テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ウィンドブリズ山 ダインとの修練初日 夜
ダイン「今日はここまでにしよう………。」
カオス「え?
でもまだまだ俺は大丈夫だけど……。」
ダイン「カオスは筋がいいし努力家だから思っていたよりも成長が早い………。
氷を透過することももう殆どマスターしてきた……。
ここから先はまた明日にする……。」
カオス「………」
ダイン「焦って成長しようとしても駄目だよ………?
焦って成功したのは単なるまぐれ……。
今は調子が出てきてるから成功が続いているだけ……。
集中してるから成功出来てるだけなのかも……。
一旦休んでからリセットして明日いきなり十連続成功出来たら次の段階にステップアップしようよ……。」
カオス「……分かったよ………。」
ダイン「それじゃあ今日はもうご飯食べて寝るよ……。」
ダインとの修練初日はこの一ヶ月やって来たことが何だったのかと思えるくらい充実し成長を感じるものだった。今まで落ち着いて一人で魔術を撃つような機会が無かったのと一人でどういった魔術の訓練法があるのか知らなかったせいで自分が成長すべき方向性を見定めること無く進んでいたせいで真に進むべき道が見えてきたような気がしてきた。ダインの教えを忠実にこなしていけば俺は確実に次へ次へと進んでいける。このダインについていけば俺は………、
本当に自分が行使してみたかった誰かを守る魔術を使うことが出来る。この共鳴の訓練が終了したら俺は皆を守るだけの魔術を身に付けることが出来る。もう誰も傷付けずに魔術を発動出来る。
……心残りなのはこれを教わっているのが敵であるダインからなのだが、
彼女と過ごした一日を振り替えってダインは他のバルツィエとは違うおじいちゃんのような人の暖かさを感じた。ダインは他のバルツィエが持っているような凶暴性がまったくと言っていいほど感じられない。ダインが剣を向ける相手はモンスターのような明確な敵と認識した相手か自分の大切な人を傷付けられた時。
ダインは………、
おじいちゃんのような良いバルツィエなのかもしれない………。
ウィンドブリズ山 ダインとの修練二日目
ダイン「……成功だね………。」
カオス「よし!!」
早速朝から昨日ダインが言っていた条件をクリアし歓喜に震える。昨日の成長は確実にカオスの中に残っている。昨日の時間は無駄ではなかった。そう思える。カオスは飛び上がりたい衝動に苅られて浮き足立つが、
ダイン「じゃあまたマナを維持するところからやってみて………。」
カオス「……?
分かったよ………。」
ダインは得にカオスを誉めることもなくまたこれまでと同じく魔術のマナの維持からやらせるように言う。これの次のステップアップはまださせてもらえないのだろうか?
………とカオスは思っていたのだが今回カオスはダインが昨日までのようにレアバードで上空へと飛び上がらずに地上に滞在したままのことに気付かなかった。ダインは変わらずカオスの後方にはいるのだがマナを維持するだけの修練なので得に気にすることなくこれまで通りにマナを手に集中し始める。
カオス「『氷雪よ、我が手となりて敵を凍てつくせ………』
……ダイン、さっきまでと同じようにやればいいの………、」
そうダインに問いかけるのだが返事はなく代わりに、
カオス「………えっ!?」
ダイン「………問題無さそうだね。
うちの体に何の影響もなく透過出来てる………。
カオスは着実に一歩二歩って進歩していってる……。」
ダインが飛葉翻歩でカオスの前方へと回り込みカオスが掌に集めているマナに直接触れてきた。昨日からダインのマナに干渉しないようにする修練を行っているためダインを透過することは出来たが一歩間違えばダインの氷のオブジェが完成してしまうところだった。
カオス「あっ……危ないじゃないか!!?
もし俺が加減を間違えたらダインが……「間違えなかったじゃない……」!」
ダイン「カオスは上手にマナと魔術を扱えてる……。
その証拠にこうしてうちが触り続けてるのにマナが掌に集中したままだよ……?」
カオス「………」
言われてみればそうだ。カオスは今詠唱も完成しマナが十分に溜まったためいつでも魔術を放つことが出来る状態だ。ここからは先程のブロックにこの状態のまま透過して非物質状態を保てればよかったのだが………、
ダイン「ねぇ……、
そのまま魔術を解き放ってみてよ……。
多分うちにはカオスのアイシクルは届かないから……。」
カオス「…でも………。」
ダイン「大丈夫だよ………。
カオスは魔術の具像化と具現化をちゃんとコントロール出来てる……。
うちのマナを感じながらうちに被らないことを意識して解き放てばカオスの氷は絶対に当たることはない……。」
カオス「………」
正直自身がダインの言う共鳴を習得できたのかは自信がない。もし習得出来ていなかったとしたらダインはカオスの物理的に滅することが困難なヴェノムすら討ち滅ぼす力の前に朽ち果てる。この力は過去発動させてそれに被弾した生物は皆滅してきた。そんな力をここで解き放ってしまってもいいのだろうか………?
………下らない自己検証は捨てよう。どうせ自分が何を考えて躊躇ったとしてもそれは逃げる口実を探しているだけにしかならない。ダインは昨日から………いや、三週間前からカオスの特訓に付き合ってくれているのだ。ここで躊躇ってはいけない。ここまで時間をかけて付き合ってくれたダインや待ってくれている仲間達のためにもカオスはやらなければならない。やり遂げなければカオスはまた時間を消費するだけの地点から巻き戻ってしまう。そんなことでは皆から失望されるだけだ。
それだけは……嫌だ………。
カオス「…………、
『アイシクル!!!!』」
カオスはダインに促されるまま魔術を解き放つ。そして………、
ダイン「………ほら………、
ちゃんと出来た………。
カオスは今日で共鳴を覚えることが出来たよ………。」
カオス「………!
俺………出来たの………?」
ダイン「うん………。
カオスの氷………うちには触ることが出来ない………。
けどちゃんと具現化は出来てるよ………。
地面の氷にも張り付いてるし………。」
カオス「………やったのか………?」
ダイン「そうだよ……。
カオスは人に対して魔術を当てずに魔術を発動させた……。
本当は三日じゃ足りないと思ってたけどカオスは一日で成功できた………。
よく頑張ったね………カオス………。」
………こうしてカオスはダインとの修練開始から僅か二日目で目標をクリアした。これで一ヶ月の成果は十分な域にまで来た………、
…………かのように思えたが、
ダイン「じゃあ次は………モンスターにだけ魔術を発動させる特訓だね………。
人に対してフラッシュバックは起こらなくなったみたいだけど………、
モンスター相手にはまだしっかり撃つ練習はしてないから………。」