テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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急がば先へ

ウィンドブリズ山 南西側麓

 

 

 

 カルト族が住む地方のヴェノムの主を討伐しに来たカオス達はヴェノムの主の情報を掴むためにカルト族を探すがカルト族は村には不在でカルト族がいそうな場所を探してウィンドブリズ山を降りてきた。

 

 

ウインドラ「……やはりいないか………。

 この地方はもうこの辺りくらいしか人が住めそうな場所は無いぞ?」

 

 

 念のために数日かけて山を大回りしてカルト族を探したのだが一向に見付からずカオス達は途方に暮れていた。

 

 

オサムロウ「…このような無駄な時間が掛かってしまっては次の場所のブロウン族の地へと向かった方が得策かもしれぬな。」

 

 

 捜索に痺れを切らしてオサムロウがカルト族の主を素通りすることを提案する。

 

 

アローネ「いいのでしょうか……?

 まだ私達はこの地方のヴェノムの主の討伐が完了しておりませんよ?」

 

 

オサムロウ「そのヴェノムの主もカルト族も見付からないのだ。

 恐らくカルト族が移住してどこか別の場所へと向かい主もそれを追っていったのだと考えられる。

 いつまでもここに長居は無用だ。

 こんな寒い場所に長居し続けるようならソナタ等の体調にも響く。」

 

 

ウインドラ「ミシガンは寒さで震えていたが俺達は多分の話になるが早々風邪などは引かんと思うぞ?」

 

 

オサムロウ「多分の話ならやはり先に進もうか。

 絶対と言い切ってもらわんと納得が出来ん。

 ソナタ等もソナタ等の体質のことを完全に把握できておらんのだ。

 過信して体調を崩されてはそれこそ後の祭りだ。

 傷は治せても風邪を治すような術は無いのだからな。

 

 

 我等は出来ることから潰していかんとならないのだ。

 一つのことに手足が止まるようなことにもなれば世界が精霊に滅ぼされてしまうのであろう?」

 

 

 オサムロウの懸念していることはもっともだ。いかに時間がまだ後五ヶ月あってもダレイオスは広くその広い土地から倒さねばならない敵が六体。早足に三体は討伐は完了しているがそれが同じペースで続く保証はどこにもない。それにまだカオス達のヴェノムの主を対峙するというクエストも序盤だ。この先に待ち受ける困難は恐らくヴェノムの主だけではないだろう。バルツィエの先見隊すら未知のレアバードなる乗り物でこのダレイオスの地に侵入して来ているのだ。彼等は実のところ正面から戦えばカオス達なら勝つことは可能だ。だが彼等の狙いは大魔導士軍団………仮の名を名乗ることにはなったがカオス達を殺生もしくは邪魔をすることである。セレンシーアインではカオスの世界全体に届く裂光でカオス達のことをバルツィエ側は無視出来ない存在となったことだろう。……そんな正面から勝てないと分かっている彼等が取るべき行動を予測すればセレンシーアインで逃がしたランドール相手にアローネが口を滑らせてしまった現在のカオス達の目的の邪魔である。カオス達は今共に戦う“軍”を欲していた。その軍をかき集めるために軍が編成出来なくなっている理由の不死のヴェノム、“九のヴェノムの主”を討伐して回っているのである。この九体のヴェノムの主さえ倒してしまえば時間で消滅するヴェノムは自然とダレイオスから消えてなくなるだろう。これを果たした時ダレイオスはかつての九の部族が再び集いカオス達の国マテオに対抗しうる軍を再編出来るだろう。

 

 

 つまり今後はバルツィエの先見隊はこの計画を阻害してくる恐れがあると言うことだ。ランドール、ダインの他にも何名か先見隊がいるようなことを話していたとすると全員にもうカオス達の企みは伝わっているだろう。彼等はラーゲッツやユーラスのように直接攻撃してくる者もいればランドールのように大局を見て手を打ってくるような者もいる。これから先彼等バルツィエの先見隊がどのようにカオス達の計画を妨害してくるか分からない以上計画は早めに進めねばならない。………今となっては計画を急ぐ理由は他にもあるのだがそれは一先ず主を倒しきれるかどうかなのだが現状では順調に進められているためまだ深く考える段階ではない。

 

 

カオス「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスは自分の中に眠る殺生石の精霊の力を持ってすればデリス=カーラーンを破壊し尽くせることは承知している。ならば………、

 

 

 この力を持ってすればバルツィエなど一捻りで組織ごと………あるいはその拠点あるいは都市ごと焼き尽くすことも可能だとは思っている。

 

 

 ……しかしカオスはそれを望まない。カオス自身誰かを殺すことには抵抗がある。それが例えどんな悪人だろうとその手にかけてしまえばかつてのトラウマが蘇る。そのトラウマを払拭できなかった故にシーモス、トリアナスの海道では出さずに済んだ犠牲を払うことになってしまった。その事もあってカオスはやるべき時に行動を起こさなければ誰も救えないのだということを学んだ。

 

 

 カオスはもう悪と見定めた相手に容赦はしない。その相手を殺さなければならないのならカオスは剣を振るう覚悟は出来ている。例え自身が望まなくても自身がやらなければ他の誰かが殺すかその誰かが殺されるかのどちらかだ。ならカオスは自身が剣を振るうべきだと思う。本来ならもっと自分よりも上手くこの与えられた力を使いこなす者が他にもいただろう。あのミストにいたとすればそれは自分ではなく祖父だ。祖父がこの力を得てさえいればもっと上手に世界を纏められていたのではないか?カオスは常々自分という世界を何も知らない田舎者が中心になってしまって善いのだろうかと疑問に感じている。この先バルツィエと戦うことになれば自身は剣を振るうことはあってもその戦果を得るべきではない………。自身の世界はミストを飛び出した今でもミストだけだ。ミストさえ無事なら………祖父が守りたかったあの村さえ無事なのなら他には何もいらない………。先日タレスやウインドラが言っていた新生ダレイオスの王の話などはマテオの王家に近しい血を受け継いでいたとしても自分は所詮田舎育ちの田舎剣士だ。自分にその王になる資格が回ってくるのだとしても喜んでその資格を掴むことは出来ない。

 

 

 幸いにも共に旅する仲間のアローネがその資格を欲している。彼女はその資格を得てウルゴスの同胞を探しだすのだろう。

 

 

 ………だったらカオスは何も考えずにただ剣を振っているだけでいい。剣を振り続けてキリの良さそうなところで自分が消えればアローネは無事に王になれる。彼女は女性だからその場合女王だが。その先は自分はカーラーン教会にでも身を寄せてアローネの同胞探しの手伝いでもしようかと思う。それが自分が頼りないせいで失ってしまった命達へのせめてもの罪滅ぼしとなるだろうから………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……急ぎましょうか。

 次の場所へ。」

 

 

オサムロウ「良い決断だ。」

 

 

 カオス達六人はカルト族の地方のヴェノムの主を後回しにして次のブロウン族のいる地方へと進みだした。

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