テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
近場の林
ミシガン「………クラーケンの時とは違ったのに………。
今度はちゃんと全身が見えてた相手なのに………。」
カオス・アローネ・ウインドラ「………」
ミシガンの言う通りクラーケンの時のような倒すべき敵が全身が地面に埋まっていたようなことはなかった。全身が地表に露出していたにも関わらず真正面から叩きのめされた。それにいくら手を加えてもクラーケンのように体が縮小していくようなこともなかった。変身する度に姿を完全に体の大きさや戦闘スタイルを変化させ再度ジャバウォックに変身した際にも最初と同等大の大きさに変身し更に耐性すら追加させてきた。
はやる話が手詰まりなのである。クラーケンは地面から引っ張り出せても今度の敵カイメラはカオス達に倒す算段が思い付かないのである………。
「こっぴどくやられたみたいだな。」
カオス・アローネ・ミシガン・ウインドラ「!?」
気落ちしているところにカオス達に話しかける声があった。その相手は、
ハンター「だから言っただろ?
あのカイメラに戦いを挑むのは止めとけって。
あの嘘つき女もいいところまでは言ったが完全に氷に耐性のあるジャバウォックに変身されて手も足も出ずに逃げ出したんだ。
氷一点だけのあの女じゃそれだけで完封されちまうからな。」
ハンターがまたカオス達の前に姿を現した。
カオス「………レイディーさんが傷一つつけられずに逃げ出したというのに納得がいきました。
傷一つつけられなかったんじゃなく“傷一つ残さずに再生変身“するという意味だったんですね………。」
レイディーが逃げ出すのも無理はない。レイディーは今カオス達と同じで氷以外の魔術を封じられている。そこにあのカイメラが相手ではなす術なく逃げ帰るのが無難だろう。
ハンター「これで俺があのカイメラを世界の終末って言った理由も分かっただろ?
あんなメチャクチャな奴に勝つって言う方が土台無理な話なのさ。
……もっとも変身能力があるっていうのはあの女のおかげで知れたんだけどな。
それまでは俺や“カルト族の連中”もあのカイメラにそういう能力があったことなんて知らなかった。
あの女が色々と頑張ってダメージを負わせて最終的に倒すことは不可能だと俺達に教えてくれたんだ。」
アローネ「…カルト族の連中………?」
ハンター「あのカイメラはカルト族の連中が連れてきたんだ。
カルト族も嘆いていたぜ。
あんな化け物が何故あんな極寒の地方に最初に出現しちまったかをな。
あんなヴェノムは他に見たことがない。
あんなのと同じ場所にいたら早々にカルト族は全滅しちまうってんで俺達のところに「教えてください!!」」
アローネ「あのカイメラの詳細な情報を!!
私達にはあのカイメラを早期に討伐しなければならないのです!!
それには………あのカイメラのことをよく知る必要があります!!
何でもいいのです!!
他にあのカイメラを倒せる情報をお持ちでしたら私達にそれを……!!」
アローネがハンターに詰め寄って情報を引き出そうとする。アローネはカオス達の中ではもっともあのカイメラを倒さなければならない理由がある。殺生石の精霊に世界を破壊されないようにすることの他にもアローネはウルゴスの同胞達を捜さなければならない使命があるからだろう。意気込みはカオス達よりも強いのだ。彼女は一度の敗北で諦めると言う選択肢は拾わなかった。
ハンター「……俺達のところにブロウンもよく知らないんだよ………。
あのカイメラは元々ウィンドブリズ山から来た奴だからな………。
聞くならカルト族の奴等に聞いた方がいいと思うが………。」
アローネ「ではそのカルト族の方々はどこに居られるのですか!?
カイメラをカルト族の方々が連れてきたと仰るのなら貴方はカルト族の方々が今どこに居られるかご存知なのではないですか!?」
ハンター「………」
アローネ「ハッキリしてください!!
私達には時間がないのです!!
