テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ブロウン族の集落 トロークン 外れ
カオス達はこれからヴェノムの主ジャバウォックを討伐しようとしていた。カオス達の妨害をするためにバルツィエ達が新たな主を作り出し、それが目の前にいるのだと思ったからだ。主が増えたとしてもカオス達のやることは変わらない。倒した後はオサムロウがファルバン達の元へと帰還しこれからはバルツィエ討伐が最優先する手筈になるのだが………、
アローネ「……先程のハンターさんはカイメラというヴェノムの“王”のことしかお話しておりませんでしたね………。
あのジャバウォックのことに関してはあの方はご存知だったのでしょうか?」
アローネがそんな疑問をオサムロウに投げ掛ける。確かにジャバウォックが出現していることはハンターは何も言ってなかった。彼はカイメラだけにしか注意を向けてなかったのだ。この地方にもう一体主が来ているのだとしたら彼はそのことについてはカオス達よりも把握している筈だが………。
オサムロウ「……カイメラとやらが他の主などよりも圧巻であったのだろうな。
ヴェノムの王と呼ぶくらいだ。
他の主を呑み込んでしまうほどに凶悪な存在だ。
そんなモンスターがいるとなっては他の主も通常のヴェノムの種と同義に感じてしまっても不思議ではないのであろう。
ブロウン族にとっては今の災厄はカイメラ一体だけなのだと言うことだ。」
オサムロウがそう一言で纏めてしまう。そう言われてみれば納得してしまった。彼等ブロウン族にとって今回避したいのはカイメラというヴェノムだ。カイメラ以外のヴェノムは彼等にとってはもう話に出す程の存在でも無くなってしまったのだろう。それほどまでにカイメラが恐ろしい存在なのだ。単純に計算すればヴェノムの主二体分の強さ、他の主にすら打ち勝つカイメラの危険性を知ってしまえば他の主がこの地に訪れていたのだとしても大した脅威に感じなくなってしまう。カオス達はそういった理由があるのならとそこで話を区切った。
ジャバウォック「コホォォォォ………。」
タレス「先程から動きがありませんね。」
ウインドラ「オサムロウ殿のライトニングでこの辺りに獲物がいるのは分かっているんだろう。
奴は俺達が出てくるのを待っているんじゃないか?」
オサムロウ「やはりアレは他の主と同じようだな。
獲物が現れるまではその場に留まる。
通常のヴェノムであったら飢餓しないように獲物を探し回るというのに。」
観察を続けている内にやはりあのジャバウォックがヴェノムの主なのだと再確認する。行動がヴェノムの主そのものである。それならばと迎撃しようと飛び出す体勢に入るが、
オサムロウ「我はソナタ等を援護はするが奴の注意を引き付けるのが限界だ。
各自全力を持ってあのジャバウォックを瞬時に討伐してくれ。
……奴との戦闘騒ぎでカメイラが寄ってこないとも限らん。
ヴェノムの主とそれ以上の存在となったカメイラを同時に相手するのは厳しかろう。
アローネとミシガンは後方支援でスペルチャージを温存しておくのだ。
カオス、タレス、ウインドラは接近して撹乱しながらダメージを蓄積させていくのだ。」
オサムロウがそう指示を出す。役割としてはオサムロウは致命打は与えられないので司令塔を買って出る。経験豊富なオサムロウがそこに収まってくれれば他の五人もやり易い。オサムロウの指示に文句無く従う五人。
………そして、
オサムロウ「我が合図したら全員で魔術で狙撃するのだ。
それから戦闘を開始する。」
カオス「……俺はどうすればいいですか?」
オサムロウ「ソナタは………、
上手く当てられるか?
そもそも当てようとする覚悟があるか?」
カオス「………」
カオスは未だに魔術を生物に当てることを躊躇う。そのせいかカオスが魔術を放とうとすると精神的に不安定になる傾向にある。いくら強力な魔術を使えるからと言って命中制度に難があるようでは作戦には組み込みにくい。
オサムロウ「……ソナタの術は完全に使いこなせぬのであれば今回は保留だ。
せめて間髪入れずに普通に狙い撃ちできる段階まで出来ていればソナタの術を頼りにさせてもらおうか。」
カオス「………分かりました。」
オサムロウには当てにならないとは言われたが内心ではほっとしているカオス。出来ることならこのまま魔術を使う機会が訪れないことを願っている。カオスは未だに魔術への恐怖心は拭いきれていない。実のところを言うとオサムロウがこの後メンバーから外れることに一番不安があるのはカオスなのだ。オサムロウがいなければ火属性と氷属性の術を使えるのは自分だけだ。だが自分の魔術の練度はこの中では最低のレベルでカオスが放つ魔術はただ巨大な破壊の力を放つだけのものでアローネやウインドラ、ミシガンのように微少なコントロールすら出来ない。無差別に巨大な力を放つだけのカオスの魔術はかえって仲間達やこの地域に住む人達に被害をもたらす可能性がある………。
カオスはそうならないように力を使わないでいることを有り難く思った。
………この戦いがそんな生半可な気持ちで挑めるものでは無かったことをカオス達は直ぐに思い知ることになった。打てる手は全て打つ。戦闘では基本六元素の六属性の魔術をふんだんに駆使して戦わなければならない。倒せる相手であれば一つ二つの属性で済む戦いもあるだろう………。
しかし今カオス達の目の前に出現したこのジャバウォック?はとてつもない能力を秘めていたのだ。
オサムロウ「………!
今だ!!
総員集中放火!!」
アローネ「『疾風よ!我が手となりて敵を切り裂け!
ウインドカッター!!』」
タレス「『岩石よ我が手となりて敵を押し潰せ!
ストーブラスト!!』」
ウインドラ「『落雷よ!我が手となりて敵を撃ち払え!!
ライトニング!!』」
ミシガン「『水蓮より出でし水煙の乙女よ
破浄なる柱を天へと結べ!!
スプレッド!』」
オサムロウ「『火炎よ我が手となりて敵を焼き尽くせ!!
ファイヤーボール!!』」
カオス以外の五人がそれぞれジャバウォックの別々の部位を狙って術を放つ。そしてカオスもそれを皮切りにジャバウォックへと駆ける。カオスは五人が放った術を追う形でジャバウォックに迫る。ジャバウォックは………、
魔術が当たる寸前こちらへと振り替える。
カオス「魔神剣・双牙!!」
ジャバウォックに五人の魔術とカオスの魔神剣・双牙が命中し爆煙が上がる。完全なる不意打ちにジャバウォックも多少はダメージを追ったであろうことは全員が予期していた。
………しかし煙が晴れてから現れたジャバウォックにはカオス達の攻撃が全く効いてなかったであろうかのようにピンピンしておりカオス達の姿を認めると、
ジャバウォック?「ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!」
野太い唸り声を上げてカオス達に迫る。
こうしてカオス達のヴェノムの主との三戦目にして“最強のヴェノム”との戦闘が始まった。