テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ハンターとステファニーの住む洞穴
ハンター「雪国育ちだからって氷が平気な訳がない。
人であるなら氷付けになんかされたら全身凍傷で死んでしまう。
俺はそうならないように直ぐにファイヤーボールで氷を溶かした…………。
…………だがウイルスはまだステフの中に残ってたんだよ。
氷を早くに溶かしてしまったせいであの嘘つき女の氷のウイルスを滅菌する作用が全身に回らなかった。
それとウイルスに耐性があるステフだったからこそあの嘘つき女がどこかへ去っていくまでまだウイルスが体の中に残っていることに気付けなかった………。
ウイルスに少し程度強い体質だったのが災いした。
俺達に出来るのはあの女が放った氷を回収してそれをステフに飲ませてその体の中の氷が溶けないようにすることだけ………。
………それだけしかステフが生き残る道は無かった………。
この一ヶ月間ずっとステフは針を刺す痛みに耐え続けなきゃいけない地獄を味わってきたしその地獄を俺が見守ってきた。
氷自体は体内で氷が触れている部分のウイルスは滅菌出来るようだがウイルスは氷に届くと消えるみたいなんだが氷に触れていない箇所に残るウイルスは増殖を続け氷に近づいては消えるの繰り返しだ。
………もう俺達は精神的に限界なんだよ………。
ステフとは部族こそ違うが二人とも仲間達に置いていかれた身………。
今じゃ他人とは思えないような仲になった………。
そのステフが一ヶ月前にウイルスに感染してから今日まで絶望に苛まれた………。
今更俺達に立ち上がる気力は残ってないんだよ…………。」
ステファニー「ハンター………。」
ハンターとステファニーが見つめ会う。どうやらこの二人は………。
そんな二人にとってこの一ヶ月は耐え難い辛さに耐える日々であったことだろう。片やウイルスに体を蝕まれるも生きるために体に針を通す毎日、片や想い人が目の前で針を刺し苦痛に耐える姿を見続ける………。
ステファニーの体調の不具合は単純にウイルスや出血によるものだけではないのだろう。
一ヶ月にも及ぶ激痛との戦いで刃だだけでなく髪の毛までも白く染まっている。
この生活が続けばそう遠くない未来にステファニーはハンターを一人残して死んでしまうだろう………。
………ハンターとステファニーの事情は分かった。そういうことであればここは、
アローネ「カオス。」
カオス「分かってるさ。」
カオスとアローネはステファニーに近寄る。
ハンター「……何するつもりだよ………?
まさかあの女みたいに魔術でステファニーを傷付けるつもりか………?
今のステフは魔術なんか食らっちまったら確実に逝くぜ………?
助けられる保証が無いんなら余計なことは何も………。」
アローネ「『彼の者を死の淵より呼び戻せ……… 、
レイズデッド』」
ハンター「……!?
何だその術は………!?
治療魔術なのか………?」
ハンターが聞いたこともない術に驚く。レイズデッドは古くからプロトゾーンという生物の進化の過程でユニコーンと呼ばれる種になった時にその角を用いれば使うことが出来るようになるらしい。カオス達は別口でこの術を使えるようになったのだがレイディーから聞いた話ではカオス達のレイズデッドの方が性能的には有能だろう。
ステファニー「………!
体の………痛みが………。」
ハンター「治ったのか!?
ステフ!」
ステファニー「………体の中の………、
ウイ………ルスが………、
消えてい………く感覚が…………。」
ステファニー「ステフッ!!?」
アローネ「ステファニーさんッ!?」
レイズデッドを使用したのに意識を失うステファニー。上半身が床に倒れ込む瞬間にカオスとアローネでステファニーの体を支える。………そのステファニーの体からは人の体温とは思えない程の冷たさを感じたが呼吸音はまだ聞こえる。これは急いで暖めなければ不味い状態だ。
カオス「ハンターさん!!
急いでステファニーさんを暖めて下さい!!」
ハンター「あっ、あぁ!」
持っていた松明をステファニーの側に置き、他にもよく燃えそうな者を集めてきてステファニーの側で燃やす。
これでステファニーはヴェノムウイルスと氷の針の苦しみから解放されることだろう。意識を失ったのは痛みに耐え続けた緊張がとけたからだろう。後は意識が回復するのを待つだけだ。
ハンター「………」
アローネ「これで彼女は完全にヴェノムウイルスに侵されることは無くなりました。
私達の術レイズデッドはレイディーのように攻撃を加えるものではなく治療魔術ファーストエイドのその延長したものです。
貴方にもこの術を使いますがいいですね?」
ハンター「……それを使われたら俺はどうなるんだ………?」
タレス「悪いことにはなりませんよ。
ヴェノムウイルスがこれから貴方に作用することが無くなるだけです。」
ハンター「……それは永続的にか………?」
ミシガン「今のところこのレイズデッドを使って効力が切れたとかは聞いてないよ?
多分ずっと効力が残り続けるよ。」
ハンター「………」
このレイズデッドは攻撃ではなく治療の一貫だ。これを受けることには何のデメリットもなくメリットしか存在しない。たがハンターはどうにもこのレイズデッドに頼ることを拒絶するような態度をとった。
ハンター「それを付与してしまったら後には戻れないんだな………?」
ウインドラ「後には戻れないとは何のことだ?
これを付与されれば今後ヴェノムウイルスに怯えることは「それを受け取っちまったら………」」
ハンター「……それを受け取っちまったら………俺はお前達に協力しなきゃいけなくなるんだろ?」
ハンターがそんなことを言い出す。
ハンター「……俺と……ステフはブロウンとカルトの最後の生き残りだ。
お前達がやろうとしていることは戦いなんだろ………?
………だったら俺達はお前達に協力出来ない。
俺にはその術を使ってもらう資格は無い………。
すまないがその術を俺に使うのは拒否させてもらう。
少なくとも俺は………カイメラみたいな強いヴェノムが残っている内にはお前達と共に戦うことは出来ないんだ。」