テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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カオスの修行5

ウィンドブリズ山 四週間目

 

 

 

 カオスがウィンドブリズ山に修行をしに登頂してから二十一日目。今日の山の天気は澄み渡る青空で雹が降ることもなかった。

 

 

カオス「………最近モンスターの数がめっきり減ったな………。」

 

 

 カオスが魔術の練習を開始してから幾度となく氷の魔技アイスニードルと魔術アイシクルを放ち続けたせいでこの山には現在生物が生息することが不可能なほどまでに気温が下降している。それが影響して雪山のモンスターを一匹も見付けられずカオスは手持ちぶさたな時間が出来る。

 

 

カオス「……ここを皆と通ってきた時にはヴェノムももう少しはいたんだけどなぁ………。」

 

 

 雪山のモンスターは常に雪崩災害が起こり得る環境にいるせいか危機察知能力が高い。そのためモンスターは警戒心が強くヴェノムに近寄ることが少ない。なので必然的にこの辺りにいたヴェノムはカオスが訪れた時には栄養接種が追い付かず殆ど死滅していたことだろう。その他に生き残っていた個体はカオスが度重なる魔技と魔術の使用でウィンドブリズ山の全域が浄化され完全にこの地帯のヴェノムウイルスすら消えてしまっている。普通の者であったらヴェノムに遭遇すると絶望するが今のカオスにとってはヴェノムでも遭遇したい気分だった。

 

 

カオス「……まぁいいか………。

 無難に魔術の練習でもしようかな………。」

 

 

 一日通してモンスターと遭遇出来なかったカオスは魔術の発動練習を始める。練習するのはここまで他の災害を気にして一つに絞ったアイシクル一択。ここにいる間はこれしか使わないと決めているのだ。

 

 

 こうしてカオスはまたウィンドブリズ山の気温を下降させて余計にモンスターが出現しなくなる環境を作り上げていく。精霊の恩恵のせいで寒さを感じることが出来ないカオスは自分の行っていることがかえってモンスターと遭遇できなくしていることに気が付かない。この後の一週間は全てモンスターと一切遭遇することが出来ない日々が続く。そんな日々が続き記憶が再発することが無くなってきたカオスはそろそろウィンドブリズ山を降りてカイメラ討伐に向けて動き出すことを考え始めていた。今の自分ならカイメラなど一人で倒せるのではないかと過剰に自信を膨れ上がらせていた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィンドブリズ山 一ヶ月経過

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……よし………、

 修行が始まってからもうそろそろ一ヶ月くらい経つし後三ヶ月と半月までにヴェノムの主を倒さなくちゃならないなら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここら辺でアローネ達と合流しようかな。」

 

 

 カオスがウィンドブリズ山に登頂してからほぼ一ヶ月が経過していた。始めの頃は幾度も忌まわしき過去の記憶がフラッシュバックすることが度々あったがこの頃は何も思い返すことなく魔術を発動することが出来ていた。その発動回数は有に発動を失敗した数の半分を過ぎて今では一日に五十以上は魔術を発動していた。割合的にはカオスが魔術を発動出来た回数は八割から九割くらいにまでなるだろう。その残りの一割から二割はカオスが修行を始めた時期辺りの失敗だ。三週間目、四週間目に入ってからは詠唱を始めれば確実に魔術を発動出来ている。

 

 

 もう自分は大丈夫だ。

 魔術を発動することに何の恐怖感もない。こんな魔術はいつだって放てる。どこにだって放てる。

 

 

 カオスは魔術に対する自信が最高潮にまで高まっていた。長い間苦しんできた心の苦痛は今日で全て払拭できた。もう何も心配は要らない。これで世界は救われる。これで………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………さて、

 じゃあ………、

 

 

 山を降りないとなぁ………。」

 

 

 そう独り言を呟いてカオスは山を下山し始めようと第一歩を踏み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前なら世界を………、

 バルツィエを変えられるかもな………。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスが下山しようと第一歩を踏み出した時また忌まわしき記憶が甦り心の奥底から冷たい風が通り抜ける感覚がした。

 

 

 もうあの過去のことは振り切った筈、なのに何故またあの記憶が思い出されるのか?自分はもう既に“何も思い出さずに魔術を発動”することが出来るのにどうして…………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………………………………………………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 !!!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このタイミングでカオスは自分が何をしなければならなかったのかを思い出す。何故自分がこの山に来たか、ここに来てどうしなければならなかったかを………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………何でだよ………………。

 

 

 ……何で今、思い出すんだよ………、

 

 

 …何で今までそのことに気付くことが出来なかったんだよ………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何で俺は………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……今まで俺はずっとここで一体何をしてたんだよッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスが後悔の言葉を叫びながら己の拳をその自らが強固に固めた氷の大地に叩き付ける。何度も………何度も………。

 

 

 

 

 

 

カオス「俺は何をしなくちゃならなかったんだ……!!!!!

 何をしに来たんだ………!!!!!

 

 

 何のために………!!!この一ヶ月こんなところでずっと……………!!!!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 喉が張り裂けるほどに叫ぶ。悔やんでも時間は戻ってこない。カオスが使った時間は一ヶ月。その間にカオスは魔術を発動するところには漕ぎ着けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかしその間目標にしていた魔術を生物に的中させるという成果は数百の魔術回数の中で達成できたのは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………零。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 乗り越えたと錯覚していた過去の記憶はカオスの中で一ヶ月前と何も変わっていなかった………。

 

 

 この一ヶ月カオスは何もしていないのと等しい時間を過ごしてしまった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「何でッ!!!!!

 

 

 何で……………!!!!!!

 

 

 

 何でなんだよぉぉぉぉぉぉッッッッッッッッッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 本当なら雪山でこのような咆哮を上げるのは危険な行為だが今日まででウィンドブリズ山はカオスが雪山から氷山へと変えてしまっていた。なので雪崩に巻き込まれる心配はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……しかし今のカオスは雪崩でも火山の噴火でも起きてほしかった………。

 

 

 それに巻き込まれて世界から消えてしまいたい気性に苅られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「カッ……………カオス………?」

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