テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ブロウン族の集落トロークン 外れ
カオス達も「……………………、
……………………え?」
オサムロウ「今アレに有効な攻撃を加えられるのはソナタ以外にはいない。
我ではヴェノムに通用する火は出せぬし他の四人は一属性縛りな上に負傷と治療で手が空きまい。
ソナタがあのカイメラを迎え撃つのだ。
ソナタのその魔術を持ってあれを撃ち払うのだ。」
カオス「………」
先程調べた通り今のカイメラジャバウォックは炎以外の属性攻撃を受け付けない。直接攻撃は通用するようだがそれでは時間がかかる上にまたカイメラに再生変身を繰り返されて同じことが続けばいつか倒れるのはこちらの方だ。
オサムロウ「どうした……?
……まさかまだソナタは魔術を敵に向かって放てないと言うのか…!
セレンシーアインでは空に向かって放っていたではないか!!」
カオス「あれは………!」
あの時は何も無い空中へと魔術を放てた。あの時に放ったバニッシュボルトは正直あそこまで大きな力になるとは思ってなかったのだ。瞬間的に放出して消失する雷撃なら誰にも当たることなく消えるだろうと思ってバニッシュボルトを放ったのだがこれから放てと言われる火の魔術ファイヤーボールはこんな場所であのカイメラに直撃しそこから大爆発でも起これば………、
カオス「………ッッッ!!!!」
オサムロウ「…………やはりまだ無理なのか………。
致し方あるまい……………。
一時撤退するぞ!!!」
アローネ・ミシガン「撤退!!?」
カオス「……!!」
オサムロウが撤退を宣言する。このまま続けてもこの変身するヴェノム、カイメラを討伐することは不可能だと判断したのだ。
アローネ「……分かりました。
ではタレスは私が運びます。
ミシガン、
ウインドラさんは運べそうですか?」
ミシガン「えっと……、
よいし「だい………じょうぶだ………。」ウインドラ!?」
ウインドラ「………すまん……、
また……少し………寝ていたようだな………。
ミシガンのファーストエイドである程度は回復した………。
俺なら歩ける………。」
ウインドラは意識を取り戻したようだ。ウインドラはダレイオスに来てから気絶するのはこれで四度目である。うち三度は水属性の攻撃を受けてしまったからだが今回意識を回復するのが早かったのは水属性の攻撃ではなく物理的な攻撃によるものだったのでかろうじて意識を深く刈り取るところまではいかなかったようだ。それでも重体な様子は変わらないのだが、
オサムロウ「……その様子では走れてもカイメラから逃げおおせるのは難しいだろうな………。
我が一旦奴の注意を引き付ける!!
その隙にカオスはウインドラの肩を持ってどこかカイメラの目の届かない安全なところへと避難するのだ!!
他の者も続け!!」
オサムロウがカオス達に逃げるよう指示を出す。オサムロウはこのカイメラから逃げるまでの時間稼ぎをしてくれるようだ。
カオス「足止めなら俺がします!!
オサムロウさんがウインドラと一緒に逃げてください!!
俺ならコイツにダメージを与えられ「撤退だと言った!!」!?」
オサムロウ「我よりもソナタの方が足が速いのだ!!
それなら我よりもソナタが連れ出した方が効率的であろう!!
このカイメラジャバウォックからなら我が単独になっても逃げおおせられる!!
ソナタの攻撃もこやつには有効だがそれでは脚の速い別のモンスターにシェイプシフトされる危険がある!!
これよりソナタ等の全ての戦闘行為を禁ずる!!
負傷者を早く連れていけ!!
