テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ウィンドブリズ山 ダインとの修練初日
ダイン「……じゃあ一旦うちは離れておくからカオスは魔術を発動させてそれを放たずに維持してみて………。」
そういってダインはレアバードに乗ってカオスの後方上空まで飛んでいく。下手してカオスの魔術がダインに被弾しないためだ。
これからカオスはカオスが抱えている問題の克服のため敵であるダインに教えをこう。どうしてこうなったのかはさておきダインから教わった技法共鳴はどうしてもカオスは体得しなければならない。たった一人で修行していたせいで自分の方向性の過ちに気付くことが出来ず一ヶ月を無駄にしてしまったため何か一つでも仲間達の元へと成果を報告しなければならないからだ。そのためなら敵に頭を下げてでもカオスは技術を欲した。実際に頭を下げた訳ではないのだがカオスはそれくらいのことを求められたら進んで頭を下げるだろう。それだけカオスはこのダインとの修練に意気込みがあった。
カオス「………『氷雪よ………我が手となりて敵を凍てつくせ………。』」
カオスが詠唱を唱えそこから魔術発動への構えをとる。今回はここから魔術を発動するのではなく溜めに溜めて魔術を自らの掌に集めて維持する訓練だ。
ダイン「……今手に氷の自然エネルギーが集まっているのは感じる………?」
カオス「感じるよ………。」
ダイン「そう………。
今カオスはそれを解き放てば氷の自然エネルギーが具現化して物質として放出される………。
だからそれをギリギリまでマナを抑えて物質化しないようにそこにある氷の箱の向こう側に通してみて。」
カオス「分かった。」
カオスの目の前には予めダインが魔術で作っておいた正方形の氷のブロックが用意されている。このブロックにはダインのマナが残存しているためこれを透過して魔術を放つことが出来ればすなわちダインに対して魔術を放ったとしても同じように透過出来るという訳だ。共鳴の感覚を掴むにはバルツィエはこうした他人のマナに慣れる訓練から始めるらしい。こういった訓練方法があるのを見てバルツィエはマナを制御することに関しては本当にどこよりも抜きん出ていると感じる。カオスが育った村ミストでは魔術は発動できてこそ魔術の真価であってその先のことがあるだなどとは誰も知らなかっただろう。
魔術は具現化と具像化を操れてこそがバルツィエの真価。それを操れてこそバルツィエとして一人前として認められるらしい。戦いにおいてバルツィエはそれぞれが広範囲に及ぶ魔術を扱う。そこにはバルツィエが互いの魔術で被弾してしまう恐れがある。だからこの技法が生まれた。魔術の発動者が誤って味方を自らの魔術の餌食にしてしまわないために。
カオス「………っと…。」
ダインの言う通りに掌に集中させたマナを氷の自然エネルギーに干渉させて物質化させる一歩手前で留めて氷のブロックに触れる。ここからこのオブジェにマナを干渉させずに保ち続ければこの訓練は成功だ。少しでも加減を間違うと、
ダイン「……!
カオス、
マナが強すぎる。
それじゃ………。」
カオス「え……!?」
これでもかなりマナを押さえているのだがダインがまだマナが多すぎると指摘してくる。その指摘通り氷のブロックは、
カオス「………あっ………。」
ダイン「………やり直し………。」
透過しようとしていたブロックはカオスの氷の自然エネルギーを受けて十倍以上にまでその質量と体積を膨らませて歪な針山のようになった。今回は失敗したようだ。
カオス「………やっちゃったかぁ………。」
ダイン「ドンマイ………。
氷ならまだまだ作れるからまだまだやろうよ………。」
カオス「…そうだね………。」
この修練………見た目以上に難しい………。今まで魔術を使うときは当たり前のように発動出来るかを気にしていたが今度のこの修練は発動させてはいけないのだ。魔術の詠唱は唱えると実在するかしないか分からない精霊に自分のマナを差し出しその力を借り受けるという作法だと言われている。ぶっちゃけ詠唱は唱えなくても魔術は発動出来るのだがそれだと精霊がその人物に対していきなり何の合図も無く力を貸すことになるため十分な準備も出来ずに魔術の質が落ちるのだと言われている。この訓練ではそうした作法をしっかりとやればマナをコントロールするのがしやすくなるため詠唱込みで行っているのだがそうなると必然的にマナが多くなる。その多くなったマナを魔術が顕現出来る寸前に抑えなくてはならない。これではまるで草村を草を踏まずに進むかのような厳しさを感じる。人よりも大分膨大なマナを保有するカオスにとってはなによりも困難な修練に思えてくる。
………それでもこの修練はカオスのことをよく考えて作られた修練法だとも思った。生物に対して魔術を行使できないカオスには最初に生物に見立てた氷を魔術で透過させるという内容はフラッシュバックも起きず普通に魔術を使うことが出来る。この修練で失敗しても弾け飛ぶのは氷だ。人ではない。
ダインはそこのところをちゃんと理解している。理解した上でこの修練法を提示してきた。
ダイン「……次もう一度………。」
カオス「了解。」
カオスはだんだんこのダインに対しての印象が敵ではなく味方であってほしかったと思うようになってきた。
このダインとは………、
今後戦いたくはないなとそう思うようになってきたのだった………。