力を発揮した後は途端に空気と同化し世界の循環の輪に組み込まれるだけじゃ。

 生物の本体とも呼べる部分から切り離されればマナは普通のマナに戻ると言う訳じゃが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオス助手、

 ソナタの血液に含まれておったマナはソナタから切り離されても生きておった。

 ソナタ等のマナは恐らく普通の者達とは比べ物にならないくらいの生命力に溢れておるのじゃ。

 それもただ生命力に溢れておるだけではなく生物のマナの流れを整える役割を持っておってな。

 マナを異常活性化させて暴走するジェネレイトセルが効かないのも納得じゃ。

 それを凌ぐほどのウイルスのようなものじゃからな。

 これは謂わば、

 

 

 生物に優しいウイルスじゃがの。」

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