テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
クリティアの村ヴィスィン
密かにオーレッドに魔力を抑えることの出来る装備品を作るようにお願いしたカオスだったがその様子を見ていた者がいたようだ。
タレス「カオスさん、
クリティアの長老と何を話していたんですか?」
カオス「え?
…あっ、あぁちょっとクリティアの人達が凄い技術力を持ってたからね。
もしかしたらと思って俺のマナを抑えられる道具を作れるか相談してたんだよ。」
特に隠すような内容でも無かったので包み隠さず話す。一人だけ強い武器を欲しがったりなどしたら要らぬ誤解を与えそうだったので後でここにはいないアローネ達にも話そうかと思う。別に大したことにはならないだろうと踏んで素直に話したのだがオサムロウは、
オサムロウ「…あまり得策とは言えん話だな。」
少し不機嫌な表情を浮かべてカオスの行為を批難する。何か不味い行動だっただろうか?魔力を抑えられればカオスの魔術を使える機会が増える。カオスの魔術は威力だけならヴェノムの主を一人で相手にしても勝ちをもぎ取れるだけの力があるとされる。ただ地形上の理由で発動する機会が滅多になかったので定かではないがこの間の威力が常に放てるのならばクラーケンくらいなら一撃で吹き飛ばすことも出来ただろう。
カオス「何故ですか?
俺の魔術は破壊が大きすぎるので調節出来るようになれば俺も皆の援護が出来るようになるんじゃ…。」
オサムロウ「確かにそうだな。
ソナタのあの無差別に何でも破壊してしまうような魔力をコントロールする術があればこの先主に苦戦することは無いだろう……。
バルツィエの先見隊をも追い返せる程だ。
だがソナタの圧倒性がある力に早い内から天敵を作ってしまいたくない。
我等スラート陣営がソナタがマテオの者で憎きバルツィエの血筋で恐るべき力を持つにも関わらず手を貸すことにしたのはソナタが邪な思想を持たぬが故だ。
ソナタの力があればダレイオスに来ずともマテオでバルツィエを単騎で倒すことも出来よう。
それなのにそれをせずソナタは故郷の同胞達を救うためだけにこのダレイオスまで来ているであろう?
それどころか故郷の同胞だけでなくこのダレイオスの民を救って回ろうとしている。
ソナタは信用に値する人格の持ち主だ。
………だがソナタも知っていようにこのダレイオスも一枚岩ではない。
かつてのダレイオスはバルツィエという共通の天敵がいたからこそ纏まっていたのだ。
それを今打ち砕く希望がソナタ等の持つ力だ。
もしこの情勢でそれが崩れるとしたらバルツィエがいなくなった後の世界だ。
バルツィエがいなくなった後の世界で覇権を握るとしたらソナタ等五人とレイディーという女性の六人。
この六人が中心になってダレイオスはどうにでも組変わる。
………つまりこの段階でクリティアにソナタ等というバルツィエに代わって世界に影響を及ぼすことの出来る者等に対策を与えてしまうことは後の世界バランスを崩しかねない影響を与えるのだ。
クリティアが第二のバルツィエとなるやもしれぬ可能性が出てくる。
人は誰しもソナタ等のように善良ではないのだ。
軽はずみな行動で足元を掬われてしまうことなどこの世界ではよくあることだ。
今後は我がソナタ等と行動を共にするのだ。
ソナタは今のままでよい。」
カオス「…すみませんでした。」
役に立とうと思って思い付いたことを提案したのだがかえって余計なことをしてしまったようだ。
タレス「…けどオサムロウさん、
カオスさんは精霊をずっと体の中から追い出したくて旅を続けてきたんですよ?
