テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
先日の一件から気負いがちなアローネに気を使ってカオスは彼女をからかい距離を縮めることに成功する。
トーディア山脈 麓
「大きい山だねぇ。」
「ウルベスタ山よりも大きいかもしれませんね。」
「ウルベスタ山?」
「ウルゴスではそう読んでいる山があるのですよ。ウルゴスからも見える大きな山です。登ったことはありませんけどね。」
「アローネは山道辛くない?」
「気を使いすぎですよ。ここまで来たのですからこんな山こえるくらいなんともないです。」
「アローネは無理でも無理って言わなさそうだしなぁ。ミストの森でもそうだったし。」
「あのとき疲れたと言っていたのはカオスではありませんでしたか?」
「そうだったね、じゃあ途中で休憩挟んで登っていこうか。」
【にんずうがいるばあいはたいりょくがばらつきますからそのほうがよさそうです。】
「疲れたら遠慮なく言っていいですからね。」
「モンスターもいるようだし気を付けていこう。」
トーディア山脈 中腹部
「ここらで休憩しようか。丁度それらしいポイントみたいだ。」
「分かりました。タレス疲れていませんか?」
【だいじょうぶですよ。たいりょくにはじしんがあるのです。】
「一旦荷物おろして休んでてよ。その辺り見回ってくる。」
「カオス、それは私が…。」
「…」
【いっちゃいましたね。】
「カオスはなんでも一人でやろうとしますから…。私達のことを甘く見すぎです。」
【それがカオスさんのいいところなのではないですか?】
「いいえ!カオスの悪いところです!カオスにばかりああいうことされては私達の能力が育ちません!パーティを組むからには能力は平均的に上げていかなければならないのに!」
【アローネさんはあんがいかっぱつてきですね。どこかのごれいじょうのようなかただとうかがえるのですけど。】
「私はウルゴスと言う国の貴族ですよ。
戦いの基本に関しては義兄から教わっていたんです。」
【うわさにきくおにいさんですね。きしかなにかだったのですか?】
「義兄は…」
「ただいま。」
「それでですね。義兄が…お帰りなさいカオス。」
【おかえりなさい。】
「なに話してたの?」
「少し昔の話をしていました。」
【カオスさんがアローネさんをブラコンといっていたわけがわかりました。】
「アローネ話始めると止まらないでしょ?」
【しゅうしおにいさんのことをはなしていましたよ。】
「まぁ!私が義兄のことを話して何か問題でも?」
「別にないけどお義兄さんが好きなんだなって。」
「?私はハーフエルフだからと言って差別することはないので義兄のことは好きですよ?」
「堂々とハッキリ言ったね。」
【さべつ?】
「僕達エルフとヒューマって種族の間に生まれた種族のことを言うらしいんだ。
ヒューマはマナの変わりにキカイっていう道具が使えるんだって。」
【ヒューマ?ダレイオスでもきいたことありませんね。】
「私の前ではハーフエルフの差別は許しませんからね。」
「そんなつもりはないよ。
けど話に聞く分にはハイブリッドな種族でとても優秀な種族だと思うんだけどなぁ。」
「プライドの高いエルフは自分達より優れた種族を認めようとはしないのです。」
「エルフが優れているか…そんなことないよなぁ。
僕みたいなモンスターと戦うくらいしか出来ないのもいるし。」
【ぼくにいたってはだれかといっしょじゃなきゃいきていけないものもいますし。】
「それを素直に認められない人達がいるのですよ。
自分達は他者などに頼らずとも生きていけるのだと、私も義兄に会うまではそうでした。」
「アローネが?献身的なアローネからは想像つかないなぁ。」
「貴族社会は常に能力を求められます。
それ相応の態度と志向を持たなければならなかったのです。
私は病弱で大人しい姉の代わりにまわりの人を牽制してました。
それも義兄が来てからはやめましたけど。」
「お義兄さんが来てから?」
「いくら能力を誇示しても誰も義兄に敵う人などいません。
それなのに誰も認めようとしない。
そんな背景を見ていますとその人達と同じことをしているのが嫌になったんです。」
【よわいもの……ではなくつよいものをなかまはずれにするのがみっともないと?】
「私からはそう見えました。」
仲間外れ。
子供のときの僕を思い出す。
子供の頃の僕はお義兄さんとは違って弱いだけだった。
1度勝ったくらいで強くなった気になるような子供だった。
実際はまだまだ弱いままの子供で。
アローネは僕をお義兄さんと似ていると言った。
本当にそうなのだろうか。
お義兄さんはどんな気持ちだったのだろうか。
どんなに頑張っても誰に勝ててもいっこうに認めてもらえないそんな環境でお義兄さんはどう自分を保てたんだろう。
僕がそんな環境におかれたら…。
子供のときは報われることを目指して努力は出来た。
じゃあ報われないことが分かってるのなら…。
僕はお義兄さんのようになれるのだろうか。
トーディア山脈 峠
「ふぅ、やっと登りきったね。あとは降りていくだけだから気が楽だね。」
「そのようですね。ここまでモンスターと戦いながらでしたから思ったより体力を使いましたね。」
【きをぬかないでください。やまみちはのぼりもくだりもたいりょくをけずられます。】
「そうだね。気を抜かないでいこうか。
まだ半分きった辺りだから何が出るかわからないからね。」
【きゅうにおおがたモンスターとであったりするかもしれません。】
ダダンッ!
