テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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カオスの修行1

ウィンドブリズ山 特訓開始初日

 

 

 

カオス「………」

 

 

 俺はずっと皆に甘えていた。一緒に旅をして共に支えあう仲間達だからお互いの要所要所をサポートしあってこれからもそれでやっていけると思っていた。今回のカイメラと戦うまではそれでもよかった。それでやっていけてた。そうやって自分がやりたくないことからずっと逃げ続けていたんだ。

 

 

 

 

 でももうそんなことは言ってられない。四ヶ月後俺の中に眠る精霊がこのデリス=カーラーンを破壊する。それを未然に防ぐにはこのダレイオスのヴェノムの主を全部倒さなきゃいけない。倒してこのダレイオスからヴェノムを駆逐するんだ。それには先ずブロウン族が管理してい土地に今もたむろしているカイメラを倒さないと………。

 

 

 今カイメラは俺とは別行動をとっているアローネ達があそこから移動しないように見張ってくれている。ここでカイメラの行方が分からなくなったらこの先アイツを捜すのにも時間がかかるしまだ倒さなきゃいけないヴェノムの主はカイメラを含めても五体はいるんだ。これ以上時間をかけるわけにはいかない。

 

 

 俺は何としてもここで………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モンスターに魔術を撃てるようにしないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイスウルフ「グルル……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は今アローネ達と別行動をとってはいるがその理由は俺が誰にも頼らずに魔術を撃てる環境を作るためだ。一ヶ月前のあの後俺は魔術を使ってアローネ、タレス、ミシガン、ウインドラを強化すると意気込んだが結局あの時はアローネ達に魔術を発動することが出来なかった。俺の中ではまだ誰か………生物に対して魔術を放つという覚悟が出来てないらしい。オサムロウさんの指示で一度俺は魔術を撃つときに誰かが近くにいたらそれを逃げ道にして魔術を放てなくなるとのことで丁度誰も人を巻き込む心配のないカルト族の住んでいた山ウィンドブリズ山に来ているのだ。ここにいるのはヴェノムとヴェノムを上手くかわしてまだ生き残っている野生のモンスター達くらいなものでここではいくら魔術を撃ってもいい環境だ。だから俺は自分を追い込むため剣もアローネ達のところに置いてきて身一つでこの山にいる。

 

 

 ここでなら………俺の魔術を発動する恐怖症も克服できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けど………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイスウルフ「ガウッ!!」

 

 

 

 

カオス「(来た………!)」

 

 

 その辺をウロウロしていたらアイスウルフに遭遇し今回はコイツを獲物に見据える。コイツを魔術で撃退出来れば…………!アイスウルフの飛び噛みつき攻撃を飛葉ほんろ歩でかわし背中を見せたアイスウルフに魔術を発動させる構えをとる。ここは六属性のうちのどれがいいか………、やはりアイスウルフと言うこともあって氷属性だから火のファイヤーボールか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………いやこんな雪山で俺のファイヤーボールなんか撃ったら山に積もった雪が溶けだして雪崩が起きかねない………。無難にウインドカッターか?………だけど俺の魔力でウインドカッターなんて風の魔術を起こしたらどこまで風が飛んでいくか………そういえば前にバタフライエフェクトだかなんだかでどこかで長が羽ばたけば遠くの地で台風が起こるとか言ってたな………。俺の魔力は蝶なんかの何千倍もあるしここは雪山だから俺の風に飛ばされた雪が世界中に吹き荒れるかもしれない………ウインドカッターは止めておこう。だったらライトニングで一瞬にして焼いて…………?…………駄目だウインドラが雪山は大きな音でも雪崩が起きると言っていた。雪崩の被害って結構凄いらしいしこの山で雪崩が起きたら反対側のクリティア族の村にも雪崩が届くかもしれない………。………アクアエッジがいいかな?アクアエッジだったら…………今度は洪水が起こりそうだな。山から思いっきり沢山の水が流れていったらアローネ達のところにも水が押し寄せてくるだろう………。ストーンブラスト………?これだったら……………俺のストーンブラストで大地震が起きそうだな却下だ。………氷属性のアイシクルだったら!氷属性の相手に氷は効きにくいだろうけど雪山で氷属性の魔術を放つくらいなら特に環境的に問題は…………?

 

 

 雪が余計に積もってもっと雪崩の危険度が増すな…………これも止めようか………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイスウルフ「ガブルッ!!」

 

 

カオス「………」

 

 

 そうこう悩んでいる内にアイスウルフがカオスの足に噛み付いてきた。長考し過ぎたようだ。

 

 

アイスウルフ「ガブガブ!!」

 

 

 アイスウルフがカオスの肉を食いちぎらんと鋭い歯を食い込ませてくる。犬系のモンスターの噛む力は百キロを越えると言われている。普通の者であったらその咬まれる力とアイスウルフの放つ冷気に当てられた痛みに耐え兼ねて悶え苦しむのだが、

 

 

カオス「(………)」

 

 

 多少の痛みでは動じないカオスにとってはこの程度の痛みは苦にならなかった。それどころか咬まれているというのにまだ思考の渦に呑まれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「(………こんな無駄なことを考えてちゃ駄目だ。

 とにかく魔術だけでも発動させないと………。)」

 

 

 カオスは焦燥感にかられて足に噛みついているアイスウルフに向かって魔術を放とうとする。

 

 

 

 

 

家屋「『氷雪よ………我が手となりて敵を………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前なら世界を………、

 ………バルツィエを変えられるかもな………。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「ッッッ!!!!」

 

 

 カオスの発動しようとしたアイシクルはアイスウルフに放たれる寸前で狙いが逸れる。

 

 

 ………いやカオスが無意識に逸らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイスウルフ「ギャッ…!?」

 

 

 先程までは辺りに積もっていた軟らかな雪がカオスのアイシクルを受けて完全に強固な氷河へと代わる。それは視界の届く範囲全てに及んだ。この分ではウィンドブリズ山の全体がこの有り様であろう。それに驚いたアイスウルフはカオスから飛び退きどこかへと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………魔術はなんとか撃てる………。

 

 

 ………けど………。」

 

 

 カオスの中で燻り続ける心の闇はそう易々と晴れてはくれない………。生物と認識しない場所には魔術を発動することは出来た。しかし密着していたアイスウルフに対して放つ筈であった魔術はその対象から完全に別の方向へと流れた。これはカオスののコントロールの問題ではない。カオスの精神的なところが作用してしまい狙いを外してしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「…………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………おじいちゃん……………。

 俺はどうしたら…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスの対象に魔術を放つことが出来ない原因の根底にあるのは幼き日に植え付けられた大切な人を自身の手で消し去ってしまったという記憶があるからだ。カオスはトリアナスでの一件以来魔術を放つ際に生物が視界に入るとどうしてもそのことを思い出してしまう。

 

 

 その記憶がカオスの中に残り続ける限りカオスはこの課せられた試練を乗り越えることは叶わないであろう…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 果たして彼はこの課題を乗り越えることが出来るのだろうか…………。

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