テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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まさかの遭遇者

ウィンドブリズ山

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス『……………俺やります!!

 あのカイメラにも魔術を使って見せるし皆を俺の力で強くすることも………!

 

 

 やらせてください!!

 

 

 俺が………!!

 俺が皆を守らなくちゃいけないから………!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「何がやらせてください、だッ……!!!

 一ヶ月まるまると使っておいて何も課題が進んでないじゃないか!!?

 何で一ヶ月もあって俺は一度もそのことを思い出せなかったんだ!!?

 俺がやらなくちゃいけなかったのは……!!

 

 

 “魔術を発動”することじゃなくて“魔術を使った上でそれを的に当てる”ことだっただろッッッ!!!?

 

 

 何でそのことを忘れていた!!?

 どうしてそのことを今になって思い出したんだよッッッ!!!?

 

 

 俺は………………モンスターどころか人に向かって使わなきゃいけないのに………!!!

 どうしてモンスターに一度も当てられないで達成した気になってたんだよォォォォッッッ!!!」

 

 

 己の愚かさが嫌になる。あれだけの啖呵を切っておきながら何も好転していないこの状況に自分の不用意な発言が招いた時間の無駄な浪費にカオスは自分を痛め付けたくなった。

 

 

 ………自分を真っ先にこの世から消し去りたくなった。

 

 

 

 

 カオスは普通の者が抱えることのない業を抱えていた。それは殺生石がカオスの中に共生しているせいでとてつもない魔術の出力が発生すること。魔術はこのデリス=カーラーンでは誰しも生まれながらに持っているもの。カオスも最初はそうだった。物心が着く頃にはそれを操れるようになり子供同士で競い会い高め会うものなのだ。そんな経験をしたことが無かったカオスは突如魔術が使えるようにはなったがカオスのそれは無闇に放てば確実に何かを粉微塵に砕き、切り裂き、消し炭に変え、貫き、凍り付かせて絶命させる程の力があった。それは一つの立派な殺人兵器だ。常人と違って放てば対象を間違いなく殺生するこの魔力を加減することは出来ずそれをカオスは仲間に対して放たなければならない。

 

 

 もし術が強すぎたり発動する魔術の属性を間違えればアローネ達は朽ちる。奪いたくない命を奪いさってしまう。過去のミストでの事件で奪いたくなかった人達の命のように………。

 

 

カオス「後……!!

 後五体もいるのに……!!?

 後五体を三ヶ月で倒しきらなきゃいけないのに!!!!!」

 

 

 アローネ達は自分を信じてこの修行に送り出してくれた。自分がアローネ達のように魔術を生物に使うことが出来ないからそれが出来るようになるまでの時間をくれた。アローネ達は自分が過去の記憶を拭い去ることが出来ると信じて待ってくれた。

 

 

 それなのにカオスはそれを乗り越えることが出来なかった。乗り越える機会がありながらそれを袖にしてしまった。大切な時間を馬鹿なモンスターとの追いかけっこでふいにしてしまった。ふいにしてしまった上でそれに気付かずにこのままウィンドブリズ山を降りてアローネ達に合流しようとしていた。終わらせなければいけなかった香大に何一つ手をつけることなく………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これではアローネ達に会わせる顔がない………。仲間と呼んでもらう資格なんてない。このままカオスは自身に宿る精霊の力が暴走してアローネ達やその他のスラートの人々、ミーア、クリティア、それからマテオの人々………最後には自分が悔恨の情を持つミストの人々を殺してしまう。自分の意思とは関係なくあの精霊が三ヶ月後には世界を消すと宣言しているのだ。その破壊を止めることは恐らく無理だ。カオスが見てきた中であの精霊に対する対抗手段は存在しない。災厄の存在ヴェノムですらあの精霊にとっては無力なのだ。あの力を前に生き残れる生物などこの星にはどこにもいないだろう。ましてやあの精霊の力無くして今日まで生きてはいなかったカオスでも………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………………………………………………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………は…………ははは…………。」

 

 

 喉の奥から渇いた声が響く。それは無意識の内に漏れてきた。

 

 

 

 

 

 

カオス「…………俺は一体こんなところで…………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………何やってるんだろうな………。」

 

 

 この一ヶ月のことを振り替えるカオス。始めは目標を見失うことは無かった。始めの内からモンスターに魔術を当てることが頭の中ではあった。しかし長期的に一人で過ごし続ける内に思考の波が蠢き次第に別の思考へと移り変わっていった。対象に魔術を当てることから徐々に対象がいても記憶を呼び覚ますことなく魔術を行使するようになっていった。それから最後にはいつでも魔術を発動出来るようにすることになっていた。一度一人でそう思い込んだらその間違いに気付くことは出来なかった。それも無理からぬ話で人が間違いに気付くのは間違ったと過去になってからだ。後悔は後からやって来る。今回の件もそれだ。カオスは自らの修行が間違っているとは分からなかった。同じことの繰り返しをしていると人は次第に最適化、要するに楽な方へと流れていく傾向にある。上手くいっていると錯覚すればするほどカオスが間違いに気付く機会が失われていく。自身では一日中修行をしているつもりだった。努力をしているのだと思い込みただひたすらにそれを頑張る………。

 

 

 それが間違った努力の方向だと気付けたのは全て終わった後だっただけなのだ………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「クッソォォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 カオスはもう一度渾身の力を込めて氷に拳を叩き付ける。他人から見れば散々喚き散らして氷を殴った後に渇いた声を出してもう一度喚くというみっともない光景だっただろうがここにはカオス一人しかおらず人目に気にすることは無かった。カオスにはもう………、

 

 

 泣き叫ぶことしか頭になかったのだ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……そんなカオスに後ろから声がかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「だっ、………大丈………夫?

 ……そんな手を………してたら手が痛い痛い………よ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「!!?」

 

 

 カオスはその声を聞いて一瞬アローネ達の誰かが一ヶ月も戻ってこない自分を探しに来たのだと思った。流石に長く空けすぎて心配になって様子を見にきたのかと思ったが今この付近は寒さに強いモンスターでさえも居座ることが出来ない氷点下の世界だ。こんなところにアローネ達が来れる筈がない。そう思って振り替えるとそこにいたのは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイン「どっ、どうした………の………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マテオ、レサリナスの王国騎士団隊長にしてカオスの祖父の従兄妹敵のダイン=セゼア・バルツィエの姿があった………。

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