テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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バルツィエのダインの登場

ウィンドブリズ山

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……何でアンタがここに………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイン「手から………血が出てるよ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスが自分の過ちに嘆き悲しんでいたらバルツィエの女騎士ダインが現れた。モンスターも出現しなくなるほどのこの寒空の下でまさか人に出会すとは………。しかしこの気温ではカオスのような特殊な体質をしていないと生物が生きていられる筈がない。呼吸して吐いた息ですら途端に凍り付く程の寒さなのだ。それをこのダインはどうやって………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………何でここにいるんだ………?」

 

 

 先ずはここにダインがいる理由が知りたかった。バルツィエの先見隊はファルバン達の見立てではカオス達の妨害をしてくることは分かっていたが妨害するとなると人里に向かう筈だ。こんな雪山もとい氷山へと足を運ぶ理由が見当たらない。

 

 

ダイン「………」

 

 

 返事はない。そんな質問に応える義理はないということか。

 

 

 考えてみたら敵同士。ここで会いまみえたら剣を向けあうのが道理。しかし今カオスは剣を所持していない。魔術の修行に専念するためにアローネ達のところへと置いてきていた。それに対しダインは腰に剣を差している。魔術は使えても人に当てることが出来ないカオスにとって今襲われたらほぼ無防備な状態で一方的に殺られてしまう。ここは逃げるのが手かと思ったが、

 

 

カオス「……じゃあ俺はここで「カオスに………!」…えっ?」

 

 

ダイン「え…?何?」

 

 

カオス「いや、今何か言いかけたから………。」

 

 

ダイン「カオスから先でいいよ……。」

 

 

カオス「俺は………。」

 

 

 さりげなく去ろうとしたらダインが何かを言いかけてカオスと話が被った。何を言おうとしていたのか気になって問いかけてみることにする。

 

 

カオス「………どうぞ。」

 

 

ダイン「………カオスが………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この山にいると思って来たの………。

 カオスの……魔術は………その………、

 

 

 ……どこにいてもどこにいるか分かるぐらい凄いから………。」

 

 

カオス「………」

 

 

 ダインがここに来たのは必然だったようだ。妨害をするにしてもカオス達がどこにいるかは捜してみないと分からないだろう。だがこの山で修行を始めてから一ヶ月。地形や天候すら変えてしまったカオスの居場所はバルツィエには筒抜けだったようだ。

 

 

カオス「……それでここに来たって訳か………。

 一体いつから見ていたんだ……?」

 

 

 レアバードなる乗り物で空を飛ぶバルツィエの先見隊ならここへも来やすかっただろう。ダインがここに来たと言うことは他のバルツィエも同様にここに向かっている恐れがある。ダインがこの気温の中でもこうして現れたと言うのなら何かバルツィエは極寒の冷気の中でも耐えられるよあな技術があるのかもしれない。今もどこからか出てきて…………。

 

 

 とカオスが他のバルツィエがいないか辺りを警戒していると、

 

 

 

 

ダイン「?

 ……誰か捜してるの……?」

 

 

カオス「…アンタ以外のバルツィエがいないかをね………。」

 

 

ダイン「ランドールならまだ帰ってきてないけど……。」

 

 

カオス「帰ってきてない……?

 どこから帰ってきてないんだ?」

 

 

ダイン「レサリナス……、

 自分で手を斬ったって言ってたからそれを治しに帰ってるよ……?」

 

 

カオス「………」

 

 

 そういえばそうだった。ランドールはセレンシーアインで逃亡するために自分から手首を切り落としたんだった。バルツィエは確か二人一組で活動するんだったよな………。

 

 

 となると今はこのダイン一人なのか?

 

 

 ……一人ならなんとかなるかもしれない。隙を見て視線が切れた時に………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイン「カオス……、

 魔術をモンスターにぶつけることが出来ないんだね……?」

 

 

 

 

カオス「…!?」

 

 

ダイン「それで一人でこんなとこに……いたの?