これは命令だ!!」
カオスの訴えを聞かずオサムロウはカオス達にそう強くいい放つ。それは意地の問題ではなくあくまでも撤退にたいする効率性。ここは素直に言うことを聞くしかなかった。
カオス「……!!」
ウインドラ「……悪いなカオス……。
またお前に肩を貸してもらう羽目になるとは………。」
カオス「……………、
………別にいいさ。
仲間なんだからこれくらい当然だよ。」
カオスはウインドラの肩を持ってその場から足早に去っていく。カオスの後を追ってアローネとミシガンもその場を後にする。
カイメラジャバウォック「ゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」
オサムロウ「貴様の相手は我が勤めよう………。
せめて貴様のその変身する能力の攻略法と貴様が本当に不死の存在なのか…………、
それを打ち崩手掛かりくらいは持ち帰らねばな!!!」
近場の林
カイメラから目の届かない場所へと撤退………。そう言われてもカオス達が向かえる場所はこの地方ではここしか見当がつかなかった。先程ブロウン族の男ハンターと別れた場所。ここなら早々あのカイメラに見つかることもなさそうだった。
カオス・アローネ・ミシガン・ウインドラ「………」
敗北。
完全なるカオス達の黒星。あのカイメラに手痛い傷跡をつけられてしまった。一時間にも及ぶ戦闘の末にあのカイメラが並みの方法では倒せないということだけが分かった。
アローネ「………ヴェノムクエスト………、
………初の失敗ですね…………。」
カオス「………」
カオスとアローネ、タレスはマテオの大都市カストルで数度ヴェノムクエストというものを受けている。いづれも達成しており今回のこのダレイオスでのヴェノムの主討伐の旅も賃金は発生しないが代わりにウインドラの仲間達の想いを引き継いでダレイオス再興の暁には共にマテオのバルツィエ打倒を約束してある。
ヴェノムクエスト、
常人には受注することを許可されない特別なクエスト。これを受けられるものはヴェノムに対処法を持つ者達のみ。マテオではレイディーの手配を受けて受注することが出来た。ここダレイオスではカストルのように身分を偽って受けたのではなくカオス達のことを理解してもらいその上で依頼を引き受けた。このヴェノムクエストはダレイオスではカオス達の他に完了させることが出来るものがおらず謂わばこのクエストはカオス達専用のクエストでカオス達以外に任せられる者がいないクエストなのだ。カオス達だからこそ達成が見込めそれに伴ってスラートやミーア、クリティアも続々とカオス達に協力を申し出てきたのだ。
………そんなクエストでカオス達は失敗してしまった………。通常クエストはクエストの期日までに達成出来ればそれでいいのだが今回の失敗はカオス達の精神が完膚なきまでに叩きのめされとてもまたもう一度再戦すればいい………とはなれない敗北の仕方だった。
あのダメージが蓄積すると体を溶かしてから別のギガントモンスターに変身する能力。加えて変身後は変身前の蓄積したダメージを完全に無かったことにする再生能力。これを攻略するには一筋縄でいかない。
………………それにカオス達にはまだ課題がある。
最初の形態で全員で総攻撃をかけた後にあのカイメラは変身した。先程見せた変身での形態は五種類。ジャバウォック、ブルータル、マンティコア、ビッグフロスター、そして五種類の属性に対して完全耐性を持っていたジャバウォック。形態があといくつあるのかは分からないが最後に変身した二度目のジャバウォックは弱点の火以外の属性攻撃を無効化した。とすればあのカイメラは他の形態に変身した際にも同じような変身が出来る恐れがある。
一つの形態で一つの属性しか受け付けないギガントモンスター。ギガントモンスターは本来複数の人数で討伐するモンスターである。つまりカイメラと戦う際は火と氷以外の弱点を持つギガントモンスターに変身された場合はカオス達のパーティーは誰か一人だけが有効打を与えるしか無いのだ。最初のジャバウォックを相手している時は有効な火属性の魔術は使用してはいなかったがそれでも六人がかり。六人がかりで三十分かけて漸く一度の変身。とても一人辺りの火力が足りなすぎる。長丁場になれば不利になるのはマナを回復する手段が道具や時間経過便りのこちらだ。どうにかして一人辺りのマナの内包量と火力を底上げしなければならない。
そしてカオスが個人的に課題が出来てしまった。カオス達六人の中でカイメラにダメージを与えられるのはカオス、アローネ、タレス、ミシガン、ウインドラの五人。カオス以外の四人で各四属性の対応は出来るだろう。
と言うことは四人がダメージを与えられない火と氷の担当はカオスが賄うしかないだろう。
だがカオスは………、
未だに魔術を生物に対して放つことを躊躇う。過去のトラウマがフラッシュバックしてしまい魔術を目前の生物に使おうとすると体が硬直してしまうのだ。ダレイオスに来てからここまで何度か魔技や魔術は使用したことがあるが一度たりとも生物に対して命中させたことがない。カオスはノーコンだ。遠くにいるものに物をぶつけるとなると命中制度に難がある。それも相まって自らの制御不能な魔術を使用することに恐怖心を抱いている。
………しかし今度のカイメラ攻略はカオスが魔技魔術を駆使して戦わなければ勝ちの目が全く見えない相手だ。
このトラウマをここで克服しなければカオス達はいつまでたってもこの壁を乗り越えることは出来ない。
……最悪は四ヶ月半後の殺生石が設けた期限以内にトラウマを克服出来なければ世界は、
デリス=カーラーンは終末を迎えてしまうのだ……。