カオスさんの中にいる精霊はどういうわけかこのデリス=カーラーンを滅ぼそうとしてますし今の内にあの精霊が暴れだす前に対策でも作っておかないと…。」
オサムロウ「デリス=カーラーンを………滅ぼすだと?」
タレスは口から発した後に手遅れだと言うことに気が付く。カオス達の間では殺生石が半年の猶予を持ってこのデリス=カーラーンに審判を下すと言うことは把握済みだ。だがそのことはまだ他の者には混乱を招く恐れがあるので誰にも告知していない。無論このオサムロウでさえも。
オサムロウ「……詳しく話してもらおうか………。
何故デリス=カーラーンが滅ぼされてしまうのかをな。」
カオス・タレス「………」
ここまで話してしまっては後々不信感が募る一方である。二人は包み隠さず全ての事情を話すことにした。
オサムロウ「……なるほど、
我との試合の前に既にソナタ等は半年という期限が課せられておったのだな。」
タレス「そうなりますね。
けど今のところは特に問題視するようなことではないと思いますよ?
ダレイオスからウイルスを撒いている主達は順調に倒されて行っているのでこの調子で進んでいけば杞憂と言うことで話が終わると思います。」
カオス「すいませんでした………。
大事なことだったのに話さずにいて………。」
重要なことだとは分かっていてもこのまま計画を進めていけば何も問題が発生することもなく終わるだろう。そう自分達の独断で情報を開示することなく進めていたが後になって発覚したとなるとそれはそれで計画に携わる者にとっては計画に対する意気込みが変わってくる。もしもの時はマテオだけでなく精霊をも相手にしなければならないのだ。その精霊の強さは凄まじく恐らく誰も敵わない。現時点でダレイオス勢はカオス達がいればマテオに勝利することを疑ってはいないが仮にカオス達が失敗して主を倒しきれなければ今度こそ絶対に勝つ見込みの無い敵に世界ごと蹂躙されて滅ぼされてしまう。
オサムロウ「……話の内容では今のところは問題はない………。
後五ヶ月以内に主を倒しきれれば問題は無いが………。」
カオス「…?
どうかしたんですか?」
オサムロウ「………ソナタ等はヴェノムを再生させることなく倒す力があることは知っている。
………だから順当に行けば残り一体以外は倒せるとは思うのだが………。」
タレス「その口振りですと主の中にボク達の力でも倒せるか分からないのがいるんですか?」
ここに来て九のヴェノムの主の一体に何か異例の存在がいるようだ。一体どのような主なのか………?
カオス「まさか………、
ダレイオスのヴェノムの主の中でも最強の強さを持つヴェノムの主なんかがいるとか………?」
オサムロウやスラートの者は皆最強のヴェノムの主はブルータルだと言っていた。ミーア族はクラーケンでクリティアはジャバウォックとも。そんな最強の争いをするヴェノムの主の中に何かとてつもない力を秘めた存在がいるのか………?
オサムロウ「いや………、
奴に関してはダレイオスのヴェノムの主の中でも最弱とされる種だ。
最後に聞いた情報ではその主が現れてから数ヵ月での被害報告は“一人”だけだと聞く。
恐らく今も一人だけなのだろうな。
この旅を続けていけば次にそれとぶつかるのは三番目になるな。」
カオス「三番目って言うと………六体目に当たる主ですよね………?
何が問題なんですか?」
オサムロウ「この主は何故か他のヴェノムの主と違いウイルスをばら蒔くようなことをしない。比較的大人しい部類のヴェノムだ。
が、コイツと対峙した時如何にソナタと言えども倒せるかどうかは分からない………。
今までヴェノムに感染したモンスターは我等にとっては物理的に倒せぬ存在だった。
飢餓を待って倒す他無い程にな。
そこに現れたのがヴェノムの主だ。
奴等は通常のヴェノムのように飢餓を持たずにスライム携帯に変化せずひたすら回りの者を捕食していき強さを増していく…………。
………そんな主達の中でも異例中の異例……、
そして………、
“不死身の中の不死身”………、
フリンク族の住みかとする地方に現れた“フェニックス”と呼ばれる火の鳥はヴェノムに感染する前から不死と噂されるモンスターだ。
フリンク族も奴を仕留めようと水や氷、岩石など様々な手法を試みたようだが奴には何一つ効かず今なおフリンク族の地域の空をその紅炎に染め続けているそうだ。」