テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ウィンドブリズ山
カオス「……帰らないのか………?」
ダイン「帰る……?」
カオス「その………いつまでも俺と一緒にいてもなんにもないぞ……?
俺はこの山で精神修行に来てたわけだし………一緒にいても何かあるって訳じゃ………。」
ダイン「……じゃあランドールが帰って来るまでもう少しカオスの修行を見とくよ……。」
カオス「え?
俺の修行を見とくの?」
ダイン「暇だし時間ならまだ三日くらいあるから……。」
カオス「……まさかその三日後にランドールと合流してから俺を捕まえるつもりなんじゃ……?」
ダイン「んー………、
出来ればカオスには自分からレサリナスには来てほしいけど……。」
カオス「何度も言うようだけど俺はダインのいるバルツィエとは敵だ。
バルツィエに捕まるつもりはないぞ。」
ダイン「……ならいいや……。」
カオス「………いいってのは……?」
ダイン「この山でカオスにあったことは内緒にしておくよ………。」
カオス「いいのかそれで?」
ダイン「うん……、
カオスは強すぎるから一人じゃ捕まえられなかったって言えばどうとでもなるよ……。」
カオス「それは有り難いけど……。」
じゃあこいつらは何をしにダレイオスに来てるんだ?俺達の妨害をしに来てるんならここで俺を捕まえてしまえばダレイオスの人達がやろうとしてることをもっとも効率よく足止め出来ると思うんだが……。
……まぁ、このダインはどちらかというとただダレイオスに他の先見隊と一緒に来てるだけっぽいな。俺に友達になってほしいって言ってくるくらいだし任務にはあまり忠実じゃないんだろう。ランドールみたいにさっさと任務を片付けようとする奴と組んでるくらいだから二人がペアなのも頷ける。今のところこのダインを警戒するだけ杞憂なのだろう。
カオス「……でもどうしようかなぁ………。
もうこの山にモンスターもヴェノムもいないようだし俺の修行ももうどうしたらいいか分からないし………このまま皆の所に帰る訳にはいかないし……。」
ダイン「?
修行しないの……?」
カオス「……俺の修行はさ………。
モンスターや人に向けて魔術を撃てるようにしないといけない修行だったんだよ………。
それなのにモンスター達も俺が魔術を山に無駄撃ちし過ぎたせいでいなくなっちゃって……。
かといって山を降りて他のモンスターを探したとしても俺がトラウマを克服出来るかどうか……。」
ダイン「……最初にカオスを見つけた時から気になってたけど……何でそんな修行をしてるの……?」
カオス「………」
言うべきか言うまいか……。俺が生物に対して魔術を撃つことが出来ないことは知られてしまったが敵であるダインに俺の事情を詳しく話してしまってもいいのだろうか?あまり詳しく説明しても他のバルツィエ達に伝わってしまう危険がある。そうなるとバルツィエ達は遠慮なく俺やアローネ達の妨害をしに………、
………さっきダインは俺に会ったことを内緒にしてくれるって言ってたしな。バルツィエと言ってもそこまで悪い奴じゃないなら俺の事情を話してしまってもいいか。どうせ妨害は関係なくしてきそうだしな。
カオス「……昔さ………。」
ダイン「……そう。
アルバートが死んじゃったのって………そういう感じだったんだ………。」
カオス「…うん………。」
俺はダインにここで修行する経緯を話した。子供の時の事件が切っ掛けで俺は魔術を使うことが出来なくなったことを話した。俺の魔術は確実に一撃必殺。剣技で戦うように手加減が出来ない。流石にアローネ達にこれから魔術を撃たなければならないことだけは伏せたが俺の魔術が広範囲に渡って被害を及ぼすためもし巻き込みでもしたら一大事だ。それが頭から離れずに昔の記憶が何度も甦って意識を乗っ取られてしまい体が固まってしまう。戦闘中にでもそうなってしまえば俺は完全に足手まといだ。だから俺はアローネ達の足手まといにならないように魔術を使えるようにしなければならない。実戦では俺が魔術を撃つ際にはアロハ達に離れてもらえばすむのだがそれでも俺はそれを信用できないし敵にさえ撃つのを躊躇う。……なんとも情けない話を敵に話していると自覚してしまうな………。
ダイン「……確かにうちらバルツィエの魔力はそこら辺の人達よりも威力も精度もあるからね……。」
カオス「だろ?
だから俺はそれがどこかで仲間達を巻き込むんじゃないかって思って魔術が「だったら……」」
ダイン「魔術を的に当てない練習をするといいよ………。」
………魔術を的に当てない練習………だって………?どういうことだそれは………?
カオス「……それって何の意味があるんだ………?
俺は魔術をモンスターに当てないといけないんだけど………。」
いくら考えてもダインが行ったことの意図を掴めない。俺は魔術を対象に当てることが出来ないから当てる修行をしていたのにその真逆のことを言ってないか………?
………とカオスがダインが言ったことの真意を問いかけるとダインはカオスから少し離れて………、
ダイン「………『氷雪よ………我が手となりて敵を凍てつくせ………』」
氷の魔術アイシクルの詠唱を唱え始める。
それも………、
カオスの方向を向きながら………、
カオス「ちょっ…!?ダイン……!!?
何するんだ……!?敵対はしないんじゃ!!?」
慌ててダインを止めに入ろうとするが間に合わない。もうあと数秒でダインから魔術が放たれカオスに直撃コース………、
………とよくよく考えてみれば魔術自体効かない体質なのを忘れていた。驚くだけ損をした気分になる………。
ダイン「『アイシクル』………。」
ダインからアイシクルが放たれカオスに向かって大きな氷の塊が飛んでくる。先程ダインは魔術を当てない練習をすればいいと言っていたがこの軌道は確実にカオスに直撃する。一体先程の魔術を当てない練習とは何だったのか………?
………とカオスは接近してくる氷の塊が、
カオスを“すり抜けて”後方に飛んでいくまで考えていた。
カオス「………………!?」
ダイン「…これが……………、
カオスに必要な技術…………。
対象に対してのみ術技を当ててその他の物には干渉をしない技法………、
“共鳴(リンク)”………。」