あのカイメラを討伐しない限り先に進むことも出来ずに四ヶ月後には………!?」
アローネが口をつぐむ。四ヶ月半後には世界が殺生石の精霊に破壊されること。これは安易に誰かに話していいことではないからだ。もしそれがダレイオスの者達に伝われば対マテオ、対バルツィエへ腰を上げてきた者達の精神を打ち砕く結果に繋がりかねないからだ。それにはこれから腰を上げてもらわなければならない者達にも含まれる。一端のブロウン族にこれを話してしまえば他のブロウン族にも情報が伝わってしまう恐れがある。話せるとしたら各部族の族長辺りに事の経緯を鮮明に説明しまだ世界が確実に破壊されるということには至っていないこととそれを阻止するためにカオス達が動いていること、カオス達のクエストが成功すればそれが単なる杞憂に終わるだけの事を伝えねばならない。もしそれがただ“世界が四ヶ月後に破壊される”ということだけが誤って伝われば事情を知らない者達が立ち上がる切っ掛けすら消えてしまうだろう。
ハンター「四ヶ月後………?
四ヶ月後に何だよ?」
ハンターはアローネの失言を拾ってしまった。
アローネ「………」
ハンター「………四ヶ月に何があるんだ?
いよいよバルツィエでも攻めて来んのか?
あの嘘つき女が他にも言ってないようなことがまだあるのか?」
………言えない。この男だけに伝えるわけにはいかない。アローネが言葉に詰まっていると、
ウインドラ「……それはお前の他のブロウン族がいる場で話す。一人に伝えるにはスケールが大きくそう何度も説明するのは面倒だからな。」
ウインドラがアローネのフォローに入る。ウインドラの意見ならこの場では上手くはぐらかせ他のブロウン族達のもとへと案内させることが出来るだろう。真実は一部の者だけに伝えて四ヶ月後に起こる出来事に関してはファルバン達から既に無効となった試用期間の事を話せばいいだろう。
ハンター「………」
今度はハンターが押し黙る。何故か彼は頑なに他の仲間のところへと案内しようとしない。何かあるのだろうか。
ウインドラ「……そういえばお前は何故ここへ来た?
カイメラの監視役か?
カイメラがどこにいるのかを確認しに来たのか?
それとも俺達が無様にやられる姿でも見に来たのか?」
ハンター「俺は………、
………お前らがカイメラに余計なちょっかいをかけてこっちに来ないように見張って……。」
アローネ「では貴殿方ブロウン族の方はこの辺りに潜んでいるということですね。」
ハンター「!」
ウインドラ「最初ここへ逃げてきた時はたまたまカイメラが来た方向とは逆方向だったから疑わなかったが俺達がここへ来てからお前と出会したのはどうにも時間が早すぎる。
おまけに俺達が全力でここで戻ってきたにも関わらずお前は直ぐに飛び出してきた。
この辺りにブロウン族が隠れ家にしている場所があるんだな?」
ハンター「……!!」
アローネ「教えてください!
私達にはブロウン族の方々やカルト族の方々とお会いしてお話ししなければならないことがあるのです!
それは一刻も争うようなことなのです!!」
ハンター「族長達には………!!」
ウインドラ「どうしてそのように頑なに会わせようとしない?
何か会わせられない理由でもあるのか?」
ハンター「………」
アローネ「ハンターさん………?」
ハンター「………………仕方ねぇな。
付いてきな。
俺達が隠れ住んでるのはすぐそこだ。
そこにブロウン族とカルト族の生き残り全員がいる。」
アローネ「ハンターさん!」
カオス達に他の生き残りの仲間達のところへと案内すると言うハンター。これで一先ずカルト族とブロウン族にこれからのダレイオスの方針を伝えて協力に漕ぎ着けられる。カオス達はそう思った。
しかし、この直ぐ後に連れていかれた場所でカオス達は想像していたものよりも深刻な状況に彼等が陥っているのを目にすることになる。