 ランドールから聞いた話じゃ“アスラ”を狩ってるって言ってたから……。

 この前からずっとカオスがモンスターと戦ってるところ見てたけど一度もモンスターに魔術を当てられてなかったからもしかしてとは思ったけど………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………読まれてる。もしこれで俺が人に対しても撃つことが出来ないと知られればこのダインは問答無用で斬り掛かってくるだろう。そうなる前にここは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 逃げるが勝ちだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイン「あっ…」

 

 

 

 

 

 

 カオスは猛スピードの飛葉翻歩で駆け抜ける。無論ダインとは真逆の方向へだ。地面の氷もあいまって一瞬でダインから遠ざかり五秒もしないうちダインの位置からはカオスが見えなくなる。不意を上手くつけた。あの様子では追い掛けてきてもカオスを見付けることは難しいだろう。今は何がなんでもダインから逃げ切らねば。

 

 

 カオスはそのまま三十分ほどジグザグに木々の間をひたすら滑っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……ここまで来ればもう追い掛けてはこれないだろう。」

 

 

 草葉が枯れ落ちる木々を隠れ蓑にしてカオスは後ろを振り替える。どうやら撒いたようだ。追ってきてる様子はない。一先ずは安全の確保には成功した。今日は不幸続きだ。一ヶ月の修行が御破算して項垂れてたらダインに見つかり俺の魔術が使い物にならないことまで知られてしまった。

 

 

カオス「……これで俺の魔術が人にも撃てないことがバレたら本格的にまずいよな……………。」

 

 

 それがダインに知れでもしたら今度こそダインはカオスを殺しに来るだろう。今ならカオスは仲間の助けもない状況だ。あの場でカオスが逃亡を謀ったまではよかったがダインは何故カオスが逃亡を謀ったかを考えるだろう。そして逃亡した理由が武器を持っていないこと自分に対して攻撃手段が無いのだと気付かれると戦闘は必至。次もまた同じように逃げ切れるかは分からない。足の早さでは勝っているとは思うが追跡する足はこちらに最短で向かってくる。こちらが逃げると分かっているのなら次は簡単には逃がしてはくれない筈だ。そうならないためにも次は………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次は………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………どうすればいいんだろうな………。

 

 

 俺はこんなところで何をやっているんだろう………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日二度目の瞑想。カオスはこの次に自分が何をすればいいのかを見失った。仲間の元へ戻ろうとした矢先に徒労に終わった修行、この一ヶ月の努力は努力では無かった。ただの迷走であった。仲間達にこんな報告が出来るか………。

 

 

 出来る訳がない。彼等は今もカオスの帰りを信じて一ヶ月も待っていてくれているのだ。その一ヶ月で何の成果も得られなかったでは仲間達は自分に対して呆れ果てるだろう………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはカオスにとって生物に対して魔術を放つことと同等の恐怖を感じた。もしこれで本当に失望されることになったらカオスはまた新たなトラウマが生まれることになるだろう。その思考はカオスの中でどんどん大きくなっていく。まだ体験したことの無い恐怖ほど想像してしまうとより強く恐怖心を掻き立てられる。その恐怖心のせいでカオスは、

 

 

 これからどうすればよいのかさえ自分で決めることが出来なくなってしまっていた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこまで………行くの………?」

 

 

カオス「どこまでって………そんなの分からないよ………。」

 

 

「?

 どこに行くか決まってないの……?」

 

 

カオス「……アローネ達のところに戻りたいけど………戻ることなんて出来ないし………。」

 

 

「………迷子……?」

 

 

カオス「迷子じゃないよ………。

 俺が出来るようにならなきゃいけなかったことがこの一ヶ月でまるで進歩してないから何て言えばいいのか分からなくて………。」

 

 

「さっき呟いてた人にも魔術を撃てないってことのこと……?

 カオスは生き物全般に魔術を撃つことが出来ないの……?

 ……だからレサリナスでは一度も魔術を使ってなかったんだね……。」

 

 

カオス「………?

 まぁあの時は………………………………………………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 !?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 独り言を呟いていたらそれに乗っかってくる声があった。その声は聞き覚えがあった。と言うよりも先程の………、

 

 

 

 

 

カオス「どっ、どこだ!!?

 どこから………!!?」

 

 

 あれだけ走って引き離した筈だ。なのにもう追い付いてきたのか!?それも真っ直ぐ俺のところへ……!!?ダインの方が足が早かったということか…!!

 

 

 

 慌てて声のした方へと振り替えるカオス。

 

 

 しかしその方向にダインはいなかった。ダインがいたのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイン「こっち……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダインがいたのは空だった。セレンシーアインでランドールが逃亡するのを手助けした時に乗っていたレアバードに搭乗していたのだ。

 

 

 なるほど、あれだけ引き離したのにこんなに早く追い付かれてしまったのは相手が陸路ではなく空路で追跡していたからか。空からなら障害物もなく乗り物ということで疲労を感じて減速することもない。実に堅実的な追跡手段があった訳か………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………どこにあったんだよそれ………、

 

 

 さっきはそんな乗り物どこにも無かっただろう………。

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