テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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カオスの修行3

ウィンドブリズ山 一週間目

 

 

 

 カオスがウィンドブリズ山に来てから数日が経過した。このウィンドブリズ山へ一人で来た目的は対象に魔術を的中させるというこの世界に住むエルフなら誰でも出来そうなことを特訓するためにだ。大概の理由としては魔術の操作性に難がありそうな者達が行うような特訓だがカオスに関してはそれの他にも精神的な痼がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつて住んでいたミストの村で発動した魔術により祖父を含めた村の住人の大半を消し去ってしまったこととその後に生き残っていた村の住人によって激しい非難の嵐にあい幼かったカオスは精神的に深い傷が残った。

 

 

 それから十年の間カオスはその心に残った傷が癒えることなく過ごしてきた。その事件後は自分の中に十分なマナ(後日それが精霊の物だと判明する)があることが分かりその日からカオスは祖父の持っていたバルツィエの奥義書を独学で学び魔神剣を体得してミストの村を外からモンスターやヴェノムの魔の手から守り続けてきた。カオスにとってその行いは当然で自身があのミストから殺生石の守りを奪わなければあのような事件は起こり得なかったからだ。現在はマテオ、レサリナスの管理された土地となっているが本来はあのミストは村人達が不等な税の徴収を避けるためにあの深い森の奥にひっそりと村を構えて住み始めたのだ。そこにあった殺生石は異様な力を放ち触れた者の生命の源マナを根刮ぎ奪って絶命させる能力を持っていた。自然界の生物はその殺生石の能力に敏感でその周辺に近寄ることがなかった。いつから存在していたのかは判明していないがそのことに目をつけた元ミストの族長はおよそ“百年前”に現在では廃墟と化した旧ミストの住人を引き連れてその殺生石の回りに引っ越すことにした。旧ミストに税の徴収に来ていたカオスの祖父アルバートも騎士団を離れその時に共にミストへと移住を決めた。その殺生石のあった地はミストの住人にとっては国に干渉されず自分達だけで生きていける正に“理想郷”と呼ぶに相応しい村となったのだった。

 

 

 ………その理想郷を壊したのが当時物心つく前の五歳前後のカオスだ。当時のことは何も覚えていないが祖父曰くたまたま村長の家へと訪問していたカオスとカオスの両親はふと目を離した隙にカオスが殺生石に近付いていくのが見え慌てて止めに入ろうとするが一歩間に合わず両親がカオスを引き剥がすもその時にはカオスは殺生石に触れてしまったそうだ。両親もその際に殺生石に触れてしまい絶命するが何故かカオスだけはマナが極僅か残す程度で生き長らえた。それからカオスは“奇跡の子”と呼ばれるようになったがマナがほぼ無いと言っても過言では無い子供のカオスは村に住む他の子供からは蔑まれて育ってきた。元々祖父が他所から移り住んできたこともあってカオスは浮いていた。何故自身はこのような扱いを受けるのか、何故自身は他の子供と同じように扱われないのか、何故自身は他の子供と同様魔術を使うことが出来ないのか、いくら悩んでも他の子供達にとってカオスは親達が嫌うマテオ国の騎士団の騎士の子供でよく理解している訳ではないがどこか遠くの村の少し鼻につく目障りで手酷く扱っても怒られることがないため彼等にとってカオスは玩具のような存在だった。カオスはそのことに何度も深く傷付けられてきたがそれを支えたのは祖父アルバートと幼馴染みのウインドラとミシガンだった。彼等がいたからこそカオスは多少腐れながらも村での仕打ちを耐えながらもやってこれた。自身は一人ではない、孤独では無いのだとその時のカオスは思った。彼等がいるなら、彼等がいるこの村なら自身がいてもいいのだ、自身が当たり前に夢を見てもいいのだと思い、将来自分が大人になった時自分を蔑んできた者達を見返すためにその者達が知らない騎士に自分はなってこの村を邪悪な魔物達から守って見せる。子供心に汚れた世界を知らないカオスは祖父が語る騎士と他の大人達が語る騎士は同一の者ではないのだと思っていた。だからこそ自分は大人達が嫌う騎士ではなく祖父の言うような騎士になりたかった。騎士になって大人達が持つイメージを払拭させたかった。自分が祖父が語るような良識のある騎士になれば自分に対する扱いも変わるのではないかと………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一途な願いも全てあの日を境に消えてしまった。全て自身と自身の中に宿る精霊が粉々に打ち砕いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今でもあの日のことを忘れたことはない。ミストから国どころか星の反対側まで旅してきたがあの日の自分が消し飛ばしてしまった人々のことは忘れてはならない。守ると誓った人々を恐怖に貶めてしまった自分はあの日から誰かが傷付くようなことがあればそれは自分のせいなのだと気付き数ヵ月前まではミストで贖罪のつもりでモンスターと戦ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………今度はそれがミストに留まらずデリス=カーラーンまるごとこの世界にまで広がった。まだ破壊されると決まった訳ではないが今度あの精霊が出てきてこの世界を破壊し尽くすようなことがあればミストの犠牲者どころの話ではない。デリス=カーラーンに住む全ての人が俺と精霊によって殺されてしまう。そうなってしまった時俺と精霊だけが宇宙に取り残されてしまうのではないか。そうなってしまったら………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやって罪をつぐなえばいい………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「まだ時間はある………。

 そんなことにはならない………。

 

 

 

 

 俺がさせない………………。」

 

 

 まだ時間はある。時間がある限りヴェノムの主は必ず全て倒して見せる。討ち洩らしは絶対に残さない。なんとしてもここで確実に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔術を思い通りに使いこなして見せる。

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