「こんな大きな足音が聞こえてくるかもしれないしね。」
【はい、きをつけていきましょう。】
ダダンッッ!!
「……気を付けるもなにももうこちらに向かってきているようですよ?」
「この方向は……進路から来てるね。」
【かくれます?】
「この気配は……ヴェノム!?」
「タレス下がっていてください。」
「…!」
ダダンッ!
「遅かったか、大股だね。」
「この爬虫類は…。」
【ダイナソーです。】
「ダイナソー?」
「ドラゴンの一種で翼はありませんが地上でのスピードはドラゴン系でもトップクラスです。」
「そんな強そうなのがヴェノムにまで感染したら手強いなんてものじゃないなぁ。」
「!来ます!」
グオアアアアアアアアアァァァァアァ!!!!
「「「!!!!」」」
こんな巨大なモンスターはおじいちゃんと一緒に戦ったあのジャイアントヴェノム依頼だな。
こいつもそのうちあれみたいになるんだろうけど。
「魔神剣!!」ザザッ!!
グアォォォッ!!
一々雄叫びが響くな!
それだけで体が空くんでしまいそうになる。
一撃じゃ決めきれないか!
「アローネ!攻撃は僕が受ける!援護をお願い!」
「はい!疾風よ我が手となりて敵を切り裂け!ウインドカッター!」ザシュッ!
ゴアアッ!
よし、両足を………切断したら中から液状化した体液が出てくる。
これだけでかけりゃ簡単には終わってくれないよね。
オアアアッ!!
バスッ!バスッ!バスッ!
口から体液の弾を発射してきた!
「グウッ!」ガスッ!
感染はしないがそれなりに痛い!
「うっ!!」ガスッ!
「アローネ!」
「大丈夫です!私もヴェノムは効かないようです!」
一瞬ヒヤッとした。
攻撃したことはあってもアローネが攻撃を受けたことはなかったから焦った。
「タレスは!?」
「……!」ザンッザンッザンッ!
後ろの方で別のモンスターと戦っている。
このダイナソーの雄叫びで別のモンスターが集まってきたんだろう。
早くコイツを倒して加勢してあげなければ!
ゴアアッ!ジュゥゥゥゥゥ!!
足から出てきたヴェノムがダイナソーを覆いっていく。
久し振りに見たな。
ジャイアントヴェノム。
おじいちゃんを死なせるキッカケになった敵。
あの時のやつとは違うけどコイツは、コイツらはあってはならない存在なんだ!
体の力が溢れてくる。
コイツなら遠慮はいらない。
本気で全部弾き飛ばしてやる。
「魔神剣!!!!」ザザザザザザザザッ!!
地を這う衝撃波が駆け抜けた後それを追って更に衝撃波が発生する。
ジュゥゥゥゥゥ!?
衝撃波はジャイアントヴェノムを達磨落としのように削り斬っていった。
……………今のは?
一振りで今までよりも多くの魔神剣が出せた。
「カオス!今の魔神剣はッ!?」
アローネが話し掛けてくる。
「…分からないけどいつもよりマナが手に集約して出せるような気がしたんだ。」
「マナを集約…。」
「……!」ザンッ!
「おっとこうしてる場合じゃない!タレスを助けないと!」
「えぇ!」