テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
クリティア族の村ヴィスィン 外
ミシガン「はい、次の人~!」
あれから長くなった長老の話も終わって今は恒例行事となった洗礼の儀を執り行っている。村の敷地内では魔術が使えないため一度村の全員をヴィスィンの敷地外へと連れ出し作業を開始している。ヴィスィンの人工はおよそ二百人前後でスラートと並ぶ多さだったがアローネとミシガンの一人百人計算で作業をすれば半日程度で終わる計算になる。
オーレッド「凄まじいマナの内包量じゃな。
エルフが一日に使える魔法の使用回数は大人でも二十はいかんと言うのにそれを二百人以上………。
先日のソナタがセレンシーアインで放ったバニッシュボルトですら驚嘆に値するものだったのじゃが…。」
カオス「このくらいのことならもっといけますけど?」
オーレッド「……ソナタ等に渡したアオスブルフも形無しじゃな。
ソナタ等はとくにマナの枯渇には困らんと言うことじゃしな。」
アローネ「そんなことはありませんでしたよ。
長老からいただいたこの羽衣は思いの外役に立ってますよ。
モンスターに攻撃するだけでなく防御もこなせる優れものです。
この前も剣を受け止めるほどの強度がありましたので私は大助かりです。」
旅に役立つのなら貰っておくのも悪くないと思って受け取ったアオスブルフだったが一番それを有効活用しているのはアローネだった。タレスやウインドラも武器の攻撃力は上がっているものの今のところ現れるモンスターはどれもアオスブルフ無くとも倒せるような種類ばかりであった。ミシガンに至っては後衛と言うこともあってモンスターを直接攻撃するようなことも無かった。カオスは………始めから何も無くとも問題ない強さを持っている。故にアローネが一番クリティアのアオスブルフの恩恵が大きい。
ミシガン「流石に寒い地方の人達だけあって防寒着も凄いよね~。
さっきまでの寒さはどこいっちゃったの?ってくらい寒くないよ!
これならこのアオスブルフよりかも嬉しい贈り物だってね。」
オーレッド「…武具よりも衣服や雑貨の方がよかったか………。」
カオス達にとっては戦闘に使う道具なんかよりも環境に適応できる衣類の方が今のところ役立っている。本当なら普通の者にとっては正に周智の結晶とも呼べる代物なのだがそれ以上に価値のある能力が備わっているカオス達にはあまり効能が感じにくいものだった。
タレス「道具を渡すよりも貴方達はレイズデッドの研究とスラートとミーアと協力してバルツィエ襲撃に備えてください。
今はまだダレイオスの半分未満しか話が伝わってないので。」
オーレッド「分かっておるさ。
せっかくこれでどこそこと自由に行き放題になったのじゃ。
これからはヴェノムについても触診出来るようになったのじゃ。
こんな狭い空間で手の行き届く範囲でしか研究が出来なかったのじゃから皆も今まで出来なかった研究意欲も湧いてきとるところじゃろ。」
ウインドラ「頼みたいことは三つ。
他の部族達と一緒にバルツィエと戦うための武具の開発とレイズデッドが誰でも使えるように汎用化、それとこの世界からヴェノムを根絶するためのクスリの開発だ。何にでも感染するヴェノムは食物や草木をも蝕むから俺達も流石に一々草木に術を使って回ると時間が掛かりすぎる。
ヴェノムに世界を荒れ果てた荒野と変えられる前に一刻も早くヴェノムの対処法を作ってくれ。」
オーレッド「任せておけ。
ワシ等のこの無限の研究欲は世界に謎があり続ける限りどこまでも絶えん。
触れられるようになったヴェノムなど怖れるに足らんもんじゃ。」
これでマテオだけでなくダレイオスでもヴェノムに関する研究が捗ることとなっただろう。後は専門化に任せておけばいづれヴェノムは世界から無くなっていくことになるだろう。
カオス「………」
オーレッドが誇らしげに語っている最中カオスは少し考え事をしていた。彼等は物を作ることに関してはダレイオスでは随一と自称するくらいの人達だ。国家崩壊の前には各部族達の武器も作っていた程である。強い武器やアクセサリーを作ることならなんでもやってくれそうだ。………強い武器が作れるのだとしたらもしや………?カオスはふと気になったことを訊いてみようと思った。
オーレッド「ん?
どうかしたか?」
カオス「オーレッドさん………、
クリティア族は武器とか道具とか作る技術に長けているんですよね?」
オーレッド「そうじゃが………、
言っておくがセレンシーアインで渡したアオスブルフより優れた性能のものを注文しようと考えておるなら時間がかかるぞ?」
カオス「……だったら力を抑えるアクセサリーとかはどうですか?」
オーレッド「力を抑えるじゃと?
………具体的にはどれ程の物が欲しいんじゃ?」
カオス「この村に使っているマナを抑圧する魔封じの効能があって俺でも装備出来そうなものです。」
オーレッド「…?
ソナタがその手首に着けておるもんは違うのか?
昔からバルツィエが使ってたもんに似とるが………。
と言うか何故そんな物が必要なんじゃ?」
流石にダレイオスにいる者ならこの手錠に関しては目敏い。だが………、
カオス「この手錠じゃ俺のマナを抑えきることが出来ないんです。
俺もここに来るまでで何度か魔術を使ってみたんですけどどうしても加減が出来なくて余計な物まで破壊しかねなくて………。
ですからこれよりももっと魔力を抑えられる手錠が欲しいんです。」
オーレッド「なんと……!?
………まぁ合点が行く話じゃな。
所詮はエルフの作りし物よ。
ソナタのような存在が現れるまでは通常の“アンチマジック”だけで事足りておったしな。
ソナタのような人でありながら人の限界を遥かに越えし力を抑える道具を作る意味など無かったのであろう。
………しかしワザワザ弱体化するような道具か………。
考えたことも無かったのぅ………。」
カオス「……難しいですか?」
やはりそう簡単にはいかなかったか。可能であるならばカオスの魔術も制限なく使えそうなものになりそうなのだが………。
オーレッド「宜しい!!
その仕事引き受けようぞ!
初の試みで作れるかどうかは分からぬがその案はひょっとするとこれまでバルツィエに力で対抗しようと思っていた我等の新たな対抗手段となるやもしれん!
皆で協力してソナタ程の強大なマナを調節出来る装備品を作ってみるとしよう!!」
カオス「本当ですか!?」
オーレッド「任せろ!
ワシ等は常に新しいことに飢えておるのじゃ!
ダレイオスで研究出来ることは粗方やったつもりじゃったが世界は広いのぅ!!
また新しい研究分野が出来たようで何よりじゃ!
ワシ等が必ずソナタの要望に応えられるだけの装備品を開発して見せるわい!!」